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2016年8月29日月曜日

本を読まない、読書時間ゼロが、日本人の2人に1人に拡大している。
2014年9月に文化庁が発表した調査結果によると、1ヶ月に1冊も本を読まない人は47.5%と、10年前に調べて10%増えている。
別の調査では、全く本を読まないと答えた大学生が、4割を超えたという。
帝京大学の図書館では、2010年まで毎年貸出数は増え続け年間17万冊に達していたが、毎年1万冊のペースで貸出数が減り続けている。
本を読むという行為は、情報を得たいという為にやる訳ではなく、むしろ自分の中からどの位引き出せるか、という営みであり、人間が持っている創造的な能力がフルにいかされる事になる。
立花隆氏は、「考える力や思考力を高めて行く為に、本を読むプロセスの中で、読むというインプットだけではなく、アウトプットとして知識をまとめて書くという体験が必要」と言っている。
第三次世界大戦は既に始まっているかもしれない。
これまでのように国家間関係における戦闘行為としてだけ考えることはできなくなってきている。
イスラム国から波及して、北アフリカ、シナイ半島、中央アジア、新彊ウイグル、インドネシア、フィリピン・ミンダナオ島まで広がりかねない。
インドネシアのイスラーム過激派は、既にイスラム国に対して忠誠を表明しており、2014年12月には「次は日本が危ない」という警鐘を、わざわざ獄中から発した過激派のリーダーもいる。
このシナリオの特質は、第三次世界大戦が国家間の対称型の戦争や、正式に宣戦布告をして展開される戦争ではないということである。
過去における湾岸戦争やイラク戦争も、振り返ってみればそういうタイプの戦争だった。
イラク戦争では降伏調印儀式も行われていない。
安倍総理が祖父の岸信介総理への思いを持っているように、鳩山由紀夫総理も祖父の鳩山一郎総理への思いを持っているという。
鳩山一郎は戦犯指定され、公職追放でホワイト・パージを食らっている。
このような背景を含めて、鳩山由紀夫は強力な反米、嫌米感情を持っているという。
世襲政治家によくある単なる愚か者であれば、大した心配をする必要はないが、鳩山氏は決してそうではないので、面倒くさい。
やはり、自分の息子の紀一郎を長期間、モスクワに置いている点も考慮しなくてはならない要素となる。
日本と領土問題や平和条約の問題で緊張関係にあり、公式にはまだ戦争状態が終結していない国に、現役の首相が息子を留学させていた訳であり、濃厚な諜報筋も含めた人間関係にからめとられる危惧を、一国の最高首脳が持たないというのは特異すぎる。
鳩山紀一郎氏、交通渋滞の専門家であり、その父親が専攻していたマルコフ連鎖確率は理論的継承関係がある。
マルコフ連鎖確率というのは、意思決定論にも使えるが、天気予報と交通渋滞などにも応用することができる。
かなり簡略的な言い方をすると、直近に起きたことだけを考えればよいという理論で、悪く言えばニワトリと一緒で3歩歩けば忘れてよく、過去の経緯はいらないというのである。
これが実践的にみた場合のマルコフ連鎖確率の最大の特徴である。
「ヨーロッパの病人」であるギリシアに道場すべき余地は少ないかもしれないが、消費者としての購買意欲や借金欲を、そそったのは誰だったのかという点も合わせてみておく必要がある。
ドイツはギリシアが金を返すことができないと分かりつつも貸付て、ひと儲けした。
ドイツのハレ経済研究所が、ドイツはギリシア危機で1000億ユーロの利益を得たと発表している。
安全資産のドイツ国債の需要が高まり、利回りが低下して価格が上昇したから、ギリシア危機がなかったと仮定した状態と比べると、2010年から2015年にかけてドイツの国債の利払い費を1000億ユーロ削減できた事になるという。
ドイツをアメリカと比べて善意の持ち主でもあるかのように考えている識者が日本には多いが、それは間違っている。
文化的親近性の問題を政治に置き換えるのは、中国への姿勢と同じ日本人の悪いくせである。
福島原発の事故の時、真っ先に東京から逃げ出した大使館は、ドイツとフランスだったということを忘れてはならない。
根本的なところで、この二国は日本にとって、信用ならざるところがある
明治政府が、沖縄に関して起こした最大の問題は、沖縄に高等教育機関を作らなかったことである。
当時の台北にも、京城にも帝大があるにもかかわらず、沖縄には高校すらなかった。
高等教育機関に関しては、帝国大学ではないにしても、秋田高等鉱山学校や函館高等水産学校のように、地域振興だけではなく全国にアピールできる高等専門学校は欲しかった。
旧制高校がなく、高等医専や高等工業もなく、わずかに県師範学校が1943年にようやく官立(国立)沖縄師範学校になっただけである。
このように戦前の日本政府の沖縄に対する文教政策は酷かった。
アメリカはこの点をよく研究しており、「民事ハンドブック」という占領マニュアルの中で、教育差別が激しいと指摘しており、逆に戦後になってからミシガン州立大学が中心になって、琉球大学を作った。
奄美に関しては、未だに高等教育機関はなく、短大さえもなく、奄美高校が最高教育機関である。
昔は「奄美群島区」という選挙区まであったにもかかわらず。
大切なのは、その地域の中心となる高等教育機関の存在なのである。
戦前、戦中の沖縄には、高等教育機関を通じた巡礼メカニズムができなかったが、戦後にそれを作ったのがアメリカである点がねじれている。
琉球に対する本土の日本人の大きな誤りの一つに、王族への対応の違いがある。
日韓併合の時には、日本は李王朝に対して李家を王族として遇して皇族化し、李王家を立てた。
しかし琉球に対しては、尚王朝がありながら、尚家は一介の侯爵にしかなれなかった。
徳川幕府は「島津の琉球入り」による尚王朝の服属後も、小国といえども国王として遇していて、薩摩藩がそれを仲介するかたちで尚寧王は家康・秀忠と面会している。
また明王朝からも冊封使が琉球に来島しており、近世の琉球は中国に対しては独立国の体裁を失うことはなかった。
明治政府は、いわゆる琉球処分に際して、尚家を王族として礼遇して琉球の独特な位置づけを尊重すべきであった。
薩摩藩の圧制に苦しんだ沖縄県民の誇りと域外への配慮が無かった。
