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2014年3月22日土曜日

日本の生活保護支出は、GDP比で0.3%と、イギリス4.1%、フランス2.0%、ドイツ2.0%、アメリカ3.7%に比べると、かなり低い。

また生活保護受給者数も圧倒的に少なく、日本国民の0.7%しかなく、アメリカの1割にも満たない。

2007年の厚労省の調査で、国民の6~7%の800~900万人が生活保護水準以下の生活をしている事が判明している。
実際に生活保護を受けているのは200万人しかいない。

ちなみに、生活保護の不正需給件数は全国で2万5355件であり、生活保護の「もらい漏れ」は府政受給の300倍以上いることになる。
現在、大学生の半数に近い90万人以上の大学生が、有利子の奨学金を受けている。

現在の就職難で、就職できないまま、借金だけが残ってしまう学生が多く、大学でも問題になっているという。
日本で働く人の3分の1にあたる非正規雇用者1700万人のうち、男性が500万人以上おり、10年前より200万人増えている

男性の場合、正社員の既婚率は40%だが、非正社員の既婚率は10%となっている。

つまり、非正規社員が増えるほど、未婚男性が増え、少子化が加速しているのである。
日本の非正規雇用者(1700万人)の割合は34.6%と、先進国で最悪となっている。
ヨーロッパ諸国では、労働者の権利が守られており、フランスでは非正規雇用の割合は20%以下となっており、イギリス、ドイツも同じ水準である。

競争社会のアメリカでさえ、非正規雇用社員は4000万人と、総労働者に占める割合は27%である。

さらに、非正規雇用者の賃金は、日本の場合は半分以下となっている。

<正社員とパートタイマーの賃金比較(2003年OECD)>
日本   48%
イギリス 65%
フランス 81%
ドイツ  74%
日本の賃金が上がらないのは最低賃金が安いからである。
OECDによると、日本の最低賃金は、移民の国アメリカよりも低く、先進国で最悪となっている。

平均賃金との比較による最低賃金
日本   28%
アメリカ 33%
イギリス 35%
フランス 47%

アメリカもイギリスも、停止所得者に所得補助制度があり、低所得者は救済されるが、日本は最低賃金が低い上に救済措置は殆どないに等しい。
サラリーマンの平均給与は1997年の467万円をピークに、下がり始め2011年には409万円となっている。

しかし、2010年を100とした物価指数では、1998年が103.7と最高値となっている。

つまり、給料の方が先に下がり始めており、給料が下がったから消費が抑えられ、物価が下がったのである。

デフレを克服しても、給料は上がらない。
景気が良くなっても給料が上がらなければ、デフレは解消しない。
財務省の「企業統計調査」によると、この10年で大企業は「内部留保」を増やし、現在300兆円となっている。

2002年には190兆円だったが、2008年には280兆円と6年で1.5倍になっている。

また、アメリカ企業の手元資金は2010年末で162兆円に対し、日本企業の手元資金は220兆円と、アメリカ企業の1.5倍となっている。

アメリカの経済規模は、日本の2倍なので、実質3倍の手元資金を持っていることになる。

ちなみに、日本のサラリーマンの給与総額は、減り続けている。

<サラリーマンの給料の総額推移>
1998年 223兆円
1999年 217兆円
2000年 216兆円
2001年 215兆円
2002年 208兆円
2003年 204兆円
2004年 202兆円
2005年 202兆円
2006年 200兆円
2007年 201兆円
2008年 201兆円
2009年 192兆円
2010年 194兆円
2011年 196兆円
2012年 191兆円
アメリカでは収入がある人のうち46%が、所得が低いということで所得税を免除されている。

日本では、所得が低いとして所得税を免除されているのは20%以下である。
日本では子供が2人いる夫婦の場合、課税最低所得は325万円であり、325万円以上の所得がると税金を払わねばならない。

アメリカでは、高額所得上位10%の人が税収の7割(50兆円)を負担している。
日本では上位10%の人は6割しか負担していない。

日本の所得税は最高税率も高く、低所得者もしっかりと税金を負担しているが、日本の所得税はアメリカの7分の1しかない。
つまり、日本の税制には、様々な抜け穴があり、実質的に金持ちの税負担は少なくなっている。
国税庁の「源泉徴収申告事績」によると、年収5000万円を超すサラリーマンが、1999年から2008年の10年間で2.5倍に増えている。

<年収5000万円超のサラリーマンの推移>

1999年  8070人  支給総額6227億円
2000年 12133人 支給総額9522億円
2001年 13149人 支給総額1兆1039億円
2002年 12468人 支給総額1兆309億円
2003年 12165人 支給総額1兆510億円
2004年 14566人 支給総額1兆2449億円
2005年 16594人 支給総額1兆4137億円
2006年 21270人 支給総額1兆8687億円
2007年 19817人 支給総額1兆7822億円
2008年 19982人   支給総額1兆7010億円

また、国税庁の「確定申告データ」によると、個人事業主の年収5000万円超の者は、この10年で13倍に増えている。
1999年には574人だったのが、2008年には7589人に激増している。

