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2015年7月23日木曜日

2016年1月からマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)が始まる。
最終的には銀行預金の管理までマイナンバーが使用される予定だが、最初は給与の源泉徴収票や社会保険の手続きから、社員本人や扶養家族のマイナンバーが適用される。
マイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」と呼ばれるように、社員の給与と社会保険と年金を連動させて、課税の公平や医療費や年金の支給に漏れがないようにするのが目的である。
課税の面からすると、架空社員の排除という大きな効果が期待されている。
マイナンバーから実在の人物なのか、実際の勤務先はどこなのか、瞬時にチェックが可能となるからである。
税務署も株主と同様に、定款に定めのない営業行為をして損失を出した場合には、それは役員個人の営業行為であって、法人の営業ではないので、その損失を法人で計上することはできない、という考えを持っている。
業務の拡大には定款の営業目的の変更が重要になる。
決算書上の利益を減額しようとする場合、真っ先に考えられるのが「在庫の圧縮」である。
売上帳も仕入帳も経費帳もいじることなく、在庫という数字を減らすだけで、利益を減額できるからである。
もちろん、それを一番知っているのは、税務調査官であり、彼らは在庫の数字をいじりやすい業種を心得ている。
家具店、家電店、自動車販売店などの税務調査では、現在在庫の調査が行われる。
本来、個人が支払うべき「母校への寄附」を会社の経費で計上した場合、社長の給与として扱われる。
個人が負担すべき費用を会社が負担すれば、寄附金に限らず負担すべき人への給与として扱われる。
寄附金に関しては、法人税の通達で「負担すべき者に対する給与とする」と定められている。
寄付金には損金に算入できる限度額が決められている。
なぜならば、限度額を設けないと「納税するより寄附をした方が喜ばれる」という理由から、際限なく法人の経費が使われて、適切な課税ができなくなるからである。
当然、寄付する相手が国や地方公共団体であれば、納税した事と同じになるので、国や地方公共団体に対する寄付金の額については、損金算入の限度額は設けられていない。
一般の寄付金についての損金算入の限度額は
(資本金の額×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/4
となる。
具体的には資本金1億円、所得金額1000万円の法人だと、12万5000円が損金算入限度額となる。
使い途を明らかにできない「使途秘匿」の支払は、損金に算入することはできない。
これは使途が分からなければ損金性の判断ができないという見解となるのである。
使途秘匿金がある場合には、通常の法人税に加えて、使途秘匿金の40%を課税することになっている。
仮に法人の課税所得がマイナスであっても、この40%は課税徴収され、重加算税の賦課対象にもなる。
40%の税率については、受け取った側の税金も負担させるという意味があると言われている。
原則として、帳簿に支払先の記載がない場合には、使途秘匿金とされる。
商取引上、特別な事情があり帳簿に記載ざきなかった場合には、税務調査の段階で事情を説明して、それらの支払先を開示すれば、使途秘匿金の扱いはなくなる。
税金用語は難しい。
使途、つまり使い途が踏めてなカネという意味で「使途不明金」と「費途不明金」という2つの用語が使われており、両者の区分は明確ではない。
使途も費途も同じように思えるが、両者には使い分けがある。
税法が一般的に使っているのは「費途不明金」で、使い途ではなく、使った理由が分からないという意味である。
費途が分からないのは、交際費ということになる。
税務署の通達には「費途不明の交際費等」という言い回しで出てくる。
支払われた事実や支払先は分かるのだが、何のために支払ったのかが分からない費用を「費途不明の交際費」と呼び、法人の業務遂行に関係のない支出、つまり費途が分からない費用は損金に計上することができないと規定されている。
税務調査では、調査官は年間に20社を越す調査を担当し、一方の調査を受ける企業の方は5~7年にたった一度の調査を受けることになる。
比率にすると120対1と、圧倒的に調査官の方が件数をこなしている。
だから税務調査における調査官の調査方法、処理の方法を知っておく事が重要となる。
2015年7月1日の出国から「出国税(みなし譲渡益課税)」が導入された。
その概要は、有価証券やFX・匿名組合の持ち分の含み益の合計が1億円以上の日本居住者に対し、出国時の含み益について、譲渡があったものとして、所得税と住民税を課税するというものである。
ただし、出国日から遡って10年間で日本居住金が5年以下である人は含まないように配慮はされている。
実は、このような出国時の課税は多くの国で導入されていて、主要7カ国(G7)で導入していないのは日本だけだった。
しかし、未実現の利益に課税されるので、実際に売買した時に利益が出なかった時はどうするのか、海外移住ではなく商社などの社員の駐在はどう扱うのか、更には実際に「過度の節税」を防げるのか、様々な課題が残っている。