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2016年6月17日金曜日

1873年に改定するまでの共産党綱領には「党は「万国の労働者団結せよ」の精神にしたがって、プロレタリアートの国際的団結をつよめるために努力する。ソ連を先頭とする社会主義陣営、全世界の共産主義者、すべての人民大衆が人類の進歩のためにおこなている闘争をあくまでも支持する」と明記されていた。
しかし、2004年1月に改訂された現在の綱領には、1991年のソ連崩壊と東欧諸国の崩壊について「社会主義の失敗ではなく、社会主義の道から離れ去った覇権主義と官僚主義・専制主義の破産であった」とし、あくまで゜ソ連の社会主義が間違っていたと切り捨て、自らに火の粉がかかるのを防いでいる。
他にも、1985年に改定するまでの共産党綱領には、「アメリカ帝国主義は朝鮮にたいする侵略戦争をおこない」と明記されていた。
朝鮮戦争は金日成が仕掛けた戦争であることは明らかであるのに、共産党は1980年代半ばまで、北朝鮮に寄り添う路線をとっていた。
共産党は国民の賛同が得られるとして、「国民連合政府構想」をアピールしているが、現時点で党綱領を変更した訳ではない。
共産党の綱領に明記されている「日米安保条約の廃棄」は、あくまでも「凍結」と棚上げして、その考えを捨てたわけではない。
実際に、共産党が政権を構成した場合、共産党が国民的大義と強調する安保関連法の廃止以外の他の政策の対応について、共産党が掲げる国民連合政府は決定的に欠けている。
共産党は現行の綱領でも、未だに米国を「アメリカ帝国主義」と敵視し、「いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている」と明記しており、日米関係についても「きわめて異常な国家的な対米従属の状況にある」として、その打破を目指している。
このような理念を持つ政党が担う政権が、本当に現状維持の外交ができるとは思えない。
経済政策についても、綱領で「大企業・財界の横暴な支配の打破」を掲げる共産党が、まともな政策を出せるとは期待できない。
仮に共産党議員が入閣した場合、皇居で天皇陛下の認証式へ出席することになるが、天皇陛下をお迎えして行われる国会の開会式に2016年1月に69年ぶりに出席した共産党は、正式には皇室制度を認めていない。
共産党の広報を担うのが党中央委員会発行の機関紙「しんぶん赤旗」は、1928年の創刊で88年の歴史がある。
日刊紙(月額3497円)と日曜版(月額823円)があり、2014年1月の第26回党大会で公表した発行部数は124万1千部で、うち100万部を日曜版が占めている。
発行部数のピークは1980年の355万部で、この30年間で230万9千部も大幅に減少している。
志位委員長が、2015年1月の第3回中央委員会総会で2014年12月の衆院選時点の発行部数について、2012年12月の総選挙時比で、日刊紙読者は92.7%、日曜版土砂は92.5%と報告しており、現在の発行部数は更に減少していると思われる。
赤旗は共産党の宣伝を担う機関紙という役割だけではなく、政党助成制度に反対して各党が受け取っている政党交付金を受け取らず、企業献金も受け取らない共産党にとって、赤旗の購読料が党収入の柱となっている。
2015年に公表されている2014年分の政治資金収支報告書によると、共産党の党収入224億7729万円のうち、赤旗など「機関誌紙・書籍等」による収入は194億6228万円と党収入の86.6%を占めている。
2014年は12月の衆院選で共産党は8議席から21議席に躍進し、存在感が高まった時期にも関わらず、党収入の面では前年比より減少している。
共産党員の減少傾向も歯止めがきかず、2015年1月公表の党員数は30万5千人と、過去最多だった1987年の48万4千人から17万9千人も減少している。
教育基本法では、学校に政治的中立性を求めており、文科省と総務省が作成した主権者教育の高校生向け副教材でも、政治的中立性の確保に留意するよう強調されている。
教育に関して全日本教職員組合(全教)と呼ばれる組織があるが、これも民青と同じく、共産党の別動隊のような存在である。
全教は共産党系労組の全国労働組合総連合(全労連)の傘下にあり、1989年の日本労働組合総連合会(連合)発足に伴い、日本教職員組合(日教組)と分かれた教職員によって結成された。
