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2014年2月10日月曜日

投資家のジョージ・ソロスは、自身がハンガリー生まれのユダヤ人であったことから、1980年代の終わりに、東欧革命の渦中にあったハンガリーの民主主義運動を支援していた。

ソロスの母国へ民主化支援活動の中で、最も効果があったのが「コピー機を配った」ことだった。

社会主義国で、情報が統制下にあったハンガリーでは、コピー機も政府の管理下にあり、民主化運動の活動家が自分達の意見をチラシやビラで配ることが難しかった。

そこで、ソロスは大量のコピー機を私財で購入し、ハンガリーの国中にばらまくことでね情報の流通性を高め、民主化運動を成功させた。
education(教育)の語源は、ラテン語で「引き出す」という意味のeducere(エデュカーレ)。

つまり、上の立場の人間の考えを「押し付ける」ことでも、正解を「詰め込む」ことでもなく、相手から思考力や洞察力を「引き出す」ことこそが、教育本来の姿なのである。
「平行線は交わらないもの」と考えられてきたが、ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンは、平行線を球面上で考えて、「平行線は交わることがある」と気づいた。
地球儀の上で平行線を引いたら交わったので、これを公理系に発展させ、「リーマン幾何学」を確立した。

実は、リーマンはキリスト教の牧師の息子で、もしリーマンがユダヤ教徒やイスラム教徒だったら、この発想は出てこなかったかもしれない。

ユダヤ教、イスラム教だと、神と人間は永遠に交わらず「平行線」のままだが、キリスト教は、神であり人間であるイエス・キリストという特異点があるので、「交わらないものが交わる」という発想に至ったのかもしれない。
2012年の総選挙で、TPP交渉への参加について、自民党が取りまとめた公約は「TPPが聖域なき関税撤廃を前提にするなら、TPP交渉への参加に反対する」だった。

農協をはじめとするTPP反対派は、当時、これでTPP交渉に参加しない足がかりの一つができたと安堵していたが、これは明らかに「TPP参加を表明した公約」であった。

この公約のミソは「聖域なき」という言葉で、もしTPPが「聖域なき関税撤廃」ということが前提になっているならば、TPP交渉には参加しない、という意味になる。

しかし、このTPP交渉を事実上、取り仕切っているアメリカは、一度も「聖域なき関税撤廃」とは唱っていない。
ありもしない前提をあえて掲げ、そうなれば参加しないと。

この公約は、戦後の政治文学の最高傑作の一つと言われている。
安倍政権は、憲法改正に直ちに着手することができないので、集団的自衛権に積極的な小松一郎氏を内閣法制局長官に据え、解釈改憲を進めようとしている。

この手法は、ナチスがワイマール憲法を改正せずに国家体制を抜本的に転換したのと似ている。

1940年頃までナチス政権下における憲法理論の第一人者だったドイツ憲法学者のオットー・ケルロイターは、『ナチス・ドイツ憲法論』で、英米法のように解釈に幅のある憲法は、指導者により体現されることとなるので、指導者国家の法律や命令は必ずしも憲法の縛りを受けない、と主張している。

麻生副総理の「ナチス手口を学んだらどうかね」という発言には、ワイマール憲法自体の改正を迂回し、ナチス体制を構築した技法が、埋め込まれている。
ナチス党は1932年11月6日の選挙で第一党になったものの、得票率は33.1%、議席にして196議席(656議席中)にすぎなかった。
年が明けて1月30日、アドルフ・ヒトラーは首相に任命されたものの、入閣した党員はヒトラーを含め3人のみだった。
そこで、2月に入ると議会を解散してしまう。

2月27日、国会議事堂の放火事件が起きると、ヒトラーはこの犯行を共産党の策謀と決めつけて共産主義者の大量逮捕に踏み切り、さらに共産党議員の逮捕命令も出した。
その結果、3月の選挙において、ナチス党は得票率43.9%、288議席を獲得した。

その後、立法権を国会から政府に移譲する「全権委任法案」を議会に提出した。
これは事実上、ワイマール憲法を修正するもので、総議員の3分の2以上が出席し、その3分の2以上の賛成が必要だったが、与党はそれに及ばなかったため、規則を修正するなどして、なんとか賛成に持ち込み「全権委任法」を成立させた。

つまり、麻生副総理が言う「ヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ」という発言は、全く歴史的事実に基づいていない事は明らかである。
CIA元職員のエドワード・スノーデンは、20歳くらいでCIAの技術職員になり、30歳の彼は約10年間CIAの職員だった。

自ら告発者だと名乗り出た当時、連邦政府から仕事を請負っている大手コンサルティング会社の下級社員だた理由は、能力が低いからではなく、インテリジェンスの非合法活動にかかわっていたからである。
万一、事故が生じた時に備えて、外部の民間会社の下級社員の肩書で重要な任務に当たらせていた。

その証拠に、30歳の彼の年収は20万ドルと高級で処遇されていた。
日本の外務省ならば、シニアの課長か局長級審議官の待遇である。
17世紀にヨーロッパでウェストファリア条約が結ばれて、ネイション・ステート(国民国家)ができる遥か昔から、中国には祖国を捨てる意を表す「亡命」という言葉があった。

祖国を去ることは、即ち命を亡ぼすことを意味している。
平壌において、モンゴル大使館は、中国大使館、ロシア大使館と並んで、他国の大使館とは格が全然違う。

他の大使館は、平壌市の校外の囲われた特別区画に閉じ込まれているのに対して、モンゴル、中国、ロシアの大使館だけは、市のど真ん中にある。
戦後の世界では、当初、国連軍が悪を討つ役割を担う事が想定されていたが、米ソの対立もあり、ついに正規の国連軍は誕生しなかった。
国連の安全保障理事会は、武力の行使にお墨付きを与えるだけで、湾岸戦争のように、アメリカが中心となって多国籍軍を編成して、国連軍の代役を担ってきた。

今回、オバマ政権のシリアのアサド政権に対する迷走ぶりは、安全保障上の「抑止力」がきかない事を国際社会に知らしめてしまった
アサド政権は、化学兵器を使用しても、アメリカのレッドラインを越えても何の攻撃も受けず、自らが申告した化学兵器だけを引き渡して国際管理下に置けばいいということになった。
その結果、「核開発をしても許される」という誤ったメッセージをイランに送ってしまった。

冷戦期も冷戦後も、抑止力として「力の行使」を最後のカードとして手に握りしめてきたのは、事実としてアメリカだけである。