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2016年8月9日火曜日

究極的には人間の脳は化学反応しかしていない。
だから実は世の中の全てが化学反応と思ってもよく、幻想の中で生きているともいえる。
誰かがが起こってルイのも化学反応、泣いているのも化学反応。
そもそも悲しいからなくのではなく、泣くから悲しく思えてくるのかもしれない。
そう考えると、全ては無価値となる。
お金にも価値は無いのに、しかしヒトはそこに価値を見出して、株や為替が上がったの下がったのと一喜一憂している。
本来は無価値のものに価値を見出せるのは、人間だけに与えられた特殊能力なのかもしれない。
ヒト以外の生物の場合、フェロモンでオスとメスが惹かれあう事は良く知られている。
フェロモンの本性を科学的に突き止めたのは、ドイツの有機化学者のブーテナント教授で、1958年の事だった。
ブーテナント教授は、カイコのメスがオスを呼び寄せる性フェロモンの化学構造を決定したのである。
それはある種のアルコールだった。
フェロモンとはギリシャ語で「運ぶ」という意味のphperoinと、「興奮させる」という意味のhormanとを合わせた造語である。
相性には遺伝子が関係している。
ちなみに、異性との本当の愛称は、血液型占いなどでは分からない。血液型というのは赤血球にある糖タンバク質を分類したものなので、正確とは全く無関係なのである。
相性を判断する時に、唯一それなりの根拠があるのが、MHCと呼ばれる100個以上の遺伝子が作るタンパク質(ヒトの場合は特別に「HLA抗原」と呼ばれる)である。
このHMCは臓器職をする時に、他人の臓器を拒否反応しないか、相性を確認する物質として利用されている。
MHC遺伝子について、良く知られているのは、スイス・ベルン大学動物学教室でのTシャツ実験である。
実験では44人の男子学生に2晩、Tシャツを着て寝かせ、翌日50人の女子学生にそのTシャツの匂いを嗅がせるというものだった。
すると驚くべきことに、Tシャツを着ていた男子学生のMHC遺伝子の型が、女子学生のMHC遺伝子の型に似ていれば似ているほど、「好きな匂いではない」に分類され、採点は低くなった。
一方で、女子学生はMHC遺伝子の型が自分と掛け離れていればいるほど、ブラス評価をした。
MHC遺伝子は、恋愛の段階だけでなく、結婚、出産というところまで影響を与える。
例えば、夫婦のMHC遺伝子の型が似ていると、子供ができなくいと言われている。
正確には、この場合、カップルの間に子供ができないのではなく、妊娠はするものの、女性自身が気付くり早い段階で早産しやすいと考えられる。
もう少し時間が経った段階で起こる自然流産についても、繰り返し起こるカップルでは、二人のMHC遺伝子の型が似ていることが分かっている。
しかも、MHC遺伝子の型の共通性が高いカップルは、子供が生まれたとしても、低体重になる確率が上がるというデータもある。
人類学の観点からすると、愛は4年で終わるという。
人類学者のヘレン・フィッシャー博士のベストセラー『愛はなせ終わるのか』の中で、「愛は4年で終わる」と書かれている。
自然の中にある動物界では、オスとメスの関係は一時的なものであり、この自然界の営みを人間に当てはめると、出産・子育てが一段落するのが4年というこのなのであろう。
フランスはフランス革命によってカトリックの権力を瓦解させて歴史をもっており、その結果、「自由・平等・博愛」という精神が根付いた。
しかし、フランス人の考え方の根底には肉体は公共のもの、つまり神のものという認識が根深くあるという。
例えば、生命倫理も、個人の自由では成り立たないと思っている。
『O嬢の物語』というフランスの小説があるが、これは単なるSM小説ではない。
鞭を入れられて快感を覚えるという単純なものではなく、神のものである肉体を勝手に鞭で打ち付けるからこそ、タブーを冒すエロスに満ち溢れているのである。
