中国天主教愛国会を政府公認のカトリック団体と報じられる事があるが、バチカンの理解は異なる。
そもそも、キリスト教には、カトリック、プロテスタント、オーソドックス(ロシア正教会に代表される)の三大教派がある。
そのうち、カトリック教会は、ローマ教皇(法王)が、イエス・キリストから「天国の鍵」を預かっていると考える。
ローマ教皇が任命した神父が行う儀式に参加し、懺悔をすることによって人間は救われる。
従って、各国の教会幹部である司教の人事権をローマ教皇が持つことは、カトリック教会として絶対に譲ることができない原理原則なのである。
また、ローマ教皇は全世界のカトリック教会のトップであるとともにバチカン市国の国家元首である。
1949年に中華人民共和国が成立した後、バチカンは台湾(中華民国)と外交関係を維持している。
中国天主教愛国会は、1957年に共産党の肝いりで作られた団体で、教会ではなく、カトリック教徒を政府が事実上管理するための団体である。
確かに、中国天主教愛国会に所属する人々はカトリック教徒であるが、バチカンよりも中国共産党に中世を誓う人々なのである。
バチカンが任命する人事と中国天主教愛国会が任命する人事が一致するという形で、近年両社は折り合いをつけていたが、2006年に人事を巡るトラブルがあった。