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2017年4月2日日曜日

2016年夏に、人工知能により患者の命が助かった日本初の臨床例がある。
血液がんと診断され、東京大学医科学研究所に入院した60代の日本人女性の治療にあたり、医師は2種類の抗癌剤を処方したが、回復は遅く、敗血症などおみい副作用も発生してしまったという。
そこで医師は、2000万件もの癌関連の医学論文が入力されたIBM開発の人工知能ワトソンに女性の遺伝子情報を読み込ませた。
するとワトソンはわずか10分で、女性の病気が「二次性白血病」という特殊なタイプの癌だと診断し、抗癌剤の変更を提案してきたという。
そして医師が、その抗癌剤を投与したところ、女性は数カ月で回復し、退院が可能となった。
人間の医師が一つの論文を読むのに1時間かかると仮定して、年間365日、毎日1日に10時間ずつ論文を読み続けても3650本の論文しか読めない。
このペースで2000万本の論文を読み終えるには5400年以上必要となる。
大量の専門文書を読み込むという仕事に関して、人間と人工知能の生産性は比べようもない能力差があるという事がポイントである。
これからは「時間をかければ終わる仕事」さえも淘汰される時代がくる。
堀江貴文氏は、彼が運営するFacebookのコミュニティに長文メッセージを書き込む人に対して、「相手の時間を奪うな」と怒るという。
また地方再生の専門家の木下斉氏は「とりあえずご挨拶を」と言ってくる人には一切合わないと明言している。
どちらも生産性を重視する人の行動様式がよく分かるポリシーである。
やたらと長いメールを送ってくる人や、「とりあえずご挨拶を」と言ってくる人は、それだけで生産性の概念を持たない人だと分かる。
自分の時間の貴重さに気づいていないため、他者の時間の貴重さにも無頓着なのである。
だから、生産性の敏感な人達は、彼らに会う前から「こういう生産性を理解しない人とは一緒に仕事をしたくない」と判断している。
生産性への意識が低い事を自分の言動によって示してしまうと、それだけで生産性の石井の高い人達から排除されてしまう時代になっている。
働いている人の中には、その仕事の価値がゼロ以上の人と、マイナスの人がいる。
例えば生産性の低い産業を守るために余計な規制を作っているような人は、働かないでいてくれた方が、社会全体に生み出される価値は大きくなる。
つまり価値を出していない人は、ベーシックインカム制度を導入すると、「最低限の生活費は払うから働かないでくれよ」と頼まれる時代がくることになる。
高生産社会を志向する人達がベーシックインカム制度に賛成するのは、それが福祉制度として優れているからではなく、そうした生産性向上への反対論者に邪魔されたくないからである。
生産性とは「時間やお金など有限で貴重な資源」と「手に入れたいもの=成果」の比率のこと。
つまり「希少資源がどの程度、有効活用されているかという度合」のことである。