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2015年8月8日土曜日

相続税は、もらった遺産により段階的に税率が上がっていき、最高税率55%が課せられる人は6億円の遺産がもらえる超富裕層だけである。
この6億円の遺産というのは、遺産全体の額ではなく、遺族1人ひとりが6億円以上の遺産をもらった場合のことである。
だから最高税率55%がかかるのは、数十億円以上の遺産を貰う超富裕層だれなのである。
普通の富裕層くらいでは、相続税は10~20%程度しかかかってこない。
例えば10億円の遺産を貰った場合、妻が遺産の半分を貰った場合は相続税はかからないので、5億円の遺産に対しては増属性はかからない。
残り半分の5億円を子供2人で分けた場合、1人当たりの相続財産は2億5000万円であり、これにかかる相続税は8550万円で、二人合わせても1億7100万円と、10億円の資産を相続しても相続税率は僅か17.1%に過ぎないのである。
しかもこれは全て現金や預貯金などの金融資産で貰った場合であり、不動産になるとその評価額は6分の1に軽減される。
もし富裕層が普通に社会保険料を支払えば、年金の財源などはすぐに賄うことができる。
国税庁の2008年の民間給与実態調査によると、サラリーマンで年金保険料の上限を超える人(年収800万円超)は12.2%もいる。
これらの人が、他の人と同率で年金保険料を払うならば、概算でも5~10兆円程度が毎年上乗せされる。
現在、年金保険料収入は25兆円前後なので、一挙に2~4割の増額となるのである。
年金問題の解決には、まずは富裕層の社会保険料の負担優遇の見直しから始めるべきである。
国民負担を考える場合、税金と同様に社会保険料も含めて負担率を加味せねばならない。
日本国民の多くが、年々上がり続ける社会保険料の高さに苦しんでいる。
税金と社会保険料を合わせた負担率は4割を超えており、これは実質的に世界一高いと言える。
しかし1億円以上の収入がある人の社会保険料の負担率は2%以下しかない。
現在の社会保険料は、原則として収入に一律に課せられており、厚生年金の場合は約8%になっているが、対象となる収入には上限があり厚生年金の場合は62万円になっている。
62万円以上の収入の人は、62万円の人と同じ額の社会保険料しか支払わなくてよい。
つまり、社会保険料は一定の収入を超えると、収入が多いほど負担率は下がるのである。
社会保険料については、掛け金があまりにも多くなると見返りの方が少なすぎる額になってしまう、というのが表向きの理由である。
アメリカの所得税の税収はGDPの7%前後である。
もし日本も同じ比率で所得税が取れれば、500兆円×7%=35兆円になる。
現在より20兆円も税収が増えることになる。
日本の国税収入は40兆円前後なので、こし20兆円の税収増があれば、1.5倍となり財政再建の目途がつく。
消費税を1%増やしても、2兆円弱しか税収は増えない。
消費税を増税すべきか、高額所得者の税の抜け穴を塞ぎしっかりと所得税を取るべきかを考えるべきである。
2009年のアメリカと日本の所得税を比較すると、日本の所得税が12兆円に過ぎないのに、アメリカは9530億ドル(1ドル90円換算で85兆7700億円)と、日本の7倍以上もある。
アメリカの経済は日本の2倍強なので、経済規模からすると2倍程度の差になるはずだが、7倍以上になっているのである。
アメリカでは収入のある人のうち46%は低所得ということで所得税を免除されている。日本では低所得して所得税を免除されているのは2割以下である。
日本の所得税は課税最低限も低く設定されており、子供が2人いる世帯の場合、課税最低所得は325万円になっており、それ以下であれば所得税はかからない。
一方、アメリカでは同じ子供2人の世帯の課税最低所得は376.8万円となっている。
つまり、日本の貧乏人はアメリカの貧乏人よりも多くの税負担をしている。
またアメリカでは、高額所得上位10%の人が税収の7割を負担しており、50兆から60兆円の所得税を負担している。
しかし日本の上位10%は6割しか取得税を負担していない。
つまり日本の税制には、様々な抜け穴があり、実質的に富裕層の税負担は驚くほど低いのである。
国民所得に対する個人所得税の実質負担率は、日本では7.2%となっており、主要国の中では断トツに低い。
国民全体り所得のうち、諸国課税されているのは何%かを示したもので、国民全体の所得税の負担率を示しているといえる。
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスはどこもGDP比で10%以上の負担率があり、イギリスは13.5%と日本の2倍である。
個人所得税というのは、先進国ではその大半を高額所得者が負担している。
