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2017年12月14日木曜日

2016年8月時点で、日本銀行とGPIFを合わせた公的マネーが、東証1部上場企業1970社のうち4社に1社にあたる474社の実質的な筆頭株主になっているという。
自衛隊は、他国を侵略できる構造になっていない。
世界最高水準なのは海上自衛隊の対潜水艦戦能力と掃海能力だけである。
仮に朝鮮半島を攻めるとすると、50万から100万人の陸軍を敵前上陸させる必要がある。
そのためには制空権を取る必要があるので、3000機程度の戦闘機がいる。
更に数十機の空中警戒管制機(AWACS)と空中給油機100機程度が必要となるが、日本にはAWACSが4機、空中給油機が4機しかない。
つまり本格的な海外派兵をしたり、戦力を投入して外国を占領できる軍事力を持っていないのである。
ちなみに米軍が日本に置いている燃料は、米東海岸に次いで第2位の備蓄量の神奈川・鶴見をはじめ、第3位の長崎・佐世保、そして青森・八戸の3ヶ所で1107万バレルあり、これは第7艦隊を半年間、戦闘行動させることができる量であり、これを海上自衛隊が使うとすると2年間は活動できるという。
先進的な企業においては、人材を採用するにあたって応募者の資質を見極める際に、情報編集力が重要視されるようになってきている。
グーグルの入社試験の問題はとてもユニークで、過去にはこんな問題が出たという。
「スクールバスの中にゴルフボールを詰めるとすると、どれだけ詰められるでしょうか?」
この問題に対して、グーグルが求めている答えは1つではない。
とてつもなく難解な数式を駆使して物理学的に証明する人が合格する一方で、「スクールバスに乗っている子供は詰めたゴルフボールを外に放り投げてしまうだろうから、結局1つも入らない」といった文学的な答えをする人も採用されるという。
それぞれが自分の知識と経験を駆使し、与えられた設問に対して短時間で納得解をプレゼンする事が求められている。
頭の回転の速さである情報処理脳だけではなく、頭の柔らかさである情報編集脳が問われている。
戦争がロボット同士で行われる映画のような未来ももう現実になり始めている。
狙撃目的の武装ロボットは2007年から実践配備されており、米軍の軍用機の31%は無人機になっているという。
掃除ロボット「ルンバ」のアイポット社は、「パックボット」という戦車のようなタイヤでカメラを積んだ軍事用ロボットを供給している。
村上龍は、小説『半島を出よ』(幻冬舎)を書いた理由として、北朝鮮という国のことを知らなかった事を挙げている。
そして、そこにはどういう考え方をする人間が生きているのか知りたかったのだという。
構想から10年を経て、執筆をスタートさせた。
あとがきには、『脱北者』という本に刺激され、ソウルで十数人の脱北者に一人あたり3時間ほど取材したと書かれている。
参考文献は、北朝鮮関連だけで95冊。
住基ネット・預金封鎖・対米関係・地政学関連で21冊。
国際法関連で7冊。
少年兵関連で6冊。
軍事・安全保障・特殊部隊。兵器・武器関連で26冊。
火薬・爆破・発破関連で11冊。
建築設備関連で13冊。
虫・爬虫類・ヤドクガエル・毒関連で14冊。
医学関連で8冊。
九州経済関連で4冊。
全てを合わせると205冊の書籍が引用されている。
他にもリアリティのある表現の参考に、特殊部隊やテロ対策の映像資料が38本、「金日成主席は我らとともに」という音楽CDも5本参考にしたとされている。
つまり、『半島を出よ』を読むということは、村上龍氏がそれに傾けた人生を読む事にも繋がる。
構想から10年の思索と200冊を超える書籍や資料、大量のインタビュー取材という投資を行って考え抜いた物語を共有することなのである。
エジプト考古学者の吉村作治氏は、子供の頃に、いじめられっ子だったという。
そのため休み時間に教室に居場所がなく、いつも図書室に逃げていた。
その時に出合ったのが、『ツタンカーメン王の秘密』という本だった。
それが面白くて、本の世界に入り込むことで、いじめられていることも忘れられたという。
結局、それが世界的に著名なエジプト考古学者を育てることになるのである。
1冊の本が、いじめられっ子を助けることもある。
本を読んで自分の世界観を広げ、いじめっ子とは別のステージに立つのである。
富裕層に偏った資産保有を是正する試みは海外でも行われている。
インドネシアでは2016年6月、ムルヤニ財務相が主導して「タックスアムネスティ(租税特赦)法」を制定した。
