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2018年1月24日水曜日

ヘッジファンドは、毎年数百ものファンドが組成され、閉鎖されるほど急激に変化する。
『ペンションズ&インベストメンツ』誌では、2009年に新規組成されたファンドは784件だったが、同年に閉鎖された既存ファンドは1023県に達しているという。
驚くべきことに、ヘッジファンドの平均寿命はわずか31ヶ月である。
6年以上生き残っているヘッジファンドは15%にも満たず、3年未満で消滅したものは6割に達している。
ヘッジファンドの過去の収益率を把握するのは難しい。
なぜならば、閉鎖された不審ファンドはデータベースから完全に削除され、収益率の情報が提供されるのは収益率の実績が良好なヘッジフンドだけだからである。
証券会社が組成する「ファンド・オブ・ファンズ」は零細投資家の資金を小口で集めて、彼らが他の投資戦略では利用できない商品でも投資できるようにしている。
もちろん、証券会社はこの特権を提供する代わりに通貨手数料を求める。
ちなみに、ファンド・オブ・ファンズの運用成績は、殆どの場合、その投資先の主要ファンドの運用成績を下回っているという研究結果もある。
アクティブ・マネジャーは常に儲かりそうな銘柄を探しているので、次に来ると思われる大きな投資機会が現れた時に直ぐに動けるように、手元現金を多めに置く傾向がある。
よって、現金保有率が高いほど、アクティブ・マネジャーの収益率は低めになってしまう。
一方、パッシブ・マネジャーはアクティブ・マネジャーよりも資金を投資に回しており、常に資金を運用している。
価格が投資家の知識や予想を全て反映しているという考え方の「効率的市場仮説」は、米シカゴ大学ブース・ビジネススクールのユージン・ファーマ教授が提唱たものである。
「効率的市場仮説」は「市場価格は常に正しいという意味である」と誤解される事があるが、そうではない。
適切に機能している市場であっても、不適切な価格は一時的に存在するかもしれない。
しかし、市場はあまりにも不規則で予測できないので、運用成績が他の投資家や市場全体よりも常に上回ることが可能な投資家は存在しないという事である。
投資家は暴落の底や、その近辺で狼狽売りをする傾向が強い。
そして、狼狽売りをした後に市場が回復した時に上昇の機会を逸してしまう。
例えば、1973年と1974年の頃、グローバルに分散された株式ポートフォリオは、それぞれ19%と23%下落した。
続く1975年と1976年にはポートフォリオがそれぞれ41%と28%の回復を見たが、暴落に驚いて狼狽売りした投資家はこの機会を逃した。
投資家は時折訪れる株式市場の不振期を「耐え忍ぶ」ための自制心の大切さを理解すべきである。
投資の運用成績を決める要因を、ウォール街のブローカーは、次の3点の成功次第で大半が決まると思い込ませようとする。
1.投資商品の売買タイミング
2.保有しべき個別銘柄や債券の選択
3.次なるトップクラスのミューチャル・ファンドを見つけ出すこと
しかし、研究の結果、これら3つの要因は分散投資されたポートフォリオの総収益水準を押し下げることが判明している。
殆どの場合、この3点に費やす努力は時間の無駄であり、お金の浪費であり、収益率を下げてします。
大切なのは、投資収益率を決定する最大の要因は「リスク」であると理解する事である。
特に、ポートフォリオに組み込むアセットのリスク度や投資資金の配分方法に留意する「資産配分」の決定が大切となる。
投資対象として、高い価格変動性のポートフォリオと低い価格変動性のポートフォリオを比較した場合、どちらも年平均収益率が10%だとしても、前者は変動が激しく、後者は安定した動きを見せる。
つまり低い価格変動性のポートフォリオの方が資産を増加させることになるが、これは数学的に確かな話である。
なぜならば、資産の増加を左右するのは、平均収益率ではなく、複利収益率だからである。
時間が経過するほど、標準偏差の違いが大きいほど、収益率に対する価格変動性の影響は顕著になっていく。
50%下落したポートフォリオが元に戻るには100%の上昇が必要となるが、わずか8%下落したポートフォリオがその損失を取り戻すには8.7%だけ回復すればよい。
これは損失が大きくなればなるほど、収益を倍加できる余地がなくなるからである。