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2015年3月30日月曜日

中年サラリーマンの再就職問題は、退職自衛隊員のキャリアが参考になる。
自衛隊の多くの隊員が55歳で定年を迎えるが、定年後の転職成功率は、ほぼ100%だという。
自衛隊は退官自衛官のサポートが手厚く、定年前の3年間は資格・免許の取得支援が受けられる。
自衛官が選ぶ退職後に就職に有利な資格は、「電気工事士」である。
「第二種電気工事士」ならば、6万円かけて通信教育で2ヶ月勉強すれば筆記は通る。
技能試験は、実際に回路配線を試されるが、パターンが決まっているので難しくない。
資格取得後の選択肢は多様で、一番給料が高いのは大手家電量販店の嘱託となり、歩合制でクーラーの取り付けを担当すれば、年収800万円を目指せる。
最も一般的なのは、ビル管理会社に就職するケースである。
ビル管理の仕事は、数年前までは「第二種電気工事士」「二級ボイラー技士」「危険物取扱者乙種第4類」の3点セットが必要だったが、最近は施設にボイラーが無い事が多く、「第二種電気工事士」を持っていれば雇用してもらえる。
注目される資格は2004年に制定された「国民保護法」により市町村は住民を守る事が義務付けされ、施設管理の仕事に就きやすい「防災管理者」で、「甲種防火管理者」とセットで取得する。両方とも講習を受けるだけで貰える穴場的資格である。
<資格取得までの勉強時間の平均値>
TOEIC900点   4,000時間
公認会計士    3,600時間
税理士      2,500時間
不動産鑑定士   1,500時間
司法書士     1,000時間
中小企業診断士  1,000時間
簿記一級      800時間
社会保険労務士   700時間
監査業務はどこがやっても大して差は出ないので、昔から「三大監査法人の監査料は本社の地価に比例する」と言われている。
丸の内にある「トーマツ」が一番高く、飯田橋にある「あずさ」が一番安い。
銀行員は「入行直後の配属が人事からのメッセージ」とよく言われる。
新橋、日本橋、銀座といったオフィス街に近い繁華街への配属なら将来の幹部候補だが、下町だと期待度は少し落ち、郊外だとそのまま組織の足として使われる事が決定するという。
実際に、旧・日本興業銀行では、「頭採用」「胴体採用」「足採用」という言葉があった。
日本でコモディティ化した資格の代表格が弁護士である。
2004年に創設されたロースクールによる法曹人口増員計画により、この15年で弁護士の数は倍近くに増えている。
2000年の17,126人から2014年には35,045人へ。
新司法試験組の中には、年間40万円程度の弁護士登録料が支払えずに、資格を返上する者までいる。
ちなみに、日本国内の弁護士3万人のうち「企業内」は2%に過ぎないが、アメリカでは法律事務所勤務の弁護士は一部であり、2010年にロースクールを卒業した3万6000人のうち、15%は企業、19%は政府や公共機関に就職している。
金融人財コンサルティング会社の「エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ(ESP)」によると、2008年3月当時、日本における外資系金融機関(証券、銀行、資産運用、投資会社など)の社員数は2万8169人いた。
しかし、リーマンショック後の2011年9月には、2万2139人に減少している。
リーマンシヨック直後のリストラ第一波により4198人が解雇され、リストラ第二はにより数百人規模で解雇された。
つまりリーマンショック前から6030人、21.4%も減少したのである。
ブルームバーグによると、2007年から2011年9月までに、世界の金融機関が削減した人材の合計は60万人に達したという。
失業率と実質GDP成長率の関係は、オークンの法則で明らかになっており、実質GDP成長率が高まると、失業率は低下するのである。
また、インフレ率と失業率は、フィリップ曲線で関係を示すことができる。
インフレ率と失業率は逆の方向に動き、インフレ率が伸びれば失業率は低下する。
つまりアベノミクスが目標としている「実質GDP成長率2%」「インフレ率2%」「失業率3%台前半」というのは、中身は同じであり視点を変えて表現しているたげである。
政府が目指しているのは「経済成長率」であり、日銀が目指しているのは「インフレ率」であり、同じ経済状況を目指しているのである。
日本のバブル崩壊の引き金を引いたのは、2つの通達だった。
1つは1989年12月26日に、大蔵省証券局から出された「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」(いわゆる「営業特金禁止通達」)により、証券会社が損失補填する財テクが事実上禁止され、「株バブル」が終わった。
もう1つは、1990年3月27日に、大蔵省銀行局から出された「土地関連融資の抑制について」(いわゆる「不動産融資総量規制通達」)により、不動産向け融資が絞られ、「不動産バブル」が終わった。

バブル当時、「ファントラ」と「営業特金」だけ、株式売買回転率ず異常に高かった。
「ファントラ」とは、ファンド・トラストの略で、運用方法を信託会社に任せる金融商品のことである。
「営業特金」の「特金」とは、特定金銭信託の略で、証券会社の財テク手法のことである。
法形式は異なるが、共に経済的にはほぼ同じく「証券会社に運用を信託する手法」のことである。
当時、企業が財テクに走るのには、抜け道があったからである。
企業が特金を設定し、本体で所有している有価証券を特金に移管すると、本体が所有している有価証券の帳簿価格を変えずに有価証券運用を行えるというメリットがあった。
つまり、有価証券が保有する有価証券に莫大な含み益が発生しても、その含み益を顕在化させない形で、有価証券を運用できたのである。
これを「簿価分離」というが、税制の歪みが悪用されていた。
また、当時の法令上、売買一任は事実上は禁止されていたが、営業特金についてもは野放しだった。
そして、当時の法令でも、事前の損失補填は禁止されていたが、事後の損失補填を禁止する明文上の規定は無く、法令の不備があった。
証券会社は、この営業特金と共に、時価発行増資を顧客に勧めていた。
増資を持ちかけて、一方で営業特金のファンドを使って、その会社の株を買い上げることで、企業は時価発行増資時に莫大な資本がタダ同然で手に入れる事が可能だった。
バブルは世界ではよく見られる現象である。
不良債権問題があったかどうかでバブルの有無を判断するならば、先進国、新興国を問わず、世界的には常に発生している。
IMFのレポートによると、1970年から2007年までに、不良債権問題による銀行危機が124例も発生している。
同レポートでは、日本の銀行危機の財政コストはGDPの14%、生産損失はGDPの18%とされている。
世界各国の銀行危機の平均的な財政コストはGDPの13%、生産損失はGDPの20%となっているので、日本のバブル崩壊による損失は平均的な数字である。
デフレというのは、一般物価の話である。
一般物価には、耐久消費財、非耐久消費財、半耐久消費財が含まれる。
少子高齢化社会では、生産人口が減少し高齢者が増えることなり、生産人口が減ると家電などの耐久消費財の物価は確かに下がる。
しかし、高齢者人口が増えると、高齢者向けサービスなどの非耐久消費財の需要が増え、価格は上がる。
このようなサービス価格も含めた価格が、一般物価なのである。
つまり、人口減少でデフレになるかどうかは、サービスなどの非耐久消費財も含めた一般物価で決まるこになるので、人口減少になるからデフレになるとは限らない。
日本ではバブル期は一般的には1987年から1990年までを指すが、価格が上っていたのは土地や株などの一部の資産だけで、一般物価はそれほど上がっておらず、むしろ物価は健全な範囲内だった。
<1987年から1990年のマクロ経済指標>
名目GDP成長率 5~8%
実質GDP成長率 4~5%
失業率     2~2.7%
物価上昇率   0.5~3.3%