その中身は、課税対象となる資産を隠しているインドネシア居住者が2017年3月末までに国内外の資産を報告すれば、前年度末までの法人所得税(税率25%)、個人所得税(税率5~30%)、付加価値税(税率10%)、奢侈税(税率10~200%)の納税義務額、課徴金、租税刑事罰が免除され、これまで未報告だった国内外の資産を申告する際に2~10%の特赦代償金を支払えば済むというものである。
所得税を払う人が人口の2%にすぎないインドでは、モディ首相が2016年11月に不正蓄財を根絶するために、従来の1000ルピーと500ルビ―の高額紙幣を廃止すると突然宣言して新札に切り替えた。
野村総合研究所が2016年11月に発表した調査にると、2015年に預貯金・株式・債券・投資信託などの純金融資産保有額(保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた額)が1億円を超えている日本の富裕層は121.7万世帯で、2013年より20.9%増えている。
2015年時点で純金融資産保有額が5億円以上の「超富裕層」は7.3万世帯で、2013年に比べて35.2%増加している。
1億円以上5億円未満の「富裕層」も114.4万世帯で、20.0%増えている。
2013年時点で純金融資産が5000万円以上1億円未満だった「準富裕層」と1億円以上5億円未満だった「富裕層」の多くが資産を増やし、それぞれ「富裕層」と「超富裕層」に移行したことが原因だと分析している。
「富裕層」「超富裕層」の純金融資産総額は合わせて12.9%増え、2015年時点で272兆円に達しており、2000年以降で最高になったと推計している。
電柱の新設を原則的に判事、既存の電柱の撤去も進めることを目指す「無電柱化推進法」が2016年12月に成立した。
無電柱化は政府が1986年度から3期にわたる「電線地中化計画」、1999~2003年度の「新電線類地中化計画」、2004~2008年度の「無電柱化推進計画」に基づいて、現在も「無電柱化に係るガイドライン」に沿って推進されている。
しかし、国土交通省の調査によると、無電柱化率は最も進んでいる東京都ですら5%、東京23区でも7%でしかなく、他の都道府県は0~3%でしかない。
NPO法人電線のない街づくり支援ネットワークによると、日本の電柱の総数は3300万本もあり、年間11万本のペースで増え続けているという。
海外の無電柱化率は、ロンドン、パリ、香港が100%、台北95%、シンガポール93%、ソウル46%、ジャカルタ35%となっている。
不動産の価値は容積率に比例する。
マンションの建築面積が100坪で容積率が600%だったら床面積は600血簿でが、容積率が1200%だったら床面積は1200坪になる。
都心で1坪あたりの販売価格が300万円とすれば、マンションの価値は容積率が600%だと18億円、1200%だと36億円となる。
その不動産に投資して儲かるかどうかは、容積率で決定する。
日本政府は2030年度の「望ましい電源構成(ベストミックス)案」で電源別の発電電力量構成比を位かのように決めている。
・再生可能エネルギー 22~24%
・原子力       20~22%
・LNG(液化天然ガス)火力 27%
・石炭火力        26%
・石油火力        3%
一方で、電気事業連合会によると2015年度の電源別発電電力量構成比は以下となっている。
・再生可能エネルギー   14.3%
・原子力          1.1%
・LNG(液化天然ガス)火力 44.0%
・石炭火力        31.6%
・石油火力         9.0%
政府は再生可能エネルギーを1.5倍に増やすとともに原子力の比率を引き上げ、火力の比率を引き下げる方針だが、絵に描いた餅である。
なぜならば、2015年度の再生可能エネルギー14.3%には水力が9.6%含まれているからである。
つまり、水力を除いた太陽光や風力は全体に占める割合は4.7%しかないのである。
水力は既に限界に来ているため、再生可能エネルギーを22~24%まで得康には、太陽光や風力の発電電力を現在の3倍にする必要がある。
太陽光は設備利用率は平均13%しかなく、風力も20%程度しかないので、発電設備が生み出すはずの電力量の1/5分から1/8しか発電できない。
それを前提に必要な発電設備を作ると、太陽光は8倍、風力は5倍の電力量を発電してしまい、過大な電流が電線に流れ送電システムが壊れてしまう。
原発も2017年9月時点で稼働しているのは関西電力の高浜原発3・4号機、四国電力の伊方原発3号機、九州電力の川内原発1・2号機の5基だけである。
さらに九州電力の玄海原発3・4号機、関西電力の大飯原発の3・4号機が再稼働する見通しだが、それ以外の原発は再稼働できる可能性が低い。
再稼働の可能性があるのは、原子力規制委員会の安全審査で許可が出ている関西電力の高浜原発1・2号機、美浜原発3号機ぐらいである。
