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2016年12月30日金曜日

生まれた場所、自分が育った場所から移動できる人と、移動できない人の間に、所得格差が開きつつある。
都市社会学者のリチャード・フロリダは、『クリエティブ都市論』の中で、社会的な階層の移動と地理的流動性は、密接にかかわると指摘している。
そして、それを踏まえた上で「移動する能力の有無によって、人生の可能性が大きく左右される時代が到来している」と指摘している。
アメリカ人は転居の理由に「就職または転職」を挙げるのは6人に1人以下であり、アメリカ人は自発的に移動を行い、新天地で後から仕事を見つけるのだという。
また、これまでの常識では収入格差は職業選択、それにつながる教育格差から生まれると信じられてきたが、『年収は「住むところ」で決まる』の著者でる経済学者のエンリコ・モレッティは、「今日の先進国では、社会階層以上に居住地による格差の方が大きくなっている」という。
個人の技能よりも住む場所の方が、重要になるつつあるという。
つまり、人は職業は何であれ、上手くいっている都市に移住すれば経済的恩恵を享受できるという。
「都市間格差」が広がる時代に、アメリカでは、いかに住む場所を選ぶかが、人生の成功において重要になるというのである。
毎日新聞とNHK、明治大学地域ガバナンス論研究室の小田切徳美教授による共同調査グループが実施した「地方移住」の政策による人口移動に関する実態調査がある。
調査の結果、2009年度に2864人だった「地方移住者」は、4年後の2013年度には8181人に、翌2014年度には1万1735人と、5年の間に4倍以上に増加していた。
ちなみに、2015年の東京から転出数は37万人、転入数が46万人であり、地方移住者増加数はごく僅かでしかない。
地方移住がブームのように感じるのは、メディアが大きく取り上げてるからである。
これは未来の破綻を突き付けられた地方自治体が、住宅支援、子育て支援金制度を導入すると共に、若い世代の誘致競争のPRマネーがメディアを潤しているからである。
戦後ほぼ一貫して都市部への人口一極集中は続いているが、現在起こっている東京一極集中は、これまでのものとは違った特徴を持った現象になっている。
かつてのような3大都市圏に人口が集まる状況は無くなり、東京圏だけに人口が集まるようになっている。
総務省が2016年1月29日に公表した2015年の住民基本台帳人口移動報告によると、東京圏への転入超過は11万9357人、前年比9949人増と、転入超過は20年続いている。
しかも転入超過の数は5年に渡って各大使、東京一極集中は加速度的な現象となっている。
一方で、名古屋圏は1090人の転出超過で3年連続の転出超過となっており、大阪圏は9354人の転出超過で、こちらも3年連続の転出超過となっている。
また現在の人口集中は、東京の中心部への集中なのである。
国勢調査の2010年~2015年の人口推移は、東京都は35万4000人増、神奈川県は7万9000人増、埼玉県は6万7000人増、値は源は8000人増である。
さらに、東京の中を個別にみると、23区の中で人口増加率(2015年1月現在)が高いのは、千代田区の5.1%、中央区の3.9%、皆さくの2.4%と、中心に位置する3区となっている。
東京周辺部でも既に人口減少段階に入りつつあり、東京都も2020年をピークに人口減少に突入するが、これら中心部の3区については、2030年まで人口増が予測されている。