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2015年6月18日木曜日

資本とは何か。ピケティは「資産」と「資本」をほぼ同じ意味で使用しており、所有する不動産も金融資産も全て資本になると言っている。
しかし、資本のカウント方法には注意が必要である。
資本は不動産などの実物資産と、株などの金融資産があるが、これらを全て足すと二重計上になってしまう。
不動産を買うために銀行から借りた借入金は、自分にとっては「負債」となるが、銀行にとっては貸付金という「金融資産」となる。
つまり、自分が購入した不動産という(実物)資産であると共に、銀行にとっては貸付金という(金融)資産となり、両方を足すと二重計算になってしまう。
一つの実物資産が、一方では同じ額の金融資産としてカウントされているのだから、その分を省かねばならないのである。
基本的には実物資産だけカウントすればいい事になる。
公的債務(国の借金)においては、インフレが解決策の1つとなる。
財政面で歴史の教訓を言えば、1945年のフランス・ドイツはGDP比200%の公的債務を抱えていたが、1950年には大幅に減らせている。
もちろん債務を返済した訳ではなく、物価上昇が要因である。
『21世紀の資本』の中で、「産業革命以来のインフレ」という1700年から2012年までのフランス、ドイツ、アメリカ、イギリス各国のインフレ率の推移が示されている。
1870年までは0%かそれ以下となっているが、20世紀前半に急激に上昇している。
これは第一次世界大戦前までの金本位制を廃止したことが、原因だった。
欧米では第一次世界大戦(1914~1918年)から第二次世界大戦(1939年~1945年)後にかけて、急激なインフレが起こったのである。
つまり、戦費捻出のために金本位制を廃止し、カネを大量に刷った結果、インフレを招いたのである。
ピケティは『21世紀の資本』で、先進国から新興国まで20カ国、300年分もの膨大なデータを集積しそれらを並べて、どのような事が見えてくるのかという作業により、壮大なスケールで富や歴史を詳説し、世界の格差のありようを明らかにした。