安倍首相は、就任当時、改憲が必要な理由として「手続き論」、つまり押しつけ憲法論を展開したが、やがて口に出さなくなった。
それは、大日本帝国憲法もまた押しつけ憲法だったという事に気付いたからだろう。
大日本帝国憲法は、国民と全く関係のないところで官僚が作成したものであり、それを天皇の名において制定した欽定憲法であり、国民にとっては押しつけ憲法には変わりない。
福沢諭吉や中江兆民は、大日本帝国憲法の発布が国民の精神的成熟が伴わない状況下で行われたと据え、冷ややかな目で見ていたという。
大日本帝国憲法は、日本時によって書かれた憲法だとの主張もあるが、これは間違いである。
お雇い外国人の法律顧問のヘルマン・ロエイレルやアルバート・モッセが大日本帝国憲法の起草に大きく関与しており、日本国憲法が外国人が書いた押しつけ憲法だから気に食わないという議論は成立しない。