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2014年10月7日火曜日

人類の歴史を1人当たりの所得から見てみると、1800年当時のヨーロッパの平均的な生活水準は、紀元前1世紀のギリシャ・ローマの時代はもちろん、紀元前10万年の石器時代と比べても殆ど豊になっていない。
所得以外の指標でも1800年当時の平均的寿命は30~35歳で、狩猟採集時代に比べて長くなっている訳ではない。
栄養状態を示す平均身長は、石器時代の方が1800年当時よりも高かく、人類の生活は10万年の歴史を経ても向上するどころか、より過酷になっていたのである。
ところが18世紀半ばにヨーロッパの辺境であるイギリスではじまった産業革命によって状況は一変し、技術の進歩が生産性の向上をもたらし、所得を大きく伸ばした。
僅か200年で、1人当たりの所得は1800年当時の10~20倍に達したのである。
日本の学校給食の市場規模は7930億円。
フェアトレードは、市場経済は貧しい国や貧しい人達を搾取しているとして、「公正な取引(Fair trade)」を企業に求めるアンチ・グローバリズムの運動である。
フェアトレード先進国のイギリスでは、スターバックスやネスレが、いち早く倫理的認証を受け、「環境にやさしくない企業」の代名詞だったマクドナルドまでがレインフォレスト・アライアンスの認証マーク付きコーヒーを販売している。
フェアトレード財団の2010年時のWebサイトでは、「コーヒーの価格は2000年以来記録的な低迷に苦しんでいる。コーヒー豆の生産費より遥かに低く、世界中のコーヒー農家を危機に陥れている」と主張している。
しかし、実際にはニューヨーク市場におけるコーヒーの国際価格は2002年以来着実に上昇し、タンザニアで生産される「マイルド・アラビカ豆」は2002年の1.32ドル/キロから2011年に5.73ドル/キロまで高騰した。
それに対してフェアトレードが「公正」とする最低価格は2.81ドル/キロであり、市場価格の半分以下でしかない。
つまり、「倫理的認証を受ける企業は、フェアトレードの最低価格によって仕入れコストが上がる心配をする必要がなかった」という事なのである。
2005年以降、名だたる大企業が次々と倫理的認証を受けるようになった理由の本質なのである。
企業からすると僅かな追加コストで「人にも自然にもやさしい企業」というブランドイメージを得られる。
レインフォレスト・アライアンスの認証を受けたことで、マクドナルドのコーヒーの売上は25%増えたのである。

『フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』

有名大学の学生を調べると、裕福な家庭の子供が多いことが知らている。
行動遺伝学は一卵性双生児と二卵性双生児の比較から、知能における遺伝の影響が8割以上あることを明らかにした。
この結論は、厳密な統計手法かに導かれており、現在に至るまで有力な反証はないので、科学的真理とみなされている。
行動遺伝学によれば、正しい因果関係は、「知能の高い両親から生まれた子供は有名大学に進学する可能性が高い」というものである。
知識社会では一般的に、知能の高い人が高収入を得ているので、有名大学の学生を調べると結果的に「裕福な家庭の子供が多い」ということになるのである。
「格差社会」の原因が親の収入にあるのなら、裕福な人から税金を徴収し、貧しい人に分配する解決策がある。
しかし、教育格差の原因が遺伝である場合は、政策による解決方法はない。
行動遺伝学の拠点はアメリカだが、研究者たちはリベラルな団体からの抗議と脅迫の中で、その結論が科学的に証明できることを示し続けてきた。
遺伝が知能や性格にどの程度影響を与えるかは、行動遺伝学という学問によって科学的に検証されている。
こうした研究が可能になるのは、一卵性双生児と二卵性双生児がいるからで、双生児の研究から性格における遺伝の影響を統計的に調べることが可能なのである。
行動遺伝学によれば、神経症傾向や外向性、調和性、固執などの性格的特徴は4~5
割が遺伝の影響である。
能力では、この傾向が遥かに顕著で、スポーツ、音楽、数学、一般知能は8割が遺伝によって決まる。
驚くべきことに、行動遺伝学によると性格形成に家庭(子育て)は殆ど影響を及ばしておらず、性格は家庭以外の非共有環境で決まる。
非共有環境とは、学校などでの友達関係のことだとされる。
遺伝は確かに性格に大きく影響するが、親や家庭をいくら調べてもその人のことは何もわからない。
<25年後の2040年の世界>
・日本の人口は1億人を割り、GDPの世界シェアは2~3%になる。
→日本のピーク時は10%、アメリカが20%だった。
 円高の時代は、日米2カ国で世界のGDPの半分を占めていた。
・日本では70歳の人口が最も多くなる。
→2055年では、81歳の人口が最も多くなる。
→日本では毎年人口が30万人減っており、あと5年で毎年50万人減り、2050年には毎年100万人減っていく。
・2040年までに500の市町村が消滅する。
・世界最大の成長市場はアフリカ。
→アフリカ大陸は21世紀末には、更に10億人の人口が増え、世界最大の人口になる。
・インドがあらゆる分野で中国を抜く。
2011年3月11日の同時多発テロでは3000人の犠牲者を出した大惨事後、アメリカ人は「飛行機は危険だ」と不安に感じ、長距離の移動にも車を使用するようになった。
しかし現実には、車は飛行機よりも遥かに危険だったのである。
アメリカでは、交通事故の死者は年間で6000人に1人。
それに比べて飛行機は極めて安全な乗り物で、事故による死者は全世界で年間500~1000人であり、これを確率にすると、毎日飛行機に乗ったとしても事故に遭うのは500年に1回となる。
仮に1週間に1機の割合で旅客機がハイジャックされて墜落したとしても、毎月1回飛行機を利用する人がテロに遭遇して死亡する確率は13万5000人に1人でしかないという。
ハイジャックが頻発する恐ろしい世界でも、車での移動は飛行機より20倍以上も危険なのである。
同時多発テロの発生後から、アメリカでは路上での事故死が急増している。
交通事故死亡者数は1年後に元に戻るが、その間、移動手段を飛行機から車に替えたことで増えた死者の数は1595人と推定されている。
同時多発テロは、人々のリスク感覚を狂わせたことによって、1年間でテロ被害者の半分にも達する犠牲者を新たに生み出していた。
精神科医の冨高辰一郎氏は、著書『うつ病の常識はほんとうか』で「長期的には日本の自殺率は高くなっていない」と主張している。
日本の自殺者数は1900年の1万人から現在の3万人まで、時代毎の増減はあるものの右肩上がりで増えているが、元になる人口そのものも増えているのである。
1900年の日本の人口は4000万人で、現在は1億2000万人と3倍になっている。
また、日本の自殺率の変化を見ると、1950年代のなべ底不況と言われた時代と、1997年以降の平成不況の時期が極端に高いことが分かる。
しかし、1950年代と現在では人口構成が大きく異なるので、これも正しい統計とは言えない。
人口構成による自殺率の変化を調整したのが「標準化自殺率」で、長期的な自殺率の変化を論ずる時に必須とされるが、日本では殆ど知られていない。
統計学的に正しい「標準化自殺率」でデータを見ると、年間3万人の自殺者数はバブル期よりずっと多いものの、戦後の平均的な自殺率とほぼ同じである。
日本の自殺率は長期的には漸減傾向であり、バブル期に特に低くなり、不況と失業の上昇で元に戻っている。
ただ、日本は元々自殺率の極めて高い社会であり、経済的な困難で死を余儀なくされる潜在層が膨大にいるのは確かである。