実際に薩摩藩主と国父・久光の公爵よりも更に低い公爵に、尚家は叙任されたにすぎなかった。
中華人民共和国はかなり早い時期から沖縄は日本領だと認めている。
問題は中華民国で、1970年代まで琉球は中華民国の失地ということになっている。
だから、今でも沖縄という文言を使わずに、琉球としている。
だから、台湾との関係において、沖縄についてのことは中国は非常に腰が引けているように見えるのである。
台湾対策で中国のナショナリズムが高揚していくなかで、「琉球は失地である」と台湾は言っているのに、中華人民共和国は最初から日本の領土だと認めているからである。
この点の軌道修正を、中国は一生懸命やっている感じがする。
明らかに北京政府が台湾のナショナリズムに押されている。
日中国交正常化の時に、中国は中華民国あるいは清朝の時の立場を放棄している。
だから、琉球や尖閣について、中華人民共和国にとって宗属関係や領土帰属の問題が生じないというのが常識的な解釈になるはずである。
2001年に北朝鮮の工作船を海上保安庁の船が銃撃戦の末に沈めた事件があったが、これは戦後最初の実戦だったという認識は希薄である。
海上保安庁は日本の帝国海軍が解体されて姿を消したあと、事実上、海軍の湾岸警備隊としての機能を継承した。
だから後に、警察予備隊、保安隊、海上自衛隊が形成されるまで、日本近海の警備を担って帝国海軍を継承したのは自分達である、帝国海軍の直系に繋がる誇りと自負を海上保安官は持っている。
海上保安庁は飛行機も所有し、ある意味では手つかずのミニ軍隊なのである。
また、海保は一家一門的なところがあり、国交省の中の一部局で人事もその中だけで回しておりね人事がよどむ組織体質を持っている。
尖閣海域での衝突で、その映像を「YouTube」に流した保安官は、自分の考える正義感と役所が下した意思決定が違うからといって、マスコミに接触して、YouTubeに秘密資料を流してしまった。
こういう体質がある役所なのである。
シベリアの都市チタでは中国人の人口移動ず始まっている。
バイカル湖以東のロシア人の人口は現在620万人で、ソ連時代の終わりには670万人と言われていたので、急激に人口が減っており、将来的に450万人にまで減ると言われている。
一方で、中国の東北三省だけで少なくとも1億人はいるので、人口密度で比べるとロシアの東シベリアの60倍以上となる。
気候は東北三省とシベリアではあまり違わない。
それなのに、単純労働者の賃金は東北三省の4倍とシベリアの方が高いので、一度ロシアに流入すると中国人は住み着いてしまう。
ヨーロッパの問題は、実はギリシアが鍵を握っている。
あの不正直な国が、なぜ外国に依存しながらでも存立していくことができるのか、これは建国の時点からそうなのである。
1821年から1829年にかけて、オスマン帝国の支配から解放するためのギリシア独立戦争で、ロシアとイギリスとフランスが一緒になって、間違った歴史を作ってしまった。
ある意味、西側の利益のために造った人工国家なのであり、ギリシアはオスマン帝国から独立した時から破綻国家だった。
19世紀から常に英仏にすがって救済を受けて来た国である。
ギリシアの初代国王オットー・フォン・ヴィッテルスバッハも、もともとバイエルンから送り込まれた人物だった。
オットーの後継となったゲオギオス1世はデンマークの王室から入った王子である。
ギリシア独立戦争後の歴史は、外から来た王への反感、軍隊に代わる武装集団の横暴が伝説化しているアナーキーの歴史で、政治は常に土着のギリシアの人間と外から来た王室との対立となり、国としての一体感ができずに政情が不安定になってしまった。
ロシア人の全体性の重視みたいなものを感じる例として、真冬に赤ん坊を乳母車で親が連れて歩く時には、赤ん坊は全然動かないというのがある。
日本の赤ん坊は、基本的にじっとしていない。
ロシアの赤ん坊は、寒さから身を守る為に「さらし」で全身をグルグル巻きにされており、ロシア人は赤ん坊の時期から自由に動くことをさせないのである。
こういうことは、将来にものすごく心理に影響することになる。
また、ロシアの幼稚園や小学校に絵を見に行くと、自由絵画がなく、全て同じ絵を描かせ、同じように模写した絵が並んでいる。
このように、統一した行動をとれ、全体的な行動をとれ、というのはロシア人にとって幼い頃からの刷り込みなのである。
ロシアとシベリアの大部分は、南北樺太の境界線にあたる北緯50度以上に位置する。
ところが、アメリカは最北端のカナダ国境でも北緯49度となり、ニューヨークは秋田と盛岡と近い北緯39度である。
中国のハルピンでも北緯45度であり、北京は北緯40度で、日本が実効支配する国土では最北端の稚内も同じ北緯45度で、札幌は北緯43度となる。
上海は北緯30度でニューオリンズと同じで、宮崎が北緯31度となる。
ロシア人の大部分は、北緯50度以上に住まざるを得ない反面、現在の日本人は北緯45度以南でしか住んでいない。
ロシアと近い位置にあるカナダでも、殆どのカナダ人はアメリカ国境に近い北緯49度に住んでいる。
つまり、ロシア人がいかに寒冷地に住んでいるかという事実に注目すべきである。
だから、苦しみに耐える力というか、試練や苦難をはね返す力がとても強い人種なのである。
歴史家や地政学者の多くが、ロシアの共同体としての強さに着目して、集団の力を重視する。
極端に言うと、公共や全体の利益や、全体性のために個人が犠牲になっても構わない、あるいは個人はむしろ全体性や公共性のために、私益や個人的な利害を犠牲にすべきだ、という側面がロシア人の根幹にはあるという。
1855年の日露通好条約に関して、日本側ではウルップ島と択捉島の間に国境線が引かれたことだけを強調するが、同時にサハリンは、それまでのしきたり通りということで、国境線を引かなかった。
いわゆる雑居地として、面としての国境を画定したとも言える。
附録では、樺太に国境を設けず、日本人並みに蝦夷アイヌ居住地は日本領とすることで一旦は合意した。
ロシア側は蝦夷アイヌほ「蝦夷島アイヌ」とすべきであり、日本側は「蝦夷島同種のアイヌ」にすべきだと逆提案をしたが、両者は最終的にこれまで通りとすることで折り合った。
これが雑居地という意味で、ロシアは線ではなく面として樺太の国境を考えたのである。