国民全体の税負担率が低いという事は、高額所得者の負担が低いことを表している。
日本の富裕層は、名目の税率は高くなっているが、実際の負担額は非常に低くなっている。
公益法人は公益性のある事業わ行う団体で、原則として法人税がかからないので、税務署の調査が入らない。
その為、財団や公益売人は、昔から金持ちの節税アイテムとして利用されている。
財団とは、民望34条に定められた公益法人であり、まとまった財産を元手にして人材育成、芸術発展、技術開発などの公益事業を行う団体である。
簡単に言えば、ある財産を社会のために役立たるように管理する団体のことである。
財団がなぜ節税アイテムになるかというと、財団に寄付をすると税金がかからないからである。
普通は、自分の資産を誰かにあげたりすると、贈与税がかかり、死後に譲れば相続税がかかる。
つまり、財団を作れば税金を払わずに、自分の財産を他の人に移転することが可能となる。
そして財団や公益法人は外部からの指導は殆どないので、創設者の意のままになる。
名目上は財団に寄付したカネでが、実質的には自分のカネと同じであり、役員は創設者の子供など関係者で構成されている。
財団や公益法人かの財産から給与を役員と職員に支払い、財団の所有にして不動産や車を買い与えることが可能なのである。
宗教法人が税制上優遇されているのは、慈善事業などの公益性を持つ活動が多い事を考慮されてのことである。
例えば天理教は自発的に天理市に寄付金を支払っており、天理市の歳入の5%に達している。
天理市は天理教からの寄付なしには予算が成立しない状況になっている。
他にも市内には、天理教が運営している病院、幼稚園から大学までの教育施設、信者用の260ヶ所の宿泊施設がある。
年間200万人にも及ぶ参拝者がもたらす経済効果で、天理市は成り立っているともいえる。
寺は殆どが宗教法人という組織になっており、寺本体には税金がかからない。
寺の住職は、その宗教法人から雇用され、給与を貰っている形になっているので、税務上はサラリーマンであり、源泉取得税がかかる。
収益事業を営む公益法人は、毎事業年度終了後2ヶ月以内に、確定申告書を所管の税務署長へ提出せねばならない。
その確定申告書には収益事業に係る貸借対照表及び損益計算書だけでなく、収益事業外の全体のる貸借対照表及び損益計算書を提出せねばならない。
つまり裏を返せば、収益事業を行っていない宗教法人はその必要はないのである。
本来、宗教法人はその事業年度の収支決算書を原則として、事業年度終了の日から4ヶ月以内に書簡の税務署長に提出せねばならないが、年間収入8000万円以下の小規模な法人については、収支計算書の提出を要しないことになっている。
この年間8000万円の収入金額とは、事業年度毎に計算した基本財産などの運用益、回避、寄付金、事業収入などの収入の合計額とされ、土地建物などの資産の売却により臨時的に発生する収入は8000万円の判定に含めないとされている。
だから普通の年間収入が8000万円を超えなければ、申告書を税務署に提出する必要がない。
小さな宗教法人は、この8000万円ルールら守られ、税務申告も収支計算書の提出も不要とされているのである。
檀家が200人もいれば、定期的な法事だけで300~400万円があり、葬式という臨時収入もあるので、十分にやっていける。
宗教法人は、収益事業をしていれば税務署への申告の義務がある。
また収益事業をしてなくても宗教活動で8000万円の収入があれば、税務署に申告しなければならない。
だから有名な宗教法人の殆どが税務署の監査を受ける立場にあるはずだが、政治力を駆使して税務署の監査を逃れている。
例えば創価学会は1990年に税務調査に入られ、墓石の売上など経理ミスで多額の追徴課税を受けたが、それ以降は税務調査は入っていない。
これほどの巨大宗教団体が、25年に渡って税務調査から本格的に接触されていないのは異常なことである。
宗教法人は宗教活動とは別に「収益事業」を行うことがある。
収益事業とは、不動産や駐車場の貸付。出版や物品販売などである。
ちなみに物品販売でも、お守りやおみくじは宗教活動となり非課税になる。
収益事業に関しても、宗教法人は優遇されており、利益の8割に関して法人税がかかるだけであり、所得金額の2割は免除されているのである。
また宗教法人の収益事業の法人税は税率が19%となっており、一般企業の法人税が約25%なので、普通の法人税の8割で良くなっている。
つまり、所得金額が2割免除され、宗教法人の法人税が15%なので、普通の企業の税金の6割で良いのである。
宗教活動で得た利益には税金がかからず、収益事業で得た利益も普通の6割でよいのである。
宗教法人が日本各地で巨大宗教施設を持っているが、これも税金が関係している。
