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2017年2月26日日曜日

明治政府の中にも、平安時代における摂関家、鎌倉幕府の執権にあたるものが存在し、それは元老(元勲)だった。
元老とは明治維新に功績があったとされる9人の男性で、伊藤博文、黒田清隆、山縣有朋などが含まれていた。
元老は天皇に総理大臣を推薦する権利を持ち、天皇はその決定を承認するだけだった。
元老は終身であり、その地位や職務については、何の法的な根拠はなかった。
明治憲法を含むいかなる法にも元老の規定はなく、非公式のポジションであり、明治政府公認の組織図の中にも存在しない。
問題は、明治維新は一度だけの歴史的な出来事だったので、元老の後任はなく、摂関家や執権とは異なり、元老には後継者がいなかった。
従って元老は死没する度に少なくなっていき、「最後の元老」と呼ばれた西園寺公望が1940年に92歳で亡くなってしまう。
その時代は太平洋戦争の混乱期に入る頃となり、とりあえず「軍部」が元老の代わりを担うが不十分なものであった。
平安時代の日本は、正式の軍隊を持たない人類史上、大変珍しい国家だった。
平安朝政府は軍隊を持っていない。
平安時代には「六衛府」と呼ばれる部署があり、そこに所属する者は武器を持っていた。
近衛府、兵衛府、衛門府の3つが、それぞれ左右に分かれていた。
六衛府は天皇が居住する場所や行政府を守ることを任務とする機関である。
天皇の最も近いところで警備するのが近衛府(内裏の担当)、中間を守るのが兵衛府(内裏の内側と外側の壁の間を管轄)、最も外側の警備にあたったのが衛門府(大内裏の官庁全体を管轄)だった。
つまり、六衛府は武器を持っていたが、それぞれはっきりと持ち場が決まっている皇室警察のようなものでしかなかった。
平安朝政府は警察を備えていたが、軍隊を持たなかったのである。
北条泰時が日本史上の唯一の革命家とみなす根拠となる事実に、御成敗式目を定めたことである。
貞永元年(1232年)に評定衆11人の起請文の上にたつかたちでこの法は定められた。
御成敗式目は完全に固有法であり、日本の歴史の中で、誠に画期的なことだった。
法制史には、固有法と継受法という区別がある。
継受法は他国の法律を自国の事情に照らして改変した上で継受した法律である。
固有法は自国で固有に定めた法律である。
日本社会には、それまで継受法しかなく、中国の律令を継受して使っていた。
ちなみに明治以降の近代法も継受法である。
それに対して、御成敗式目は日本史上初めての体系的な固有法であった。
内容の点でも文体の点でも律令とは全く独立しており、無学で漢字が苦手な武士でも、この法は理解できるようにできていた。
御逓倍式目は一種の基本法のようにもなっていき、室町時代にも武家の法としての効力を持ち続けた。
やがて式目を伝写したり研究したり講釈する学者も現れ、江戸時代には式目は教科書や教養書として普及したという。
「絵入御成敗式目」のような通俗版も刊行され、寺子屋で教科書として用いられていた。
このような状況は明治時代の初期、明治5年の学制公布後もしばらく続いていた。
近代的な学校の確立とともに、御成敗式目は忘れされたが、それまでは日本人の初等的な教養のひとつとなるほどに、広く深く浸透していたのである。
北条泰時が日本史上唯一の革命家であるという。
北条泰時が歴史の中で、その役割ほ果たす最初の場面は、1221年(承久三年)の承久の乱である。
その時の執権は父の義時だった。
承久の乱は、西国の皇室と東国の鎌倉幕府が正面衝突した戦である。
仕掛けてきたのは朝廷の方で、後鳥羽上皇の地頭改捕の要求を義時が拒否した事をきっかけに、後鳥羽院が義時追悼の院宣・宣旨を諸国に下し、承久三年五月十五日に承久の乱が勃発した。
二か月前に三代将軍の源実朝が暗殺され、実朝には子供が無かったため、鎌倉幕府は象徴的中心を失った状態で、御家人たちも一枚岩の団結がなかった。
この状況をみて、後鳥羽院は幕府が受入れがたい要求をつきつけたのである。
実はこの時、泰時は無条件降伏論を支持したとされているが、結局は進撃軍を率いる立場となり、迷うことなく戦った。
泰時の東国軍は木曽川で西国軍を撃破し、宇治川の戦いで苦戦するも勝利を収め、一挙に京都入った・
承久の乱は、およそ一カ月という短期間で幕府側の勝利で終結した。
義時は戦争に責任がある上皇を流罪にするという「革命」という観点から重要な事をしている。
まずごく幼い仲恭天皇を廃し、最も責任が重い後鳥羽院を隠岐に、順徳上皇を佐渡に流した。
さらに幕府討伐の計画に参加しなかった土御門上皇も土佐に流された。
このように天皇を廃し、三上皇を流罪にするという前代未聞の厳罰が皇室に科されたことになる。
それまでも皇室関係者が流罪になった前例はあったが、それまでは罰する主体も皇室関係者だった。
非皇室関係者から皇室関係者が一方的に断罪されたのは、歴史上初めてであり、その後もない。
「関西という語が用いられるようになったのは、鎌倉幕府が六波羅探題を設置して以降であるという。
六波羅探題の任務は、京都の朝廷の監視で、その機能は単なる監視を超え、畿内以西の御家人を統括する鎌倉幕府の京都支所の役割を担うようになっていく。
承久の乱以前は、鎌倉幕府は東国を主たる支配権とする地方の王権でしかなかったが、六波羅探題が設置されたことで、鎌倉幕府は日本列島のほぼ全域を支配していると見なし得る状態が確率された。
「関東」という呼び方は以前からあった。
それは、京都側から鎌倉を呼ぶときに使われたもので、つまり他称であった。
承久の乱以降、「関東」が東国の鎌倉幕府によって自称として用いられるようになるとともに、鎌倉を視点にして京都を含む西側が「関西」と呼ばれるようになった。
「関東/関西」という対が、視点を西から東へ移したことになる。
鎌倉幕府の将軍は源性の第三代(源頼朝、頼家、実朝)しかいないと思っている人がいる。
実際には鎌倉幕府の将軍は、九代までいた。
鎌倉の武士たちは、源氏の血が絶えた四代以降は、わざわざ京都から摂関家か皇族の男児を迎え入れ、将軍に据えられた。
幼少時に将軍とし、まだ若いうちの将軍職を解き、別の将軍に取り換えられた。
したがって、鎌倉幕府の実権を握っていたのは、将軍ではなく執権の北条氏だった。
現在、フランスではSRU(連帯・都市刷新)法によって、2020年までに都市部の全住宅戸数の2割を「社会住宅」にする計画が進められている。
「社会住宅」とは、低所得者向けの公共住宅のことで、イギリスなどでも力を入れて整備が進められており、大きく「建設機の補助」から「家賃補助」の両輪で住宅政策が展開されてきた。
フランスの住宅政策で特筆されるのは、住まいが一つの「権利」として認められているこどある。
日本では、住宅は個人で所有する財産の一つとみなされるが、フランスでは安全な地域・健康を保持させる清潔な住環境・文化的に尊厳ある日常生活を持続させるものとして存在する。
日本では「貧乏人は粗末な家に住んで当然」という感覚が根強いが、フランスではそれは明らかな「人権侵害」となるのである。
また社会住宅は決して貧困層を救済するためにあるのではなく、「住まいの権利」に基づき、外国人を含む全住民が入居できる。
勤労を美徳とする日本人の価値観は江戸時代から染みついたものである。
江戸時代後期、二宮尊徳によって広められた「報徳思想」は経済と道徳的価値観を結びつけた点に大きな特徴がある。
曰く、豊かな人生を送るためには『勤労(労働をいそしむこと)』『倹約(無駄遣いをしないこと)』『分度(身の丈に合った生活をすること)』「推譲(手柄はヒトに譲ること)』の四原則を守ることが必要であるとされ、それらは「美徳」とされた。
日本では現行憲法の中にまでその思想が引き継がれている。
労働の義務ならともかく、勤労の義務が憲法に含まれている国は、日本と韓国くらいである。
労働と道徳の価値が結びつけられたことで、日本では「経済的な失敗者=道徳的な失敗者」とみなされるようになった。
つまり、「貧乏になるのは、努力を怠った落伍者」であるから「貧困は自己責任だ」という論理が形成され得る。
過去20年の所得分布の変化をグラフに並べてみると、年数を追うごとに平均年収100~400万円の階層のボリュームが大きく膨らんでいる。
つまり日本の格差は、高所得者と低所得者の両端が増加したというより、中間層が全体的に下方に推移した結果だと言える。
問題は、所得ベースで最大のボリュームゾーンにあたる「中の下」のラインにいる人々が、あらゆる公的サービスから後回しにされている状態であり、なおかつ自分自身を「救済の対象者ではない」と考えていることである。
このラインの人々は、経済的な余裕がないうえに、税による受益感が最も乏しい。

