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2015年8月2日日曜日

2015年夏現在、新築マンションは高くなりすぎており、買い時は終わってしまっている。
2005年には首都圏で売り出された新築マンションの平均価格は4000万円前後だった。
それが今や5000万円を超えており、2015年4月には5305万円になっている。
新築マンションが供給される立地が都区部にシフトしていることもあり、今後更に上昇する可能性が高い。
値上がりしてしまった新築マンションの資産価値が維持されるのであれば問題ないが、多くの場合、値下がりリスクが大きくなってしまう。
国土交通省が公表している「不動産価格指数(住宅)」は多くの国際機関や有識者が協力して作成した指針に基づいて公表されており、2015年3月から本格運用が始まっている。
このデータによると、2010年を100として2015年2月の指数は、下記の通りとなっている。
住宅総合  104.6(対前年同月比プラス2.0%)
マンション 117.8(対前年同月比プラス4.1%)
戸建住宅  100.0(対前年同月比マイナス0.1%)
住宅地    98.0(対前年同月比プラス1.9%)
つまり、戸建住宅(土地と中古の建物を一緒に取引した価格)や住宅地(土地のみを取引した価格)は横ばいか下落しているのに対し、マンション(主に中古の区分所有建物の価格)は大きく上昇しているのである。
この傾向はエリアを問わず、むしろマンション立地が比較的狭い名古屋圏や東北地方の方が、マンションの価格指数が大きく上昇している。
名古屋圏マンション 125.2
東北地方マンション 165.3
マンションは一戸建てに比べて、自分が住む実需の他、他人に貸して賃料収入を得る投資目的の需要もあり、底堅い。
また郊外では既に、土地の価格は上昇するという土地神話は崩れ去っている。

現在、日本全国には約6000万戸の住宅があり、それに対して世帯総数は5200万戸なので、単純計算で800万戸の空き家がある。
そして今後、団塊世代を始めとする高齢者が多く所有しているタイプの自宅が、さらに売りに出で来ることになる。
具体的には、郊外のニュータウンなどにある築30~40年ほどの一戸建てである。
マンションについても、郊外で大規模開発された築古の物件は、大幅に余ってくるので、売るに売れず、貸そうとしても借りてが付かないケースが益々増えることになる。
総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると、高齢者の持ち家率は8割に達している。
家計主の年齢階級別持家世帯率(全国、平成20年)
75歳以上  80.9%
65~74歳  80.0%
60~64歳  78.7%
55~59歳  75.9%
50~54歳  72.4%
45~49歳  66.7%
40~44歳  57.7%
35~39歳  46.0%
30~34歳  29.8%
25~29歳  11.5%
25歳未満   2.5%
よく生命保険会社が個人年金の説明時に「リタイアメントプランニング」といった定年退職後の家計シミュレーションを無料でやってくれる。
ゆとりある老後生活を送るには毎月の支出がいくらくらいになり、それには公的年金に加えて、これくらいの蓄えが必要という内容である。
その多くは、現在の条件や状況をそのまま平均余命まで延長しているだけで、人生における様々なリスクは考慮されていない。
将来の家計を考えるには、簡単な表計算で可能なフロー(収支)のシミュレーションだけではなく、将来のリスクを織り込みながらストック(資産)の内容や配分についても検討すべきである。
そして、家計におけるストックで最も割合が大きいのが、マイホームとなる。
日本の国土面積は全世界の0.28%しかないのに、マグニチュード6以上の地震の回数では世界の20%、活火山の数は世界の7%、災害被害額は世界の12%を占めている。