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2016年10月25日火曜日

不動産投資を拡大していく過程で、同じようなスペックの物件ばかりを続けて購入すると、同じタイミングでデッドクロスを迎えることになり、資金繰りで苦労することになる恐れがある。
だから、物件を購入する時には、ポートフォリオ全体のバランスを考慮することが必要となる。
具体的には、エリア、構造、築年数、間取り、残債、残債利回り等が偏ってしまわないように注意すべきである。
特に注意すべきは、ポートフォリオ全体の平均残存耐用年数であり、これは長ければ長いほどよい。
ちなみに、りそな銀行は、この物件全体の平均残存耐用年数を非常に気にするという。
ドンドン物件を増やしていっても、借入比率が高くて残債が減らない状態だと、決算書のバランスは悪くなる。
サラリーマンの属性に対して全国の物件に不動産ローンを融資してくれる有名な銀行に、スルガ銀行がある。
金利が4.5%と高めだが、他の金融機関では融資が通りにくい物件に対しても積算評価以上、法定耐用年数以上の融資をしてくれ、更に審査期間も短いため人気がある。
不動産仲介会社の中には、スルガ銀行で融資がつく物件を、スルガの融資とセットでパッケージにして売っている所がある。
スルガ銀行からの融資を使って、以前は年収700万円程度のサラリーマンでも1億円を超える物件のオーナーになれた。
彼らが買う物件は、利回り9~10%の中途半端な地方にある土地の広い中古RCか鉄骨マンションというのが典型的なパターンである。
スルガ銀行は法定耐用年数以上の長いローンが組めるので、一見、キャッシュフローが多く出るように見えるが、返済を延ばすことで元金の返済が薄くなり、そのキャッシュフローは将来の利益を先取りしているだけである。
金利4.5%で25年とか30年の長期ローンを組んだら、元金はいつまで経っても減らない。
5年後に入居率が下がってきて、そろそろ売りたいと思っても、殆ど元金が減っていないため、売却価格を下げることができず、売りたい価格で買える人が誰もいない悲劇となる。
融資期間を長くとるということには、確かに手元のキャッシュフローを厚くでき大きなメリットがあるように思えるが、将来の大きなデメリットと引き換えとなる覚悟が必要となる。
最悪なのは、2015年からスルガ銀行は、スルガ銀行で融資を受けた物件を買った人が物件を売る時に、次の買主に融資を出さなくなった。
つまり、買える人の数が減り、出口が閉ざされることになっているのである。
5年後、10年後にスルガ銀行スキームで物件を買った多くの中流サラリーマンが、損切り覚悟で投げ売りすることになる可能性もある。
他の一般的な銀行の融資基準では回らないが、スルガ銀行スキームに乗せることで、キャッシュフローが出る物件が、現在の日本には多く流通している。
もし、スルガ銀行の融資姿勢が変わり、普通の銀行と同様に積算評価の7掛けの融資額しかつかず、融資期間も耐用年数までしか融資しなくなれば、誰も買えない物件が日本中に溢れることになる。
スルガ銀行の融資の門が閉まったタイミングが、買い手の激減による物件価格下落の引き金となる可能性もある。