2016年8月28日日曜日

中東圏の石油と天然ガスのほぼ全てがペルシア湾とカスピ海域に眠っており、この双方にまたがる国はイランだけである。
ロバート・カプランが指摘するように、世界の石油埋蔵量の55%を占めるペルシア湾の全体を支配しているのはイランである。
イラクとの国境地帯のシャット・アル・アラブ川からホルムズ海峡に至るまで、1000キロメートルほどを押さえているのである。
ヒトに最も遺伝的に近いチンパンジーでも、1970年代に動物行動学者ジェーン・グドールが共食いと子殺しを報告している。
動物園のような隔離された環境では自然な行動を理解できないと考えたグドールは、タンザニアノジャングルで野生のチンパンジーを観察し、大きな群れが近くに住む小さな群れを襲い、成人のオスばかりか、授乳期の赤ん坊まで殺して食べてしまうことが目撃されている。
このチンパンジーの残酷な行動は、自然に牧歌的なロマンを抱いていた人達に大きなショックを与え、グドールは厳しい非難を浴びることになる。
しかしその後も、日本の霊長類研究者を中心に同様の報告が相次いだことから、同胞同士で殺し合うのはヒトだけではないと認めざるを得なくなった。
現代人は動物の中でも極端に長い寿命を持っていて、それを無意識に基準にしているが、殆どの生き物は生まれてすぐに死んでいく。
つまり、世代交代の間隔が短く、進化のスピードが速いということになる。
イヌの寿命は15歳前後で、ヒトが交配という「遺伝子組み換え」をやってきた結果、わずか数百年でセントバーナードからチワワまで多様に進化した。
オオカミの一種が家畜化されたのは1万5000年前とされているが、品種改良が進んだのは18世紀以降である。
殆どの昆虫は寿命が1年以内で、数カ月で世代交代していく。
彼らの進化時間は、ヒトよりずっと速いので、人間にとって40億年は昆虫にとっては100兆年くらいに相当する。
だから原生生物から目や脳のような複雑な組織が生まれる時間は充分にあったのである。
動物の寿命は身体が小さいほど短く、身体が大きいほど長くなり、それは体重の4分の1乗に比例するという。
これは心拍数や毎分の呼吸数が体重の4分の1乗に反比例して減少すねからで、ゾウの呼吸や心臓の鼓動はゆっくりで、ネズミのそれは速い。
そして、動物の身体は20億回程度の心臓の鼓動で寿命を迎えるように設計されている。
この法則は、殆どの動物に当てはまり、ネズミの寿命は約3年、ゾウは約60年、クジラは約70年である。

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) 

子供に両腕を広げさせて、右手の指の先を地球の始まりとし、左手の指先を現在とする。
そうすると、右手ぐ日から始まって左手の手首までは、色々なバクテリアが生息していた時代、恐竜はだいたい左手の手のひらあたりで登場し、ヒトは左手の爪先くらいになる。
人類の文明は爪先をやすりでひとこすりして、爪から落ちた粉の分しかない。

2016年8月22日月曜日

現在、日本国民の個人金融資産は1700兆円を超えており、これは1人当り1500万円程度となる。
これには金融資産のみであり、不動産は含まれない。
つまり、現金、預金、金融商品だけで、一人1500万円も持っているのである。
しかし一方では、年収200万円以下のサラリーマンが1000万人を超え、生活保護受給者も200万人ほ超えている。
貧困家庭も増え、まともに食事をとれない子供が都内でも増えている。
日本の大学生の半分は、有利子の奨学金を借りている。
日本はトリクルダウンの思想に基づき、富裕層に対して大きな優遇制度を進めて来た。
所得税を中心に大減税を行ってきたのである。
所得が1億円の人の場合、1974年の所得税は75%、1984年に70%、1987年に60%、1989年に50%、1999年に37%、2007年に40%、2015年に45%と推移している。
また住民税の税率もピーク時には18%だったのが、現在は10%ととなっている。
日本国民の賃金低下の影響もあり、最高で26.7兆円あった所得税は2015年には16.4兆円まで激減している。
消費税推進論者が「ヨーロッパ諸国の消費税率は日本より高いので、日本も消費税を持ってあげるべき」とよく言う。
確かにヨーロッパ諸国では付加価値税を20%前後を課しているが、国の財政事情が大きく異なる。
ヨーロッパ諸国は日本とは比べものにならないほど貧困層への手当てが厚い。
例えば、貧困対策費は日本に対して、ドイツとフランスは5~6倍、イギリスは10倍以上となっており、イギリス、フランス、ドイツなどの先進国では、生活保護基準以下の収入の世帯の8割が生活保護を受けているとされる。
対して日本では要保護世帯の2割以下しか宝飯且つ保護を受けられていない。
日本では低所得者への住宅支援は公営住宅くらいしかなく、その数も全世帯の4%に過ぎず、支出される国の費用は僅か2000億円である。
フランスでは全世帯の23%が国から住宅の補助を受けており、その額は1兆8000億円でであり、イギリスも全世帯の18%が住宅補助を受け、その額は2兆6000億円となっている。
つまりヨーロッパ諸国では、貧困層、低所得層への配慮が十分行われた上で、高率の付加価値税を課している。
消費税には不思議な仕組みがいつくもある。
その一つが「戻し税」である。
消費税というのは、「国内で消費されるものだけにかかる」という建前があるので、輸出されるものには消費税はかからない。
ところが輸出されるものには、国内で製造する段階で、材料費などに対して消費税を払っており、「輸出される時に、支払った消費税を還付する」というのが戻し税である。
つまり、輸出企業は製造段階で消費税を支払っているのに、売上の時に海外からは消費税を貰えないので、自腹を切るから不公平だというのである。
しかし、現実的には、この戻し税は事実上、「輸出企業への補助金」となっている。
多くが下請け企業は消費税を価格に転嫁できずに、コスト削減で対応を強いられる。
トヨタ自動車の消費税監部金
2007年3月期  2869億円
2008年3月期  3219億円
2009年3月期  2569億円
2010年3月期  2106億円
2011年3月期  2246億円
20014年から消費税は5%から8%に上がった為、この戻し税額も単純計算で1.6倍になるはずである。
この消費税増税により、トヨタ自動車は1000億円以上も戻し税が増えることになる。
増税後には上位10社だけで1兆円の戻し税が見込まれる。
消費税の税収17兆円に対して、1兆円近くが輸出企業に戻し税として還付されているのである。
物品税が廃止されて消費税が導入されたことで、自動車メーカーは大きな恩恵を受けた。
自動車にかかっていた物品税は、普通乗用車(3ナンバー)が23%、小型乗用車(5ナンバー)が18.5%、軽乗用車は15.5%だった、
消費税導入当時の税率は3%だったので、3ナンバーの商用車は20%も安くなり、一時的には国内販売台数を大きく伸ばした。
しかし、消費税率の上昇と共に、国民の消費支出が減り、国内自動車販売台数は激減することになる。
日本の賃金事情は、深刻な事態を招いている。
この10数年の間に、低収入のサラリーマンが激増している。
年収200万円以下のサラリーマンは、1999年に803万7000人だったが、2014年には1139万2000人と、4割も増えており、サラリーマンの4人に1人が年収200万円以下なのである。
この年収200万円以下のサラリーマンの中には、フリーターや短期契約社員は含まれておらず、あくまでも年間通して働いたサラリーマンの年収である。
法人税は1984年の43.3%から2016年には23.4%へ半減している。
2018年には23.2%となる。
法人税が下げられてきた最大の理由は、経済界が景気を良くするために法人税の減税を要求してきたからである。
しかし、法人税を減税すれば景気が良くなるという根拠はなく、法人税を上げても景気には殆ど影響がない事は、理論的にもデータとしても明確に表れている。
そもそも法人税は、企業の利益に対してかかるもので、つまり法人税とは企業が事業を行い、儲かった利益の何割かを徴収するというものである。
だから実際の企業活動には全く影響はなく、法人税が高いから商品の値段が上がったり、企業の収益が落ちたりしない。
法人税の増税は、株主の取り分が減るだけであり、従業員や社会に対する影響はないてのある。
法人住民税を含む法人税は企業の支出の中では僅かに1ぇにも満たないため、法人税を10%下げたとしても企業活動には影響しない。
現在の日本経済にとって、雇用を安定させるための減税をすべきところを、退職給与引当金に課税するなど、雇用に対しては増税が進められている。
退職給与引当金とは、企業が将来発生する退職金の支払いのために積み立てておく資金であり、従来はこの「退職給与引当金」は非課税とされていたが、2003年から課税される事になった。
これにより、企業は退職給与のために積立をしにくくなり、退職金を減額したり、退職金制度自体を廃止したり、退職金が生じる正社員の雇用を減らす方向に動かざるを得なくなった。
そして、この増税の直後の2003年に、「研究開発費の減税」か開始されたのである。
研究開発減税には、新たに研究開発を促進させる効果は殆どなく、これまでと同程度の研究開発費にもかかわらず、税金だけが安くなっている。
この研究開発減税の導入によって、研究開発費が増えた形跡は全くなく、大企業への減税措置にすぎない。
トヨタ自動車の実質税負担が低くなっている最大の要因は「研究開発費の減税」である。
2003年に導入された、この税は研究開発をした企業はその費用の10%分の税金を削減するという制度で、限度額はその法人税額の20%である。
2014年3月期では、トヨタはこの研究開発税制により1201億円の減税を受けている。
この研究開発税制による日本全体の減税がくは6240億円で、つまりトヨタはこの減税全体の2割を占めているのである。
この割合は例年ほぼ変わらず、研究開発減税の恩恵を最も受けているのはトヨタなのである。
さらに安倍政権は刑期刺激策として研究開発減税の規模を増やし、特例減税額を2014年度に1兆2000億円に、民主党政権から倍増させている。
財務省が2011年度分から公表している調査報告書を分析すると、国税の減収額が明らかな項目を合計すると2014年度には1兆1954億円と、2012年度の5244億円から2.3倍になっている。
減税額が最も大きいのが、企業の研究開発減税で2012年度の3952億円から2014年度には6746億円と倍増している。
研究開発減税の恩恵は、企業数では全体の0.1%にも満たない資本金100億円超の大企業が恩恵を受けており、5423億円と全体の8割を占めている。
政策減税全体でも資本金100億円超の大企業の減税額が2014年度は7365億円(全体の56%)と、2012年度の2.5倍に増え、全体の62%を占めた。
財務省の報告書では減税対象の企業名は非公開だが、各社の有価証券報告書から、研究開発減税の適用が多い上位5社は以下の通り。
トヨタ自動車 減税額1083億円
日産自動車  減税額213億円
ホンダ    減税額210億円
JR東海    減税額192億円
キャノン   減税額157億円
パナマ文書にはトヨタ自動車本体の名前は出てこなかったが、トヨタグループの海外事業に深く関係している「豊田通商」の名前は見つかった。
トヨタは欧州統括本部を、欧州の中でも税率の低いベルギーに置いており、知的財産をベルギー子会社に持たせ、欧州各地での収益を集中させている。
ベルギーでは配当支払いに対して税金は課せられないので、ベルギー子会社に集中させた利益は、日本でも「海外子会社受取配当の非課税制度」が適用され、殆どそのまま日本に持って来れる。
同様にアジア統括本部は、税制優遇措置を取っているシンガポールに置いている。
ベルギーにもシンガポールにも生産工場はない。

