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2014年10月7日火曜日

不安神経症的な傾向は全てのヒトに共通するが、うつ病の出現率は人種によって異なることが知られている。
うつ病は日本、中国、韓国など東南アジアの国に多く、欧米諸国ではそれほどでもない。
ニールセン・カンパニーの調査によると、うつ状態の出現率は米国人の9.4%に対して日本人は30.4%となる。
これまでは、この現象は、集団主義的で抑圧的な文化と、自由で開放的な文化の違いだと考えられてきたが、最近、「東洋にうつ病が多いのは遺伝的なものだ」という研究が出て来た。
うつ病の治療に有効なセロトニンの伝達に関する「セロトニントランスポーター遺伝子」にはS型とL型がある。
この遺伝的な違いは性格にも反映し、S型遺伝子を持つ人は不安を感じやすく、逆にL型遺伝子を持つ人は快活で楽天的となる。
日本をはじめ東アジアではS型の遺伝子が7~8割を占め、欧米諸国ではS型の持ち主は4割しかいない。
うつ病が遺伝子型で決まるのならば、文化を遺伝子の差で説明することも可能となる。
東アジアの集団主義的な社会が生まれたのは、人々の不安感が強く、人間関係をできるだけ安定させようとしたからで、欧米の個人主義な社会は、自主独立と冒険を好む遺伝子から生まれた。
このような人種間の遺伝子の差が文化の違いに反映されるという証拠は徐々に増えてきている。

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