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2016年8月28日日曜日

中東圏の石油と天然ガスのほぼ全てがペルシア湾とカスピ海域に眠っており、この双方にまたがる国はイランだけである。
ロバート・カプランが指摘するように、世界の石油埋蔵量の55%を占めるペルシア湾の全体を支配しているのはイランである。
イラクとの国境地帯のシャット・アル・アラブ川からホルムズ海峡に至るまで、1000キロメートルほどを押さえているのである。
ヒトに最も遺伝的に近いチンパンジーでも、1970年代に動物行動学者ジェーン・グドールが共食いと子殺しを報告している。
動物園のような隔離された環境では自然な行動を理解できないと考えたグドールは、タンザニアノジャングルで野生のチンパンジーを観察し、大きな群れが近くに住む小さな群れを襲い、成人のオスばかりか、授乳期の赤ん坊まで殺して食べてしまうことが目撃されている。
このチンパンジーの残酷な行動は、自然に牧歌的なロマンを抱いていた人達に大きなショックを与え、グドールは厳しい非難を浴びることになる。
しかしその後も、日本の霊長類研究者を中心に同様の報告が相次いだことから、同胞同士で殺し合うのはヒトだけではないと認めざるを得なくなった。
現代人は動物の中でも極端に長い寿命を持っていて、それを無意識に基準にしているが、殆どの生き物は生まれてすぐに死んでいく。
つまり、世代交代の間隔が短く、進化のスピードが速いということになる。
イヌの寿命は15歳前後で、ヒトが交配という「遺伝子組み換え」をやってきた結果、わずか数百年でセントバーナードからチワワまで多様に進化した。
オオカミの一種が家畜化されたのは1万5000年前とされているが、品種改良が進んだのは18世紀以降である。
殆どの昆虫は寿命が1年以内で、数カ月で世代交代していく。
彼らの進化時間は、ヒトよりずっと速いので、人間にとって40億年は昆虫にとっては100兆年くらいに相当する。
だから原生生物から目や脳のような複雑な組織が生まれる時間は充分にあったのである。
動物の寿命は身体が小さいほど短く、身体が大きいほど長くなり、それは体重の4分の1乗に比例するという。
これは心拍数や毎分の呼吸数が体重の4分の1乗に反比例して減少すねからで、ゾウの呼吸や心臓の鼓動はゆっくりで、ネズミのそれは速い。
そして、動物の身体は20億回程度の心臓の鼓動で寿命を迎えるように設計されている。
この法則は、殆どの動物に当てはまり、ネズミの寿命は約3年、ゾウは約60年、クジラは約70年である。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) 

子供に両腕を広げさせて、右手の指の先を地球の始まりとし、左手の指先を現在とする。
そうすると、右手ぐ日から始まって左手の手首までは、色々なバクテリアが生息していた時代、恐竜はだいたい左手の手のひらあたりで登場し、ヒトは左手の爪先くらいになる。
人類の文明は爪先をやすりでひとこすりして、爪から落ちた粉の分しかない。