2017年2月25日土曜日

国際社会調査プログラム(ISSP)が2006年に発表した「先進国における中間層の痛税感」の調査結果によるし、日本で税負担が「あまりに高すぎる」「高すぎる」と回答した人の割合は6割に及んでいる。
同じアンケートで、日本よりも税負担の大きいデンマークやイギリス、フィンランドなどが5割以下であったことからも、いかに日本人の租税抵抗が強いかが分かる。
日本人の政府や公務員に対する不信感は極めて強い。
世界価値観調査(WVS)では56ヵ国中43位、国際社会調査プログラム(ISSP)では35ヵ国中最下位になっている。
このような政治不信の背景には、はっきりとした原因があり、国民の税負担に対する「受益感」の乏しさである。
例えば、平成26年度に5%から8%に消費税が引き上げられた際に、増収分は全額社会保障の財源に充てるこどか公約として掲げられた。
しかし、実際には消費税増税で5兆円の増収があったうち、社会保障の拡充に充てられたのは5000億円と、たった1割に過ぎなかった。
民間の有識者で組織される「日本創生会議」の試算によると、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、全国で43万人もの高齢者が必要な介護サービスを受けられない「介護難民」となることが報告されている。
これは、現在の介護ベッド総数を「収容能力の限界」と仮定してうえでの、将来の不足ベッド数を表したもので、いわば量的な問題である。
さらに問題なのは、量的な範囲に留まらず、経済的、あるいは制度的な問題から、数百万人単位で介護難民が増える恐れがある。
深刻なのは、介護サービスの「商品化」が過度に進んだために、経済的に余裕のない高齢者が必要な介護を受けられなくなっていることである。
「平成28年度版自殺対策白書」によると、自殺の原因・動機として最も多いのは、「健康問題」で、その次が「経済・生活問題」である。
これは高齢者だけに限らないが、健康を害し、将来に悲観して自殺を図る人がいかに多いかがわかる。
厚生労働省の「平成27年簡易生命表」によると2015年時点の平均寿命は、男性80.79歳、女性87.05歳であり、30年前と比較すると、男性で6歳、女性で7歳も寿命が延びている。
寿命が延びたことと、健康に生きられる事はイコールではない。
厚労省の発表によると、2013年時点の「健康寿命」の平均は男性で71.19歳、女性で74.21歳となっている。
健康寿命とは、2000年にWHOが提唱した概念で、「日常的に医療や介護に依存せず、自らの力で生命を維持し、日常生活を送ることのできる期間」を指す。
同年の平均寿命と比較すると、男性で9歳、女性で12歳の差がある。
働くというと「就職する」ことばかり目が行くが、これまでの仕事を高齢期も「やり続ける」、「起業する」といった選択肢も考える必要がある。
その際には、生活保護制度の中の「生業扶助」の活用がある。
生業扶助とは、生活困窮世帯に対しいて、「生業(生活するための仕事)」の支援を行い、収入増加や自立を助けるための給付金のことである。
具体的には小規模事業を行うための資金を支給する「生業費」、生業に就くための技能や資格の習得費用を支給する「技能修得費」、高等学校などの就学に必要な費用を支給する「高等学校等就学費」、就職が確定して働く際に必要となる物品の洪に雄飛や交通費を支給する「就職支度費」の4つがある。

