Amazon

2017年8月14日月曜日

フィリピンに進出する外国企業の参入障壁は高い。
フィリピン国内に土地を保有する現地法人の資本所有は40%までしか認められていない。
また、小売業では外史に対する規制が厳しく、払込資本金額が250万ドル未満の場合は、外資の参入は認められていない。
従って小売業の場合、外資の参入が可能なのは、規模の大きい企業のみというのが実情である。
これら法律で明記された参入障壁に加えて、実際にビジネスを展開する上では、政治・経済・社会に根を張っている財閥との関係をどうやって築くかという点が重要なポイントとなる。
税収増加を通じた公共投資の拡大と、借入を通じた公共投資の拡大とでは、経済効果は異なるという。
IMFは、前者の場合、当初は税負担の増加に伴う家計の可処分所得の減少から、消費が抑制されるものの、こうした影響は時間の経過とともに緩和されるため、借入れコストの負担が時間の経過とともに拡大する後者と比べて、最終的には経済効果が大きくなるとの分析結果を報告している。
フィリピンは十分な雇用が生み出されていない結果、多くの貧困層を抱えるという構造的な問題を抱えている。
フィリピン政府が定めた貧困水準に満たない人口の割合である貧困率は、実に25%程度に上る。
所得格差も大きな問題となっており、ジニ係数は40%を上回っている。(一般的にジニ係数が40%を超えると、その国では貧富の差が相当大きいとみなされる)
フィリピンでは地域間の所得格差も深刻な問題となっており、地域別の1人当りGDP(2014年時点)では、マニラ首都圏が8000ドルを超える一方で、最低のムスリム・ミンダナオ自治区では700ドル以下となっており、10倍以上の開きがあり、国土の均衡ある発展の実現できていない。
フィリピンの海外労働者からの送金やBPO産業の発展は、フィリピンの経済成長に繋がっているだけでなく、国債収支上、重要な外貨獲得手段となっている。
2003年には経常収支が黒字化し、それ以降は安定的に黒字を維持している。
2015年時点では貿易収支は赤字ではあるものの、経常収支はGDP日3%程度の黒字となっている。
外貨準備高も増加傾向にあり、近年てば800億ドル以上となっており、これは15ヶ月分の輸入金額に相当する。
フィリピンは海外発の経済・金融ショックに対して耐性が強くなっている事を意味する。
海外発の経済ショックを起点として、投資家のリスク回避姿勢が高まり、新興国から資金流出が生じる際には、経済のファンダメンタルズが脆弱な国、特に海外から借り入れに依存しているという意味で経済収支の赤字国が狙い撃ちにされる事が多い。
フィリピンは、相対的にその可能性が低い国と言える。
フィリピン中央銀行は、金融政策以外にも銀行の規制・監督、外貨準備の管理、為替政策など、幅広い機能を有し、支店も含めると総勢5000人程度を擁する巨大な機関である。
日本で言えば、日本銀行、金融庁の大部分、財務省の国際局を足したような機能を持っており、まさに経済政策の司令塔としての役割を果たしている。
フィリピン中央銀行は、金融政策運営面では安定的なインフレ率と高度成長を両立させている。
また、銀行監督面では銀行部門の不良債権比率は2%程度と低位安定するなど、金融システムの安定も実現しており、テタンコ総裁(2005~2017年)の功績は大きい。
米系金融誌「グローバル・ファイナンス」は、2011年から6年連続でテタンコ相殺を世界最優秀の中央銀行総裁の1人に選出し、その実績を高く評価している。
2016年に、フィリピン政府は最新の国勢調査(2015年実施)の結果を発表し、総人口が2015年8月時点で1億98万人に達した。
既にフィリピン政府の人口委員会が、1分当り3人の子供が生まれているという推計に基づき、2014年夏の時点で1億人を突破したとみられることを発表していたが、2015年の国勢調査で正式に1億人達成が確認された。
過去の国勢調査の結果を見ると、総人口は2000年時点では7651万人、2010年時点では9234万人となっており、過去15年間で3割以上も人口が増加している。
フィリピンの人口増加は、今後もかなり長い期間に渡って続くとみられており、国際連合の人口推計によると、当面はルン間1.5%のペースで増加し、2025~2030年の間には日本の人口を超えると予想されている。
2050年には総人口は1億4826万人に達し、実に2090~2095年まで人口増加が続くと見込まれている。
2095年の総人口は1億6814万人に達すると予想されている。
人口動態にも極めて恵まれており、国民の平均年齢は25歳と極めて若く、生産年齢人口(15~64歳の人口)の総人口に占める比率が増える時期となる人口ボーナス期が2050年頃まで続くと見込まれている。
高齢人口の比率は一貫して低く、2050年頃になってようやく10%程度に達するとみられており、その結果、生産年齢人口の比率は2050年頃まで上昇し、2050年時点では総人口の3分の2を生産年齢人口が占めると予想されている。
21世紀はアジア全体で高齢化が進む中、フィリピンは例外的な存在で少なくとも見通せる将来に老いることを心配する必要はない。
海外フィリピン人労働者の地域別の2015年の送金額をみると、米国からの送金が全体の30%強と最も多く、次いで中東諸国がの送金が25%、アジアからの送金が20%弱、欧州からの送金が15%と続いており、地域は適度に分散されている。
仕事内容では、商船の乗組員など海上労働者の比率が高いのも海外フィリピン人労働者の特徴であり、実に2割が開城労働者からの送金となっている。
商船の乗組員は船員の給与水準が相対的に高い事もあり、フィリピンでは憧れの職業となっている。
日本郵船は2007年に自前で商船大学をマニラ近郊に開咬し、フィリピン人の船員教育に力を入れており、その結果、日本郵船グループ全体で船員の過半をフィリピン人が占めている。
フィリピン中央銀行によると、送金は食費や生活必需品の購入費、教育費、医療費、耐久消費財の購入費、住宅購入費に使われており、フィリピン人の個人消費の原資となっている。
また、海外からの送金は国際収支の観点からみると、外貨獲得の重要な手段となっており、貿易収支は恒常的な赤字構造となっているものの、所得収支は多額の送金に支えられ、黒字となっており、この結果、経常収支の黒字が続いている。