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2015年12月13日日曜日

原油価格の下落はアメリカ経済にとって、間違いなくブラス要因となる。
原油価格とアメリカの経済成長率は、明らかに負の相関関係が確認できる。
つまり、原油価格が下がるとアメリカの経済成長率は確実に上がるのである。
また、原油価格の下落は、他の先進国の経済にもプラスに働くが、アメリカ経済ほど顕著ではない。
アメリカ特有の理由があり、広大な国土における人々の移動は自動車に頼らざるを得ない車社会となっているからである。
アメリカ国民1人当たりのガソリン消費量は、年間350ガロンと断トツの世界一位である。
ちなみに日本は一人当たり年間100ガロン程度と、アメリカ人は日本人の3倍以上のガソリンを使っている。
人口もアメリカは3億人と、日本の2倍以上なので、アメリカ国民が使用するガソリンの量は日本国民の6倍以上となる。
日本でも原油価格が下がるとガソリン代は安くなるが、景気の押し上げ効果はアメリカほどではない。
日本では原油価格が半額になったとしても、ガソリン価格は2割程しか下がらない。
日本のガソリンの店頭価格の4割が税金で、実際の原油価格は6割程度しか反映されていないからである。
一方、アメリカではガソリンの小売価格に占める税金割合が低く、原油価格が半額になればガソリンの価格が4割も下がるのである。
アメリカ人にとって必要経費のガソリンの価格下落は、可処分所得が増えることに繋がり、消費が増え、景気を押し上げるのである。
消費税引き上げ年度の家計負担
1989年 3%値上げ  1.8兆円
1997年 2%値上げ  8.6兆円
2014年 3%値上げ  8.2兆円
2017年 2%値上げ  5.5兆円(予測)
1989年に消費税が初めて導入された際には、消費税だけをみると5.4兆円の負担増だが、同時に物品税の廃止が行われた。
物品税の廃止で3.5兆円が減税となり、家計の負担は差し引き1.8兆円の増税で済んでいた。
物品税は、高額商品にかけられていた税金だったので、本来ならば消費税導入前には駆け込み需要が起こるのが一般的だが、この時は物品税廃止後の方が、高額商品がよく売れたたる消費税導入の影響が軽微で済んだのである。
2017年の消費税率10%への引き揚げについては、景気条項がついていないため、経済状況がよほど酷くなっていない限り、実施される事になる。
現在の日本の経済を取り巻く環境と似ていて、かつ現政権が実施している政策と似た政策が取られていた時期が、過去の時代にある。
1986年と2014年の日本で、歴史上でも極めて稀な多数の経済的環境の一致を観察できる。
1986年とは、翌年から始まる平成景気、いわゆるバブルが始まる直前の年である。
・歴史的に非常に珍しい原油価格の下落局面にあった。
・一時的に日本経済が後退局面にあり、積極的な財政支出が実施された。
・市場最大規模の金融緩和が実施された。
・政府と日銀が連携して政策を動かす体制が整った。