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2017年4月27日木曜日

客観的に見て時間の流れに変化はないはずだが、主観的に時間の流れは加齢とともに、どんどん速くなる。
1歳児の場合、1年を生涯で割ると1分の1となり、10歳児になると10分の1となる。
分母が増えてくるので、1歳児と比較した10歳児の1年は、人生の10分の1にしか相当しない。
当然、1年という時間が経過するのを早く感じる。
50歳の人にとって、1年の比率は10歳児の5倍、1歳児の50倍となる。
このように、加齢とともに時が速く流れていくように感じることには、根拠がある。
イスラム国が国際社会の秩序を混乱させている原因であるという見方は間違っている。
1916年に、イギリス、フランス、ロシアの間で、サイクス・ピコ秘密協定が結ばれ、これに基づいて中東の宗教、歴史、地理、部族の分布などと無関係に国境線が引かれた。
このような欧米の都合によって建設された国家が機能不全を起こし、ISが生まれたのであり、ISは原因ではなく結果なのである。
安保法案の内容は錯綜しており、整合的な理解をすることができない欠陥品であるため、国民の理解は永遠に得られないであろう。
根本的な理由は、この法案が矛盾する2つの原理によって構成されていることにある。
第一は、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を部分的に認めた2014年7月1の閣議決定である。
もともと個別的自衛権と集団的自衛権には重複する部分があり、この重複について、従来は個別的自衛権と呼んでいたものを、国際法の基準に照らして集団的自衛権と読んでもよい、とする内容だった。
この閣議決定に基づけば、自衛隊の行動は従来と何も変わらない。
そして、安倍政権はこの閣議決定を事実上無視して、別の原理で安保法案を構成した。
この第二の原理とは、2015年4月27日の日米外務・防衛担当閣僚がニューヨークで会談し、合意した新しい日米防衛協力指針(新ガイドライン)である。
合意文書には「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう」にする事を目的とされており、自衛隊は地球の裏側にでも出動できることになる。
つまり、自衛隊の活動を自室上、自国防衛に限定する内容の2014年7月1日の閣議決定と、地球の裏側まで自衛隊を派遣できるという解釈が可能な2015年4月27日の新ガイドラインの両方を満たすという矛盾した原理を合わせ持つのが、安保法案11本なのである。
よって、自衛隊を派遣させるような事態が生じた場合、複数の解釈が可能になるので、実際には役に立たず、有事の際には、今回の安保法案とは別の位相で、ゼロから議論のやり直しが必要となる。
明治維新以降、日本経済は景気や戦争の影響で時々、右肩下がりになることがあったが、教育に関しては右肩上がりが続いて来た。
現在、若者の半数が大学、短大、専門学校などの高等教育を受けており、時代とともに日本人の教育水準は向上してきた。
しかし、この傾向が現在、大きく変化してきている。
私立文科系学部の初年度納付金は150万円、その後、授業料で毎年120万円かかる。
40年前と比べると、大学の授業料は4倍以上になったが、この間に平均賃金は2倍にもなっていない。
大学の授業料が急速に値上がりしているのは、教育の新自由主義化が進んでいるからで、日本政府は大学教育をアメリカ型に変容させようとしている。
ハーバード大学など米国一流大学の授業料は年間700~800万円、学生の多くが大学院に進学するので、6年金の授業料だけで4200万から4800万円にもなる。
そして、受けた教育と社会に出てからの収入には正の相関関係がある。
日本でも、このまま教育の新自由主義化が進むと、数年後には私立大学の授業料が年間300万円、国立大学が200万円という可能性が十分有り得る。
このような状況になると、経済的理由から限られた人しか高等教育を受けることができなくなり、教育の右肩下がりが起きる。
親の経済力によって、子供が受けられる教育水準に大きな差が生じるような社会は衰退していく。