Amazon

2017年4月4日火曜日

「百聞は一見に如かず」の後は「一見は一考に如かず、一考は一行に如かず」と続くんだ。
経験しただけじゃダメだよ、考えただけじゃダメだよ。
行動しないと。
by 末次一郎(陸軍中野学校出身の社会活動家)
ニコラス・ルーマンという社会学者が『信頼』という著書の中で、世にも複雑なシステムを縮減するには様々な方法があるが、最も使いやすいのは信頼だと言っている。
要するに、信頼の機能分析をしている。
それによと、アメリカの政治家や診療たちが、「折れは聞いていない」と言って興って暴れる理由は、自分が信頼を寄せる人間が自分に報告をしてこないことが許せないからで、自分が信じたはずの人間が、なぜ自分を軽視するのか、と考えるからだという。
ここでのポイントは、信頼がどのように生まれるかで、「この人は信頼できる」と決めるのはあなたであって、その人自身が信頼に足る人物であるかどうかは関係ないのである。
ルーマンは、一旦信頼してしまうと、騙されてもなかなか認めることができなくなるという。
なぜならば、そういうヤツを信じた自分が惨めになるからである。
ひとり親世帯とシングルマザーが増えており、91万人という数字が出ている。
相対的貧困率でみると、OECDの平均が11.2%に対し、日本は16.1%で平均よりも高い。
ひとり親世帯になると、OECD平均が30%前後なのに対して、日本の平均は54.6%だから、圧倒的に相対的貧困率が高くなる。
非正規だったりアルバイトで食いつないでいる人達が、将来不安を持っていると一般的には思われているが、実は最も不安を抱えているのは、もっと上の層だという。
不安感を強く持つのは「没落を恐れる中間層」なのだという。
低所得層の中には、ある種のわりきりがあって、生活保護を一生受ければ生きていけるし、非正規でも食いつないでいけるという人もいる。
社会的下層へ落ちることを恐れるのは、真ん中より上ぐらいの層で、その層の人達がファシズムに走るということを、ゲオルギ・ディミトロフ(ブルガリアの元首相の協賛主義者)は「ファシズムの特徴」として挙げている。
年収300万円から800万円の層は、年金は貰えるし結婚もできたし、一応、子供もいるけど、都市部では私立中学に行かせたり、進学塾に行かせたりすることは厳しい。
しかも、将来もらえる年金も期待できず、正社員でもいつクビになるか分からない。
だから一番おびえているのが、実はこの層だという指摘があり、そこが一気に右傾化しつつあるという。
「在特会」とか「日本会議」を支持する人達がこの層だという指摘もあるという。
乳児院にいる子供は泣かない傾向があるという。
ミルクの時間に飲まなければ、いくら泣いても誰もミルクをくれないから、泣かなくなる。
また、表情にも影響が出で来るという。
こびを売るという重要なコミュニケーション手段だが、何をしても相手にしてくれないから、コミュニケーションをとる動機が薄れてしまう。
だから、初期教育のところで、人間とは何か、親子とは何か、華族とは何かという価値観を刷り込む意味でも、就学前教育はすごく重要だという。
保険会社の利益を圧迫しているのは、「被保険者の死ぬ前の5日間」だという。
このわずかな期間に、保険でまかなえる高額の保険金が全部使い切られるという。
「人間の命は金には換えられない」とされる中、生命保険の分野だけは唯一の例外で、人間自身が商品化されている唯一の部門となる。
「尊厳死」とは本来、人間の生き死にの問題であり、究極の尊厳の問題にもかかわらず、日本で違和感があるのが、これを財政論として語られることが非常に多い。
これはアメリカの影響と思われる。
アメリカでは、がん保険の適用にはならないが、もしあなたが尊厳死を選ぶのならば、保険適用になるのは、この薬ですという返事が来るという。
尊厳死がオランダやスイスで盛んにおこなわれているかと言うと、カルヴィニズムと関係するからである。
カルヴィニズムというのは、生まれる前からその人がどうなるかは、「天国のノート」に書いている。
だから救われる人は最初から選ばれているし、そこで尊厳死を選択しても自殺ではないから、神の意志にかなっている。
そして復活できるというカルヴィニズムが世俗化したところでは、比較的に尊厳死に対する抵抗が少ないという。
富山県では男性も女性も同じように働き、女性の正社員率が日本で一番高い。
一人当たり雇用者報酬は平均レベルなのに、世帯当たりの実収入になると、トップ3に入り、生活保護受給率も一番低い。
日本で一番大きな家に住み、日本で一番車を保有する県で、消費も旺盛である。
子供の学力は全国でトップ3に入っており、人口1000人当りの東大合格者数は全国トップクラスだという。
しかも効率高校が中心だから、公教育でエリートを育てている。
