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2014年11月19日水曜日

租税は文明社会の対価である。
by オリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア(米国の最高裁判事)
北米では、所得が全てキャピタルゲインならば、最高税率の半分しか課税されない。
その為、本当に豊かな人々は、所得を全てキャピタルゲインにしてしまうのである。
金持ちはあらゆる種類の節税対策を知っている。
所得の総額を変え、所得の発生する場所を変え、所得の構成を変え、所得の発生する時期を変えられる。
ネブラスカ州オハマ出身のフランス系米国人のウォーレン・ブッフェイ(英語読みはバフェット)は、ニューヨーク・タイムズ紙に宛てた手紙で、こう書いている。
「自分は700万ドル弱の税金を払っている。これは所得の17.4%に当たるが、うちの会社の中では自分は誰よりも税率が低い、秘書の半分だ。」
この700万ドルという税額と17.4%という税率から所得を逆算すれば、2010年には4000万ドルの所得を得ている事が分かる。
この4000万ドルの所得を申告した2010年に、バフェットには課税されないキャピタルゲインの含み益が100億ドルを超えていた。
そして、ビル&メリンダ・ゲイツ財団には、非課税の寄付金を16億ドル贈っている。
他にも自分の子供達がやっている課税免除の財団にも寄付をしているという。
これらを全て合わせると2010年のバフェットの所得は120億ドルと想定される。
つまり、彼が払った700万ドルの税金は、年間所得の0.06%に過ぎない。
バフェットは「もっと税金を取られたい」と言いながら、課税免除の財団に300億ドルものカネを移しており、実に利口な男である。
米国の最高税率は、その時々によって28%~91%と大きく上下してきた。
累進的な所得税が導入されたのは1913年で、当時の最高税率は7%だった。
その後1919年までに77%に引き上げられ、第一次大戦後の1920年の大統領選挙で共和党のハーディングが勝利し、最高税率は77%から25%に引き下げられた。
ところが、1930年にスムート・ホーリー法が成立し、関税率が史上最高となり、大恐慌の期間中に所得税の最高税率も25%から83%に引き上げられた。
第二次大戦後、ジョン・F・ケネディは最高税率を91%から70%に引き下げた。
ジョンソン、ニクソン、フォード、カーターの無能大統領が続き、彼らはこの間に税率を上げ続けた。
レーガン、クリントンの登場で、劇的な減税を実施し、上位1%からの税収は1980年から2007年なでに、GDPの1.6%から3.1%へと伸張し、高額納税者の税収が急増している。
この時期には、あらゆる人々が減税の対象となり、結果的に下位の95%の層からの税収も減少することとなった。
推定によれば、世界の総資産の3分の1が、実質的な課税権の及ばない場所にある。
2010年では、オフショア・カンパニーの稼ぎ出した32兆ドルが課税を逃れている。
20年前に中国の経済学者の一行が、ニューデリーを訪れ、インドの経済学者達と面会し、中国側から計画中の改革について、インド側に説明があった。
話を聞き終えたモンテック・シン(後のインド政府計画委員会副委員長)は、動揺しながら
「そのような改革を断行したら、格差が更に広がることを分かっておいでか?」と問いただした。
すると中国の経済学者達は、満面の笑みを浮かべて「是非ともそうなるように願っていますよ」と答え、実際にその通りになった。
中国は急激に発展する中で、新たに億万長者の仲間入りをする人の数が世界のどの国よりも多くなり、しかも同時に人類史上最大の貧困対策の実施にも成功し、ひと世代で6億人以上を貧困か救い出し中間層に変えた。
格差の拡大が大多数の国民の利益につながるならば、中国はそれを容認したのである。
2011年に米国の高額納税者番付で上位1%の人々は、キャピタルゲインを別にしても、総計で1兆4000億ドルを稼いでいる。
上位1%が持つ資産は、一世代前には全体の10%に満たなかったのに、現在は全体の20%を超えている。
米国で最も豊かな400人の財産を合計すると、残る1億5000万人の財産の合計よりも多いという。
2014年9月末の日本の国の借金は1039兆9150億円。
国民1人当たり817万円。
2014年6月時点で、日本国内には難民の子供など無国籍者が把握できているだけで599名いる。
実際には1000名いると推定されている。