表面的な「神対個人」という感覚とも異なり、もっと深く、神から与えられた身体に痛みを感じことで神から解放されていく快楽を感じたいという意識がある。
このあたりの感覚を共有できないと、フランス人の考えは理解できないという。
ヨーロッパではキリスト教離れが加速している。
1958年には日曜日にミサに通っていたフランス人は35%だったが、2004年には僅か5%となり、2014年には0.9%としかないという調査もある。
子供に洗礼を授ける割合も、ここ50年で90%から60%にまで減少している。
教会の信徒が減れば教会は成り立たなくなるので、司祭になろうといる人も、この50年で10分の1になっている。
フランスでは無神論者が13%、無宗教が29%とると言われて、教会に全く通わない人が増えている。
ドイツでは、2カトリック教会を正式に離脱した人が、2013年に18万人、2014年は20万人以上となったと、衝撃的な数字が発表されている。
ドイツではプロテスタントも2014年に20万人が離脱している。
多くのドイツ人が教会から離れる一番大きな理由は、「教会税」の存在であり、ドイツには所得の8~10%が教会税として国に聴衆されるという制度があるからで、この税金を逃れるために教会を離脱するのである。
この制度は、アイスランド、オーストリア、スイス、スウェーデンなど北欧にもある。
イギリスには教会税の制度は無いが、イギリス国民の多くが所属している英国教会のトップはエリザベス女王である。
日本には第二次大戦が終わるまで「姦通罪(かんつうざい)」という法律があり、当時の常識としては「不倫は悪」だった。
姦通罪とは配偶者のある人が、配偶者以外の人間を性的関係に陥る罪であり、夫のいる女性と、その女性と関係をもった男性に適用された。
夫から告訴があって初めて公訴される罪である「親告罪」だった。
当時は、日本は家父長制が強く、男は女性の面倒を最後までみる義務があったが、逆に言えば、女性が男性の所有物という位置づけでもあった。
つまり、姦通罪は夫が妻を所有物として、ある意味「財産」とみなしていたために存在した法律だった。
第二次大戦後、日本では姦通罪は撤廃され、これ以降、不倫は民法上では「不貞行為」として責任を問われることはあっても、刑法で罰せられることはなくなった。
昆虫の生活や生殖という意味ではアリが面白い。
アリの儀愛、巣の規模がある程度大きくなると、羽のあるアリが生まれるようになり、羽アリは年に一度、様々な条件がそろった時に巣から外に飛び立つ。
そして同じ時期に飛び立った別の巣の異性のアリと空中で交尾し、メスは一匹で自分の巣を作り始め、このメスが新しい女王アリとなる。
空中で交尾したオスのアリは力尽きて死んでしまうが、その際にメスは自分の体の中の貯精嚢という袋に、交尾したオスから取り込んだ一生分の精子を貯蔵する。
この袋は液体に満たされていて、精子を生かしておくことができる。
交尾を終えたメスは地上に降りた立つと女王アリとして卵を産み始め、もう飛ぶ必要が無いので、自らの羽を切り落として飛ぶための筋肉を溶かし、それを幼虫にエサとして与えながら、女王アリは卵を生み続ける。
この時に産むのが働きアリの卵で、働きアリが成虫になると、今度は自分と新たに生まれる子供達のためにエサを取りに行かせる。
ちなみに働きアリは全てメスで、彼女たちは女王アリの娘でありながら、一生、女王アリのために絵さを運び続ける。
アリの種類によって、兵隊アリと呼ばれる集団もいるが、これらも全てメスである。
女王アリの寿命は10年から20年と長く、働きアリは全てメスで女王アリからのフェロモン等による指令で、不妊の状態にされている。
女王アリが死んでしまった場合、原始的なアリでは一部の働きアリの卵巣が発達して産卵することもあるが、多くの場合は女王アリが死ぬと残った働きアリは動かなくなり、巣ごと滅んでしまうという。