製造業が日本で一番強い県でもあり、製造業比率は日本一番である。
ちなみに北方領土には富山県出身者が多く、富山では北方領土の返還運動が非常に強い。
茨城県常陸大宮市にある医療法人博仁会の取り組みが興味深い。
博仁会は医療・介護・リハビリを総合的に運営しているが、職員の育休・産休の取得率がほぼ100%だという。
理事長の考えが明快で「出生率を高めるためには、育休・産休の充実、短時間勤務、保育施設の整備に尽きる」と、少子化対策の処方箋は分かっていると断言し、それを実践している。
1.育休・産休を職員全員に取らせる
2.企業の中に保育施設を作る、無理なら近所に作る
3.介護士、看護師の深夜勤務を無くす、短時間労働を制度化する
この3つをやれば、子供は普通に増えるという考えである。
また職員同士がカップルになっていることも大きく、年収350万円のカップルだと世帯年収が700万円になり、状況は劇的に変わるという。
ワークシェアリング的なモデルとして知られているのは、JR東労組(東日本旅客鉄道労働組合)である。
超過勤務は基本的にさせず、それをワークシェアリングという形で、労働時間を減らすと同時に、非正規の郡スタッフを極力、正規にしろと主張している。
しかも、1人だけ抜け駆けして休日出勤で残業代をもらってはならないという教育を徹底しているので、組織内に一種の同庁津力が働いているという。
「同一価値労働・同一賃金」という政策は、当初、「連合」(日本労働組合総連合)は酷く及び腰だった。
理由は正社員の既得権益と非正規の人達の既得権益がバッティングするからで、自分達正社員の給料が下げられることを警戒して、連合の中でもタブ-に近い雰囲気があった。
ところが、安倍政権が「同一価値労働・同一賃金」を言い出した事で、結局、正社員ほ引きずり下ろすのではない方向で、連合もテーマにするようになった。
連合の中でも、「同一価値労働・同一賃金」を言うのは、官公労中心の旧総評(日本労働組合総評議会)系で、マルクス経済学をベースに理論的な訓練をしてきた人達である。
この人達は、労働というのは最終的には強度の違い、すなわち熟練の違いがあるので、そこは「価値の差だ」という理解で納得できる。
それに対して、民間中心の旧同盟(全日本労働総同盟)系などのマルクス主義的な労働価値説に対する藩閥が強いグループは、むしろ労働市場は需給のバランスてせ決めればよいという考え方が主流である。
連合系の中でも、労働に対する発想がこれだけ乖離している。
統計的に言うと、格差の大きな社会にいる人達は、その社会を「不平等だ」と感じる傾向にある。
しかし、自分がギリギリ「中間層」に留まっていると信じたい多くの日本人にとって、格差の問題は「他人ごと」として受け止められている。
国際社会調査プログラムによると、自分達の社会を「不平等だ」と考える日本人の割合は41ヵ国中30位、「所得格差が大きすぎる」と考える人の割合も29位と低い。
当然、格差を是正する必要も感じなのであろうか、「格差を是正するのは政府の責任だ」と答える人の割合は、33ヵ国中28位と低くなっている。
日本は貧しい人への給付と富裕層への税、両者を通じた財政の格差是正効果が、先進国の中でも最も低い国の一つである。
「中の下」で踏みとどまっている人達にとって、社会に助けられる貧しい人達は「お荷物」になり始めているかもしれない。
所得格差をあらわすジニ係数を見ると、日本はOECDの中で9番目に格差が大きい。
相対的貧困率は6番目に高く、これをひとり親家庭に限定すると最悪の数字になる。
これらを裏付けるように、年収200万円以下の世帯が全体の2割を超えている。
国際社会調査プログラムよると、自分の所得が平均以下だと思う人の割合は、41ヵ国の中で日本は12位と高い。
また、育った家庭と現在の位置づけを比べて、「下がった」と答えた人の割合は、41ヵ国中8位、「父親以下の職業になってしまった」と思う人の割合に至っては25ヵ国中、日本は1位になっている。
中流意識は依然と変わらない一方で、自分の属する階層を「中間層の下」だと感じる人の割合は、38ヵ国中1位となっており、生活水準の悪化を反映している。
日本人は貧乏になった。
世帯所得はピーク時だった1994年と比べて18%低下、金額にすると120万円の減少である。
しかもこの間、共働き世帯が930万世帯から1077万世帯に増え、専業主婦世帯の数は943万世帯から720万世帯へと減少している。
男性の収入だけに頼っていれば良い時代は終わってしまった。
もし、ピーク時の所得を維持できていたら、1世帯当たり1500万円以上もの貯金ができたことになる。
日本政策金融公庫の調査によると、高校から大学までにかかる費用は900万円、自宅外通学ならばこれに545万円プラスされる。
消えた貯金は、子供一人分の教育費を十分に賄える額だったことになる。