2016年8月20日土曜日

世界史を考える場合、重要なことが2つある。
第一は、交通やコミュニケーションが発達するまでは世界史は成立しなかったという事実である。
その意味で、世界史とは近代的な現象なのである。
第二に、世界史は複数存在するという事である。
ちなみに、25年ほど前までは単一の世界史が成立すると考える人々がいた。
マルクス主義の唯物史観に基づいて、歴史は原始共同体、奴隷制、封建制、資本主義、社会主義、共産主義と発展していくという仮説が一定の影響力を持っていたのである。
だから、ソ連の義務教育では「世界史」という科目は存在しなかった。
なぜなら、共産主義を目指すソ連の歴史の中に世界の歴史は吸収されていくと考えていたからである。
だから、ソ連史の教科書に米国や日本の歴史についても記述されていたのである。
中古マンションを選ぶ際にベストの条件は、
「2003年~2005年竣工(築11年~13年)で、なおかつ大規模修繕を実施済み」
の物件である。
2003年~2005年頃は、後の2006年~2007年の不動産プチバブルと言われていた時期に竣工したマンションに比べて、地価も平均工事単価も低かったため、全体的に割安と言える。
つまり販売価格が同じであっても、占有面積が広いマンションが多い。
築11年~13年が経過しているので、価格も安定傾向となり、今後大幅に下がることは少ないともいえる。
なお最近は築11年~13年経過程度であれば大規模修繕の計画はあっても実施していない物件も多い。
次の選択としては、
・2000年以前に竣工した物件で、築年数を気にするのであれば1回目の大規模修繕実施済みの物件(築16年程度)
・築年数を気にしないのであれば、2回目の大規模修繕を実施済みの物件(築20年超)
も候補に挙がる。
より良いのは、万が一建物に不備があったとしても、瑕疵を立証し不法行為を問える竣工後20年未満の物件がよい。
欠陥物件を避ける方法の一つとして、「問題が発覚したマンションのデベロッパーがてがけ、問題が発覚した直後から施工を開始する物件」を選ぶという考え方がある。
名誉を挽回するために、その会社は一気に「品質重視」にシフトする可能性があるからである。
つまり、「パークシティLaLa横浜」の事業主である三井不動産、「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」の三菱地所レジデンス、「パークスクウア三ツ沢公園」の住友不動産が、該当する。
2014年のマンション販売戸数ランキング
1位 住友不動産        6310戸
2位 三菱地所レジデンス    5300戸
3位 野村不動産        4820戸
4位 三井不動産レジデンシャル 4640戸
5位 東急不動産        2550戸
6位 大和ハウス工場      2290戸
7位 プレサンスコーポレーション 2270戸
5位までの5社に、東京建物、大京の大手2社を加えて、「メジャー7」と呼ばれている。
老朽化マンションの建替えは進んでおらず、国土交通省の調査によると、2015年4月現在で、立替が実施された物件は累計で211件しかない。
現在、日本のマンションストックは600万棟あり、そのうち築30年以上のマンションは140万棟を占め、建替えの目安となる築40年以上は44万棟にも上る。
今後もマンションの老朽化は急速に進み、築40年以上のマンションは10年後には140万棟、20年後には277万棟に達することになる。
月々5万円を25年間、10%で運用するとする。
元本は、5万円×12ヶ月で1年分が60万円。60万円×25年で1500万円となる。
単利10%で25年間運用だと、33,812,500円と2倍以上となり、
複利10%で25年間運用すると、66,341,670円と4倍以上になる。
つまり毎月10万円を積み立てながら10%複利で運用すると25年後には1億円を超えるのである。
貯蓄性のある年金保険や学資保険のパンフレットを見ていると、「返戻率」という数字が表示されている。
例えば、30年間、毎月1万5000円を支払う年金保険の場合、「払込保険料総額は540万円、60歳で一時金として559万円ほ受け取れるので、返礼律は103.5%」といった説明がされている。
19万円も増える、3.5%も増えるなら悪くない、と一瞬感じてしうが、年利に直すと利回りが0.3%となってしまう。
さらに、この0.3%の利回りが30年間固定され続け、個人年金保険は途中で解約すると元本割れになる期間が長く続く。
「返戻率」の本当の意味に気づいて、こんな低い利回りで固定させたくないと思っても、元本割れしてしまうとなると、なかなか解約しにくくなる
よく銀行では、ボーナスや退職金の運用を促す目的で、高金利の定期預金と投資信託をセットで販売するキャンペーンを行っている。
こうしたキャンペーンでは、「定期預金は3ヶ月もので、キャンペーン金利の適用は当初の3ヶ月間のみ」といった条件が付いている。
「500万円の投資信託を買い、同じく500万円を金利上乗せのある定期預金に入れる」というキャンペーンの場合、投資信託の販売手数料が3.24%とすると、購入時に支払う手数料は16万2000円となる。
一方で、年利3%で3ヶ月ものの定期預金で得られる利息は、1ヶ月分の利息が1万2500円、3ヶ月分は3万7500円となり、税引後は3万円となる。
まり、金利上乗せで得られる利息は、投資信託購入で支払う手数料よりも低く、この手のキャンペーンでは「銀行は絶対に損をしない仕組みけになっている。
資産運用においては、運用成績の足を引っ張る「金融商品の運用コスト」と「税金」をできるだけ抑える必要がある。
投資信託の場合、購入時にかかる「販売手数料」と運用期間中ずっとかかり続ける「信託報酬」がコストとなる。
「販売手数料3%、信託報酬2%」の投資信託Aと「販売手数料無料、信託報酬0.5%」の投資信託Bの1つのファンドが全く同じ運用成績だったとした場合、それそれに1000万円を投資した時の収益差は、1年後は32万円、10年後には53万円、20年後には87万円、30年後には141万円にもなってしまう。
期待するリターンが実際に得られるかどうかは事前には分からないが、保有期間中のコストは確定している。
金融商品を選ぶ際には、コストが低いものを優先すべきである。

