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2018年1月21日日曜日

友人が労せずした金持ちになるのを見ることほど、心の平安を乱し、判断を狂わすものはない。
by チャールズ・キンドルバーガー 経済歴史学者
年金住宅融資がまとめた調査報告によると、無理のない住宅ローンを組む為には、年間返済額が年収の25%以内である事が望ましいという結果だった。
この返済比率が高まると返済が滞る確率か゜高くなる。
ここで停滞さは4ヶ月以上の滞納を指している。
25%以内の人で返済が滞る人は1%程度だが、返済負担率が35~40%の人だと5%に跳ね上がる。
適正な範囲を年収の25%以内だとすると、年収の7.4倍を借りる事が可能となる。
世帯年収700万円ならば5180万円で、これに頭金を加えた価格となる。
一方で銀行側がどこまで融資をしてくれるかというと、世帯年収の10倍が現在の限度額となっているが、年収700万円で7000万円借りてしまうと、返済できなくなる確率が高くなってしまう。
住宅ローンの借入額には、返済に無理がない範囲の金額である「適正ローン額」と銀行が貸してくれる最大限度額である「上限ローン額」の2つがある。
この2つの金額は年収とその時点の金利で決まる。
適正ローン額は世帯年収の7倍、上限ローン額は10倍強となる。
超低金利の今だと、年収の10倍以上借りる事ができる。
金利が2%だった頃は、適正ローン額は世帯年収の6倍、上限ローン額は8.5倍ほどだった。
物件購入金額は、住宅ローン金額に頭金を加えた金額になるので、現在は世帯年収の12倍以上の物件を購入することも検討できる時代となっている。
住宅ローン控除は4000万円のローン残高があれば年間最大40万円の税額控除となり40万円戻ってくる。
実際に支払っている金利が0.5%だと、年間20万円相当となり、住宅ローンを借りていると20万円のキャッシュを貰える事態が10年間続くことになる。
住宅ローン控除の制度は、金利が1%を割ることを想定していなかったと考えられる。
住宅ローンの賢い借り方は世界共通で決まっており、「なるべく多い金額を、なるべく長い期間で、なるべく安い金で借りる」ことである。
また年収に対して年間の元利返済総額が25%を大きく超えない範囲が望ましい。
これを越えると延滞リスクが増え始めるからである。
マイホームの不動産で「身の丈に合ったものを買う」という一見正しそうな話を真に受けていると資産性の落とし穴ら落ちてしまう。
含み損を抱えて、住替えができなくなったら一生後悔する事になりかねない。
高い物件ほど値下がりしにくいことは明白なので、身の丈の2割増を目指すべきである。
10年住んでいる間に、年率2%年収を増やせれば、身の丈にすることができる。
購入時点で35歳なら、45歳後の年収に合わせれば、購入金額は変わってくる。
東京都は災害リスクを精緻に調べて公表している。
代表的なものは独自に算定している「地震に関する地域危険度測定調査」であり、5133の町丁目に細分化し、数値化されている。
指標は建物倒壊と火災の2つと、これらをまとめた「総合危険度」の3つがあり、地図になっているので分かり易い。
安全の目安として、京浜東北線よりも西側を選ぶべきである。
他にも、地震の影響想定も東京都では行われており、現在想定される大地震が網羅されている。
マンションデベロッパーの過去6年間の供給戸数は、240,033戸である。
このうち上位7社「メジャーセブン」の合計供給戸数は102,947戸とシェア43%を占める。
メジャーセブンとは、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、墨とも不動産、東京建物、東急不動産、大京の7社で、平均して5.4%ほど高い価格設定をしている。
新築からの値上がり幅を指す「中古騰落率」は、メジャーセブンの加重平均値は9.1%で、全体の6.2%を3%ほど上回り、値上がりしやすい。
ちなみにメジャーセブン以外の平均は4.8%と低く、仲介手数料3%以上の差が付いていることになる。
