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2015年6月24日水曜日

積立投資の発展型として「リレー投資」という方法がある。
販売手数料が無料で少額から定額購入できるインデックスファンドを毎月積み立てて100万円になったら売却し、信託報酬は安いが販売手数料が高いため少額投資には向かない海外ETFに乗り換えるという手法である。
手順的には難しくはないが問題は、インデックスファンドの売却から海外ETFの購入まで、1日で完結できず数日必要となるため、その間で相場が上昇してしまい、インデックスファンドと同等の海外ETFが買えなくなってしまう恐れがある。
そこで対応としては「生活防衛資金」の現金を一時的に使用し、インデックスファンドの売却と海外ETFの購入を同日にやり、インデックスファンドの売却資金が現金化されたら、生活防衛資金に戻す方法がある。
しかし、最近はインデックスファンドの信託報酬の水準が、競争によって下がってきており、このリレー投資のメリットが減ってきている。
インデックスファンドの信託報酬は10年前は年率1%程度だったのが、現在では年率0.4%程度まで下がっており、コストが半分以下となってきている。
ここまでコスト下がると、リレー投資で一時的にかかるコスト(売買手数料、為替手数料、利益への課税)と手間を考慮すると、インデックスのままずっと運用を続けた方が、効率的かもしれない。
国内株式のインデックスで「日経平均」は有名で馴染みやすいインデックスである。
しかし忘れてはならないのは、2005年4月の銘柄入れ替えの際に、実質的に中身の50%強が一気に入れ替わり、これが市場参加者に利用された結果、市場の変動とは関係のない10%以上の下振れを起こし、前後に連続性の断絶が起きたという出来事である。
この時の銘柄入れ替えは225銘柄中30銘柄だったが、ポートフォリオとしては50%以上の入れ替えとなってしまっていた。
この時の銘柄入れ替えでは、証券業界が2000億円以上のトレーディング益を稼ぐ一方で、日経平均連動のインデックスファンドへの投資家や、日経平均先物をロング(買い持ち)していた投資家などが大きく損してしまった。
このように日経平均は株価が高い銘柄の影響度合いが大きく、ポートフォリオとしてのバランスにやや難がある。
「外貨預金」は「預金」という名前が親しみやすいため愛用者が多い。
しかし、外貨建てのMMFやFXによる為替ポジションよりも為替の手数料が高く設定されているため、円安になった時には儲けがより少なく、円高になった時の損はより大きいので、100%ダメな運用商品である。
運用商品の評価では、円安になるのではという「市場の予測」と「商品のコスト」を分けて考えることが重要である。
金融機関の営業は顧客に対して、「市場の予測」と「商品のコスト」を混同させて、ダメ商品を売り、手数料稼ぎをしようとする。
NISAとDCを最大限に有効活用する方法としては、両制度の特徴を考慮すればよい。
DCでは「運用商品のスイッチングが可能」であり、市販の運用商品より「手数料が安い商品稼が選択肢にある」事が特徴である。
つまり、外国株式のインデックスファンドをDCに割り当てることが正解となる場合が多い。
NISAでは、「途中で売却すると非課税対象枠から外れてしまう」のが特徴である。
つまり、NISAに向くのはインデックスファンドの長期投資であり、DCでは信託報酬が安いETFに投資できなので、TOPIX連動ETFをNISAに割り当てるのが良い。
具体的には、生活費とは別に余裕資金が1000万円あり、そのうち600万円をリスク資産に投資が可能と考えるならば、DCで200万円分の外国株式インデックスファンドに投資し、NISAで100万円分のTOPIX連動ETFを購入する。
その他に普通の証券口座で外国株式のインデックスファンドに100万円、TOPIX連動のETFに200万円投資すれば良いと考える。
全体を最適化しながら、DCとNISAに各々最も得な投資商品を割り振るという考え方をすればよい。