2016年8月19日金曜日

日本でも治安の悪化が問題になっているが、刑法犯の件数は2015年に戦後最低となったことからも分かるように、日本社会はどんどん安全になっている。
高度成長期時代の始まる昭和30年代の「三丁目の夕日」の頃は、人口あたりの殺人件数は現在の2~3倍で、残酷な少年犯罪も多かった。
近年は若者の犯罪の減少が顕著で、世代別で最も犯罪者が増えているのは高齢者である。
このような状況は、世界的な傾向で、治安の悪化が叫ばれている先進国はどこも犯罪が大きく減っている。
ISのテロが大問題になるのは、その残酷さももちろんだが、それ以外の危険が減っているからという一面もある。
イギリスの生物学者ロビン・ベイカーは。平均すれば男性の10%は他人の子供を自分の子供と誤解して育てているという。
だが、この数字は所得によって大きく異なり、最低所得層に限れば他人の子供の比率は30%に跳ね上がり、最高所得層の男性では2%に激減する。
最低所得層の家庭に夫と血のつながらない子供が多い理由としては、夫の稼ぎが少なければ、それを失ったときのコストも小さいので、妻にとってはギャンブルをするハードルが低くなるのである。
イギリスでは刑務所から釈放された犯罪者の再犯が問題となり、2003年に「防衛のための拘禁刑(IPP)」プログラムが発足した。
これは、以前なに終身刑にならない被告を再犯の危険度によって無期懲役にする制度であり、2010年までに5828人がIPPの終身刑を宣告され、そのうち2500人は本来の犯罪の刑期を務めているものの釈放されたのは94人と4%に過ぎない。
さらにイギリスでは2000年に精神科医らの異議を無視して、「危険で重篤な人格障害(DSPD)に対する法律が制定され、その法のもとで危険だと考えられる人を、例え何も犯罪を犯していなかったとしても、警官が逮捕し検査と治療のためと称して、施設に送ることができる。
イギリスのDSPD法も、IPPもトニー・ブレアが率いるリベラルな労働党政権によって制定されている。
米政治学者のチャールズ・マレーは、行動計量学者のリチャード。ハーンスタインと共著で1994年に『The Bell Curve』(ベルカーブ)を出版し、全米に憤激の嵐を巻き起こした。
本の中で、白人と黒人の間にはおよそ1標準偏差(白人の平均を100とすると黒人は85)のIQの差があり、これが黒人に貧困層が多い理由だと述べたからである。
『ベルカーブ』はベストセラーとなったものの、マレーは「白人と黒人の知能の差を暴いた」と評価されることが不満だった。
なぜなら、彼らは本の中で、「アメリカ社会を経済的に分断するのは人種ではなく、知能格差だ」と主張していたからである。
この仮説を検証するために、『階級「断絶」社会アメリカ』を出版した。
この本でマレーは、人種問題を回避するために、分析対象を白人に限定し、知能の格差が彼らの人生にどのような影響を与えるかを調べた。
大学や大学院を卒業した知識層と、高校を中退した労働者層とを膨大な社会調査のデータを集めて比較したのである。
まず郵便番号と国政調査の世帯所得から所得の上位5%、年収20万ドル以上の富裕層が住んでいる場所を抽出し、彼らが特定の超高級住宅地域に集中している事を突き止めた、
次いで、多くの企業経営者を排出するハーバード・ビジネススクールと、ハーバード大学、プリンストン大学、エール大学の3つの一流大学の卒業生名簿から、40代と50代の住所を調べた。
その結果、HBSの卒業生の61%が超高級住宅地に住み、全体の83%が(世帯所得では上位2割)、高級住宅地に住んでいた。
一流大学でも卒業生の45%が超高級住宅地に、74%が高級住宅地に住んでいた。