その後、日本高等学校教職員組合と合流して1991年に全教が誕生した。
厚労省の調査によると、2015年現在の全教の組合員数は7万6千人となっている。
共産党の精神を体現した全教組合員の教職員が、実際に教育の現場で高校生の一部を含む240万人の新たな票田となる若者への主権者教育に携わっているのである。
SEALDsを取り込み、他の野党に「国民連合政府構想」を持ちかけた共産党の志位委員長は、野党再編のキーマンと持てはやされているが、2000年11月に共産党委員長に就任して以来、志位体制は国政選挙では連戦連敗で、8連敗である。
他の政党であれば、1回の国政選挙で大敗したらトップの責任問題が浮上するのは必至だが、共産党はそうはならない。
共産党の財政の柱である機関紙「しんぶん赤旗」の発行部数は志位が就任した当時の199万部から2016年現在は120万部まで減少している。
党員数も38万7千人から30万人まで減少している。
SEALDsとの関係性を指摘されているのが、日本民主青年同盟(民青)で、共産党の青年組織で別動隊である。
民青のOBは、現役の国会議員だけでも、副委員長の山下芳生、田村智子を始め、参議院幹事長・井上哲士など、参議院32人のうち15人が民青OBである。
民青の前進は、共産党が非合法組織として発足した翌年の1923年4月5日に創立された日本共産生年同盟(共青)で、同盟員になれるのは15歳から30歳までの日本の青年で、各都道府県に組織を持ち、年に1回、全国大会を開催している。
「同盟費」の負担も義務付けられ、隔週で「民青新聞」を発行しており、組織形態も共産党と同じである。
SEALDsの官邸デモに民青の幹部が参加したこともあり、「ママの会」の主要メンバーの一部にも元大学自治会の活動家がおり、決して一部のマスコミが伝えるような「子供たちを守るために普通のママさんたちが立ち上がった」わけではない事は明らかである。
少なくともSEALDsやママの会の活動を、「無党派」と位置づけて「純粋な大学生、主婦の叫び」と間違った認識をしてはならない。
森村誠一が、旧日本軍第731部隊の実情を明らかにしたと主張する小説『悪魔の飽食』シリーズは、1980年代に共産党機関紙「赤旗」で連載されたものである。

悪魔の飽食
税務署、国税局、国税庁、財務省の事務年度は毎年7月から始まり、6月に終わる。
だから7月上旬に内示があり定期異動が行われ、毎年3分の1から4分の1の職員が入れ替わる。
「ナナジュウニ」と呼ばれる7月から12月は、税務調査の最盛期で、調査官が最も落ち着いて税務調査に取り組める時期である。
「カクシンキ」(確申期)と呼ばれる1月から3月は、調査官も確定申告の納税サービスを担う公務員の役割に徹する時期となる。
「ヨンロク」と呼ばれる4月から6月は、3ヶ月しかなく1件あたりにかける日数も限られるので、短期決戦での調査が主となり、売上げが1000万円前後の調査を中心に、消費税の申告漏れに取り組む時期となる。
1円硬貨の原材料はアルミニウムだが、2015年時点で、材料費だけで1枚あたり0.7円、それに製造費用が加わり、1円玉の製造コストは1.6~2円になる。
ちなみに紙幣の製造費は、千円札が14.2円、五千円札が20.2円、1万円札は21.7円になる。
貧困問題に取り組む国際支援団体のオックスファムが2016年1月に発表したレポートによると、世界のわずか62人の富豪が最貧層35億人分と同じだけの富を所有しているという。
この62人の富豪の2015年の資産は1兆7600億ドル(180兆円)である。
日本でも富の集中と格差の拡大は確実に進んでいる。
国税庁の民間給与実態統計調査によと、年収200万円以下の給与所得者は1999年には803万7000人だったが、2014年には1139万2000人に増えている。
これにはフリーターやニートは含まれないので、低所得者層はさらに増えると考えられる。
一方で米ワールド・ウェルス・リポートによると、日本の億万長者は2004年には134万人だったが、2013年には273万人へ増えている。
日本では個人金融資産が1700兆円を超え、1人当り1300万円以上の金融資産を持っている計算になる。
しかし、2015年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると中央値は400万円となっており、2人以上の世帯で金融資産を保有していない世帯の割合は30.9%と、3世帯に1世帯は将来に備えた貯蓄がゼロとなっている。