したがって原発は、もはや長期的なエネルギー政策の中で主要な電源として計画に入れることはできない。
これまで原子力が電源別の発電電力量構成比に占めた最大の比率は3割だったが、今後は1割がせいぜいで、おそらく30年後には全ての原子炉が停止していると思われる。
2004年設立の中古自動車販売会社の「ビィー・フォアード」は、値崩れを起こして売れなくなった中古車をアフリカのサイバー社会で販売している。
日本では廃車扱いされてしまう年式の古い中古車でも、アフリカでは十分な需要があり、自動車をネット販売している。
2015年には版はい台数11万台以上、売上高428億円に成長している。
取引国もアフリカを中心に拡大し、北米、南米、アジア、オセアニア、ヨーロッパと120ヵ国以上に展開している。
アフリカだけで70万人の顧客リストを保有しているという。
観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2016年の全国の客室稼働率は平均60.3%だった。
シティホテルは79.2%、ビジネスホテルは74.2%、リゾートホテルは56.0%、旅館37.0%、簡易宿所27.1%となっている。
このうちシティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテルの稼働率は、2010年の調査開始以来、最高になったという。
過去最高を記録したとはいえ、シティホテルでさえ20%以上の客室が未稼働なのである。
空きスペースの有効活用をビジネスに結び付けているのが「軒先株式会社」である。
2008年に当時38歳の首府だった西浦明子社長が、僅かな資金でスタートした。
軒先株式会社は、不動産会社が勝飼っていない賃貸借の対称とならない「軒先」の物件やスペースを対象にして、Web上で貸したい人と借りたい人をマッチングするサービスを提供している。
バンタイプの移動車店舗の運営者から、デットスペースだった軒先を貸した側に賃料が入るという。
同社は駐車場の空きにも目を付け、出かける前に駐車場が予約できるサービス「軒先パーキング」も始めている。
夫が単身赴任で自宅に戻ってくるのが月に2回週末だけとか、マイカー通勤をしている人の駐車場を、別の人が使えるというのである。

2017年にAirbnbが発表した「日本における経済活動レポート」によると、2016年にAirbnbコミュニティが経済活動により創出した利益は4061億円であり、その経済効果は9200億円に及ぶと推計されている。
Airbnbで部屋を提供した標準的なホストの年間収入額は100万4830円で、2016年の1年間で370万人以上のインバウンドゲストがAirbnbの物件に宿泊したという。
2016年の1年間に日本を訪れた外国人客数は過去最高の2400万人に達したが、ホテルや旅館に宿泊した人数は1900万人しかいなかった。
その差の500万人のうち、370万人をAirbnbが分捕り、4061億円儲けたというのである。
自動車産業にとって最も大きな影響は電気自動車への移行である。
ガソリン車は2~3万点の部品から構成されており、完成車メーカーを頂点に多数の部品会社がピラミッド構造となる高度な産業インフラとなっている。
ところが、電気自動車は部品が極端に減り、3000点ほどで構成可能と、ガソリン車の10分の1の部品点数となる。
つまり、単純計算で下請け企業の規模も10分の1に減ってしまう可能性がある。
既にバッテリーもコモディティ化しており、差別化か難しく、いずれは淘汰され、ガソリンのハイオクとレギュラーのように、集約されてしまう可能性が高い。
エンジンの性能で差別化をしてきた日本の自動車産業が窮地に陥ることは明らかである。
10年以内に業界全体が電気自動車へシフトしていくという。
顧客がクレジットカードを使うと店舗側はクレジット会社に手数料を支払っている。
手数料が安い家電量販店やデパートでは決済がくの1~3%、一般の小売店では3~5%、バーなどの飲食店では7%近く取られている。
これはクレジットカード利用者の中に支払不能になる人がいるため、その回収コストや不良債権になったコストが発生するからである。
現在のクレジットカードの仕組みは、一部の払わない債務者のために、多くの期日通りに支払う人々に負担をかけている不公平な仕組みと言える。
さらに店舗の端末からNTTデータのCAFISなどのカード決済サービスと全銀システム(全国銀行データ通信システム)を経由した個人口座へのアクセスにも高い手数料が必要となる。
ブッロクチェーン技術により、このトランザクションの証明ができて複製や偽造が不可能な仮装通貨によれば、わずかなパレット料金だけで済むので、決済コストが著しく安価になり、第三者だはなく個人個人が自分で自分の信用を証明できるようになる。
