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2014年6月6日金曜日

歴史上最大のハイパーインフレは1926年のハンガリーで、1年間で物価が10の16乗倍になった。

1兆が10の12乗だから、紙幣の価値は短期間に1兆の1万倍分の1になったことになる。

第二次世界大戦後にも1989年のアルゼンチンで、年率3000%を超える物価上昇が起こった。

一方、ハイパーデフレという言葉はないが、1929年の大恐慌でアメリカの実質GDPは3割低下し、卸売物価指数は年率15%の勢いで下落した。
日本は、これから人類史上未曾有の超高齢化社会の到来で、家計が被るインパクトは消費税増税だけに留まらない。

年金支給年齢の引き上げ(アメリカとドイツは67歳、イギリスは68歳まで引き上げを決定)、年金受給額の減額、医療・介護保険の自己負担率の引き上げ、公的医療保険の適用範囲の見直し(歯科治療が公的保険で適用されるのは日本ぐらい)、自由診療の適用拡大など、次々と施策を打たざるを得なくなる。

前回の東京オリンピック(1964年)の時に10代だった団塊の世代は、2020年の東京オリンピックには、70代を迎え、本格的に医療・介護保険を使い始めることになる。
国民年金は加入者が得な仕組みになっているが、年金財政全体では収支は今後悪化していく。

日本には公的保険制度は、国民年金と厚生年金の2つしかないので、国民年金の赤字は、サラリーマンが支払う厚生年金で補填することになる。

厚生労働省にとって、厚生年金が都合がいいのは、保険料の半額を企業が負担することになっている事である。
企業負担分は経営側からすると人件費の一部でしかないが、サラリーマンはそれを給料の一部と思っていないので、この錯覚を利用して「厚生年金の利回りはプラスである」と言うことができる。

厚生労働省は「将来世代でも厚生年金は2.1倍もらえる」と主張しているが、内閣府による試算では、会社負担分を加えた総保険料では、厚生年金の利回りは53歳以下のサラリーマンでマイナスになっている。
男性に限れば、現役世代は全員が払い損になる。

税金と違い、年金は払った保険料がいずれ本人に反ってくるとされるので、厚生労働省は厚生年金の保険料率を、国会の決議を経ずに裁量で決定できる。
1989年に12.4%だった保険料率は、いつのまにか16.8%まで引き上げられ、賞与も対象となり、今後も更に負担増が決定している。

サラリーマンが納めた年金保険料の半分は国民年金の赤字の穴埋めに流用され、消えていくのである。
国民年金は所得に関わらず60歳まで定額を積み立てて、65歳から定額で受け取るというシンプルな仕組みである。

現在の国民年金は年間保険料が約20万円で、20歳から40年間支払い続けると総支払額は810万円になる。

それに対して期待できる年金受給額は月額5万4000円なので、日本人の平均寿命から総受給額は男性で1157万円(14年8か月分)、女性で1690万円(21年5か月分)となる。

現在の制度がこのまま継続するならば、男性は支払った金額の1.4倍、女性は2.1倍が受け取れる計算になる。

しかし、受給開始年齢が70歳に引き上げられると、男性の受給額は840万円となり、掛金総額810万円と殆ど同じになってしまう。
国の借金というのは、国債を発行して集めたお金を国民に分配した結果である。

国の借金は年間50兆円づつ毎年増えており、それを1億人で割れば、国民1人平均50万円づつ毎年受け取っている事になる。

しかし、その配布先は高齢者に偏っていて、2013年の社会保障給付(年金・健康保険)は100兆円を超えているが、子供・子育て関連予算は僅か5兆円しかない。
10年、20年後の日本がどうなっているのかは、かなり正確に予測か可能である。
未来の出来事を知ることはできないが、唯一、日本のような先進国では、人口動態だけは予測が可能なのである。

日本の人口は、2010年をピークに減少し始めており、2030年には1億1500万人、2050年には9500万人にまで減る

その一方で、総人口に占める老年人口(65歳以上)の比率は2030年には31.8%、2050年には39.6%、年少人口(14歳以下)の比率は9.7%と1割を切る。
不動産の営業マンは、客に持ち家を勧めながら、本人は賃貸住宅に住んでいる。

彼らがマイホームを購入するのは、会社内で出世して、インサイダーマーケットで有利な取引が許される立場になってからである。
国勢調査では日本の人口は2010年から減少に転じ、少子高齢化に伴い平均世帯人数は2.4人まで減り、単身世帯が急増している

世帯総数は2019年まで、高齢者の単身世帯がゆるやかに増加するものの、2020年から減少に転じる。

このような人口動態の変化の中、地方を中心に空き家が急速に増えている。
山梨県内の賃貸物件の空室率は20.2%、長野県や富山県も2割近い空室率となっている。

日本全国の世帯総数5000万に対して、住宅は5700万戸もあり、その差は毎年、広がっている。
購買力平価説によれば、インフレ率と為替の関係は
・インフレなら通貨は下落する。
・デフレなら通貨は上昇する。

金利平衡説によれば、金利と為替の関係は
・金利の高い通貨は下落する。
・金利の低い通貨は上昇する。
民間の医療保険の役割は所得保障である。

つまり、年金受給者になったら民間の医療保険は必要ない。

現役で働いている世代は、病気やケガで収入を失うリスクを抱えているが、年金受給者は健康状態にかかわらず、毎月定額の年金が支払われる。

年金で所得が保証されている以上、民間の医療保険でさらに所得保障をする必要性は低い。