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2017年5月26日金曜日

銀行が最近、窓口販売で最も力を入れて販売してきた代表的な保険商品は、貯蓄性保険商品として分類される「一時払い終身保険」である。
保険料をまとめて「一時払い」する商品で、10年後の解約返戻金は一時払いしたお金よりも増えているため「貯蓄に有利」と顧客に姓滅して販売してきた。
だがカラクリがあり、たとえ9年でも10年以内に解約すると損失が発生する。
つまり、10年間は事実上、解約させない商品とも言える。
銀行窓口では「貯蓄機能と保険機能を組み合わせた0.5%程度の利回りの保険商品」と説明して販売していた。
しかし、2000年代に入って10年利付き国債が年1%程度の利回りだったように、10年巻の利回りで考えれば、より有利な貯蓄性の金融商品はいくらでもあった。
顧客の見えない裏側で、保険会社は利回り1%の国債で安定的に10年間運用し、顧客には利回り0.5%分を返戻金に上乗せし、残り0.5%分を銀行への販売手数料や諸経費として、運用益から差し引いていた。
顧客の資産形成を考えるならば、顧客自らが年1%利回りの国債を購入し、保険は必要な分だけを安価な掛け捨て商品で利用した方が、正しい提案だったはずである。
金融庁の調査によると、日米英の家計金融資産は、1995年を1とした場合(英国は1997年を1)、2015年末には米国は3.11倍、英国は2.27倍まで増えたにもかかわらず、日本はわずか1.47倍にしか増えていない。