「幸福のホルモン」と呼ばれるセロトニンは、脳内の濃度が高いと楽天的になり、レベルが下がると神経質で不安を感じやすくなるとされている。
このセロトニンを運搬するトランスポーター遺伝子には、伝達能力が高いL型と伝達能力が低いS型があり、その組み合わせでLL型、SL型、SS型の3つが決まる。
この分布には大きな地域差があり、日本人の場合、7割がSS型でLL型は2%と世界で最も少ない。
これが日本人に、うつ病や自殺が多い遺伝的な理由だとされている。
不安感が強い人は将来のことを心配して、今から備えようと努力する。
東アジアの国々で封建的な政治・社会制度が発達し、厳しい規律の組織が好まれる理由とも考えられる。
儒教がSS型の遺伝子型に適した思想だったからこそ、東アジア全域に広まったのであろう。
「身長の遺伝率66%」というのは、背の高さのばらつきのうち66%を遺伝で、34%を環境で説明できるという事である。
よくある誤解は、遺伝率を個々の確率と取り違えることで、身長の遺伝率は「背の高い親から66%の確率で背の高い子供が生まれ、34%の確率で子供の背は低い」ということではない。
受精卵はDNAのランダムな組み合わせなので、両親の遺伝的特性からどのような子供が生まれるのかを事前に知ることはできない。
しかし、遺伝率が高いほど遺伝的な要因が大きく作用することは間違いない。
興味深いのは、体重の遺伝率が74%と、身長の遺伝率より高い事で、太っているのはダイエットに失敗した、努力が足りないからだと考えられてしまうが、体重の高い遺伝率を考えると、「ダイエットに成功できるのは遺伝的に太らない人」という可能性もある。
イギリスで1994年から3年間に生まれた5000組の双子の子供達を対象に、反社会的な傾向の遺伝率調査が実施された。
それによると、「冷淡で無感情」といった性格を持つ子供の遺伝率は30%で、残りの70%は環境の影響だとされた。
次いで研究者は、教師などから「矯正不可能」と評された、極めて高い反社会性を持つ子供だけを抽出したところ、その結果は衝撃的であった。
犯罪心理学でサイコパスに分類されるような子供の場合、その遺伝率は81%で、環境の影響は2割弱しかなかった。
しかもその環境は、子育てではなく友達関係のような「非共有環境」の影響とされた。
この結果が正しいとすれば、子供の極端な異常行動に対して、親ができることは殆どないという事になる。
統合失調症の遺伝率は82%、双極性障害(躁うつ病)の遺伝率は83%という。
遺伝率80%というのは、「8割の子供が病気にかかる」ということではないが、身長の遺伝率が66%、体重の遺伝率が74%であることを考えれば、この遺伝率80%という数字の意味が理解できる。
一般知能はIQ(知能指数)によって数値化できるので、一卵性双生児と二卵性双生児を比較したり、養子に出された一卵性双生児を追跡することで、その遺伝率をかなり正確に計測できる。
こうした学問を行動遺伝学というが、論理的推論能力の遺伝率は68%、一般知能(IQ)の遺伝率は77%であるという。
知能の違い、つまり頭の良し悪しの7~8割は遺伝で説明できるということなのである。

2016年8月18日木曜日

京王線と井の頭線が交わり、渋谷、下北沢、吉祥寺といった人気エリアにダイレクトに行ける明大前駅は人気が高く、賃料水準も高い。
ちなみに現在は「明大前」という駅名であるが、戦前は「火薬庫前」という駅名だった。
甲州街道沿いに江戸時代に徳川幕府の煙硝蔵(鉄砲・火薬などの貯蔵施設)があったことに由来し、明治時代に火薬庫は陸軍管轄になった。
小田急線の成城学園前は都内でも高級住宅地として、確固たるブランドを有している。
昭和の初めまで雑木林な田畑が広がる田舎だったが、成城学園の創始者である小原国芳が駅周辺の土地を2万坪購入し、大規模な区画整理を行った。
ちなみに、小原は成城学園の関係者と対立して身を引き、同じ小田急線沿いに玉川学園を創設して宅地開発を行った。
小田急にある2つの学園都市は、同じ人物が開発したのである。
東急電鉄の母体企業は、渋沢栄一が設立した田園調布株式会社不動産資本会社である。
渋沢は、田園調布を理想の都市にする事を夢見ていたが、都心からかなり離れていて交通の便が悪すぎた。
そこで鉄道院出身で、当時は武蔵電気鉄道に務めていた五島慶太に鉄道建設をさせ、阪急電鉄の小林一三が顧問を務めた。
五島は百貨店や娯楽施設を作り、沿線の付加価値を高めつつ、他の鉄道会社を次々と買収し、現在の京急、小田急、京王、相鉄を傘下に入れた「大東急」と呼ばれる巨大鉄道グループを作り上げた。
五島は学校の誘致にも力を入れ、慶應義塾に7万坪以上の土地を無償譲渡して1934年に日吉キャンパスを開設させた。
また東京府青山師範学校(東京学芸大学)、東京府立高等学校(東京都立大学)も誘致に成功し、東急沿線は学園都市としての付加価値も高めていった。
両校の最寄り駅には「学芸大学」「都立大学」という学校の名前が付けられたか゜、現在は両大学ともに移転している。
そのため、駅名の変更をすべきという意見も出たが、地元住民の反対で見送られ、学園都市としてのブランドを維持するために、存在しない大学の名前を駅名に入れ続けている。
都営三田線は戦前より計画されていた路線だが、その建設工事は戦前、戦後ともになかなか進まなかった。
1968年にようやく開業したが、当初は巣鴨から志村(現在の高島平)のわずか10.4キロだった。
その後、巣鴨方面から建設され最後に残された三田から目黒間が開業したのは2000年だった。
30年かけて計画されていた全線を開業させることができた。
ちなみに、現在、都営三田線は目黒駅で東急目黒線と相互乗り入れをしているが、開業前の計画では五反田駅から東急池袋線に、板橋方面は東武東上線に乗り入れる予定となっていた為、三田線の線路幅は1067ミリで建設されている。
都営浅草線の線路幅は1435ミリ軌間で建設されており、本来ならば三田線も軌間を統一して車両を統一規格で製造するのがコスト面では当然であるが、当初計画の経緯より三田線はコスト高な路線となっている。
それにもかかわらず、東武東上線との相互乗り入れは破綻となってしまった。
1972年に入居が開始された高島平団地の誕生により、1976年に高島平から西高島平間の1.5キロを延長した。
ピーク時には高島平には7つの区立小学校があった。

2016年8月17日水曜日

葛西から西船橋方面にかけては、新しく整備された街が広がり、若いファミリーが多く、それを象徴するように、スターバックスがある駅は少ない。
東陽町から西船橋までの区間で、駅近くにスターバックスがあるのは浦安と西船橋だけである。
平日の昼間人口が少なく、需要が少ないのである。
スターバックスはオフィス街の大手町には至る所にあり、鳥取県にも進出しているが、未だに江戸川区には1軒もない。
そんな中、葛西にインド人コミュニティがあり、行徳・妙典にもインド人が多く、インド料理店が多い。
千葉県内にインド人は1300人いるが、市川市は400人と群を抜いている。
江戸川区には2400人いるが、浦安には40人しかいない。
彼らインド人が浦安ではなく、行徳・妙典という飛び地を選ぶのは、行徳にモスクがある事が関係するが、東西線がインド人コミュニティを結ぶ路線となっている。
相模鉄道は、同社の悲願ともいえる東京進出に関する2つの計画を発表している。
1つは相模鉄道とJR東日本が2018年度内に開業を目指す「相模・JR直通線」(仮称)の新設である。
これは相鉄線の西谷からJR東海道貨物線の横浜羽沢までの2.7キロを結ぶ線路で、横浜羽沢付近に両社の共同使用駅(仮称は羽沢)を設置する計画となっている。
 