単身世帯に目を向けてみると金融資産を持っていない世帯は前年の38.9%から大幅に上がり全体の47.6%と、単身生活者の2人に1人が貯蓄なしで日々の生活を送っているのが実態なのである。
イギリスのGDPに占める金融業の割合は10%を超えており、先進国の中では最も高い。
ちなみに日本は6%程度である。
一方で、イギリスのGDPに占める製造業の割合は、1997年に20%だったが、現在は10%まで落ち込み、金融業と同程度となっている。
ちなみに日本の金融業は製造業の3分の1程度である。
しかしイギリスの銀行が製造業に融資している割合は3%にすぎず、生産目的の融資を殆ど行っていない。
イギリスの銀行融資の4分の3が不動産融資となっている。
イギリスの銀行は、イギリスの不動産を世界に売り出し、その資金を融資するビジネスで稼いでおり、その結果、イギリスの不動産価格はこの10年で2倍に跳ね上がっている。
パナマ文書で、ロンドンの高級不動産を世界各国の大富豪が項にゆうしている事が明らかとなった。
例えばアラブ首長国連邦のハリファ大統領が、イギリスで校にゆうした不動産は日本円で1兆8000億ドルである。
イギリスの最富裕層1000人は、2010年時点で3350億ポンド(50兆円)の資産を持っており、この10年で990億ボンド(15兆円)も増やしている。
またイギリスでは、人口の0.3%がイギリスの土地の3分の2を所有している。
スターバックスは、イギリスに700店舗も出していたが過去15年間に渡ってイギリスで税金を支払っていなかった。
スターバックスの税金逃れの手口は「移転価格」と呼ばれるもので、コーヒー豆をスイス子会社に輸入させ、それをイギリス子会社が書いとる仕組みにしていた。
この時、イギリス・スターバックスの豆の買取価格を高く設定しておき、税金の高いイギリスでは利益がでないようにし、税率が半分のスイス子会社に利益が出るようにしていた。
また税金が非常に安いオランダにスターバックスの知的所有権を管理する会社を置き、イギリス・スターバックスから高額のロイヤリティーを払わせていた。
スターバックスはイギリス上院決算委員会の聴聞会で追及され、年間2000万ポンド(30億円)の税金を払うことを了承した。
しかし、イギリス全土に700店舗を展開し、年商500億円の外食産業大手としては低い税金といえる。
他にもイギリスで逃税している多国籍企業は多い。
アップルは2011年にイギリスで67億ボンドを売上げ、22億ポンドの利益があり、本来5億7000万ポンドの税金を納めるところを、1440万ポンドしか支払っていない。
アマゾンは2006年にヨーロッパ本社をロンドンからルクセンブルクに移し、2010年から2011年の2年間はイギリスで納税しておらず、税務当局の調査を受けている。
フェイスブックはイギリスでの収入が1億7500万ポンドあり、本来ならば2100万ポンドの税を納めるところ、法人税はわずか23万ポンドに過ぎなかった。
フェイスブックはスターバックスと同様の手法で、アイルランドに子会社を作り、そこに利益を移転させていた。
グーグルはイギリス領のバミューダ諸島を利用することにより、本来は2億2400万ポンドかかるはずの税金を600万ポンドで済ませている。
リーマン・ブラザーズが破綻した大きな要因となった「レポ105」という取引は、イギリス子会社で行われていた。
「レポ105」というのは、決算期直前に手持ちの債権などを、後で買い戻すという条件のもとで一時的に現金に換えるという取引である。
決算期直前にこの取引をすれば、決算書上は現金を多く持っていることになり、健全な経理内容に見せることができる。
リーマ・ブラザーズは、この「レポ105」を大がかりにイギリス子会社でやって、アメリカの監督庁を騙していた。
イギリスでは、この取引について法律が緩く、監査法人は簡単にゴーサインを出す。
また多額のサブプライム・ローンを抱えて破綻したAIGも、ロンドン・オフィスがこのサブプライム・ローンの取引を中心になって推し進められていた。
リーマン・ショックの要因はこれだけではないが、イギリスの金融規制の緩さが大きな要因の一つであった事には間違いない。
ニューヨークのウォール街は金融取引量では世界一であるが、その大半は国内取引であり、アメリカの市場がされだけ大きいという事である。
マネーゲームの中心は現在もロンドンのシティであり、世界経済全体のシェアでみれば、ウォル街を圧倒している。