他には、個人投資家の申告データはないので、企業の配当金のデータによると、配当額はこの10年で4倍になっている。

<企業の配当金の推移>

1999年 5兆2340億円
2000年 5兆8690億円
2001年 5兆4760億円
2002年 5兆9980億円
2003年 7兆2920億円
2004年 9兆1110億円
2005年 17兆7931億円
2006年 19兆0030億円
2007年 20兆9340億円
2008年 16兆5130億円
アメリカの三大投資銀行のメリルリンチの「ワールド・ウェルス・レポート」によると、金融資産を100万ドル以上持っている日本人の富裕層は、円高もあり、ここ数年で激増している。

2004年 134万人
2005年 141万人
2006年 147万人
2007年 151万人
2008年 136万人
2009年 165万人
2010年 174万人
2011年 182万人

この日本の富裕層182万人というのは、世界人口の2%に満たない日本人が世界全体の富裕層の16.6%を占め、第2位となっている。

アメリカの富裕層は307万人なので、人口比率から見れば日本の方が、富裕層が多い。
1999年6月に村上世彰氏は「株式会社エムアンドエイコンサルティング」という投資顧問会社を設立し、翌7月に通産省を退官した。
資本金は38億円で、オリックスがそのうち30億円を出資し、以後、事件になる間際まで、オリックスは発行済み株式の45%の出資を続けていた。
役員にはオリックス側から社長室担当部長が入っていた。

オリックスと村上氏との繋がりは、これだけではなかった。

オリックスの関連企業に、14階建ての研修施設「セミナーハウス クロス・ウェーブ船橋」を運営目的に1996年3月に設立され、休眠状態になっていたクロス・ウェブ社が、2001年1月に社名変更され「エム・エイ・シー」となった。
休眠会社をオリックスから買い取り、代表に村上氏が就任した。
これが後に「M&Aコンサルティング」となる。
役員には、オリックスの社長室長を務めていた宮内義彦氏の側近が入っていた。

アルファベットとカタカナだが、読み方が同じ2つの別法人があった。

村上ファンドは、オリックスの連結決算対象企業として公表しておらず、その関係を世間に知られたくない会社だった。
サラ金大手6社の会社設立の順番は、1959年10月に福岡で設立された「三洋商事」(のちの三洋信販)が最初と言われている。

しかし、無担保のサラリーマン金融という業態は、1960年3月の丸糸(現・マルイト)による「勤人信用貸」つまり「アコム」が最初である。
戦前に呉服屋に丁稚奉公していた木下正雄が独立して神戸市三宮に開業した「丸糸呉服店」の息子がアコム創業者の木下恭輔である。
正雄は呉服の売買のかたわら、質屋を始め、息子が質屋の分業として始めたのが、「勤人信用貸」だった。

本家のマルモトは不動産業に転じ、ホテルモントレを運営するようになり、アコムは長い間、子会社という位置づけだった。
「はじめてのアコム」とテレビCMをしているように日本における消費者金融のパイオニアはアコムである。

次に、アコム設立二年後の1962年3月に、関西金融(のちのプロミス)が設立された。
創業者の神内良一は、学徒出陣後に農林省香川作物報告事務所に勤務し、労働組合運動に没頭し、将来は社会的な事業をしたいと志していた。
ブロミスを始めた理由は、将来の社会事業のため金儲けをしようしたのが定説になっている。
実際に、神内は後にサラ金業界を去り、北海道で農園「神内ファーム21」を運営し、100億円の私財を投じて財団法人北海道農業企業化研究所を設立している。

プロミス設立後、1964年1月に「パーソナル・リース」(のちのレイク)、1966年1月に「富士商事」(のちの武富士)、1967年4月に「松原産業」(のちのアイフル)がサラ金業に乗り出した。
投資会社は、投資をして利益が出れば、その利益に法人税がかかる
しかし法人格を持たない投資組合は、利益が出ても利益の全てが組合員に還元され、組合には税金がかからない。
つまり、法人税分が得になるので、投資家の節税手段として多用されている。

この投資組合の逃税法をうまく利用しているのは外資系の投資会社である。

1998年に日本長期信用銀行が破綻した時、アメリカ企業の集合体である「ニュー・LTCB・パートナーズ(LTCB)」が買収した。

長銀の株は紙切れ同然で引き受け手がなく、「不良債権は引き継がなくても良い」という優遇条件付きで、LTCBは1200億円で買い取った。
長銀には4兆5000億円の公的資金が導入されており、この買収は大きな儲け話だった。

その後、長銀は新生銀行として2004年に東証一部上場を果たし、LTBCは1000億円の利益を得たが、この利益には税金が課せられなかった。

LTCBは、アメリカ企業で構成される組合なので、日本の税金を課せられず、全収益に対してアメリカで納税された。
タックスヘイブンで有名な、ケイマン諸島には9万3000社の企業が登記されており、半分はアメリカの関連企業となっている。

ケイマン諸島で、アメリカは年間1000億ドルの税収ほ失っているという。
お酒が貴重品だった時代は、酒税が他の税目に抜き出ていた事があった。
明治後半から大正時代にかけて、軍費は酒税で賄われていた。

その為、戦前は酒税を逃れる為の密造酒が盛んだった。