長手も三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは、10%以上値上がりしていて、物件を売る時に困る事が少ない。
      相場割高度  中古騰落率  中古騰落ブラス率
三井不動産  4.7%     12.5%     88%
三菱地所    2.9%     11.4%     85%
野村不動産  6.7%     9.7%      78%
東急不動産  2.1%     7.1%      71%
東京建物   7.1%     5.3%      69%
大京     5.1%     3.6%      53%
住友不動産  8.9%     1.6%      52%
メジャー7平均 5.4%     9.1%
全平均     0%     6.2%
マンションは「どこでも1年で坪単価は4万円下がる」という法則がある。
これは、都心の坪単価が高いエリアでも、郊外でも下落額は同じく毎年4万円なので、下落率は都心が小さく郊外では大きくなる。
端ジョンに資産価値を保つならば、単価の高い都市のマンションの方が有利になる。
また、下落幅は23坪(76平米)だと、これに4万円をかけた92万円になる。
1年で92万円ということは、月に8万円弱目減りする事になるので、これ以上に月額で元本返済をすると、売却した時に含み益である差額がキャッシュで戻ってくることになる。
もし、その物件に住んで支払う賃料が8万円+金利を上回るならば、校にゆうした方が得になる計算となる。
これはどのエリアでも同じことが言えるので、賃料が高いエリアの方が、マンション購入には向いているのである。
物件価格の下がり方は不動産市場が安定している場合、年間2%下落していく。
これに対して、元本の減り方は金利0.6%の場合、10年間で25%減ることになり、5%の含み益が発生することになる。
このように元本の減り方は、住宅ローンを組むタイミングで決まり、相場が大きく変動しなければ心配することはない。
現在の超低金利だと、ローン金利も住宅ローン控除と相殺できるほど、金利負担は殆どないに等しく、これが10年続くことになる。
バブル期と現在の違いは、不動産鑑定手法にある。
以前は「取得事例比較法」しか使われておらず、隣の土地が1年で2割値上がれば、されと同様に周辺の地価も2割上昇したので、際限のない上昇が可能となってしまい、地価のバブルを生んでしまった。
しかし、現在は「収益還元法」で不動産価値は評価され、その物件が生み出す賃料で決まる仕組みとなっている。
自由宅の賃料は不動産の価格の中で最も変動しにくいものであり、その賃料で割り戻してマンションの価格は決まるのである。
その割り戻す利回りは上下しても市場原理が働き、上限や下限は存在し、極端なバブルが起こることはもう無い。
過熱したり冷え込んだりすることはあっても、異常と言える水準には決してならない。
つまり、マンション価格は高騰した現在の水準でも、決してバブルと言える水準ではない。
現在がバブルではないのだから、バブルの崩壊で不動産が値を下げるなどという事は有り得ないことになる。
マンションを10年で買い替える理由
1.含み益を出す
 含み益を生んでいる場合、売却しないと実現益にならない。
2.住宅ローン控除の期間は10年で切れる
 最大40万円の税額控除は1年間の金利以上になる。
3.10年固定金利はそれ以上の長期金利よりも低い
 期間が長いと固定金利は高くなる。
4.フラット35Sの金利優遇は5~10年で設定されている
 優遇金利が0.3%の違いでも価格の5%相当の返済の違いとなる。
5.新築住宅の固定資産税の減額は5年の期限がある
 新築マンションは要件を満たすと、5年間建物部分が1/2負担になる。
6.買いたい人は築10年以内の物件を望んでいる
 買う側の論理に合わせた方が売りやすい
7.最新設備を使える
 設備の償却期間は6~15年で買換えの必要がある。
8.共有施設は新築から数年で使われなくなる
 キッズルームは子供が小さい時しか使わない
9.築12年の大規模修繕までに費用負担が発生する可能性が高い
