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2016年8月22日月曜日

現在、日本国民の個人金融資産は1700兆円を超えており、これは1人当り1500万円程度となる。
これには金融資産のみであり、不動産は含まれない。
つまり、現金、預金、金融商品だけで、一人1500万円も持っているのである。
しかし一方では、年収200万円以下のサラリーマンが1000万人を超え、生活保護受給者も200万人ほ超えている。
貧困家庭も増え、まともに食事をとれない子供が都内でも増えている。
日本の大学生の半分は、有利子の奨学金を借りている。
日本はトリクルダウンの思想に基づき、富裕層に対して大きな優遇制度を進めて来た。
所得税を中心に大減税を行ってきたのである。
所得が1億円の人の場合、1974年の所得税は75%、1984年に70%、1987年に60%、1989年に50%、1999年に37%、2007年に40%、2015年に45%と推移している。
また住民税の税率もピーク時には18%だったのが、現在は10%ととなっている。
日本国民の賃金低下の影響もあり、最高で26.7兆円あった所得税は2015年には16.4兆円まで激減している。
消費税推進論者が「ヨーロッパ諸国の消費税率は日本より高いので、日本も消費税を持ってあげるべき」とよく言う。
確かにヨーロッパ諸国では付加価値税を20%前後を課しているが、国の財政事情が大きく異なる。
ヨーロッパ諸国は日本とは比べものにならないほど貧困層への手当てが厚い。
例えば、貧困対策費は日本に対して、ドイツとフランスは5~6倍、イギリスは10倍以上となっており、イギリス、フランス、ドイツなどの先進国では、生活保護基準以下の収入の世帯の8割が生活保護を受けているとされる。
対して日本では要保護世帯の2割以下しか宝飯且つ保護を受けられていない。
日本では低所得者への住宅支援は公営住宅くらいしかなく、その数も全世帯の4%に過ぎず、支出される国の費用は僅か2000億円である。
フランスでは全世帯の23%が国から住宅の補助を受けており、その額は1兆8000億円でであり、イギリスも全世帯の18%が住宅補助を受け、その額は2兆6000億円となっている。
つまりヨーロッパ諸国では、貧困層、低所得層への配慮が十分行われた上で、高率の付加価値税を課している。
消費税には不思議な仕組みがいつくもある。
その一つが「戻し税」である。
消費税というのは、「国内で消費されるものだけにかかる」という建前があるので、輸出されるものには消費税はかからない。
ところが輸出されるものには、国内で製造する段階で、材料費などに対して消費税を払っており、「輸出される時に、支払った消費税を還付する」というのが戻し税である。
つまり、輸出企業は製造段階で消費税を支払っているのに、売上の時に海外からは消費税を貰えないので、自腹を切るから不公平だというのである。
しかし、現実的には、この戻し税は事実上、「輸出企業への補助金」となっている。
多くが下請け企業は消費税を価格に転嫁できずに、コスト削減で対応を強いられる。
トヨタ自動車の消費税監部金
2007年3月期  2869億円
2008年3月期  3219億円
2009年3月期  2569億円
2010年3月期  2106億円
2011年3月期  2246億円
20014年から消費税は5%から8%に上がった為、この戻し税額も単純計算で1.6倍になるはずである。
この消費税増税により、トヨタ自動車は1000億円以上も戻し税が増えることになる。
増税後には上位10社だけで1兆円の戻し税が見込まれる。
消費税の税収17兆円に対して、1兆円近くが輸出企業に戻し税として還付されているのである。
物品税が廃止されて消費税が導入されたことで、自動車メーカーは大きな恩恵を受けた。
自動車にかかっていた物品税は、普通乗用車(3ナンバー)が23%、小型乗用車(5ナンバー)が18.5%、軽乗用車は15.5%だった、
消費税導入当時の税率は3%だったので、3ナンバーの商用車は20%も安くなり、一時的には国内販売台数を大きく伸ばした。
しかし、消費税率の上昇と共に、国民の消費支出が減り、国内自動車販売台数は激減することになる。
日本の賃金事情は、深刻な事態を招いている。
この10数年の間に、低収入のサラリーマンが激増している。
年収200万円以下のサラリーマンは、1999年に803万7000人だったが、2014年には1139万2000人と、4割も増えており、サラリーマンの4人に1人が年収200万円以下なのである。