宗教法人の場合、信者の集会場であったり、事務所機能を持った普通のビルでも宗教的な催しをする場所であれば、固定資産税はかからない。
一般企業の場合、不動産を購入しても土地の購入費は経費にできないし、建物も一括経費にはできず、耐用年数に按分して経費化していかねばならない。
だから民間企業の場合、よほど資金力がある企業でないと不動産を購入することはできない。
しかし、宗教法人は法人税がなく経費など関係ないので、資金が貯まれば不動産に投資できるし、購入した不動産には固定資産税がかからないので、たちまち不動産資産が形成できてしまうのである。
明治安田生命保険の調査によると、2015年に一人当り夏休みに使うお金は8万9296円と、前年比4405円で過去最高となった。
宗教法人が行う墓地の販売も非課税となっている。
国税庁のWebサイトでは、宗教団体の墓地事業について次のように説明している。
「宗教法人が行う墳墓地の貸付けは収益事業に該当しないこととされており、この墳墓地の貸付けには、その使用期間に応じて継続的に地代を徴収すねもののほか、その貸付け当初に『永代使用料』として一定の金額を一括徴収するものも含まれます」
墓地の場合、「販売」といっても、実は「永代の貸付」とされている場合が多い。
つまり宗教法人が営む墓地販売業は、非課税なのである。
日本全体の宗教法人の総収入は2兆円を超えているとされ、金融資産き20~30兆円と推定されている。
不動産を含めるとその資産力は計り知れない。
例えば2013年に、創価学会は東京・信濃町に総工費170億円の新本部ビルを建設しており、真如苑は2000年代に東京・千代田区や武蔵村山市などの土地を800億円以上購入している。
宗教団体へのお布施、寄付などには原則として税金はかからない。
また宗教法人は、信者がボランティア的に運営を手伝うので、専任職員の数は少なくて済み、普通は専任職員も信者なので薄給で済むため、人件費はあまりかからない。
ビジネス的に言えば、宗教法人は「元手があまりいらない上に、税金がかからない」のである。
だから宗教法人はスピーディーに集金して蓄財できるのである。
政治家が作っている政治団体は、事実上、国税当局は関与できない。
政治家が支持者から献金を受けるとき、政治団体を作り、自分個人にではなく、政治団体が献金を受ける仕組みになっている。
この政治団体は、法的には非営利団体とされている。
非営利団体は金儲けのための事業をしない団体であり、法人税は課されない。
税金が課されない団体は、税金の申告をすることもないし、必然的に国税当局が税務調査をすることもない。
政治団体は、一応、弁護士、公認会計士などで作られる登録政治資金監査人による監査を受けなくてはならないが、国税のような厳しい追及はないので、政治団体の収支報告書は適当に作ることができる。
トヨタ自動車は2015年3月期の連結決算で、日本の企業としては初めて最終利益が2兆円を超えた。
しかし、トヨタ自動車は2009年から2013年までの5年間、日本国内で法人税等を払っていなかった。
日本の法人税制には、赤字繰越制度というものがあり、決算が赤字だった場合は、その赤字分の金額が5~9年間繰り越せる。
トヨタの場合、リーマンショックの影響を受けた2010年期、2011年期の2年間が赤字だったが、2009年期は黒字で2013年期には繰越した赤字は解消されているはずである。
トヨタが5年間も法人税を払っていなかった最大の理由は、「海外子会社からの受取配当の益金不算入」という制度である。
この制度は、海外の子会社から配当を受け取った場合、その95%は課税対象から外されるというもので、現地国と日本で二重課税を防ぐ仕組みになっている。
海外子会社からの配当は、現地で税金が源泉徴収されている事が多く、現地で税金を払っている収入なので、日本では税金を払わなくても良いという理屈である。
現地国で払う税金と日本で払う税金が同じならば、この理屈は納得できるが、配当金の税金は世界的に見て法人税よりも安い。
つまり、現地で払う税金は日本で払うべき税金よりもかなり少なくて済むのである。
アメリカの子会社が日本の本社に配当した場合、アメリカの源泉徴収額は10%で、日本の法人税は23.9%であり、この差額分が税金を逃れ本社に蓄財される。
これが税制の「抜け穴」になっている。
海外子会社配当の非課税制度は、トヨタの「収入の柱」を非課税にする制度である。
しかもトヨタの海外販売が激増した直後の2009年から、この子課税制度が始まっており、単なる偶然では片づけられないモノと言える。
日本の年間死亡者のうち、相続税が発生する資産家は、これまで僅か4%に過ぎなかった。
相続税とは資産ピラミッドの頂点4%の人達だけにしかかからない税金なのである。
2015年の税制改正で、課税対象者が1.5倍になると大騒ぎになっているが、6%に増えるだけである。