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2017年5月21日日曜日

ふるさと納税が人気だが、2015年度に全国の自治体が受け取った寄付額は前年度の4倍を超える1653億円となった。
例えば年間1億円の所得がある人が、400万円のふるさと納税をすると、寄付をした都市の所得税が確定申告で戻るだけではなく、翌年度の市民税、県民税が減税されて、合計3,998,000円が戻ってくる。
寄付した人の負担は2000円で済むので、要するに税収確保を担う地方都市が、「日本のタックスヘイブン」になっている構図がある。
千葉県大喜多町の「ふるさと感謝券」が富裕層の間で注目を集めたが、2014年12月に返礼品として金券を送り始め、2015年度の寄付額は前年度の40倍近い18億5500万円と急増したという。
うち96%が金券を求める寄付だった。
2014年に海外資産が5000万円超の富裕層に「国外財産調書」の提出を義務付ける制度が設けられた。
しかし、国外財産調書の提出件数は2014年で8000件程度しかない。
野村総合研究所の推計によると、国内分を含めた純金融資産が1億円以上の日本の富裕層は2013年時点で101万世帯。
国外財産長所にウソを書くなどした場合には、罰則があるが、意図的に届け出ない人が数万人単位でいる可能性が極めて高いという。
世界有数のタックスヘイブンとして知られている英領ケイマン諸島へ、日本からの証券投資が増え続けている。
日本銀行の国際収支統計によると、2015年末時点の残高は前年比2割増の74.4兆円で、2005年から10年間で2倍超となった。
データが残る1996年以降で最大となっている。
日銀が公表している中では、米国債を中心とした米国への投資(165兆円)に次いで、2番目に大きく、フランスや英国を上回る。
マレーシア政府が税金を極端に安くしたタックスヘイブンとして、ボルネオ島の近くに浮かぶラブアン島がある。
日本では実質30%弱かかる法人税が、ラブアンでは3%で済む。
あいは現地通貨で2万リンギ(55万円)を納めてもよい。
タックスヘイブンに設立した法人の株主が日本に居住したままでは、日本の課税の網から逃れることはできない。
日本の企業や個人(居住者)がタックスヘイブンに法人を作っても、その所得は原則、日本国内の所得と合算して課税される「タックスヘイブン課税」が1970年代からある。
しかし、株主が日本の居住者でなくなれば、この課税から逃れることができる。
例えば、日本人の株主がシンガポールに移住すると、シンガポールでは個人の所得に対する所得税も安く、最高税率は20%と日本の半分以下であり、日本の住民税にあたる税金もない。
外務省によると2014年にシンガポールで永住権を認められた日本人は2250人と、1999年の2.5倍になっている。
香港は2521人で1999年の4倍となっている。
どちらも相続や株の売却益に対して課税がない国である。
タワーマンション節税は税制と実勢価格のずれを巧みに利用するもので、一部の関係者の間では知られていた。
しかし、富裕層しか利用できない不公平な節税方式であるため、国税庁も対策に乗り出さざるを得くなり、全国の税務署にこうした相続税採択に注意するよう指示を出した。
2018年度からタワマン節税を封じるため、固定資産の評価方法が変更され、低層階り固定資産評価額を下げ、高層かいの評価を上げることとなった。
対象となるのは高さ60メートルを超えるマンションで、40階建ての場合は、最上階の固定資産税評価が5%上り、1階の評価額が5%下がる。
マンション全体の固定遺産税評価額が変わらないように設定するため、マンションの階数に応じて評価額の増減率が変わる。
しかし、タワマンは低層階と高層かいの実際の価格差は1割程度ではないので、大した影響はない。
国税庁が2011年~2013年のタワマンの実例を調べたところ、343件の平均で実際の販売価格が、相続税や贈与税の評価額の3倍を超えており、高層階は固定資産税評価額異常に高く販売されている。
今回の対策ではタワマン節税を防ぐことは難しい。