 新築時の修繕積立金は低く、割安である。
10.売主の瑕疵担保責任は10年で切れる
 建物の問題を売主が補償する期間は10年で終了する。
戸建の物件がインフレ傾向を続けている米国の場合、木造戸建ての減価償却期間は27.5年で計算する。
しかし、所有者が代わると、次の人も27.5年で償却することになる。
建物価値はリノベーションすることで評価を挙げることができ、銀行も税制上も評価してくれるのである。
米国の建物の平均築年数は40~50年だから、耐用年数を過ぎた物件は多いが、空室率は全米で7%弱に過ぎない。
だから、購入者は築年を参考程度にしか見ないし、リフォームに投資をして価値を上げるビジネスが成り立ち、結果的に市場規模は新築と中古で2対8となる。
日本の1980年代終わりのバブル期までは、たとえ木造戸建ての物件価値が大きく下がっても、土地価格が上がったので購入者は大きな痛手を負わなくて済んだが、バブル崩壊後は、戸建を購入したら、かなり高い確率で含み損が発生し、これを補えない限り、引っ越すことはできなくなった。
アベノミクス以降の金融緩和で、銀行の融資が担保を取れる不動産に多く流れたため、不動産価格は大きく上昇した。
しかし、マンション価格は3割超上ったが、戸建は殆ど上がっていない。
マンションは子供のいない世帯や高齢者、投資の対象となるが、戸建は子育て層にしかニーズがない。
さらに、中古戸建の銀行評価は低く、物件評価は木造の耐用年数の22年後にはゼロ評価となってしまい、住宅ローンは土地代分しかつかない。
つまり、土地代が大幅に値上がりしていないと、多額の住宅ローンを借りることができないのである。
だから、高く買える人がいなくなるで、高値で取引されることが無くなるのである。
持家か賃貸かは永遠のテーマとして語られる。
持家と賃貸で差が出る点と出ない点を整理すると、差が出ない点は、建築単価・土地価格・長期修繕計画・管理費となる。
差が出る点は、金利と税制の2点に集約され、どちらが有利か決まる。
そうすると、不動産投資に対するローン金利よりマイホームに対するローン金利が圧倒的に低く、マイホームに関する税制優遇(住宅ローン控除、贈与の特例、譲渡所得控除、固定資産税の減免など)で、持家が賃貸に勝ることが理解できる。
最近の超低金利と持家優遇税制が変わらない限り、この結論は変わらない。
持家が賃貸か、どちらも有りと結論づける住宅情報誌は、両方をビジネスにしているから、両者を拮抗させねば不都合なのである。
持家で問題が発生するのは、売却時の価格が購入時の価格から支払ったであろう賃料を差し引いた金額よりも下回る場合に限られる。
価格変動リスクとしては、相場変動以外に、どのマンションが良いか目利きの問題となる。
ファミリー世帯における賃貸住宅の平均居住年数は4年であり、賃貸契約は2年契約なので、1回契約更新して2回目で引っ越すのが一般的である。
一方、分譲マンションを購入した人は、年2%の割合で引越しをしており、10年経つと2割が転居している。
この計算でいくと、35年の住宅ローンを組んでも、ローン完済前に住替えをしている人の方が多いことになる。
つまり住宅ニーズが世帯構成とライフイベントによって決まるからで、4人家族ならば少なくとも10年に1度は世帯構成の変化とライフイベントが起こる。
そこで自宅住替え期間は10年を1つの目安とするのが合理的となる。
米国では物件検索サイトで、近隣の学校のランクが全て表示されており、周辺住民の世帯年収や不動産価格の履歴も見る事ができる。
ちなみに米国では公立学校が10段階で評価されており、10点が付くような学校はハイソすぎることもあるという。
親や運転手が学校へ送迎するのが当たり前な学校では、コストがかかってしまう。
米国駐在の日本人ファミリーの場合、8~9が適当な感じで人気が高いという。
東京23区で最も年収が高いのは、学区内に六本木ヒルズや元麻布ヒルズがある港区の南山小学校で、平均世帯年収は1409万円である。
「学校選択制」を導入している区では、学区内に居住していれば希望の学校を通いやすいというメリットがあるので、住宅購入時には学区情報を調べておくべきである。
