最近、中東における同盟国間に当たらな構造変化が起きており、イスラエルとサウジアラビアの接近が始まっている。
2016年にサウジアラビア国王の安全保障顧問のアンワル・エシュキという予備役少将が、エルサレムに行き、イスラエルの安全保障担当補佐官のドレ・ゴールドと会っており、そのことを隠そうともしていない。
エルサレムは1947年の国連総会における分割決議依頼、国際的にはどこにも帰属しないとされていた都市である。
それをイスラエルは第一次中東戦争の1949年に西エルサレムを支配下に置き、1967年の第三次中東戦争で東エルサレムも一方的に併合してしまった。
このエルサレムの地に、サウジアラビアの要人が訪れて、安全保障についてイスラエルと公然と会談をしているのである。
エジプトの力が弱まり、イラクも解体した今、スンナ派のリーダーシップをとる最大の盟主はサウジアラビアである。
そのサウジアラビアが、シオニスト国家のイスラエルと交渉をしているという事実は驚きである。
両国にとって共通の敵となるイランの存在が大きくなったのである。
アラブは一つという古典的なパラダイムは機能しなくなり、今やシーアは対スンナ派という大きな対立軸となっている。