国際的な株取引の約半分、国際新規公開株の55%、国際通貨取引の35%はロンドンのシティが占めている。
イギリスの外国為替取扱量は1日あたり2兆7260億ドルであり、世界の全体の4割を占め、断トツの1位である。
2位のアメリカはイギリスの半分以下の1兆2630億ドルである。
ロンドンのシティが世界金融にこれ程影響力を持っている理由は、タックスヘイブンの総元締めだからである。
国際決済銀行(BIS)によると、イギリスとその海外領のオフショア銀行預金残高は推定3兆2000億ドルであり、世界のオフショア市場の55%を占めているという。
イギリス本国の経済力は、世界第5位でアメリカのGDPの6分の1に過ぎないが、イギリスが金融取引において世界最大のシェアを持っている。
ケイマン諸島のタックスヘイブン化は1960年代に始まった。
1966年にタックスヘイブンに関する制度が整えられ、為替管理禁止法も施行された。
1967年に、資産家が自分の資産を誰かに信託する時の手続きを定めた信託法が制定された。
この信託法では、財産に関する秘匿が定められており、スイスの銀行秘密法に似ている。
海外のイギリス領は、ポンドとリンクしているのが普通だが、ケイマン諸島をタックスヘイブンにする際に、イギリスはケイマン諸島が国際金融センターとなりポンドの流出の恐れがあったため、ポンド圏から離脱させた。
代わりに米ドルとリンクさせ、1974年に1ケイマン・ドルが1.2米ドルとされた。
このドル固定制度により、ケイマン諸島で米ドルが使用できるようになった事が、タックスヘイブンとして繁栄した要因の一つである。
1976年に銀行機密法が制定され、金融、銀行取引の情報を外部に漏らした者は罰金のほか禁固刑まで受けることとなった。
しかもこの法律では、情報を漏らした者だけではなく、情報を聞き出そうとした者も禁固刑に対象となっている。
つまり、ケイマン諸島の金融関係については、誰も追及できないのである。
ケイマン諸島は、西インド諸島西部のカリブ海にあり、主な産業はウミガメの養殖、観光、そしてタックスヘイブンである。
GDPに占める金融業の割合は50%以上と、ケイマン諸島はタックスヘイブンで成り立っている。
人口は2013年時点で5万5000人で、この40年間で倍以上に増えている。
ケイマン諸島は、独立国ではなくイギリスの海外領でありイギリスの統治下にあり、イギリス女王が国家元首で女王から任命された総督が行政を担当している。
ケイマン諸島の総督は、国防、治安、外交の権限を持ち、最終審の裁判所はロンドンの枢密院である。
ケイマン諸島は1670年のマドリッド条約によって、ジャマイカと共にイギリス領となり、1962年にジャマイカはイギリスから独立したが、ケイマン諸島はイギリス領のままとなっている。
1976年にはケイマン政府の収入増加により、イギリスからの開発援助が終了している。
ケイマン諸島では歴史上、一度も直接税が課税されたことがなく、間接税も消費税はなく、登録税と関税があるのみである。
法人税もなく、固定資産税もなく、法人の従業員に対する所得税、社会保険料もない。
ちなみにヴァージン諸島やバミューダ諸島では、法人税や配当への税、付加価値税はないが、法人従業員に対する所得税、社会保険料、不動産に対する固定資産税がある。
またケイマン諸島では為替管理もないので、どこの国の通貨も自由に持ち込み、自由に持ち出すことができる。
ケイマン諸島では、守秘義務が徹底しており、犯罪マネーに関する情報提供には応じるが、脱税での情報提供には応じていない。
ケイマン諸島では税金がかからないので、脱税は犯罪という認識が薄い。
1970~1980年代にかけて、中南米の麻薬マネーが大量にケイマン諸島に流れ込んだ際に、アメリカはケイマン諸島に対して情報開示を求めたが応じず、宗主国のイギリスと交渉した結果、1984年にアメリカとケイマン諸島との間で、金融情報提供の合意がなされた。
しかし、この合意内容は、麻薬などの犯罪マネーに関するものに限られ、脱税に関する情報は除外されている。
パナマ文書では、日本人や日本企業の名前はそれほど多く出てこなかった。
これは日本人や日本企業がタックスヘブンを利用していないということではなく、パナマ文書が流出した「モサック・フォンセカ法律事務所」がバージン諸島の法人設立を得意としていたからである。
日本人や日本企業は、ケイマン諸島を使う事が多い。
国際決済銀行(BIS)によると、2015年時点でケイマン諸島には、日本の資金が63兆円も投じられているとしている。