DCとNISAでは、株式と債券の両方を含むファンドである「バランス・ファンド」の購入は不適切である。
理由は以下の4点。
1.運用期間中の利益に対して非課税という優遇制度のメリットを最大化できない
2.運用者に適切な投資タイミングで資産配分を調整する能力など期待できない
3.中身の割に手数料が高い
4.投資家が投資の中身をリアルタイムで把握しにくい
また、DCでよくラインナップされている「ライフサイクル・ファンド」と称するバランス・ファンドも制度のメリットを生かせない商品である。
<確定拠出年金(DC)とNISAへ投資を割り振る時の考え方>
DCとNISAには4つの制度上の特徴がある。
1.共に運用期間中に運用益が非課税になる大きなメリットがある金融資産の運用制度
2.DCでは運用期間中に運用商品のスイッチングが可能だが、NISAでは5年間の非課税適用期間中に売却した分は、非課税適用が外れてしまいNISA口座内で再投資ができない。
3.DCでは一般的に売られている商品より運用手数料が安く設定されている。
4.NISAは所得控除にならないが、DCは全額が所得控除となる。
つまり、DCとNISAの口座では期待リターンの高い資産を集中すべきである。
NISAでは売りたくなるような投資対象には不向きで、個別株の投資には向かないため、TOPIX連動の国内ETFがベストな選択となる。
DCには市販のインデックスより更に運用手数料が安い「お宝インデックスファンド」が購入できる。
野村アセットマネジメントが運用する「野村海外株式インデックスファンド(確定拠出年金向け)」というDC専用インデックスファンドの信託報酬は年率0.22%(税抜き)と、同じ野村アセットマネジメントが運用する一般向けのインデックスファンドである「野村インデックスファンド・外国株式」の信託報酬が年率0.55%(税抜き)となっているのと比べて、運用コストは半額以下である。
しかし「お宝インデックスファンド」にいつては、あまりインターネット上では話題にならない。
なぜならば、DCの運営管理機関によって、つまり勤務先によって購入できる商品のラインナップが異なる為、自分が投資可能なDC専用商品を詳しく紹介してしまうと、勤務先が特定される可能性があるからである。
また、運用会社の方も、DC顧客を選んで同じ商品を違う価格で売り分けているようなものなので、あまり公開したい情報ではない。
老後資金のために長期運用が目的であり、DCの加入資格があるのであれば、NISAよりもまずはDCでのインデックス運用を第一優先に考えるべきである。
投資に関して自分が許容できる最大の損失額を想定する際のヒントになる考え方がある。
「360」という数字を使って、現在の損・得をやや遠い将来の生活費に置き換えて評価する方法である。
仮に65歳でリタイアして、寿命的には長めの95歳までリタイア後の生活が30年間続くと想定した場合、この30年は月数にすると360ヶ月となる。
すると65歳のリタイア時に360万円持っている人は、65歳からの毎月の年金収入に加えて、毎月1万円余計に支出しても大丈夫という計算になる。
ちなみにリタイア時に1800万円持っているならば毎月5万円、3600万円ならば毎月10万円となる。
そして、仮に資産運用で360万円損したとすると、老後に毎月取り崩して使うことができるお金が1万円減ることになる。
「これが許容できる損失の限界」と感じるならば「360万円×3=1080万円」がリスク資産に投資できる金額の上限となる。
相続税の節税対策のポイントは「お金を相続税評価額の安いモノに変える」ことである。
しかし「アパート建築は相続税対策になる」という建築会社のセールストークに騙されて、駅から徒歩15分以上やバス便といった立地にアパートを建てた場合、売却価格が建築価格の2~3割にしか値段が付かないケースもある。
ある程度自己資金で建築している場合はともかく、立地の悪い場所に、借入をしてレバレッジをかけて建築した場合、築10年を過ぎて空室が目立ち賃料も値下がりしていくと、ローン返済が苦しくなり、相続対策どころか自己破産に追い込まれる可能性もある。