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2015年8月11日火曜日

ふるさと納税の特典は一時所得に該当する。
これには50万円の特別控除がある。
特典の商品については小売り販売価格の6割相当額が評価額とされる。(国税庁基準通達205-9)
仮に特典の還元率が2割とした場合、50万円に達するには年間416万円のふるさと納税をする必要がある。
ふるさと納税を年間416万円するために必要な最低年収は2億833万円となる。
つまり、ふるさと納税を年間416万円以上しない人にとって、一時所得に関する税金の心配は不要ということになる。
ふるさと納税で都市部との交流人口を増やす事業に先行投資し、定住人口も増やしているのが北海道の中央に位置する東川町である。
東川町は、ふるさと納税を「ひがしかわ株主制度」と称し、納税した人を「株主」とし、町の宿泊施設の無料利用や旬の野菜などのプレゼントを「株主優待」「配当」と呼んでいる。
このおかげでふるさと納税のリピーターは3割を超える。
納税は町民だけでなく、移住してくる人のためにも豊かな地下水を守ろうと植樹に力を入れており、株主自身が毎年植樹する苗木代となり「株主の森」と名付けられている。
目先の町財政の補填ではなく、将来の「株主」と交流人口を増やす町づくりに投資している結果として、地にはふるさと納税で縁ができた移住者が相次ぎ、2005年には7701人だった人口が、2015年4月末には7909人に増えている。

ふるさと納税の寄付金額の上限控除額の計算方法
〇所得税
 (寄附金額-2000円)×所得税率
〇住民税
 (寄附金額-2000円)×10%
〇特例分
 (寄付金額-2000円)×(100%-10%-所得税率)
この3つの合計額から2000円を除いた金額が全額控除になる。
ふるさと納税 2014 年自治体ランキング(2014年12月)
ランキング上位の自治体は、いずれも個人住民税を上回るふるさと納税の税収を得ている。
1 位 長崎県平戸市 10億2420万円
   →有効期限のない永久ポイント制が年末の駆け込み納税を誘発し、
    贈答品対応(のし紙付)可能にした事が貢献したと思われる。
2位 佐賀県玄海町 8億7420万円
   →GENKIプレミアムは、10万円の寄付で5000円相当の特産品が
    年間12回届けられる。(還元率60%)
3位 北海道上士幌町 8億2889万円
   →個人住民税の4倍とふるさと納税で町おこしに成功した先駆的な自治体。
    年間回数制限なし、増堂品対応、クレジット支払可。
4位 宮崎県綾町 7億1000万円
   →綾ぶどう豚は「ふるさとチョイス」全特産品18000件の中で
    お気に入り登録数第1位。201絵ねんから年間の回数制限が無くなった。
5位 島根県浜田市 5億4200万円
   →アンコウ、ふぐ、のどぐろ等の海産物の特産品が充実。
    年間回数制限なく、ポイント制を導入し、贈答品対応も可能。
6位 山形県天童市 4億2000万円
   →佐藤錦は「ふるさとチョイス」果物部門のお気に入り登録数第1位。
    年間回数制限なく、贈答対応も可能。
7位 鳥取県米子市 4億1280万円
   →年間回数制限なく、肉、海産物、果物、銘菓、地酒、地ビールなどの
    地元の特産品を積極的に活用し、アピールする熱意を感じる。
8位 鳥取県境港市 3億6430万円
   →境港市は紅ズワイガニの水揚げ量日本一の漁港。
9位 宮崎県都城市 3億5920万円
   →年間回数制限なく、宮崎牛と焼酎に特化。
    100万円の寄付に対する返礼品が一升瓶の焼酎を365本と量の多さが話題。
10位 佐賀県小城市 3億5560億円
   →年間回数制限なく、佐賀牛、ようかん、アイスクリームが特徴。
    毎月届く「あいらぶおぎセット」が人気。
ふるさと納税は不動産や中古ベンツを買って、減価償却で節税する「出費のある」寄附金控除ではない。
地方公共団体に特定寄附金をするとも異なる。
寄附金控除であれば税率分は節税になるが出費を伴うことになる。
ふるさと納税の要点は、「所得控除」と「個人住民税の税額控除」に加え「特例分控除」にあり、2000円を覗いて100%全額が控除される「出費を伴わない」節税法なのである。
そして、2%近いポイント還元率の高いクレジットカードで10万円分を納税すると、実質2000円の負担もゼロにする事ができる。
よくテレビでは「ふるさと納税は住民税の2割までは損しないでできる」と紹介されているが、住民税の2割を目安というのは低所得税率の人の目安である。
最高税率となる高所得の人の目安は住民税の4割が目安となる。
ふるさと納税は正確に言うと納税ではない。
にも関わらず、なぜ納税という名称が残されているのかについて、『ふるさと納税研究会報告書』によると、現在のふるさと納税のように寄付金控除方式で行うやり方の他に、当初は自分の住所の自治体と「ふるさと」の自治体に住民票を分割して、納付する方式も有りうるのではないかと議論されていた経緯に関連する。
しかし、住民税の分割方式が行われると、行政サービスを受けている自治体に払う分が減る一方で、行政サービスを受けていない自治体に住民税を払うこととなり、受益と負担の関係を説明することが困難になる。
また住所地以外の自治体が個人住民税を課税する根拠がない。
以上のような理由で、ふるさと納税は結局は、住民税を分割して納付する方式ではなく、寄付金控除方式で行われるようになった。
ただ、当初の経緯もあり、名称には「納税」という言葉が名残りとして残されたのである。
「ふるさと納税」の名称に「ふるさと」という言葉が使われるようになったのは、2006年10月に西川一誠・福井県知事が「故郷寄付金控除」という制度の導入を提案したり、2006年8月に谷垣禎一・財務大臣が「ふるさと共同税」の提案をしたりと、各方面から地方に還元する税制度について提案があったことが発端となっている。
地方で育った子供が都会に出て収入をえる人の流れに対して、子供を育てるのに投資した行政コストを都市から回収する方法はないのか?という着想だった。
「ふるさと」の定義する事は難しく、総務省の「ふるさと納税研究会」では「ふるさと」について定義することをやめ、ふるさと納税の対象となる自治体については、納税者の意思に委ねるのが適当ということになった。
つまり、ふるさと納税は生まれ故郷等の「ふるさと」にする必要はなく、1ヶ所に限る必要もなくなった。
ふるさと納税は、納税先の自治体を選べるだけではなく、殆どの自治体で寄付をする「使い道」も選べるようになっている。
島根県では「竹島の領土権の確立」を使い道に指定したふるさと納税が、2015年末時点で251件、376万5000円と、過去最高となっている。
また、沖縄県では翁長知事が2014年12月に就任した後、沖縄県の「ふるさと納税」が急増しており、2015年3月までの寄付額は前年同期比で36倍の302件、1954万円となっている。
沖縄県では寄付金の使い道に「平和の創造と発進」を指定できる。
他にも北海道根室市では「北方領土返還運動に関する事業」を寄付金の使い道に指定できる。
現在、ふるさと納税は全国で932自治体が実施しており、特典として特産品を送付してくれる自治体が大半を占める。
総務省が47都道府県、1742市区町村を対象に実施した「ふるさと納税に関する調査結果」(2013年9月13発表)によると、特産品の送付をしている団体は、都道府県で23団体(49%)、市区町村で909団体(52%)と、約半分の自治体は何らかの特産品をプレゼントしてくれる。