2017年2月23日木曜日

内閣府が作成した資料によると、2015年時点の労働力人口(15歳人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた数)は6598万人で、そのうち744万人(11.3%)が65歳以上の高齢者である。
また労働政策研究・研修機構は、労働力人口における60歳以上の割合を、2020年には19.9%、2030年には22.7%に達すると推計している。
〇将来的な労働力人口の推移
(平成27年 労働力需給の推計)
      2014年   2020年   2030年
15~29歳  1106万人  1073万人  1027万人
30~59歳  4211万人  4205万人  3894万人
60歳以上  1268万人  1311万人  1441万人
60歳以上の割合 19.3%  19.9%    22.7%
総務省の調査によると、平成23年時点で、限界集落は全国に1万91集落あり、これは全集落の15.6%に及ぶという。
平成23年厚生労働省「生活保護受給者の自殺者数について」によると、生活保護を受けている世帯の自殺率は、受けていない世帯よりも2.2倍高いという。
全国健康保険協会の調査報告によると、傷病別で精神系疾患が全体に占める割合は、1995年度が4.45%だったのに対して、2011年度は26%を超え、6倍に増大している。
他にも、厚生労働省の「平成25年国民生活基本調査」によると、「うつ病やその他のこころの病気」で通院している人の割合は、男性は「40~44歳」、女性は「35~39歳」が最も多い。
2016年4月時点で、国民年金を満額収めた場合の年間受給額は、最も多かった1999年度に比べて2万4100円減っている。
また国民年金保険料と支給額の比率分析をすると、1999年度時点で納付額に対する支給額の割合が503%だったのに対して、2016年時点では400%と、100%下がっている。
つまり、ピーク時に比べて実質20万円近く年間受給額が減っているのである。
さらに将来不安を大きくさせる要因に「マクロ経済スライド」の採用がある。
元々は公的年金は、物価や賃金が上がれば、それに連動して受給額も引き上げられる仕組み「物価・賃金スライド」が採用されていた。
ところがマクロ経済スライド採用後は、物価や賃金の上昇から「スライド調整率」が差し引かれて年金受給額が計算され、インフレ率より抑制され、実質的には年金受給額が減ることになる。
OECDの「高齢者の就業率の国際比較」によと、平成25年時点で高齢者の就業率はフランスで2.2%、ドイツで5.4%、イギリスで9.5%、アメリカで17.7%となっている。
これに対して、日本は20.1%とフランスの9倍以上になっている。
前提として、社会保障が整備されていない国ほど、高齢者の就業率が上昇する傾向にある。
「平成28年版高齢社会白書」によると、平成27年時点で60~64歳の雇用者は438万人、65歳維持用の雇用者は458万人であり、65歳以上の雇用者数が60~64歳の年齢階級を初めて上回った。
65歳維持用の雇用者数は右肩上がりで、10年前の2005年時点と比べると230万人増と、2倍以上に増えている。
また年齢階級別の就業状況をみると男性有業者の場合、60~64歳で72.7%、65~69歳で49.0%、70~74歳で32.4%の高齢者が働いている。
一方、女性有業者も65~69歳で3割、70~74歳で2割の人が祝儀用している。
つまり、高齢者の3~4割は何らかの仕事についているのであり、現在の日本では高齢期になっても働くのが普通になっりつつある。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2007年)によると、シングルマザーの平均年収は181万円で、半数維持用が非正規雇用であり、相対的貧困率は6割近くに達している。
原因は、子育てをしながら安定的に仕事を続けられる環境が、日本では整っていないということにある。
その結果、離婚後の多くのシングルマザーが実家の両親に金銭的援助を求めざるを得なくなっており、親子で共倒れてしまうケースも少なくない。
貧困は、世代を超えて相互に依存し合う、連鎖する性質があることを理解しておかねばならない。
少子高齢化によって逆ピラミッド型の人口動態になりつつある現在、高齢者の労働酸化は既に織り込み済みとなっている。
政府は「一億総活躍社会」のスローガンを掲げる裏で、その達成のためには「生涯現役社会」の実現、強化が必須であることを明言している。
要するに今後は高齢者が死ぬまで働き続けなければ、社会を維持できない時代に突入するということである。
内閣府の調査によると、今の暮らしに幸福を感じる高齢男性の割合は、女性に比べて半分しかない。
また、NPO法人老いの工学研究所の調査によると、「幸福度の高い単身高齢男性はわずか4%しかいない」という報告もある。
「平成28年版高齢社会白書」によると、高齢者の子供との同居率は1980年に7割あったものが、1999年には5割を切り、2014年には4割と大幅に減少している。
一方で一人暮らしまたは夫婦のみの高齢者は、ともに増加しており、1980年には合わせて3割弱であったものが、2004年には過半数を超え、2014年には55.4%に達している。
つまり大半の高齢者世帯は、独居状態か将来の一人暮らし予備軍となる夫婦のみ世帯になっている。
内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、65歳以上の世帯の平均貯蓄額は2499万円で、全世帯平均の1.4倍の額を保有している。
(いずれも2人以上世帯)
これはあくまでも平均値であり、多額の貯蓄を持つ一部の富裕層が平均を引き上げている。
総務省の「家計調査年報」によると、世帯主が60歳以上の高齢者世帯(2人以上世帯)のうち、貯蓄額が600万円未満しかない世帯の割合は2003年が19.8%だったのに対し、2015年は25.3%と12年間で5.5%上昇している。
2015年の貯蓄保有世帯の中央値が1592万円であることから、その半分以下の貯蓄しかない低貯蓄高齢者世帯が4分の1以上いるということになる。
単身世帯も含めた高齢者世帯の場合は43.5%が500万円未満の貯蓄しかなく、うち16.8%は貯蓄なしの状態である。
2013年度末時点で、高齢者が受け取っている老齢年金の月額分布をみると、最も人数が多いのは「6万円~7万円」の間で、460万人となっている。
この額はちょうど国民年金の満額受給の月額と一致する。
これをピークに「5万円~6万円」が330万人、「7万円~8万円」が320万人になっており、全体の6~7割りの高齢者が月額10万円未満の年金しか受給できていない。
ちなみに総務省の「家計調査報告」の平成28年4~6月期平均速報によると、単身高齢者65歳以上の1ヶ月の平均支出額は14万円になっている。
厚生労働省被保険者調査(2014年7月末)
65歳以上の年金月額クラス別生活保護受給者数
年金月額     受給者数
なし      482,707人
1万円未満    27,322人
1万円台     41,798人
2万円台     59,781人
3万円台     74,370人
4万円台     56,771人
5万円台     44,944人
6万円台     48,760人
7万円台     33,922人
8万円台     23,869人
9万円台     13,015人
10万円台     7,982人
11万円台     4,567人
12万円台     5,171人
厚生労働省の発表によると、2016年6月調査時点で、生活保護対象の世帯数は162万5922世帯で、うち65歳以上の高齢者世帯は83万2525世帯で、全体の半分を占めている。
注意が必要なのは、これは「生活保護を受給できている高齢者世帯数」という事であり、その裏には貧困状態にありながら生活保護を受給できていない多く高齢者が存在する。
都留文化大学・名誉教授の後藤道夫氏の調査によると、「生活保護基準未満世帯における生活保護の捕捉率」は、単身の高齢者世帯で29.5%、2人以上の高齢者世帯では13.5%という結果が出ている。
つまり、生活保護よりも少ない収入で生活している高齢者の7~8割りは生活保護を受けられていないということになる。
この事実は、2016年に65歳以上の低所得年金受給者を対象に実施された「臨時給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)」の支給対象者が約1100万人に達したことからも明らかである。
Yeo Inhyeok(ヨウ・インフョク)という元京大生のYou Tuberがいる。
学生時代にアカペラサークルに所属していた彼は、グラミー賞を受賞した楽曲の各パートを一人アカペラで録画・録音し、それを重ねた多重アカペラ作品をYou Tubeに公開している。
一人ゴスペラーズである。
作品の動画再生回数は300万回以上で、世界各国のテレビ番組で引っ張りだこの存在となっているという。


