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2016年9月2日金曜日

政治の機能は、平和を維持して正常な経済活動、文化活動ができるようにすることである。
逆説的ではあるが、「政治の目的は、国民が政治について考えずにすむ世の中にすること」である。
国民が毎日、国防について考えるのは北朝鮮みたいな国で、政治について考えるのはギリシアみたいな国である。
そういう国は、いい国ではない。
日本でも普通の主婦や若者が声を上げて行動を起こしており、政治について考えざるを得なくなったということは、非常によくない状況と言える。
マルクスは、著書の『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の中で、市民社会を「欲望の王国」と言っている。
政治はプロがやるもので、政治家を選んだ国民は、政治をやらずに経済活動なり、文化活動なりの「欲望」を追求すべきであるとする。
それで税金を納めるるとで、社会が発展していくんでというのが、基本的な資本主義社会、市民社会の考え方となる。
市民社会、資本主義社会、近代社会は、国民を政治に関与させないために、基本的に代議制となるのである。

ルイ・ボナパルトのブリュメール18日―初版 (平凡社ライブラリー)

大統領というのは、独裁に走る恐れのある制度である。
言い換えれば、戦争をやりやすい制度ということもできる。
アメリカでは、それを阻止するために、大統領に三軍の指揮権は与えているが、宣戦布告権は与えていない。
大統領は選挙で選ばれる王様だから、何らかの形で独裁を阻止する仕組み、抑制する強力な仕組みを持っていないと、本当に独裁に走ってしまい、止められなくなる。
また、大統領制はポピュリズムに陥りやすい制度であり、直接選挙で選ばれる大統領は、ポピュリズムを基盤にしないと選挙で勝てない。
それを阻止するために、アメリカでは選挙人制度を作って、二重代表制という間接選挙にしている。
大統領の他に議会があり、予算編成権は大統領に与えず、議会に与えているというのも、ポピュリズムを抑制する仕組みなのである。