『うつ病の常識はほんとうか』

不安神経症的な傾向は全てのヒトに共通するが、うつ病の出現率は人種によって異なることが知られている。
うつ病は日本、中国、韓国など東南アジアの国に多く、欧米諸国ではそれほどでもない。
ニールセン・カンパニーの調査によると、うつ状態の出現率は米国人の9.4%に対して日本人は30.4%となる。
これまでは、この現象は、集団主義的で抑圧的な文化と、自由で開放的な文化の違いだと考えられてきたが、最近、「東洋にうつ病が多いのは遺伝的なものだ」という研究が出て来た。
うつ病の治療に有効なセロトニンの伝達に関する「セロトニントランスポーター遺伝子」にはS型とL型がある。
この遺伝的な違いは性格にも反映し、S型遺伝子を持つ人は不安を感じやすく、逆にL型遺伝子を持つ人は快活で楽天的となる。
日本をはじめ東アジアではS型の遺伝子が7~8割を占め、欧米諸国ではS型の持ち主は4割しかいない。
うつ病が遺伝子型で決まるのならば、文化を遺伝子の差で説明することも可能となる。
東アジアの集団主義的な社会が生まれたのは、人々の不安感が強く、人間関係をできるだけ安定させようとしたからで、欧米の個人主義な社会は、自主独立と冒険を好む遺伝子から生まれた。
このような人種間の遺伝子の差が文化の違いに反映されるという証拠は徐々に増えてきている。
2013年5月の警察庁の発表によると、振り込め詐欺などの犯罪に使用されるレンタル携帯電話の98%が、ドコモ製品だったという。
レンタル事業者の中には不正利用を目的に携帯電話会社と法人契約を結ぶ事業者がいる。
ソフトバンクとauは、事業規模や従業員数に対して不自然に多い回線数を求める事業者を拒否していた。
しかし、ドコモは、登記簿だけで契約を結び、過去の料金支払いで停滞がなければ、契約数に上限を設けていなかったため、不正利用の温床になってしまった。
フランスは1789年のバスティーユ襲撃から始まる革命によって誕生した近代国家で、その国是は「自由・平等・友愛」の三色旗に象徴されている。
しかし、フランスのオランド政権は、経済格差という不平等を正すために、所得によって国民を「差別」する。
そもそも近代国家の理念は、人種や国籍、宗教、性別にかかわらず全ての人は平等に人権を有しているというもので、近代国家には国民を無差別に平等に扱うことが求められている。
だからこそ、極端な累進課税で一部の富裕層を「差別」することは建国の理念に反するという批判が出てくる。
富裕層に対する懲罰的な課税は、国外脱出を誘発するだけだとして、福祉国家として知られるスウェーデンは相続税を廃止してしまった。
相続税を廃止する近代国家が増えれば、富裕層に重税を課す国には貧乏人しか残らなくなる。
ゲーム理論は、全てのプレイヤーが自分の利益を最大化すべく合理的な選択をするという前提のもとに、いつくかの単純なルールで相手の行動を予測する。
ゲームの必勝法は、自分の情報を相手に与えず、相手の情報だけを手に入れることである。
<ゲーム理論を使って新車を最も安く買う方法>
まず、ディーラーに相談せずに、車雑誌やインターネットで、どの車種を買うか、装備も含めてあらかじめ決めておく。
次に、出来るだけ多くの自分が住む地区のディーラーをリストアップし、順番に電話をかけて、購入したい車種と装備の詳細を伝えた上で、下記のメッセージを言う。
「この条件でいくらで売ってもらえるか、最低価格を教えてほしい。
その価格を次に電話するディーラーに伝えて、全てのディーラーの中で最も安い所から購入する。
なお、購入する時には、ピッタリの現金しか持って行かない。」
これでディーラーは、あなたの情報を何一つ知ることが出来ないまま、最抵価格を提示するしかなくなり、ディーラーにはあなたと駆け引きをする余地は全くない。
日本では、賃貸住宅を借りる時に保証を要求される悪弊がいつまで経っても無くならない。
家賃を保証できるのは収入のある親か兄弟姉妹で、年をとると保証人が見つけられなくなり、この不安が無理をしてマイホームを購入する理由の一つになっている。
貸金業では常習的な滞納者をブラックリストで排除できるが、不動産業ではそれができない。
家主は、家賃滞納者のブラックリスト化を求めているが、リベラルなメディアや団体の猛反対に合い頓挫している。
家賃を滞納するのはごく一部で、彼らが「社会的弱者」だとすると、その権利を守る為に、ちゃんと家賃を払っている大多数の借家人が保証人を用紙せねばならないという不利益を被り、貧乏くじを引くことになる。
厚生労働省によると、全国で生活保護を受けているのは2014年6月時点で160万4414世帯(前月比1321世帯増)となり、過去最多となった。
受給者数は前月比1012人減の215万8840人だった。
支給総額は年間3兆8000億円(自治体負担分を含む)となっている。
受給者数、支給総額ともに過去10年間で倍増している。
世帯別では、65歳以上の高齢者世帯が75万3055世帯で、全体の47.2%を占める。
また世帯別全体の1割が母子家庭となっている。
19歳以下の子供の受給者が15%存在し、20代から50代の働ける世代の受給者は3分の1となっている。
福祉による就労支援は英米が先行しており、経済学者による政策評価も積極的に実施されている。
こうした研究によると、職業訓練は母子家庭の失業者には有効だが、それ以外には殆ど役に立たず、特に低学歴の若者と高齢者への教育投資は全く効果が無いという結果が出ている。