米国際無人機協会という団体によると、「ドローンの市場規模は2025年までに米国内で820億ドルに達し、それによって10万人以上の雇用を生み出す」と提唱している。
ドローンは今後、流通の重要なポイントとなる可能性が高い。
Googleのサービスは、1つのGmailアカウントに紐づいて、Googleが運営する各種サービスの情報を横断して連繋している。
例えば、Google Mapでは、マップ上で過去に行った事がある飲食店が表示されるが、自分で印をつける操作をしたわけではなく、過去にマップ上ないしGoogleの検索で飲食店を調べて、その飲食店を目的地として設定したり、Googleカレンダー上に飲食店の予約があることをコンピューターが勝手に判断してマップ上に自動的に表示しているという。
新しく開拓した飲食店が、実はよく通っている飲食店のすぐ近くにあるということも発見できたりするので、非常に便利である。
他にも、Gmailに航空会社からの予約メールが届けば、Googleカレンダーにフライト情報が掲載されたりする。
世の中の大多数の人々が所属している「会社」という仕組みでは「他人の時間」に縛られる事が多い。
やりたくもない仕事をさせられ、ただ給料を貰うため、生活するためだけに仕事をこなすことになる。
だから、誰もが会社と給料の交渉をすることはない。
自分の価値を他人が決める事に慣れてしまい、自分の価値すら分からなくなってしまう。
東京大学では、早い時点で学生の専門を特化させないために駒場の教養学部を作って、1、2年生を全員そこで勉強させている。
ただ教養学部の専門過程に上がろうとすると、法学部に上がるより高い内部進学点が必要になってくる。
これまでの人生で受験競争に勝ってきた人間の習性として、内部進学点が高いところにトライしたい気持ちになり、成績の良い学生は、なんとなく駒場の教養学部に残ろうとする。
そうすると奇妙な現象が起き、文学部で辰がくを研究する思想文化学科の哲学専修課程は、定員割れしそうなほど易しいのに、教養学部で哲学を研究する学際科学科や教養学科現代思想コースは、ものすごく内部進学点が高くて文Ⅰ出身者が多くなったりする。
霞が関ではノンキャリアは局を動かないので、実務に関してキャリアは経験を積んだノンキャリアに絶対に勝てない。
だから自ずと、キャリアは最初からマネジメントの方へ行くようになる。
出版社でもそういう傾向がある。
新潮社は比較的、配属された部門から動かない。
昔は週刊新潮へ配属されたら、そのまま20年とか、よくある話だったという。
文藝春秋は定期的にあちこちへ動かす。
新潮社も文藝春秋も作家に対して、「こういうふうにしたらどうでしょう」と提案ができるので、いざとなったら自分達でも書ける能力がある。
だから、新潮や文春の編集者から作家になる人は多くいる。
講談社は社風が全然異なり、殆ど自分達は書いたり提案したりはしない。
その代わりに、優れたフリーランスの編集者やライターを連れてきて、どういうふうに本を作るかというマネジメントの仕事を20代後半からしている。
世界で最初にイスラエルを承認したのはアメリカで、次はソビエトだった。
ソビエトはイギリス帝国主義に対抗するという観点からだった。
第一次中東戦争でアラブ連合国に対してイスラエルが勝利したのは、メッサーシュミット機Bf109というのを持っていたからだが、その訓練はソ連の指令を受けたチェコスロバキアの軍事顧問団がゃっていた。
だから第一次中東戦争(独立戦争)の時は、ソ連はイスラエル側だった。
それが第二次世界大戦後にソ連で反ユダヤキャンペーンが始まり、1953年にはその最大の事件である「白衣の医師団陰謀事件」が起きたのをきっかけに、ユダヤ人およびイスラエルとの関係が決定的に悪化した。
この事件は、ほぼユダヤ人で構成されたスターリンの顧問医師団をスターリンの暗殺を企てたという完全なでっち上げ容疑で粛清しようとした事件である。
それまでは、ソ連とイスラエルの関係は悪くなかったのである。
第二次世界大戦中、ドイツでは殆ど日本円が使えなかったが、大使館には日本円がたっぷりあり、それをスイスに持って行けばスイスフランに替えられたという。
なぜスイスで日本円が両替できたかというと、アメリカが対日工作をするのに日本円が必要で、アメリカがスバイに持たせるための日本円をスイスで調達していたのである。
だからヨーロッパの日本人は日本円をアメリカに買ってもらうことによって、生活していたことになる。
また、ソ連軍がドイツに入ってくる1945年4月まで、日本との間で国際電話が繋がっていた。
ベルリンから無線で飛ばしており、音質も良かったという。
しかし、当然その通話は盗聴されている。
だから鹿児島弁で話していたという。
ちなみに、アメリカも同じことをやっていて、最前線では先住ナバホ族に全部コミュニケーションさせていたのは有名な話である。
ロシアはアカデミズムのエリート、政治エリート、経済エリートをかなり早い段階から分けている。
もし理論経済学の分野ではなく、現実の経済界で実績を挙げたいならば、モスクワ国立大学経済学部へ行くのではなく、ソ連時代ならばプレハーノフ紀念モスクワ国民経済大学、現在では国立の江東経済大学に行くべきである。
一方、ロシアで政治エリートになる場合は、あまり高等教育は関係ない。
政治はいかがわしい人がやるものだと思われているので、むしろ高等教育終了資格を金で買うような、要領のよい人間が出世していく。
右翼、左翼ということが現代的な意味合いを持ってきたのは、フランス革命からである。
フランス革命の国民議会で議長席から見て右側に座っていた人々が右翼、左側に座っていた人が左翼と言われた。
左側にいる人達は理性を重視する。
理性というのは人類が共通して持っているわけだから、完全情報をみんなで共有して、偏見のないフラットな態度で議論をすれば結論は一つになるはずだと考える人達である。
そうなると、公式や法則に当てはめれば、答えを導きだせるというような、物理や科学に近い形で物事を考えていくことになる。
これに対して、右翼はこうした左翼の考えに対抗する形で後から生まれて来た。だから左翼に対する「反動」として出て来たので、
反動と呼ばれるようになる。
だから右翼とは理性に対して不信を持つ人々のことになる。
つまり、人間は理性よりも偏見のほうが大きい生き物で、いくら理性的に議論をしていると思っても、その背景には伝統的な価値観を含めた偏見や個人の利害・関心があるから、とてもフラットな議論は成立しないし。同じデータを見てもそれが人によってたがうように見える。だから結局のところ真理は一つに定まらないという立場になる。
ただ、この定義を適用すると、現在の右派とか保守派の人達は、殆どが左翼に定義されることになる。
なぜなら「唯一の正しい歴史」であるとか、憲法を改正せよとか、強い国家を構築しよう、といったことは非常に左翼的な発想である。
東西冷戦構造が崩れた現在、右翼と左翼の定義がよく分からなくなっている。
日本の感覚だと共産党は左翼と言われるが、今のロシアでは共産党が一番の右翼であり、共産党の方針を維持していくことが保守的と呼ばれる逆転状態が起きている。
中国でも左翼と言われる人達が強硬派だったり、保守派だったりする。
これからの若い世代の人は、「外国語力をつけておく」必要がある。