アメリカで流行している「エアピーアンドピー(Airpnp)」と言うサービスが面白い。
「ピー(Pee)」は英語で小便のことで、Airbnbは空いた部屋を貸すサービスだが、Airpnpは自宅や店舗、事務所のトイレを1ドル程度の少額で貸してくれるサービスである。
既にボストンやサンフランシスコでは、このアプリで検索するとトイレを貸してもよいという家がスマホの地図上にいくつも出てくる。
GEの人事システムはオールGEから最高のリーダーが選ばれる仕組みを作っている。
まず社内の30代後半から40代前半の優れた人間が1000人程度ピックアップされる。
そこから更に200人程度に絞り込まれ、幹部候補生となる。
幹部候補生に選ばれた人間は、最低2ヵ国、2つの事業部を経験させられる。
GEは更に、ジャック・ウェルチの肝入りで作られた「クロトンビル研修所」というニューヨーク州クロトンビルにある成果発の企業内ビジネススクールがある。
正式名称は「ジョン・F・ウェルチ・リーダーシップ開発研究所」である。
ジュニアコースとシニアコースに分かれたおり、ジュニアコースでは各職場から選抜された入社数年内の若手、マネジャー昇格者の研修が行われる。
シニアコースでは、講師の9割近くがGEの幹部であり、抗議にはCEOも参加する。
このシニアコースに参加できるのが幹部候補生の200人で、研修所で鍛えられた結果、最終的に次のトップ候補として6人に絞られる。
ウェルチの後任で2017年8月にCEOを退任したジェフ・イメルトも、その後任のジョン・フラネリーもそうやって選ばれた6人の中の1人である。
東京商工リサーチの2014年「倒産企業の平均寿命」調査によると、2014年の倒産企業の平均寿命は23.5年である。
内訳は法人8276件の平均寿命が23.2年、個人企業366件が30.0年となっている。
業歴30年以上の老舗企業の倒産件数2647件が占める割合は30.6%となっている。
一般的に1人あたりGDPが2万ドルを超えると中進国、3万ドルを超えると先進国とされる。
しかし、3万ドル経済に向かおうとする中進国は、しばしば為替や労働コストが高くなって競争力を失い、3万ドルに近付くと成長が落ちるという動きを繰り返す「中進国のジレンマ」というのがある。
韓国も1人にあたりGDPは2万7000ドル台で頭打ちになっている。
最大の理由は、イノベーションがないからである。
日本は素材を中心とした広範な分野のイノベーションと生産性向上によって、為替や労働コストの上昇を乗り越えた。
スイス、イタリア、フランス、ドイツなどは部忍土、デザイン力による高級化、高価格化によってイノベーションに成功した。
多くの韓国企業はR&Dやマーケティングに売上高の2~3%しか投資しない。
だから韓国企業はブランドを確立できず、中間価格帯に取り残されてしまう。
韓国産業には厚みがなく、中小企業に技術力ないため、大企業の単なる下請けでしかない。
『日経ヴェリタス』(2017年1月8日付)によると、2016年の世界の企業の時価総額ランキングで、首位から12位まではアメリカ企業であり、上位1000社のうち370社がアメリカ企業となっている。
これまでアメリカのGM、フォード、FCAは、リストラに次ぐリストラでひたすら雇用を削減してきた。
一方で全ての製造業の中で、この30年間で最もアメリカ国内で雇用を創出したのはトヨタ自動車である。
アメリカで13万6000人を雇用しており、過去60年間で220億ドルを投資してきた。
これはトヨタ本体だけの雇用数であり、トヨタ傘下の部品メーカーは含まれていない。
そして、トヨタは系列の部品メーカーが現地製造する高品質な部品をアメリカの自動車メーカーへの供給も認めたので、ビッグスリーが蘇ったのである。
世界最大の英語辞典『オックスフォード英語辞典』が2016年の「ワード・オブ・ザ・イヤー」に、形容詞「ポスト・トゥルース(post-truth)」を選んだ。
その意味は「世論形成において、真実が感情や個人的信念に訴えるものより影響力を持たない状況」であり、「ポスト・トゥルースの政治」という組み合わせでよく使われたという。
ロシアではプーチン大統領が2002年から減税を行った。
それ以前は年収が5000ドルを超えると、所得税が最高税率の30%に達していた。
収入がある殆どの人が最高税率を適用されてしまうため脱税が横行し、ロシアマフィアによる地下経済が膨大な規模となり、税率が高いのに税収が少ないという皮肉な結果となっていた。
そこでプーチン大統領は、所得税の税率を一律13%に引き下げる大幅な減税を行った。