この年収200万円以下のサラリーマンの中には、フリーターや短期契約社員は含まれておらず、あくまでも年間通して働いたサラリーマンの年収である。
法人税は1984年の43.3%から2016年には23.4%へ半減している。
2018年には23.2%となる。
法人税が下げられてきた最大の理由は、経済界が景気を良くするために法人税の減税を要求してきたからである。
しかし、法人税を減税すれば景気が良くなるという根拠はなく、法人税を上げても景気には殆ど影響がない事は、理論的にもデータとしても明確に表れている。
そもそも法人税は、企業の利益に対してかかるもので、つまり法人税とは企業が事業を行い、儲かった利益の何割かを徴収するというものである。
だから実際の企業活動には全く影響はなく、法人税が高いから商品の値段が上がったり、企業の収益が落ちたりしない。
法人税の増税は、株主の取り分が減るだけであり、従業員や社会に対する影響はないてのある。
法人住民税を含む法人税は企業の支出の中では僅かに1ぇにも満たないため、法人税を10%下げたとしても企業活動には影響しない。
現在の日本経済にとって、雇用を安定させるための減税をすべきところを、退職給与引当金に課税するなど、雇用に対しては増税が進められている。
退職給与引当金とは、企業が将来発生する退職金の支払いのために積み立てておく資金であり、従来はこの「退職給与引当金」は非課税とされていたが、2003年から課税される事になった。
これにより、企業は退職給与のために積立をしにくくなり、退職金を減額したり、退職金制度自体を廃止したり、退職金が生じる正社員の雇用を減らす方向に動かざるを得なくなった。
そして、この増税の直後の2003年に、「研究開発費の減税」か開始されたのである。
研究開発減税には、新たに研究開発を促進させる効果は殆どなく、これまでと同程度の研究開発費にもかかわらず、税金だけが安くなっている。
この研究開発減税の導入によって、研究開発費が増えた形跡は全くなく、大企業への減税措置にすぎない。
トヨタ自動車の実質税負担が低くなっている最大の要因は「研究開発費の減税」である。
2003年に導入された、この税は研究開発をした企業はその費用の10%分の税金を削減するという制度で、限度額はその法人税額の20%である。
2014年3月期では、トヨタはこの研究開発税制により1201億円の減税を受けている。
この研究開発税制による日本全体の減税がくは6240億円で、つまりトヨタはこの減税全体の2割を占めているのである。
この割合は例年ほぼ変わらず、研究開発減税の恩恵を最も受けているのはトヨタなのである。
さらに安倍政権は刑期刺激策として研究開発減税の規模を増やし、特例減税額を2014年度に1兆2000億円に、民主党政権から倍増させている。
財務省が2011年度分から公表している調査報告書を分析すると、国税の減収額が明らかな項目を合計すると2014年度には1兆1954億円と、2012年度の5244億円から2.3倍になっている。
減税額が最も大きいのが、企業の研究開発減税で2012年度の3952億円から2014年度には6746億円と倍増している。
研究開発減税の恩恵は、企業数では全体の0.1%にも満たない資本金100億円超の大企業が恩恵を受けており、5423億円と全体の8割を占めている。
政策減税全体でも資本金100億円超の大企業の減税額が2014年度は7365億円(全体の56%)と、2012年度の2.5倍に増え、全体の62%を占めた。
財務省の報告書では減税対象の企業名は非公開だが、各社の有価証券報告書から、研究開発減税の適用が多い上位5社は以下の通り。
トヨタ自動車 減税額1083億円
日産自動車  減税額213億円
ホンダ    減税額210億円
JR東海    減税額192億円
キャノン   減税額157億円
パナマ文書にはトヨタ自動車本体の名前は出てこなかったが、トヨタグループの海外事業に深く関係している「豊田通商」の名前は見つかった。
トヨタは欧州統括本部を、欧州の中でも税率の低いベルギーに置いており、知的財産をベルギー子会社に持たせ、欧州各地での収益を集中させている。
ベルギーでは配当支払いに対して税金は課せられないので、ベルギー子会社に集中させた利益は、日本でも「海外子会社受取配当の非課税制度」が適用され、殆どそのまま日本に持って来れる。
同様にアジア統括本部は、税制優遇措置を取っているシンガポールに置いている。
ベルギーにもシンガポールにも生産工場はない。