あるいは、将来において外国語力が必要になる局面が来ることを自覚しておかねばならない。
そして、もはや英語だけでは不十分であり、中国語が必要となる。
三菱商事は新入社員全員に、中国語を勉強させるか、研修させるか、中国関連部局に2、3年勤務させて、若いうちに中国語ができるようにしている。
彼らは、三菱商事イコール国家だと思っている。
2014年4月下旬に、オバマ大統領が国賓として来日したが、最初は国賓として遇するのは難しかった。
なぜならば、国賓は天皇主催の晩餐会や歓迎式典など一連の行事をこなす必要があるから、最低2泊3日の滞在が必要となる。
途中で韓国が横やりを入れてきて、滞在が1泊2日になりそうだったが、最後には盛り返して2泊3日に落ち着いた。
1914年にサラエボで二人のセルビア人の民族主義者がオーストリアの皇太子夫妻を暗殺したことが、なぜあんな世界戦争に繋がったのか、いまだに学術的にはよく分かっていないという。
第二次世界大戦の原因はナチス・ドイツにあったということで、殆どの学者の意見は一致している。
しかし、第一次世界大戦がどうして始まったのかは、いまだアカデミズムの世界で大きな議論になっていいて、結論はよく分からない。
当時、あの戦争が世界戦争に発展するとは誰も思っていなかった。
しかも、もし暗殺した側を加害者、暗殺された側を被害者とするならば、被害者の方が負けて国家を解体されてしまうという非常に不思議な結果になった。
だから戦争が起きるときの論理というのは、一般的な正義感や合理的な判断とは違うところにある。
サイバー・インテリジェンスに関しては、自衛隊のサイバー部門の責任者だった伊東寛氏の著書『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』(祥伝社新書)を読めば、日本の水準が分かる。
結論から言うと、日本は結構水準が高い。
日本の課題は「専守防衛」で攻撃ができない事である。
サイバー戦では攻撃を仕掛けないと、相手の反撃の仕方も探ることができないからである。
サイバー戦で一番強いのは、コンピューターを使わないことであり、防衛に関しては北朝鮮が鉄壁である。
事実、「.KP」という北朝鮮に割り当てられるドメインはめったに見ることはない。
朝鮮コンピューターセンターが運営している「ネオラ」というサイトくらいで、それ以外にはない。
北朝鮮は政府も朝鮮労働党もホームページを持っていないし、労働新聞のホームぺジも中国のサイトからやっている。
日本版NSC(国家安全保障会議)は、戦争をするかしないかを決める機関である。
だから本当は特定秘密保護法について議論する意味はない。
特定秘密保護法はNSCができればセットでできるからである。
なぜかというと、戦争をする可能性があるわけで、国防秘密は当然守らないといけないからである。
だから、特定秘密保護法を戦前の日本に対応させるならば、1937年に抜本改正された軍機保護法、それから1941年にできた国防保安法の2つの法律に相当することになる。
軍機保護法は軍事技術の保護、国防保安法は国家意志に関する情報の保護。
その両方を合わせて行おうとしているのが、特的秘密保護法である。
これは基本的には外事犯を対象にしたスバイ防止法であって、治安維持法とは全く構成が異なる。
そして、NSCでは、こうした国防に関わる情報がある事を前提にして、戦争をするかしないかを決定する。
一般教養に力を入れるべきだと最も説得力がある説明をしているのは、アーネスト・げるなーというイギリスの社会人類学者である。
ゲルナーは高いレベルでの文化を支えるためには、専門教育のレベルが低くなってくるという。
専門教育を受けた人間は応用が利かないということで職業教育上、一段下に見られるようになる。
だから一般教養が必要だという。
リベラルアーツのリベラルとは、奴隷ではなく、自由人であるということである。
自由人が身に着けるべきものが教養であるなら、テクネー(技術)を持っているのは奴隷だということになる。
そうなると、公認会計士試験や司法試験、国家医師試験などは、世間的にはエリートを作りだすためのシステムと思われているが、それらはテクネーにすぎないという事になる。
そう世界が思い始めたことで、幅広い教養が必要なんだという考え方に回帰しているのかもしれない。
最近、色々な雑誌の特集で、これからは理系社長が多くなるとか、理系エリートの時代だと持てはやされているが、そこで取り上げられる人達は、理科系の仕事で大きな業績を残した人ではない。
むしろ大学教育までは理科系だったというだけで、その後は別の選択をした人達である。
どんなに理系エリートの時代になったと言われても、基本的に統治エリートは文系・人文系である事を間違えてはならない。
東京大学法学部では本当に優秀な学生は大学院へ上げない。
この人は将来の教授だと決めると、すぐに助手に採用する。
それも雑用をさせるような助手ではなく、きちんと博士論文を書いて、教授の講義の手伝いをしなさいという形で、レールを敷いてあげる。
一種のエリート育成法で、何年かに一人ぐらい、そういう例がある。
首都大学東京の木村草太・准教授、法政大学の山口二郎・教授が有名である。
現在の日本の大学院では、地道にキャリアを積んでいる人が報われず、下手をすると10年は当たり前に足踏みするのが当たり前になっていて、空気がよどんでいる。
その中で、東京大学は、こいつはちゃんと伸ばさないといけない人材については、余計なストレスを与えない配慮をしている。
特定秘密保護法が公布された際に、野党は特定秘密保護法は治安維持法の再来だと主張した。
治安維持法の目的は日本の社会体制を変革しようとする特定の団体を抑え込むことだった。
強いて言えば、現在の破壊活動防止法が近い。
一方で、特定秘密保護法は国家機密を官僚が独占するための法律だあり、戦前でいうと軍機保護法や国防保安法に近い。
適性評価というものがあり、適性評価を受けた人しか特定機密を扱うことができない。
しかも政治家は適性評価を受ける対象にならないので、法案成立に奔走した政治家自身が特定秘密から締め出されることになった。
反知性主義は必ず決断主義という形で表れてくる。
決断主義とは、実証性や客観性を無視して、とにかく決められる政治が強い政治なんだ、という発想である。
「つまり、細かいことはいいから、言う通りにやれ」というふうになる。
朝鮮通信使が日本に来ていたのは、朝鮮が日本に朝貢していたからだと、日本人は理解している。
しかし、朝鮮通信使は「巡察」という旗を掲げていた。
巡察とは辺境の様子を知るために見回ることである。
つまり、李氏朝鮮は自分達が中心で日本が辺境であると考えていたし、日本は自分達が中心で朝鮮が辺境だと考えた。
それを双方が翻訳しないままでも何とかなっていた。
しかし、近代になって翻訳の必要性が生じ、それによって色々な混乱も生じてくるようになった。
ロシアの最高難関大学はモスクワ国立大学(MGU)である。
この大学の経済学部は、もともとマルクス経済学の拠点だから、いわゆる新古典派的な経済学はあまり強くない。
そこでロシアは、ロンドンのビジネススクールとタイアップして。高等経済大学という国立大学を作った。
そこが今、ロシアで一番レベルが高い経済学をやっている教育機関になっている。

