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2014年7月7日月曜日

オーストラリアで、2004年に世界で初めて、ストーカー等の問題行為に対応する専門組織「司法行動科学センター」(司法省と衛生省の共同設置)が設立された。

精神科医、臨床心理士、ソーシャルワーカーら30名が勤務している。

同センターは、警察と連携し、ストーカーの危険度判定の助言を行い、裁判中の加害者と面談し危険度の高いストーカーには、判決で治療を命じるよう、裁判所に進言することもある。
メルボルンで開かれるストーカー裁判は年間500件だが、その判決の半数近くが加害者に刑罰だけでなく、治療を受ける事を命じている。

ストーカー研究の第一人者トロイ・マクエヴァン博士は、これまでに500人超のストーカーにカウンセリングや薬による治療を担当してきた。
現在は、ストーカーかの治療に任たる専門家の育成に力を入れている。

同センターでは、ストーカーの危険性を見極め、その対応策を示したマニュアル「ストーカー・リスク・プロファイル」を開発した。

マニュアルによると、まず、加害者本人から聞き取り調査をし、被害者との関係性、加害行為の最初の動機からストーカーを分類する
ストーカーは「ふられ型」「恨み型」「親しくなりたい型」「相手にされない求愛型」「略奪型」の5つに分類され、危険度の判定法や治療法が確立されている。

ストーカーの5割は、以前のパートナーを追いかける「ふられ型」で、脅迫や暴行など、凶悪化する危険性が高いとされている。

ストーカーり3人のうち1人は必ず犯行を繰り返し、ストーカーの撲滅は困難であるが、適切に対応することで再犯率を2割に減らす事が可能という。

日本でも、オーストラリアを参考に警察が加害者に治療を促す試みが今年から始まっている。
ストーカー加害者は、幼少期に心の傷を負った人が少なくない。

ストーキングしている心理の中には、人に過剰に期待・依存・しがみついてしまい、どこかで見捨てられたくないという恐怖心を持っている点が、共通している。

母親からの虐待など、何か非常にショックな事が根っこにある。
2013年のストーカー被害の認知件数が、過去最高の21089件となった。
警察からストーカー加害者への警告は全国で2400件余り。
過去3年で、命を奪われた被害者は14人。

ストーカー行為の危険度は3段階に分類される。

第1段階:RISK
→「やり直したい」と相手にすがり、行為がエスカレートしストーカーになる恐れがある。

第2段階:DANGER
→相手の拒絶により怒りが芽生え、攻撃性が増す。
 拒まれても接触してくる。第三者の介入が必要となる。
 この段階までは、警察の警告により8割は行為が収まる。


第3段階:POISON
→警告、逮捕では抑止とならず、人の命を奪いかねない。