現在の金利水準(変動金利0.625%)ならば、年収の7倍くらいの分譲マンションを購入できるので、分譲価格が6000万円の物件を購入している人の世帯年収は、800万円から1000万円だと分かる。
このローン返済や家賃は、月15~20万円、年金180万~240万円が目安となる。
中古価格が7000万円ならば、平均世帯年収は1000万円となる。
賃料水準で見ると、築10年までのファミリー物件の1室平均家賃が20万円ならば、その50倍が平均世帯年収となるので、1000万円となる。
この計算は、家賃に12ヶ月を掛けた年間住居負担額が年収の20~25%である事が根拠となっている。
つまり、そのエリアの3LDKの分譲マンションの中古価格や家賃が分かれば、だいたいの世帯年収が分かるのである。
小学受験での成績は発育過程においては、かなり早いタイミングでの判断であり、入学後に同級生の学力についていけなくなる事もある。
結果的に、国立大学附属小学校の場合、附属中学への進学率は7から8割に留まり、附属高校への進学もさらに7から8割になっているのが現実で、つまり小学校から高校まで内部進学できるのは、半分程度になるという。
一方、高校受験組は、中学受験後6年かけて大学受験の準備をする中興一貫教育と比較して、大学進学においては不利だと考えられることから、中学受験は子供の能力と学歴を判定するのに適切なタイミングだというのも理解できる。
1980年代後半から始まるバブル期においては、都市圏に移住する年齢は大学進学の19歳が最も多かった。
しかし、その後は大学を卒業して就職する23歳が最も多くなっている。
大学で一人暮らしをさせる財力が親になくなり、就職して子供が自ら稼げるようになってからでないと、一人暮らしができなくなったのである。
東京都教育委員会が出している「公立学校統計調査報告書」によると、国立・私立の中学受験進学率は1980年頃は9%だったが、2014年には20%弱となっている。
都内の受験進学率上位3区(千代田区・中央区・文京区)においては、44%台であることから、この2倍にあたる9割が受験していてもおかしくない。
それくらい現代における中学受験の割合は増えている。
1980年代前半から、中学受験進学率は急速に上昇しているが、受験知友がくの入学定員は過去30年間1.5万人と変わらなかったことから、少子化によって難関中学でも入学しやすくなっており、受験を考える世帯が増えたと考えられる。
世帯年収が700万円以上になると中学受験率は44%、600万円台で38%、500万円台になると19%と600万円の半分にまで急激に減り、400万円台は12%と700万円台以上の1/4となる。
500万円台と600万円台では2倍の差なので、世帯年収は子供の教育投資ができるか否かの大きな要因となる。
国の調査の「住宅・土地統計調査」で市区町村ごとの世帯年収分布が分かり、国勢調査で市区町村ごとの最終学歴が分かり、子供の中学受験率は教育委員会の調査で分かるので、これらを組み合わせると、市区町村別に平均世帯年収と大学卒者割合が判明する。
この結果、世帯年収が上がると中学受験進学率が上がるという関係が成り立つ。
つまり、大学卒業者割合が高いと、平均世帯年収が高くなり、中学受験進学率も高くなる、という関係がハッキリする。
学歴が高くなると平均年収は高くなる。
日本全体の平均世帯年収が304万円なのに対して、大学・大学院卒では22%増の372万円、中学卒は20%減の244万円となる。
この間の年収差は128万円で、これが50年続くと6400万円の傷害賃金の差となる。
大学進学率が55%を占める日本社会では、大学卒を基準に比較対象とすると、生涯賃金において高専・短大卒はマイナス4800万円、高卒はマイナス5450万円となる。
20代前半では、大卒と中卒の賃金格差は15%しかないが、50代になると大卒と中卒の賃金差は45%となる。
大卒は年齢を重ねるに従って年収が高くなり、50代前半には20代前半の2.3倍になるのに対して、中卒は1.5倍、高卒は1.6倍にしかならない。