脱税をすれば重罪となり、その結果、大幅な税率ダウンにもかかわらず、税収は25%も増加した。
レーガン大統領のレーガノミクスも税率を下げて景気を浮揚させ、税収を増やした。
米ロの両大国は減税によって財政再建を実現したのである。
財務省の「国民負担率(対国民所得比)の国際比較(OECD加盟33ヵ国)」のよると、個人が負担する社会保障費と支払った税金を合わせた「国民負担率」は、デンマーク70.1%、フィンランド63.8%、スウェーデン56.0%、ノルウェー50.1%と北欧諸国では負担が思い。
一方で日本は42.2%と5割を切っており、韓国は36.8%、アメリカは32.7%と共に3割台と低くなっている。
スウェーデンの国民の平均負担率は56.0%だが、労働者に限ると実質収入の75%を負担している。
スウェーデンでは子育てをすると殆どお金がかからない。
出産費用は国が負担してくれ、育児休暇は両親合計で480日も取得でき、そのうち390日間は給与の8割が補償される。
さらに2年半以内に次の子供を産むと、先の子供の出産の休業直前の所得の8割かせ育児休業中に再び補償される。
保育所も充実しており、小学6年生まで預かってくれ、費用の9割は国が負担してくれる。
会社はいつでも社員をクビにできるようにした代わりに、失業保険を充実させ、質疑用社への再教育が手厚く、国が労働者に新しいスキルを身に着けさせて、会社はその人材を再雇用する。
国民の負担は大きいが、失業リスクも低く、子育ても老後も政府が手厚く面倒を見てくれるので、将来に対して安心していられ、稼いだお金は消費へと向かい、経済は好循環している。
日本の2015年までの不動産市場の活況の背景に中国人資本家の存在が大きかった。
不動産も中国人に爆買いされ、タワーマンション最上階のペントハウス型高級物件の多くが、中国・香港・台湾人に買い占められた。
しかし2016年末に、中国当局から日本の不動産市場に冷や水を浴びせる発表がされた。
中国の国家外為管理局(SAFE)が、2016年12月31日に、人民元を外貨に両替する全ての国民に対し、年金両替枠の5万ドルを中国国外での不動産投資に使わないという誓約書に署名することを義務付けたのである。
また、銀行間の送金に関しても中国国内での「高額現金取引」の基準が、従来の20万元(320万円)から5万元(80万円)に引き下げられた。
企業でも200万元以上、外貨は20万ドル以上であれば、銀行は監督機関に報告されることになった。
中国人の日本不動産の爆買いは、家族が何回にも分けて外貨を持ち込むか、地下銀行を通じて日本の銀行口座に移すという方法によって支えられてきたが、中国当局の監視強化により難しくなってしまった。
財務省が好評した2017年1~3月期の法人企業統計によれば、企業の「内部留保額」は過去最高となる390兆円だった。
第二次安倍政権がスタートした2012年12月から4割以上も増加している。
この傾向は、一般家庭も同様で、総務省の「2016年家計調査」によると、2人以上世帯の平均貯蓄残高は1820万円と増えている。
世界保健機構(WHO)の2013年のデータによると、中央年齢(上の世代と下の世代の人口が同じになる年代値)を調べると、日本は45.9歳で、183ヵ国中最も高齢となっている。
人口が閥発的に増加しているインドは26.4歳(97位)、バングラデシュは25.1歳(107位)、フィリピンは23.0歳(117位)、エチオピアに至っては18.2歳(164位)である。
これらの国は急速にGDPを延ばしているが、人口が増加している事が主な要因である。
労働人口が増えればGDPは自然と増加する。
中国のGDPの伸びが鈍化したのは、人口ボーナスの恩恵が終わったからである。
総務省が2017年3月に発表した完全失業率は2.8%であり、失業率3%未満の状況は事実上の完全雇用とされる。
完全失業者数は197万人で、前年同月より28万人減少している。
また厚生労働省が発表した2017年4月の全国の有効求人倍率も1.48倍と四半世紀ぶりの高水準が続いている。
しかし、日本のような成熟国では景気と失業率に相関関係は低くなる。
例えばイギリスの失業率は1980年代は10%前後だったが、現在は5%を下回って史上最低水準になっている。
ところが、イギリス国民の多くが「移民が仕事を奪って景気が悪い」と感じ、EU離脱を選択した。
アメリカの失業率も4%台と非常に低いが、中西部から北東部ニューイングランドにかけての斜陽産業が集中す「ラストベルト」は非常に景気が悪く所得も低い。
この人達が、大統領選挙で2500万人の新規雇用や移民規制を公約に掲げたトランプを選択した。
こうした事例で分かるように、景気が良いと失業率が低く、景気が悪いと失業率が高いという相関関係は、殆どの成熟国では状況が異なる。