この連絡線ができると、相鉄本線は連絡線を経由して東海道貨物線、横須賀線の路線に入り、最終的には湘南新宿ラインと同じ経路で新宿方面に達することとなり、これまでアクセスが悪かった神奈川県央から都心部までダイレクトに行くことが可能となる。
2つ目の計画は、上記で横浜羽沢付近に新設される羽沢(仮称)から、東急東横線の日吉駅までの10キロを結ぶ路線を設置するというもので、両社は2019年の開業を目指している。
計画では東横線と目黒線の2系統を運行するとされており、実現すれば相鉄本線から渋谷や目黒へのアセスが格段に向上することとなる。
羽沢から日吉間には新たに2益設置される予定となっている。
小田急電鉄は日本最大のターミナル駅である新宿駅を拠点にしている。
1920年代に平河町五丁目から小田原間を結ぶ路線の計画があったが、鉄道省の旅客課長だった生野団六から「これからは新宿が一番の街になるから、新宿に駅をつくった方がよい」とアドバイスを受けて、創業者の利光鶴松は方針を転換し、新宿を起点に小田までの路線を建設した。
小田急線は日本屈指の通勤路線という顔と、箱根行きの小田急ロマンスカーは日本を代表する観光特急列車として君臨している。
小田急線はロマンスカーを運行している事から、大手私鉄の路線の中で最も売上高の高い路線(2012年、年間売上1113億円)となっている。
1935年からとロマンスカーの歴史は古い。
当時はまだロマンスカーという愛称はついておらず、新宿から小田原間をノンストップで走る小田急の電車は「週末温泉急行」と呼ばれていた。
ロマンスカーという名称は小田急の専売特許ではなく、もともとはロマンスシートのある特急列車という意味合いで使われていた。
東武鉄道も京阪電鉄なども早くからロマンスカーを運行していたが、次第に「ロマンスカーといえば小田急」という意識が定着した。
2008年からは東京メトロ千代田線にロマンスカーが乗り入れをしている。
戦前から戦後直後にかけて西武池袋線で、都民の糞尿を埼玉県の農地へ運び、都内へ戻る際は農村で採れた農作物を乗せて運ぶ列車が運行されていた。
一部では糞尿を意味する「黄金列車」と揶揄され、田舎のイメージが定着している。
同時期に、西武新宿線も黄金列車を走らせていたが、新宿線が「小江戸」の川越に向かうのに対して、池袋線は秩父に向かい、この差がより田舎イメージを定着させてしまう。
そのため大正末期から昭和初期にかけて東京高等師範学校(筑波大学)東京第一師範学校(東京学芸大学)を誘致しようとして周辺地域を碁盤の目にするなど大規模な街開発を進め、町名と駅名まで「大泉学園」とイメージアップを図ったが、あえなく両校の誘致に失敗した。
現在でこそ松本零士をはじめとする大御所漫画家が多く居住しており、アニメ発祥の地として文化的に洗練されたイメージのある大泉学園周辺だが、「学園」という地名、駅名が付けられた背景には、こうした残念なエピソードがある。
渋谷区では日本経済新聞が最も読まれ、目黒区では以前は朝日新聞の方が読まれたが、現在は読売新聞と朝日新聞の部数が拮抗している。
東急東横線沿線エリアは、朝日新聞の方がやや強い。
この地域では自由が丘が商業的に発展しており、目黒区と世田谷区の境目に位置する自由が丘周辺の路線価は、学芸大学の2倍弱となる1坪あたり598万円と、御茶ノ水駅周辺の路線価よりも高い。
JR埼京線の起源は明治時代までさかのぼる。
国鉄の前進ともいえる日本鉄道が建設した東北本線の赤羽から路線を分岐させて板橋、新宿、渋谷を通り品川で東海道本線に接続する迂回ルートを計画した。
これがのちに山手線となるが、その後1972年に池袋から赤羽間が「赤羽線」として分離されることになる。
この赤羽線が現在の埼京線の元となるが、しばらくは池袋から赤羽の5.5キロだけを行き来する孤高の路線となっていた。
このローカル線の赤羽線が注目されるようになるのが、1985年に東北・上越新幹線が開業したことで、立場が変わった。
東北・上越新幹線は1982年に盛岡から大宮間で暫定開業しており、計画では当然、上野駅・東京駅に乗り入れる事になっていた。
しかし、大宮から南下するルートの建設予定地だった埼玉県浦和市、与野市(現・さいたま市)、戸田市の住民が建設反対の厚誼運動を行い、工事が難航するなか、国鉄は見返りとして東北新幹線に並行するように通勤新線を建設することを約束し、これが赤羽駅から北へ延びる埼京線となる。
その後、大崎駅を経てりんかい線にも直通運転されるようになった。
埼京線は、埼玉県をメインに走っている印象が強いが、大宮から大崎をつなぐ埼京線は、実は23区以外を走っている距離は全体の3割しかなく、意外とアーバン路線なのである。
JR中央線は吉祥寺から国立まで、住民の大卒者率が45%を超えるような地域が続く。
吉祥寺駅の路線価は366.1万円であり、都心よりの中野よりも高い。
このエリアでは、朝日新聞の読者が最も多く、産経新聞の購読者は少ない。
特に小金井市では朝日新聞が1万2350部なのに対して、産経新聞はわずか350部である。
国分寺市も朝日新聞が多いのに対して、極端に産経新聞が少ない。
立川市に入ると、ようやく読売新聞が最も売れる新聞となる。
ちなみに杉並区は、産経新聞が最も売れない新聞となっている。