2017年2月21日火曜日

『ロシアの歴史』という本がある。
ロシアの小学校6年生から中学校3年生までが使う教科書全4冊を2冊に分けて翻訳したものである。
このロシアの教科書は、日本の標準的な大学の一般教養レベルであり、日本の大学の1~2年生のレベルが、ロシアの中学生レベルになっている。
ロシアでは、授業は全部暗記で、とにかく高等教育までは全て受け身で、暗記させることしかしない。
暗記したことを正確に復元させるのがロシアの教育法だという。

イギリスは、パキスタン、バングラデシュ、インド、ネパールの人達がイギリスの市民権を取りやすいようにしている。
イギリスへの入国審査も簡単である。
空港でも英連邦に属する国々「コモンウェルス」の人達には専用の入り口がある。
イギリスはそういう形でも宗主国の責任を取っていて、そういう形で宗主国ネットワークを今でも維持している。
精神科医の岡田尊司氏の『マインド・コントロール』は非常に面白い。
岡田氏は東京大学文学部哲学科を中退した後、京都大学医学部に入り直して、精神医学を学び、法務省に入り少年院の監察医をずっとやっていたという。
彼の分析によると、マインド・コントロールの原形は、子供達が集まるスポーツクラブや進学塾にある。
そこで子供をトンネルに入れるみたいに周囲から遮断して、その小さな世界のルールや価値観で支配する。
トンネルの先に見える明かりは試合に勝つ、神学校に合格するということで、そこに向かって脇目もふらずに邁進していく、そんな世界を作るのである。
この方法を取ることで、確かに効率的に能力を伸ばすことはできるかもしれないが、そういう形で思考の鋳型を作られてしまった人というのは弱い。
つまり、その後の人生で、ブラック企業であれ、カルト教団であれ、役所であれ、外界が遮断された所に入れられて、独自の価値観の中で評価されて、出口はここだと、一点を見せられると、比較的簡単に疑問も持たず、その世界に沈入してしまい、マインド・コントロールされやすい。
例えば、学校の成績はあまり振るわないけども、クラブ活動に異常に打ち込む子とか、趣味の分野については非常に詳しい子とかがいる。
便器用とは違う価値基準を作って、自分は意識が高いんだとか、他の子とは違うんだ、良いセンスをもっているんだ、という具合に一種の逃避や合理化をする。
そんなふうに、ある認識の鋳型、ある種の価値体系をかたくなに持っている人がいる。

反知性主義は、本来違うニュアンスで使われていた言葉である。
もともとアメリカで生まれた言葉で、知性の高い人達が威張り散らしていると教会が成り立たないから、こんな神の前には平等である。教会に行けば皆んな一緒だよ、という意味合いの、むしろ知性を持った人達の傲慢さを牽制する言葉だった。
我々が反知性主義の言説にとらわれないためには、あらゆる物事を鳥瞰する散っていした「上から目線」を持てるように意識していく必要がある。
アベノミクスというのは、おそらく安倍総理とその周辺が主流はの経済学を全く知らないがゆえに出来上がった政策だと思われる。
例えば、ゼロ金利からの金融政策は、これがどうして金融政策なのか、よく分からない。
最終的には日銀に大量の国債を買わせることになるわけでから、どちらかというと財政政策になる。
しかも一方で、緊縮財政の話をしながら、他方でケインズ型の公共事業に依存していくと言い、その上で民間投資での成長を実現していくという。
アベノミクスが成功するには、市場の期待が集まっている瞬間に、たまたま国家の基礎体力が飛躍的に向上するようなイノベーションが生まれるとか、奇跡のような偶然がいくつも重ならないとい無理だと、理屈で考えれば殆どの人が分かるはずである。
そうではない、と信じられる人は反知性主義に陥っている。
つまり、実証性と客観性を無視して、自分が浴するように世界を理解しているということである。
反知性主義というのは、知識の量とは関係なく、知に対する姿勢の問題で、知というものをどういうふうに見ているか、ということである。
安倍政権の方が、野田政権や菅政権の公判と比べると、再分配的である。
アベノミクスは、お札をどんどん刷って、公共事業をどんどん増やしていくことで、景気を回復させようとしていて、基本的に痛みを伴わない改革である。
強いて言うと、10年後、20年後の若い世代にツケが全部回ってくる事になるが、これから死に絶えていく世代にとっては関係ない。
アベノミクスが10年続けば、現役世代はその上に乗っかって、ツケを全部、後ろの将来世代に回して、死んで行けばよいという組み立てになっている。
日本の潜水艦には、伊号潜水艦と呂号潜水艦と波号潜水艦があった。
この中で緒方潜水艦は伊号潜水艦で、伊号400型という潜水艦は飛行機を3機搭載でき、パナマ運後の攻撃を計画していた。
実際に、零式小型水上偵察機という胴体の下にスキーを履かせたような形の飛行機を飛ばして、アメリカ西海岸の森を焼いたりしている。
これはアメリカ史上初の本土空襲だった。
日本の伊号潜水艦は世界中を泳ぎ回る能力があった。
ちなみにドイツのUボートは一番大きいので呂号、大体は波号程度だったので、太平洋を縦横無尽に動くことはできなかったし、ドイツは未だに大型潜水艦の技術はない。
我々は複雑系の中で生きているので、この自分を取り巻く複雑な事柄を一つ一つ解明するために割く時間やエネルギーはない。
しかし、複雑性には縮減するメカニズムがある。法律を作る、マニュアルを作るというもがある。
そして、人間が持つ一番重要かつ効果的に複雑性を縮減するメカニズムは「信頼」だとするのが、ニクラス・ルーマンの仮設である。
信頼によって、相当程度、判断する時間と過程を省略できる。
一方、ユルゲン・ハーバーマスは「順応のメカニズム」という事を言っている。
世の中の複雑さを構成する一つ一つの良そうを一から自分で情報を集め、理屈を調べ、解明していくと時間が足りなくなってしまう。
だから自分が納得できないことがあるとしても、「誰か」が発した意見をとりあえず信頼しておく。
これが続くと、「順応の気構え」が出てきて何事にも順応してしまうという。
順応と信頼はコインの裏表であり、一度信頼してしまうと「おかしい」と思っても、なかなか見直しができなくなる。
なぜかというと、信頼した人に裏切られたという意識を持つことによって、つまらない人を信頼してしまった自分が情けなくなるからである。
教養というも、あるいは学問というものが、どこから来ているのかと言うと、ヨーロッパとなる。
さらに遡ったらギリシャとなる。
ギリシャだということは、つまりドイツだと言ってもよい。
ヨーロッパ的な学問というのは、ユダヤ・キリスト教の一神教の伝統と、ギリシャの古典哲学の伝統とローマ教皇の伝統、その3つが合わさってできたものである。
それらが世俗化していくプロセスで、中世期に大学が登場した。
誕生の時点から進学と学問は結びついているので、今だもドイツでは神学がないと総合大学とは言わない。
ところが、啓蒙の時代になって、大学のレベルが落ちてしまい、大学の代わりに出てくるのがアカデミーである。
アカデミーとは、神学に代表される合理性に反する中世的な教養を捨てて、自然科学のような実用的で新しい教養に重点を置いた教育機関のことである。
そしてドイツでは、18世紀の終わりから19世紀にかけて大学が刷新されて、アカデミーでやるような自然科学的なことを大学に取り入れていこうとする動きが起きた。

