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2015年3月3日火曜日

2012年12月にアベノミクスと日銀の異次元緩和により、東京都心の分譲マンションの価格は急上昇している。
中央区、千代田区、港区の都心3区のマンション坪単価は、2014年末の事典で、2013年の底値から4割上昇し、リーマンショック前の2007年のピークを上回っている。
国土交通省の2012年「住宅市場動向調査報告」によると、分譲住宅の平均取得総額は3597万円で、自己資金比率は31.6%の1137万円と報告されている。
賃貸マンションに特化したJ-REITの「アドバンス・レジデンス投資法人」の8期決算説明資料(2014年7月)によると、入居期間の平均は42ヶ月となっている。
つまり、賃貸マンションの入居者は、平均すると3.5年で入れ替わるということになる。

総務省の「家計調査」によると2013年度の家計における住居関連費用は、2人以上の勤労世帯において、住宅ローンを返済している世帯は、全体の39.6%となっている。
そして、月の平均可処分所得に対する住宅ローン返済額の割合は、20.6%となっている。
また、住宅ローンの返済がない世帯では、月の平均可処分所得のうち賃料などの住居関係費と水道光熱費の合計が13.1%となっている。
このように、住居費用が家計に与える影響は大きい。
日本の金融資産は1500兆円以上あるが、6割は60歳以上が保有しており、これからの10年間で300兆円程度が相続により、次世代に移転する。
毎年30兆円という相続が行われるのである。
首都圏の新築マンション市場は、せいぜい年間2~3兆円なので、そこに相続税の節税目的で不動産を購入する資金が流れ込むと、相当なインパクトとなる。
新築時の分譲価格が高いマンションほど中古になった時の値下がり率が小さくなる。
理由は、単価の高いマンションの方が、立地や建物のグレードが良く、中古になっても資金力のある購入希望者がいるからである。
逆に分譲価格が安いマンションは、郊外であったり、最寄り駅からバス便であったりする為、手頃な価格であっても中古だと購入希望者は少なくなり、また資金力が限られた購入希望者に売却することになってしまう。
マンションは1年で坪当たり4万円づつ市場価格が下がるので、25坪(82㎡)のマンションだと年間100万円づつ下落する。
つまり6000万円の物件と、3000万円の物件では、年間1.67%と3.33%と下落率は倍となってしまう。
よって、マンションを購入する際には、中途半端な物件ではなく、多少無理をしてでも立地や建物のグレードが優れた「高級物件」を購入した方が、結局は損をしない。
日本の金融機関で扱う金融商品の殆どは「金融商品販売法」という法律の対象となり、顧客への販売時に金融商品のリスクなど重要事項の説明をする事が義務付けられている。
説明が不十分で顧客が損害を被った場合には、販売した金融機関には損害賠償責任が生じる。
しかし、銀行で扱う「住宅ローン」は金融商品販売法の適用外となっている。
金融庁の見解では、「元本割れの概念がある金融商品でないと損害賠償責任が発生しなので、欠本欠損額が測れない。貸し手も信用リスクを取っているので住宅ローンは適用外」となっている。
アメリカでは、住宅ローンに関する消費者保護の法律や規制が複数あり、「消費者信用保護法」では「変動金利ローンの場合の消費者保護」という項目があり、「消費者が変動金利を利用する場合、融資機関は情報開示を義務付けられている。たとえば15年間の金利変動実績データによる返済額計算例の提供、最悪のシナリオに基づいた返済額例の提供などが必要」となっている。
日本では、超低金利の水準で多額のローンを変動金利で借りる場合、自己責任で「最悪のシナリオに基づいた返済額例」を作成しておく必要がある。