Amazon

2014年12月13日土曜日

米国ワシントン州シアトルで1971年に創業したスターバックスは、コーヒー製法についての知的財産権や商標権などの無形資産を、米国本社からオランダ法人に移転している。
このオランダ法人は、販売会社である各国のスターバックスにその使用を許諾し、6%のライセンス料を受け取っている。
各国のスターバックスでは、ライセンス料支払いによって利益が圧縮され、各国現地での法人税課税対象額が減少している。
一方で、ライセンス料を受け取るオランダ法人の法人税実効税率は16%という低率に抑えられており、またライセンス料の50%が米国の親会社に支払われるが、その支払い分にはオランダでの源泉徴収税が課税されていない。
ちなみに、このスターバックスのグローバル・サプライ・チェインには、全く違法性はない。
スターバックスは、スイスに子会社を持ち、そこで全世界のスターバックスのコーヒー豆の75%の取引を行っている。
このスイスの子会社は、スイスの法人実効税率12.5%という、スイスカントン州の優遇税制を利用している。
スイス子会社は、コーヒー豆を輸入して、オランダの別子会社が焙煎をした後、原価に20%の利益を上乗せして、全世界のスターバックス(各国の販売会社)に販売している。
これによって、世界中にあるスターバックスは、最初から原価に20%のコストが加わったコーヒー豆を購入する事となり、各国の現地での利益がスイス子会社に移転される仕組みになっている。
この20%分は、本来ならばその分、各販売国での法人税の課税対象となるべきであるが、グローバル節税のスキームによって、その利益は実効税率12.5%のスイス子会社に移転されている。
米国上院常設調査委員会の2013年5月10日の報告書で、アップルが2009年から2012年の間に740億ドルの利益をアイルランドに集め、本社のある米国での課税を逃れたと指摘している。
アップルは1980年にアイルランドに100%子会社「Apple Operations International(AOI)」を設立し、傘下に多数の子会社を保有させ、AOIは傘下の子会社から受取配当金を原資とした資金の貸付もしている。
AOIはアイルランドでは「非居住法人」となっており、米国でも「非居住法人」となっている。
その結果、アップルの子会社AOIは、税務上は両国どちらの居住法人にもならず、両国で課税されないという「二重非課税」状態になっている。
米国の税法上、AOIの法人格を否認し、その利益をアップル米国本社の所得として認定することは難しい。
よって、AOIは過去5年間に渡り、税務申告をせずに、米国で法人税を払っていないが、アップルの主張通り、何ら違法な点はないのである。