2016年8月16日火曜日

歴史をみると貧しい国だからこそ国外に出ていく人が多いという興味深い事実がある。
アイルランドは20年に一度くらいの頻度で飢餓に見舞われており、その都度、生きるために国外に出る人が増えている。
これを歴史上何度も繰り返しているので、アイルランドの人口は460万人程度だが、アイリッシュと呼ばれる人は世界に7000万人以上もいる。
つまり人口の15倍もの人が海外に出て行ってしまっているのである。
ケネディ大統領、クリントン大統領、オーストラリアのポール・キーティング首相はルーツを辿るとアイリッシュである。
島田市と牧之原市にまたがり、2009年に開港した富士山静岡空港は、川勝平太知事が莫大な予算を投入して作った空港だったが、開港当初は、日本で最も無駄な公共工事とまで言われていた。
そこで川勝知事は挽回すべく、中国に行き「私達の空港に降りてくれて、静岡で1泊でもしてくれたら5万円差し上げます」とトップ営業をした。
ちなみに上海から春秋航空行く3泊4日のジャパン旅行は5万9000円ほどである。
この「1泊5万円」が起爆剤となり、2015年には中国との定期便が14路線に拡大し、2015年には20万人もの中国人旅行者が静岡に来た。
国際線利用者数は更に増加し、羽田、成田、大阪などの期間空港を除く地方空港では富士山静岡空港の利用者が1位となり、インバウンドの中心地となっている。
最近は都市部だけではなく、地方でもインバウンドの恩恵を受け始めている。
ニセコ町では外国人宿泊客の数が年々急増しており、2014年時点では2004年の10倍にあたる14万人の外国人が宿泊している。
ニセコ町では250億円の投資が3回行われ、日本を代表するスキーリゾートとして外国人旅行者の間で人気が高まっている。
2019年に大型リゾート「パーク・ハイアット」が、2020年には「リッツ・カールトン」が開業予定となっており、インバウンド向けリゾートとして今後も期待されている。
中国人観光客が爆買いしている日本製品に「日本で買わなければいけない12の神薬」という中国のWebサイトで紹介されたリストがある。
彼らは家族や親戚、知人から日本へ旅行に来る行く前に、餞別をもらって来ている。
お土産にそれほど高いものではない、これらの品物をドラッグストアで買ってお土産にするのである。


ノーベル賞経済学者で、日本経済のアドバイザーでもあるポール・クルーグマンは、これまで日本に対して物価目標政策の採用を強く迫ってきていた。
しかし2015年10月に、ニューヨークタイムスに寄稿したエッセイで、自説を撤回している。
日本はあれだけ市場に爆発的な資金供給をしてゼロ金利にしたのに、これほど需要が起こらないとは思わなかった。
日本に関しては全く分からないことだらけだ、と自分の提言をひっくの返す敗北宣言をしてしまった。
ポール・クルーグマンの懺悔日記「日本再考」という記事で、その要点は次の通りであった。
1.日本の量的緩和策(インフレ目標政策)には効果がない
日本の人口動態は、全く望ましくない状況にある。それが特異なスタグネーションを引き起こしている原因でもある。20年間にもわたりインフレ率が非常に低いということ、また、同じ期間において高水準の財政赤字が続いていたこと、そして、未だにインフレの兆候がないことに留意してほしい。日本は自然利子率のマイナスの状態が永遠に続く国に見える。
2.日本は労働人口1人当りのGDPの伸び率で見れば、良好なパフォーマンスを示している
日本は過去25年間の間に緩やかな成長を遂げて来た。しかし、その原因は人口動態にあった。労働人口1人当りのGDPは2000年以降アメリカよりも伸びている。そして、現時点では過去25年間の成長率は同じ程度に見える。そして、ヨーロッパよりも日本のほうが優れている。
3.インフレ目標値はもっと高くすべきであり、それを実現するために思い切った財政出動が必要
財政問題はこれまでのところ深刻な問題を引き起こしていないし、また日本は、もし財政を均衡させた場合に想定される状態よりも明らかに裕福な状態を保ってきている。しかし、財政アガシのリスクが余りにも誇張されすぎていると考える我々でさえも、対GDP債務比率を安定化させ、一定のレベルまで引き下げることが必要だと思う。(インフレの目標は財政再建のため)
パソコンの世界シェア 
(2015年第1四半期から第3四半期、総出荷数2億887台)

レノボ(中国)    19.6%
HP(米国)     18%
デル(米国)     13.6%
エイスース(台湾) 7.1%
アップル(米国)  7.1%
エイサー(台湾)  7.1%
その他     27.5%

東芝、富士通、VAIOの3社を合わせて4.2%
世界のビール販売量シェア (2014年、総量1.9億キロリットル)

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー) 20.8%
SABミラー(英国)          9.7%
ハイネケン(オランダ)        9.1%
カールスバーク(デンマーク)     6.1%
華潤雪花ビール(中国)        6.0%
青島ビール(中国)          4.7%
モルソン・クアーズ(米国)      3.2%
その他              40.4%

2015年にアンハイザー・ブッシュ・インベブとSABミラーは合併し、世界シェア30%となった。
時価総額が100億ドル超えの未上場ベンチャー企業(2015年)
ウーバーテクノロジーズ 510億ドル
AIrbnb         255億ドル
パランティール・テクノロジーズ 200億ドル
スナップチャット    160億ドル
スペースX        120億ドル
ビンタレスト      110億ドル
ウィワーク       100億ドル
ドロップボッス     100億ドル
これら時価総額1兆円を超える未上場企業は、上場しなくても資金が集まり、2~3年で収益が出て黒字化が可能なのである。
日本では「民泊」と呼ばれている宿泊施設マッチングサービスのAirbnbは、無国籍のサイバーシステム上のグローバル企業である。
日本の代表者の名前は公開されているが、日本に正式なオフィスはない。
スマートフォンをプラットフォームにしたタクシー配車サービスの「Uber」を運営するウーバー・テクノロジーズは、創業から数年の会社だが、世界58カ国の300都市でサービスを展開する世界企業へと成長している。
2010年にサンフランシスコでサービスを開始し、附わぬ不燃にはアメリカ全土をカバーし、ヨーロッパに進出した。
その後2013年にはアジアに進出し、2014年には全世界に展開し、僅か5年で世界主要都市でのサービスが開始されている。
スマホは、世界中でiPoneかAndroidのシステムとなっているので、世界共通のシステムでサービスを提供でき、これまでのグローバル企業のように各国に販売拠点を作って海外展開を図る必要がない。
Uberを使ってタクシーを呼び、Uberで料金を支払うとオランダの会社との直接決済となる。
オランダの会社は売上の2割を抜いて、オランダの業務会社を通じて、タクシー運転手に8割を支払う。
オランダの会社はクラウドコンピューティングによって、全世界のタクシー運転手に決済処理を行っている。
オランダの会社は経費を抜いて残った利益を、バミューダ種痘にある会社に送金し、利益は全て課税ゼロのバミューダ諸島に蓄積されている。
サンフランシスコの本社は技術開発しているので、技術料として1.45%だけ取っており、アメリカ企業としては1.45%しか収益が発生していないため、米国では税金を支払っていない。
アメリカのグローバル企業が海外で保有する資金額は毎年増えており、課税を逃れるためにアメリカに資金を持っていない。
海外収益に対する課税率をみると上位企業はほぼゼロで、課税率の高いバンク・オブ・アメリカでやっと8.8%である。
主な企業の2014年の海外収益に対する課税率
Amgen        0%
Qualcomm       0%
AMD         0%
Netflix         0%
Biogen        0.1%
Apple       2.3%
Nike       2.5%
Microsoft     3.1%
Oracle      4.0%
AmericanExpress 4.1%
NetApp       4.7%
WellsFargo      6.5%
Symantec     7.2%
Citigroup       8.5%
Bank of America   8,8%
『フォーチュン』(2015年11月1日号)によると、世界企業の72%はタックスヘイブンを使らっており、250兆円がオフショアに備蓄され、意図し20兆円が課税を逃れているとしている。