2017年2月18日土曜日

鳩山由紀夫・元総理の意思決定理論に関する論文は、けっこう面白い。
1000人と面接して理想のパートナーを見つける場合、どうやって選んだら良いのかという研究である。
1回断ったら、その人を選ぶことは二度とできないという制約条件がある。
彼は、マルコム連鎖をもとに計算して、368番目までは全員断って、それ以後で368番目までと比べて少しでも良い人が来たら、その人に決める。
そうした場合に確率的に最も良いパートナーを選ぶことができるという結論を導き出している。
では、なぜ決断の専門家である鳩山氏が沖縄問題やその他の問題で失敗したのか、彼自身が2005年に講演で言っているが、日本の政治には腹芸だとか根回しが多すぎる。
そうした非合理的なプロセスや要素を排して、新しい合理的な政治を作るために自分は政治家になったという。
つまり、政権の最終目標を「目的関数」として定め、その上で何が可能で何が不可能なのかといった「制約条件」をハッキリさせれば、取るべき道は決まる、という合理的な政治ができる、鳩山氏は自分の得意分野を政治に応用しようとしたのである。
しかし、鳩山氏が考える「制約条件」は今生きている人間が作るものであり、日々刻々と変わる。人間自体が複雑系である。
鳩山氏の考える複雑系はあくまでも関数体の中にある複雑系であり、その外側に見えない世界があるという感覚を持っていなかったのであろう。
「見えない世界」とは先験的、超越的な感覚ということで、論理の祖とにそうした感覚の世界があることを、理解しておくことはリーダーにとっては大事なことである。
鳩山由紀夫・元総理は修士号を2つ取って、博士論文もスタンフォード大学で取得している。
マルコフ連鎖というものをベースにした蹴って理論、つまり「決断」の専門家で、学者としては一流の人である。
マルコフ連鎖とは、19世紀終わりから20世紀初頭にかけてロシアで非常に影響力を持っていた数学者のアンドレイ・マルコフの理論である。
彼はプーシキンの『エフゲニー・オネーギン』という韻文小説から、韻文の子音と母音の並びにヒントを得て、ある事象が起こるとき、それよりもずっと前に起きたことは関係なくて、むしろ直近に起きたことのみが影響を与える。
極端に言うと、直近に起きたことだけで判断して決断すると一番いい結果が出る、という理論を確立した。
マルコフ連鎖は、佐々間な分野に応用されている。
直近の出来事が影響を及ぼすということで、天気予報や交通渋滞解消に活かされているし、中でも一番注目を浴びたのはイギリスが第二次世界大戦で、この理論を活用し勝利したことである。
イギリスしナチス・ドイツとの戦いにおいて、物量面でも技術面でも勝てる見込みは全く無かった。
そこでイギリスは数学者を集めて、半分は暗号解読班に、半分はマルコフ連鎖理論を使ってシステムリフォームを考える班に分けた。
ちなみにこの時に暗号解読班にいたのが、のちにコンピューターの原理を作ったアラン・チューリングである。
システムリフォーム班はマルコフ連鎖を使って樹形図を作り、強いところを伸ばすシステムを考えた結果、具体的に出て来たのがイギリス空軍のモスキートという爆撃機だった。
これはドイツの海上封鎖によって鉄鉱石もアルミニウムも輸入できなくなることを予想して、機体を木材で作ったという異色の爆撃機だった。
木製だからレーダーに引っかかりにくい利点が分かり、この爆撃機でドイツ上空に飛んで行って適当に爆弾を落とし、ドイツ人に恐怖心を植え付けることで戦況を変えることに成功し、イギリスの勝利に大きく貢献した。
大学における教養、いわゆるリベラルアーツは、そもそも中世の大学で自由人として生きるために必要だとして教えられていた自由7科(文法、修辞学、弁証論、算術、天文学、幾何学、音楽)にルートを持つが、その中で非常に大きいウエイトを占めているのは歴史的に言うと音楽学になる。
アメリカのCIAや国務省で働く人でギリシャ語を読める人は殆どいないが、ヨーロッパの外交官や知識人でギリシャ語が読めない人はまずいない。
一級の国際的な教養を身に着けようと思う場合には、やはりヨーロッパであり、ギリシャの流れを汲む学問に触れる必要がある。

2017年2月14日火曜日

国民年金には減免措置がある。
年金保険料を支払えない場合は減免申請をしておくことで、障害を受けた際に、障害年金(1級は月額8万円程度、2級は月額6万円程度)の受給権を得られる。
さらに減免期間は、その期間全てが年金加入期間に算入されるメリットもある。
このため、単に支払をやめるのではなく、この減免申請をしておくべきである。
この情報は十分に告知されていないので、無理して国民年金保険料を支払っている若者が多い。
生活保護制度は、①生活扶助、②住宅扶助、③医療扶助、④教育扶助、⑤介護扶助、⑥相殺扶助、⑦生業扶助、⑧出産扶助の8つの扶助をセットで提供する救貧制度である。
原則として、家賃だけ補助してほしい、医療費だけ補助してほしいという性質の精度ではない。
生活保護は「救貧措置」であり「防貧」手は観点が欠落している点に問題がある。
つまり、現在、生活費の一部を貯蓄から賄っていて、あと数年で資産が確実に失われると分かっている状態であっても「資産がまだある」という理由で生活保護を受給ではない。
だから究極的には、資産が全て無くなるまで我慢して、最終的に無一文になった状態になってから、生活保護申請窓口に出向くことになる。
より生活保護を受給しやすくするには、生活保護制度を分解し、社会手当化していく必要がある。
厚生労働省では生活保護の要件として、「世帯単位で行い、世帯員全員がその利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまち、扶養義務者の扶養は生活保護法による保護に優先」するとしている。
生活保護を受けるためには、月々の収入が最低生活費を下回っている必要がある。最低生活費については、各地方自治体のWebサイトに掲載されている「生活保護基準額表」に書かれている。
資産の活用について誤解されやすいが、生活に利用している土地や家屋などを手放す必要はない。車についても仕事で私用していたり、通勤・通院に必要不可欠と認められた場合は所有が認められる。処分価値より活用価値が高い資産については、原則として保有が認められている。
貧困ビジネスのなかでも、特に問題視されているのが「無料低額宿泊所」である。
無料低額宿泊所とは、社会福祉法第2条第3項に規定されている第2種社会福祉事業第8号にある「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の使節を利用させる事業」である。
簡単にいうと、住む家のない生活困窮者に一時的に安価に利用できる部屋を提供する事業者を指す。
この宿泊所は、届出をするだけで、誰でも比較的観点に開所できるため、様々な事業者が参入している。
悪徳事業者のやり口は実に巧妙で、病院から退院しても変える場所がないホームレスに声をかけて、生活保護申請を手伝い、その生活保護費の8割を「利用料」として徴収している。
銀行口座を管理されているため、脱出したくてもそのための資金を貯めることができない。
なかには、福祉事務所が、相談に来た人々をこのような宿泊所に紹介している事例も多く、利用者は年々増えている。
内閣府の「平成26年版高齢社会白書」によると、65歳を超えても働くことを希望する事の合計は50.4%と半数におよび、働く事を希望する理由については「生活費を得たいから」が76.7%と最も多い。
また、総務省統計局の「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」(2014)によると、各国の高齢者の就業率は以下の通りとなっている。
日本   20.1%
アメリカ 17.7%
カナダ  12.5%
ロシア  11.0%
イギリス  9.5%
ドイツ  5.4%
イタリア 3.4%
フランス 2.2%
実際に、働く高齢者の割合は増え続ける傾向にあり、2014年時点で、高齢者の就業者数は681万人と過去最多を記録している。
25年前と比べ、高齢者の就労人数はほぼ倍増している。
また総就業者数に占める高齢者の割合も10.1%と、こちらも過去最高を記録している。
我々日本人の老後は働かなければ暮らしていけないように、確実に変化している。
生活保護費の全体予算は2014年は4兆円だったが、そのうち約半分の2兆円は医療扶助費となっている。
医療費を抑えるには初期治療が欠かせないが、低所得高齢者の多くが市販薬などで我慢してしまい、最終的に重篤化してから受診する事が多い。
その際にかかる莫大な入院費や手術費は、生活保護費の予算から捻出されることになる。
これからの日本社会には、もはや中流は存在しない。
いるのは「ごく一握りの富裕層」と「大多数の貧困層」の2つであり、日本全体が緩やかに、しかし確実に貧困に足を踏み入れていく。
2014年5月に、OECDは「過去30年間における上位1%の所得割合いの推移」を発表した。
これによると、上位1%の人達の所得割合は、1981年と2012年を比較した時、アメリカは8.2%から20%に、日本は7.5%から10%に上昇している。
つまり、アメリカでは全労働者の所得のうち、上位1%の人々がその20%を、日本では10%を独占しているということである。
一方で、アメリカでは下位10%の人達の収入額は2000年からの8年で約10%減少したことも指摘されている。
つまり、双方向のベクトルで経済格差が広がっているのである。
厚生労働省の「平成25年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、20年以上連れ添った熟年夫婦が離婚する件数は、1985年は2万434件だったが、2013年には3万8034件と大幅に増加している。
この驚異的な数字は、女性が経済的に自立しやすくなったこともあるが、これまでやむを得ず押し殺してきた夫に対する不満が、子育てをひと段落した高齢期に一気に噴出した結果とも言える。
厚生労働省が発表している日本の総労働人口統計によると、平成26年時点で全労働者の37.4%が非正規雇用となっている。
正社員として働く機会が与えられない「不本意非正規」と呼ばれる人々の割合は、非正規労働者全体の19.2%におよぶ。
また、2013年の厚生労働省「賃金高層基本統計調査」では、20~64歳で得られる賃金を計算すると、正規雇用で2億2432万円、非正規雇用では1億2104万円となり、その差は1億328万円もの開きがある。
「同一労働・同一賃金」が訴えられているが、正規と非正規では大きな賃金格差があることは明らかである。
高齢者世帯の相対的貧困率は一般世帯よりも高い。
内閣府の「平成22年版男女共同参画白書」によると、65歳以上の相対的貧困率は22.0%である。
さらに高齢男性のみの世帯では38.3%、高齢女性のみの世帯では52.3%にも及ぶ。
つまり、単身高齢者の相対的貧困率は極めて高く、高齢者の単身女性に至っては半分以上が貧困下で暮らしている状況なのである。
厚生労働省の調査では、2013年に一人暮らし高齢者のうち半数近くが年間収入150万円未満であり、高齢夫婦のみの世帯でも7世帯のうち1世帯は年間収入が200万円未満である。
「高齢者はみな金持ち」というイメージは明らかに誤りと言える。


