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2017年6月24日土曜日

中央銀行が国債を購入する財政ファイナンスは、通常の経済状況では3つの副作用が生まれる。
1つはインフレ、2つ目は国債価格の下落、3つ目は通貨安である。
しかし、現在の日本には全く当てはまらない。
消費者物価指数は目標の2%上昇にほど遠く、10年国債でもゼロ金利であり、2016年初めの120円から比較して円高が進んでいる。
金融緩和の3つの副作用が全てプラスに働く国は、現在の日本くらいしかない。
アベノミクスは、この好条件を活かして、財政再建を進めてきたのである。
国債を民間が保有していれば、政府は毎年国債の利払いをしなければならないし、満期になると元本を返済しなければならない。
しかし、日銀は剰余金を全て政府に納付することになっているので、政府が日銀に利払いをしても、その利払い分は政府に戻ってくる。
つまり、日銀が国債を買って、日銀券を発行するということは、政府・日銀を一体として考えれば、国債を日銀券にすり替えるということを意味する。
日銀券に利払いはされないし、元本返済がなされることは無いから、日銀が国債を買った瞬間に借金は消える。
また、民間銀行が日銀に当座預金を預けて、その資金で国債を買っている部分についても、同じく政府が日銀に支払った国債の利払いは政府に戻ってくる。
もし、民間銀行が日銀に預けた当座預金を引き出す場合は、その分を日銀券で支払えばよい。
つまり日銀のバランスシートでみると、負債に計上された当座預金が日銀券に切り替わり、日銀券は返さなく良い負債だから、当座預金を日銀券に替えた瞬間に国の債務は消滅することになる。
国家公務員社宅は、戦後の住宅不足の中で給与の低い公務員の生活を支えるために造られた。
その数は2010年で国が所有するものだけで18万戸もあり、民主党政権時代に債務削減のため本当に公務に必要なものを除いて削減する方針が決定したが、2015年9月末時点で16.6万戸が必要とされた。
財務省の資料によると、本省勤務者のうち「国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる」職員には公務員住宅が必要だという。
財務省は「政府が保有する外貨証券は、別の借金によって調達した資金を財源とした資産だから、赤字国債・建設国債の返済に充てることはできない」と説明している。
日本政府が保有している外貨証券は、政府が円高を防ぐために為替市場に介入して、ドル買い円売りをした結果、残ってしまったものである。
ドルを買った時に、現金で持っていても仕方ないので、金利の付く米国債で持っているのである。
為替介入の資金は、政府短期証券を発行して調達される。
しかし、米国債を売れば政府短期証券を返済することができる。
政府短期証券は連結財務書類の負債の部に入っており、国に借金とされている。
つまり、手元の米国債を売れば国の債務は減少する。
財務省は「道路・堤防等の公共用財産については、買い手がおらず、売却の対称とはなり得ない」という。
しかし、政府債務が大きいイタリアでは、1999年初めからユーロの導入に向けてEU委員会から政府債務残高をGDPの60%以内にするよう強く求められた。
そこでイタリア政府は、高速道路を保有するアウトストラーデ社を1999年に民営化し、株式を売却してしまった。
アウトストラーデ社は、高速道路の利用料金収入で経営し、それまでと同じ高禄道路サービスを提供し続けており、イタリア国民は何の変化も受けなかった。
日本の高速道路も既に株式会社化されているが、全ての株式を日本政府が保有したままとなっている。
政府保有株を売却してしまえば、道路に関する政府の借金は、すぐに減らす事ができる。
かつては国民が年金保険料として納めた年金積立金121兆円は、国民のものだった。
日本政府は「日本の公的年金制度は、積立方式で運営されていて、国民が納めた年金保険料は、国が運用して老後を迎えた時に、本人に支払われる」と説明されてきたからである。
しかし、2004年の年金制度改正で、公的年金制度を積立金方式から賦課方式に完全に変更し、政府は国民に対して重大な裏切りを行った。
つまり、国民一人一人が積み立てて老後にそれを引き出す方式から、国民全体が収めた保険料を、その時点の高齢者で山分けする方式に変えたのである。
今後、年金保険料の収入は、現役世代が減るので当然減っていき、年金受給者は増えていくので、年金給付水準を下げて行かざるを得ない。
そこで、年金給付水準を下げるために「マクロ経済スライド」という仕組みが導入された。
そのため、現在の年金保険料収入の山分け方式では、積立金を必要としないので、2004年時点で年金積立金は無用の存在となり、現在、年金積立金は年金財政の赤字を補填する調整弁に使われている。
つまり本来ならは、121兆円もの莫大な積立金は必要なく、給付額の数か月分、つまり10分の1もの積立金があれば十分であり、法律を変えれば、年金積立金を国債返済に充てる事は十分可能となる。
ちなみに、連結の貸借対照表には、資産の部には「公的年金の寄託金」という項目は計上されていない。
資産としてはカウントされているが、その他の有機証券や現預金と混ぜて集計されている。
一方で、負債の部には「公的年金預り金」が計上されており、政府はこの公的年金預り金について、「将来の年金給付財源に充てるために保有していると認められる資産から未払金相当額を控除した金額を『公的年金預り金』の科目で負債計上する」と説明している。
つまり、いま公的年金が抱えている100兆円を超える積立金の資産は、このまま政府の連結貸借対照表の資産と計上されており、「年金積立金は政府のもの」という扱いになっているのである。
しかし、そのままだと国のバランスシートが良くなりすぎるので、公的年金が抱えている資産額から未払い金を差し引いた額を「公的年金預り金」として、負債の部に計上することによって、政府の純資産から年金の積立金は事実上外されている。
公的年金の積立金は、連結貸借対照表の資産の部には入っているが、それとほぼ同額の架空債務(公的年金預り金)も負債の部に計上されている。