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2015年11月4日水曜日

鈴木宗男氏は他の国会議員と握手の仕方が違う。
「握手は全員としなければならない。一部の人だけすると、どうしても握手しなかった人のなかに、あの人は自分とはしてくれなかったという気持ちが残ってしまう。だから全員とするか全員としないか、二つに一つなんだ」と言う。
だから時間が押している時は、初めから誰とも握手をせずに、車から身を乗り出して大きく手を振るだけしている。
北方領土ビジネスというのがある。
外務省が直接、自分達で右翼と真摯に対応するのを避け、右翼を騙るような連中を間に挟んで、その連中に右翼対策をしてもらう構造の中で生まれた。
具体的には、袴田茂樹(青山学院大学名誉教授)、吹浦忠正(ユーラシア21研究所理事長)とか、安全保障問題研究会という組織に属している人々に、便宜を供与し、情報を提供し、カネを流すことによって右翼対策をやろうと考えていた。
北方領土ビジネスに携わる人達は、北方領土問題がいつまでも解決しない事が自分たちの利益となり、食い扶持が残る構造になっている。
そして、北方領土の日などの行事を事務局で仕切ってカネにする。
北方領土問題対策協会(北対協)、北方領土復帰期成同盟(北方同盟)、北方領土返還要求連絡協議会(北連協)などがあるが、彼らの運動で北方領土交渉が前進したことはない。
2007年5月末に、元外務官僚の東郷和彦氏が『北方領土交渉秘録』という著書で沈黙し続けてきたことについて書いた。
日露の秘密交渉がどうして失敗したのか、1973年の秘密交渉や1992年のロシア側の秘密提案についても、初めて奥深い部分が表に出ている。
実名や交渉の経緯が細かく出ていて、国家公務員法上の守秘義務に抵触するギリギリの所まで踏み込んだ内容である。
驚くべきことに、1972~73年あたりで北方領土問題が一度解決しそうになった事があり、さらに1992年にも日ソ関係が本格的に動き出しそうになったある。
しかし、ソ連との関係を進めようとすると、必ず外務省の主流派「アメリカン・スクール」と呼ばれるアメリカ派と、条約畑の「条約マフィア」によって、潰された。
その背景には超大国アメリカの存在があったという。

北方領土交渉秘録―失われた五度の機会 (新潮文庫)

「愛国心は悪人の最後の逃げ場である」
by タレーラン(19世紀フランスの謀略外交官)

国のためとか国益などと大きな声で言っている人は信用してはならない。
自民党で将来名をなす政治家のコースは、内閣官房副長官を経験するか、党の総務局長を経験するかというのがポイントである。
総務局長で頭角を現したのが、野中広務と古賀誠、谷垣禎一であり、内閣官房副長官を経験したのが海部俊樹、小渕恵三、森喜朗、山崎拓、加藤紘一、安倍晋三、両方やったのが小沢一郎と鈴木宗男である。
政府や官邸という権力の表と裏を見ることができるポストが内閣官房副長官である。内閣総理大臣が知る話で役人から上がってくる情報は全て官房副長官を通るからである。
それから報償費(機密費)も扱うことになる。
機密費は痕跡が全くつかないと世間では思われているが、そうではなく、内閣参事官のところに記録があり、内閣官房副長官が見せろ言えば出してくるので、機密費の流れを知ることができる。
自民党の総務局長は、衆議院、参議院の選挙に関して全ての候補者の割り振りをするポストで、公認するかどうかは、まず総務局長が判断する。
接待や賭博などで政治家に極力貸しを作るのは外務省の一種の文化である。
外務省の業界用語で、「便宜供与」というのがあり、AA、BB、CC、CCーGG、DD、TTーXX、TTランクの分類がある。
この便宜供与を受けた国会議員は、全員リストに載っていて、このリストは大臣官房総務課で集中管理され、必要がある時はその情報が使われる。
2005年10月に、鈴木宗男氏が質問した「在外公館が行っている便宜供与に関する質問主意書」によって、この分類と国会議員に対する便宜供与が998件あった事が明らかになった。
「情報操作」と「政策広報(宣伝)」というのは、実は同じことである。
敵がやるもの、あるいは自分達に都合が悪いものを情報操作と呼び、自分達に都合のいいものを政策広報と呼ぶ。
結局、情報のリークというのが、公権力の仕事であり、情報を恣意的に、断片的に流す事を組織的にやれば、どんなに強いマスコミでも勝つ事はできない。
どの国、どの時代にも、権力者にとって気に入らない政治犯罪は存在する。
戦後、日本には政治犯罪は存在しないという建前になっている。
日本の場合、国策捜査によって、検察が政治犯罪を経済犯罪に転換し、それを裁判所が追認する構造になっている。
日本の政治はこのように形で動いていて、司法の世界で政治の物事を解決するという思考そのものに問題が潜んでいる。
内閣官房報償費(機密費)の札束の薄茶色の帯封には、銀行の名前が書いていない。
内閣官房報償費とは別に、外務省報償費(機密費)というのがあるが、外務省の内規で、領収証の添付が義務付けられていて使い勝手が悪い。
だから、外務省の役人と食事をしたジャーナリストは少ないはずだが、実名を記載した記録が残っている。
外務省報償費で3回も食事をすれば、りっばな情報提供者扱いとなる。
局長クラスが、腹をくくって領収証不要の掴み金で良い、という制度的にはできるが、ただし局長がそれを認めたというサインが必要で、その記録が残ることになり、そんな腹をもっている局長は外務省にはいないという。