Amazon

2018年2月20日火曜日

不可能の反対語は可能ではない。
「挑戦」だ。
by ジャッキー・ロビンソン(黒人初の大リーガー)
財政破綻は最終的にはインフレに行き着く。
インフレといのは、国家にとって税金の一種であり、歴史上、巨額の財政赤字の殆どは「インフレ税」によって精算されてきた。
インフレで借金の実質価値を減らすことができなければ、どこまでも財政赤字は拡大し続けるので、結局はインフレになるほかはない。
一旦インフレになると円安を引き起こし、輸入価格を押し上げて国内物価をインフレにするという負のスパイラルが始まり、加速度的にインフレ率が上昇し、最後はハイパーインフレと呼ぶような物価の暴騰に至る。
ハイパーインフレとは、国民を犠牲にして国家が借金を清算すことなのである。
財政破綻で超円安を予想する人が多いが、実際に何が起きるかはその時になってみないと分からない。
日本の対外純資産は民間だけで310兆円以上あり、国内金利が急上昇すれば海外資産を売却して円に戻す動きが広がる。
日本国債崩落による金利上昇で、海外投資家が日本国債に投資し、それが円高につながることも考えられる。
為替レートは長期的には、インフレ率と金利差を調整するように動くので、高金利通貨はいずれは安くなる。
この市場原理が働いて、日本経済の高金利とインフレが定着すれば為替レートは円安に向かうことになる。
円の為替レートというのは日本円と外国通貨を交換する際の単なる換算の道具でしかないので、歴史上、通貨の価値が10分の1や100分の1になることは決して珍しくない。
財政破綻は、国債の暴落による金利の上昇をきっかけに始まる。
これは財政破綻の定義で、それ以外の経済的な事象(円安やインフレ)か起きても、金利が大きく上昇しなれば景気の回復に繋がるので財政は破綻しない。
国債価格か大きく下落して金利が上昇すると、国債を大量に抱える金融機関が時価評価で債務超過となってしまう。
ユーロ危機が深刻化してのは、PIIGSの国債が軒並みに下落したため大手銀行の資産が劣化し、それが投資家の不安を誘い国債がさらに売られるという悪循環に陥ったからである。
仮に日本国債が暴落すれば、資産の3割から5割を国債で運用しているゆうちょ銀行、かんぽ生命をはじめ、それ以外の金融機関の中にも救済のために国有化されるところが出てくる。
金利の上昇によって変動金利でマイホームを購入した人は返済ができなくなり、自己破産と不動産の競売が急増することになる。
金融危機と企業の倒産、住宅ローン破産は、金利上昇という一つの原因から発生する同一の現象である。
1997年アジア金融危機、1998年のロシア危機、2001年のアルゼンチン通貨危機、2008年の世界金融危機まで、これまで幾度となく同じ光景が繰り返されてきた。
一度、金融危機が起きてしまえば、その後の展開は一直線なのである。
国家が借金の返済に窮した時に起こることは原理的に明らかで、そのことは過去の歴史が証明してきた。
例えばギリシアは、1830年の独立から2008年までの約180年間で、破綻(債務不履行と債務条件変更)期間が50%を超えている。
国家は、我々が考えているよりもはるかに頻繁に破産するのである。
日本国の財政が破綻と経済的には、3つのこと以外は起こらない。
1.金利の上昇
2.円安
3.インフレ
リスクには、管理可能な確率的リスクと、管理不可能な不確実性のリスクがある。
管理可能なリスクは、保険によって社会に組み込まれていく。
自動車の発明は、人類に移動の自由を飛躍的に拡大し、物流を効率化して社会を豊かにしたが、一方で日本では年間4千人が交通事故で死亡している。
人の命はお金には代えれないが、それでも無理矢理、金銭に換算して損害を賠償する。
これが可能なのは、交通事故が管理可能な確率的なリスクだからである。
それに対して、原発事故は起きるとその損害は天文学的に膨れ上がる。
放射能に汚染されたがれきの処理や土壌の除染費用の試算は、2013年の11兆円から、2016年には21.5兆円へ僅か3年で倍増した。
それでも事故前の住環境に戻すことは不可能で、避難した人達の生活支援や精神的損害の賠償も、際限なく増えていくであろう。
人類は放射能を安全に管理する科学技術を持っていない。
だとすれば、「核」は元々手を出してはならない禁断の果実だったといえる。
稀にしか発生しないが、一旦発生するととてつもない変化を被る出来事を「ブラックスワン」という。
17世紀にオーストラリアで黒鳥(ブラックスワン)が発見されるまで、スワン(ハクチョウ)とは白い鳥の事だと、誰もが信じて疑わなかった。
しかし、その常識は、たった一羽のコクチョウによって全てが覆されてしまう。
管理不可能なリスクは、時に世界の姿を大きく変えてしまうのである。
不確実な事象(ブラクスワン)は、統計的に把握することができず、原理的に保険が成立しない。