田中角栄ブームに乗って角栄論が多く出版されているが、最近刊行された角栄論の中では、石井一の『冤罪』が最も優れている。
石井一氏はスタンフォード大学大学院で修士号を取得しており、英語が非常に堪能で、アメリカ側の資料にもあたっている。
この本の結論は、次の箇所となる。
「ロッキード社は民間機だけでなく軍用機を製造し、特にP3Cの日本への売り込みが日米間の某域インバランスをただすための最重要課題だと言われていました。また、金額的にはトライスターよりP3Cの方がはるかに大きかったのですが、P3Cを取り上げるとなると、日米間の防衛汚職として、両国の安全保障体制を揺るがす大スキャンダルに発展する恐れもあり、これらについては一切触れないということになりました。
 したがって、陰のフィクサーとして動き、巨額な金員を手にした児玉誉士夫や小佐野賢治に対しても、当時噂されていた中曽根康弘ほか灰色高官とされた13名に対してもP3Cに関しては一切立件せず、焦点を合わせるのは田中とトライスターのみに絞って日米両国が立件に乗り出したのです。
 米国の大きな計画がなければ、ここまではできなかったし、日本の総理大臣が三木でなかったら、そこまでの広がりもなかったと思います。いわばキッシンジャーの陰謀と三木の怨念というものの利害が一致し、田中に対しての陰謀が実行されたと言っていいかと思います」
つまりロッキード事件とは、本来、旅客機のトライスターではなく、対潜哨戒機のP3Cオライオンを巡る汚職だったのに、その点は伏せて「P3C(中曽根康弘)」を「トライスター(田中角栄)」に入れ替えて立件した事件(冤罪)だった、と書いている。

冤罪


2017年2月11日土曜日

大平正芳は本当の教養人だったという。
大平の政策は、後世で実現されたものが多い。
田園都市構想などのプロジェクトも設定したのは、大平であり、それが10年、20年経ってから動き出している。
「あ~う~」という意味不明の話し方も、「あ~う~」を抜いて書き起こすと、そのまま活字の文章になっていたという。
大平は頭の中で文書を書きながら、書き言葉で喋っていたのである。
「政治資金規正法」は正しいという字の「規正」であって、「規制」ではない。
つまり、性善説で、政治家が正しく使うと信頼します、という法律なのである。
日本における子供の貧困は、いまや深刻な問題となっている。
ところが、沖縄ではさらに酷い状況であるという。
日本では子供6人に1人が貧困だと言われるが、沖縄では両親が揃っていても2人に1人近くが貧困になっている。
理由は二次産業がないからである。
冷戦時代に西側諸国の対共産圏の前線基地だったギリシャでは、二次産業を育成すると同時に労働運動が活発化し、共産主義の影響力が及んでくるので二次産業をあえて育成しなかった。
沖縄でもこれと同じような理由から、二次産業が育成されなかったのである。
核開発との関連でプロトニウムばかりが問題にされるが、核拡散の脅威からするとウランの方が深刻である。
広島型原爆と同じウラン型原爆は、旧式だとしてノーマークだった。
ところが、北朝鮮がその裏をかき、チェルノブイリ型の原発を稼働して、そこからプロトニウムを抽出し、原爆をつくるともりだとしていた。
交渉により軽水炉に転換させて、プロトニウム抽出を阻止しようとしていたら、北朝鮮は時間稼ぎをして、なんと旧式のウランによる原爆を完成させてしまった。
ウラン型原爆には、起爆が簡単という利点がある。
TNT火薬を入れておくだけで良いので、起爆装置の開発も起爆実験も不要なのである。
ウラン型は爆破実験が不要なのが有利で、ウランの濃縮技術さえあればよい。
原発の燃料用ならばウランを3%から5%に濃縮する。
医療用のアイソトープならば20%、これを90%まで濃縮すれば核爆弾になる。
濃縮するには、まず自然界のウランを六フッ化ウランという形でガスにする。これを遠心分離器にかけて回すと、ウラン235より中性子3個分重いウラン238が外側に集まってくる。その外側の部分を取り除けば、ウラン235の濃度が少しずつ高まっていく。
ただこの時に分離したウラン238の使い道がなく、産業廃棄物になってしまうのが問題だったところ、「これは比重が一番高いから戦車の砲弾として使える」と思いついた結果、劣化ウラン弾が生まれた。核兵器として使えないという意味での「劣化」である。
日本は佐藤内閣時代の1960年代後半に、核保有ができるかどうか政府が見当した事があるが、その結果、東海村の実験用原子炉から出てくるプロトニウムを使えば比較的に早く作れる事が分かった。
しかし実際に作ると国際的な影響が大きすぎて、帰って国益を損ねるとして、「現実問題としてつくれない」という結論とした。