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2017年4月27日木曜日

安保法案の内容は錯綜しており、整合的な理解をすることができない欠陥品であるため、国民の理解は永遠に得られないであろう。
根本的な理由は、この法案が矛盾する2つの原理によって構成されていることにある。
第一は、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を部分的に認めた2014年7月1の閣議決定である。
もともと個別的自衛権と集団的自衛権には重複する部分があり、この重複について、従来は個別的自衛権と呼んでいたものを、国際法の基準に照らして集団的自衛権と読んでもよい、とする内容だった。
この閣議決定に基づけば、自衛隊の行動は従来と何も変わらない。
そして、安倍政権はこの閣議決定を事実上無視して、別の原理で安保法案を構成した。
この第二の原理とは、2015年4月27日の日米外務・防衛担当閣僚がニューヨークで会談し、合意した新しい日米防衛協力指針(新ガイドライン)である。
合意文書には「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう」にする事を目的とされており、自衛隊は地球の裏側にでも出動できることになる。
つまり、自衛隊の活動を自室上、自国防衛に限定する内容の2014年7月1日の閣議決定と、地球の裏側まで自衛隊を派遣できるという解釈が可能な2015年4月27日の新ガイドラインの両方を満たすという矛盾した原理を合わせ持つのが、安保法案11本なのである。
よって、自衛隊を派遣させるような事態が生じた場合、複数の解釈が可能になるので、実際には役に立たず、有事の際には、今回の安保法案とは別の位相で、ゼロから議論のやり直しが必要となる。

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