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2015年8月17日月曜日

<世界のスターバックス「グランドラテ」(473ml)のドル換算価格>
『ウォールストリート・ジャーナル』2013年調査。

オスロー(ノルウェー)     9.83ドル
ストックホルム(スウェーデン) 7.40ドル
モスクワ(ロシア)       7.27ドル
チューリッヒ(スイス)     7.12ドル
ヘルシンキ(フィンランド)   6.38ドル
フランクフルト(ドイツ)    5.53ドル
パリ(フランス)        5.18ドル
シドニー(オーストラリア)   4.82ドル
北京(中国)          4.81ドル
ソウル(韓国)         4.54ドル
東京(日本)          4.49ドル
ニューヨーク(アメリカ)    4.30ドル
サンパウロ(ブラジル)     4.23ドル
トロント(カナダ)       4.08ドル
イスタンブール(トルコ)    3.92ドル
香港               3.87ドル
ロンドン(イギリス)      3.81ドル
サンフランシスコ(アメリカ)  3.55ドル
ニューデリー(インド)     2.80ドル

北欧各国の価格が高く、オスロの9.23ドルの価格を1ドル120円で換算したら1180円にもなる。
ヨーロッパ先進国でも日本より高くなっており、アジア各国では高級感を演出するため給与水準よりも高めの設定がされている。
連合の集計(2015年3月20日)によると春闘の賃上げ額は、定期昇給を含めて月額7497円、このうちベースアップ分は2466円だった。
消費税増税で年収500万円の平均家庭の負担額は、年間8万5000円という試算があり、また円安による輸入インフレによる負担額は平均で年間16万2000円増加したという試算がある。
これらを合算すると平均家庭で年間25万円の負担増となっており、ベースアップ分では全く足りていない。
雇用者の給与については、消費税増税前の2013年のデータ(2014年9月国税庁発表)が最新だが、それによると男性全体の平均給与は511万円(前年比1.9%増)、女性全体では272万円(前年比1.4%増)となっている。
その内訳をみると、正規雇用者は、男性が527万円(前年費1.2%増)、女性が356万円(前年比1.9%増)と前年に対して増えているにもかかわらず、非正規雇用者は、男性が225万円(前年比0.4%減)、女性が143万円(前年比0.2%減)と前年に対して減っている。
日本は、正規雇用者と非正規雇用者では、給料は倍以上の差があり、男女の差も大きい。
賃上げに関するメディアの報道は、常にこの男性正規雇用者に焦点が当たっている。
一般国民が景気回復の実感が得られるのは、株価上昇よりも給料アップだが、実際のところ給料は上がっていない。
2015年の春闘では、トヨタがベア4000円、日産が5000円アップされた他、電機でも一律3000円アップが実現したので、メディアは「過去最高決着」と報道した。
しかし、連合の集計によると、全体の賃上げ率は2.36%、ベアは0.6%で、2014年の賃上げ率2.07%から若干前進した程度で、給与水準としては2012年並みに戻ったにすぎなかった。
しかも、これは大企業に限ったことである。
日本の会社員全体の給料という点では、賃金の基本統計とされ、消費を大きく左右するとされる「所定内給与」(事業所規模5人以上、全産業)の方が重要である。
厚労省の「毎月勤労統計調査」では2014年も毎月、前年割れが続いているにも関わらず、安倍総理は国会の施政方針演説で「昨年、過去15年間で最高の賃上げが実現しました」とデタラメな演説をしている。
しかも、物価変動を考慮した実質賃金の下落は止まっていない。
厚労省は2015年6月に、「実質賃金が24ヶ月ふりにプラス」と発表したが、その数値はたった0.1%でしかない。
しかも数字を押し上げたのは、臨時給与の大幅な伸びがあったからに過ぎない。
厚労省の毎月勤労統計で実質賃金のデータは発表されるが、「賃金」には「決まった支給する給与(基本給や残業代)」と「特別に支払われた給与(ボーナス)」の2項目があり、後者が前年比14.9%増となり全体の数字を押し上げたのである。
前者の定期給与だけでみると、0.5%増にすぎず、物価上昇率の0.8%を考慮すると実質賃金はマイナスとなっている。
現在、日本の国富に関する統計は、国民経済計算ベースでの「日本の正味資産」しか存在しない。
