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2015年7月19日日曜日

東京証券取引所の資料から株主の変遷を見ると、終戦後に実施された株式の個人への売却、戦後からバブル期までの株式持ち合いとその解消により、日本企業の株式保有構造は大きく変わっている。
1949年に7割近かった個人の比率は下がり続け、現在では2割近辺で推移している。
金融機関の比率はバブルの絶頂だった1989年まで増え続け4割に達したが、その後こちらも下がり続け、現在は26%程度である。
その分、比率を最も増やしているのは外国人投資家で、その比率は1994年以降に伸びており、2003年以降は2割を常に超え。2013年には3割を超えている。
さらに名義は国内信託銀行となっているが、実際の保有者は外国法人ということもあるため、実際には比率は高くなる。
つまり、日本企業の富の3割は海外に流れているのである。
国税庁の民間給与実態統計から資本金10億円以上の大企業の給与総額を見ると、2012年から2013年にかけて給与総額は43兆9187億円から44兆8201億円と2%増えている。
また厚生労働省の調査によると主要企業の2013年度の月例賃金の上昇分が前年比で1.8%となり、賞与の増加分を加えると2013年の大企業の賃上げは2%程度と考えられる。
これらの統計から、大企業が2013年に支払った給与は前年比で1兆円程度増えたと考えられる。
次に2012年度と2013年度に支払われた配当に自社株買いなどを加えた株主還元総額の推移を見ると、全上場企業による2012年度の株主還元総額は8兆7600億円(配当7兆600億円、自社株買いが1兆7000億円)だった。
それが2013年度には10兆3400億円(配当8兆4200億円、自社株買い1兆9200億円)となった。
つまり18%の増加となり、前年比が金閣で1兆5800億円増えており、企業は給与増額分1兆円に対して、1.5倍を株主に還元した事になる。
さらに2014年度の株主還元総額は12兆7000億円を超えると想定されており、前年比で23%も増加し、差し引きでも2兆円となる。
2015年貼るに賃金が2.3%上昇して1兆円給与が増えたとしても、その2倍の額が株主に分売されることになる。
トマ・ピケティの指摘の通り、大企業の富は労働者の賃金よりも多く、株主に分配されているのである。
資本を持っていなければ、分配がもらえない構造になっている。
日本のGDPの1.7倍にも当たる巨額資金が、年0.02%しか富を生まない預貯金に眠っている。
5%の40兆円を経済の現場へ向かわせるだけで、8%の成長要因となる。
預貯金で得る金利収入は年0.02%程度でしかなく、100万円を2倍の200万円にするのに、3600年かかるのである。
これまで、世界の株価は平均すると過去100年の間、年率10%強で上昇している。
そして、世界人口は2050年に向けて毎日16万8000人ずつ増え続ける事を考えると、今後も年10%の伸びを規定できない話ではない。
個人金融資産1654兆円のうち815兆円が銀行で預貯金として眠っているが、そのうち200兆円は郵便貯金で、600兆円が民間銀行となっている。
銀行預金については1000万円までの預金元本を保証すべく、預金保険機構に資金がプールされていることになっている。
しかし、実際に預金保険機構には1兆6880億円(2014年3月末)しか資金プールされていない。
銀行は130兆円の国債を保有し、郵貯は資産の7割、簡保は9割が国債保有となっているという。
日本国債暴落と長期金利の急上昇、それにインフレの可能性を無視していると、大変な財産リスクに直面することも有りうる。
日本銀行は2014年末で既に国債発行残高の25%を保有しており、2015年末には35%を超えるとされている。
日本銀行が国債を購入する資金は、日本円を発行できる特権があるが故に、国債を買い続けることができる。
他にも日銀は銀行からの当座預金を預かっており、その資金でも国債を購入している。
国が発行した国債を、銀行が購入し、さらに銀行から日銀が買い取る。
銀行が日銀に国債を売って得た資金の一部は、当座預金として日銀に預けられ、その資金が更に国債購入に向かう。
国と銀行、日銀の間で、国債を通して資金がグルグル回っていて、その輪が新規国債の発行分だけ大きくなっているのである。