この日本の正味資産には、実は対外純資産以外の株のような金融資産が存在しない。
これは、金融資産には、その反対側に必ずそれに等しい金融負債が存在していると国民経済計算では考えるからである。
つまり、株価がいくら上昇しても、株価の時価総額の増加と等しい金融負債が増加して位と考えられるからである。
従って、国富の大半は非金融資産であり、すなわち土地資産となる。
この土地資産が、年々下がっているので、これまで日本の国府は減少を続けて来た。
ところが、対外純資産だけは増加を続けて来た。
対外純資産とは、日本の政府や企業、個人投資家が海外に持つ資産から負債を差し引いたものだが、国内の株価が海外投資家によった吊り上げられれば対外資産は減る。
なぜそうなるかと言うと、国民経済計算では海外投資家による日本株保有額が増えれば、それと同額の国内負債が増加すると考えられているからである。
海外投資家が日本株を買えば、その分の対外負債が発生し、対外負債が増加すれば、対外純資産は減少し、国富は減少する。
2013年は海外投資家が大幅に日本株を買い越した。
2013年末では、日本の個人投資家は75兆円の外国株を保有し、海外投資家は151兆円の日本株を保有しており、その差は76兆円もある。
日本は世界最大の対外純資産を保有しながら、株に関しては資産より負債の方が圧倒的に多い。
日本の国富は外国人にどんどん流れている。
日経平均株価2万円の大台をドルに換算してみると、1ドル120円ならば167ドルになる。
アベノミクスが始まる前の円は1ドル80円だったので、同じ為替レートで日本株が2万円だったとしたら、ドルベースでの日経平均は250ドルになる。
ドルベースでの日経平均の最高値は、バブル経済ピーク時の1989年の286ドルだが、この天井値に近くなる。
<日経平均の推移:円建てとドル建て比較>
        円建て      ドル建て
2012年12月   1万395円      127ドル
2013年4月     1万3860円    142ドル
2013年9月     1万4458円    146ドル
2013年12月   1万6291円    158ドル
2014年4月   1万4304円    139ドル
2014年9月   1万6173円    151ドル
2014年12月   1万7450円    146ドル
2015年5月   2万560円     166ドル
両者を比較すると、円では1万円以上も上がって上昇率も98%と大きくアップしたにも関わらず、ドルでは39ドルしか上がっておらず上昇率も30%にすぎない。
特に注目すべきは、2013年12月から2014年12月の1年間で、円建てでは1200円上がっているにの対して、ドル建てでは12ドルも下がっている。
この1年間で急激に円安が20%進み、この下落率が株価の上昇率を相殺してしまったのである。
日銀に国債を売った側である金融機関の資産の推移は、日銀資料の「預金取扱機関のバランスシートの推移」を見れば分かる。
ポートフォリオに占める資産である国債・財融債の比率は下がり、日銀当座預金の比率が上がっている。
異次元緩和が始まる前の2013年3月時点で、預金取扱機関の保有国債残高は315兆円だった。
それが2014年12月には272兆円となり、43兆円減少している。
この減少分は37兆円増加した流動性預金とほぼ釣り合っている。
つまり、異次元緩和で金融緩和は起こっておらず、見せかけだけの金融緩和となっており、円安だけが進んだということになる。
日銀が掲げたインフレ目標は2%とされ、それが実現できるまで異次元緩和を続けると、黒田総裁は宣言した。
これまで、メディアは日銀がお金を刷って、それが市中に大量に供給され、ジャブジャブになっていると報道してきた。
しかし、日銀の試算と負債を示すバランスシートをみると、日銀は異次元緩和以来、資産とされる「国債・財融債」を増やしているが、負債にあたる「現金」はほぼ横ばいであり、「日銀預け金」(日銀当座預金)が「国債・財融債」の増加と同じペースで増えているだけである。
日銀の国債保有残高は、異次元緩和が始まる前り2013年3月は94兆円だった。
それが2014年12月には、計画通りのペースで増えて207兆円になっており、131兆円も増加している。
日銀の総資産317兆円の65.3%に達している。
しかし、日銀当座預金だけが120兆円増えており、現金は殆ど増えおらず、「国債・財融債」を民間銀行から買った代金は、日銀当座預金に「ブタ積み」されている。