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2017年9月8日金曜日

テクニカル分析は、企業の事業内容や財務状況、経営計画などとは全く無関係に、ただチャートの動きのみによって将来の株価を予測する投資手法で、熱烈な信者が存在する。
しかし、アメリカで1920年代から保存さらているニューヨーク市場の株価データを使って、ありとあらゆるテクニカル指標が、コンピュータで解析され、ほぼ全てのケースにおいて、テクニカル分析に従って売買を繰り返すよりも、単に株を買って保有するだけの長期投資な方が有利だという事が、証明されている。
テクニカル売買は、手数料分だけ確実に長期投資に負けてしまうのである。
株式アナリストによるファンダメンタルズ分析のレポートというのは、殆どの場合が、自分に都合のいい株を投資家に買わせるためか、分析対象である企業経営者のご機嫌をとる為の証券会社の営業行為である。
そうでなければ、いったいなぜ株式アナリストに高額の報酬が支払われるのであろう。
未来のことは誰も分からないので、予測の過ちを事前に指摘される恐れはない。
結果として予測が外れたとしても、他のアナリストの予測も外れるのだから、別に大したことでは無いという訳である。
「最大の資産は自分自信の能力だ」という考え方もある。
市中金利が1%だと、資産運用で500万円の利益を得るには5億円の元本が必要となる。
つまり年収500万円の人の価値は、5億円ということになる。
この巨額の資産(人的資本)からすると、数百万円の金融資産を資産運用で増やす努力をするより、今すべき事は、こな5億円の人的資本を、10億円、20億円へと増やしていく事である。
これを経済学の用語では「人的資本への投資」という。
資産運用の初期においては、金融資産に投資するよりも、人的資本に投資した方が合理的である。
2億5000万人のアメリカ人全員が参加する賭け金1ドルのコイン投げを1日1回行い、勝った方が相手の持っているコインを全て受け取るとすると、20日後には勝ち残った238人の手に105万ドル以上が貯まっている計算になる。
敗者が消えていき、残った勝者だけで統計をとると平均値が上がってしまうトリックを、「生き残りバイアス」というが、これはその典型である。
『金持ち父さん貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキは、不動産市況の回復を確信して多額の借金をしてハワイの不動産を買い漁った。
しかし、不動産の値下りで苦境に陥り、1985年には夫婦でホームレス生活を余儀なくされ、一時は古ぼけたトヨタを「家」にしていたという。
見かねた友人が自分の家の地下室を貸してくれるまでの3週間、ホームレス生活は続いた。
その後、キヨサキの予想通り不動産は大きく値上がりし、資産形成に成功する事になるが、不動産価格の下落がさらに続いていれば、借金を返済できずに破産していたかもしれない。
ちなみにハワイの不動産市況が回復し、キヨサキが投資に成功したのは、バブルの最盛期に大量のマネーが日本からハワイに流れ込んだ為である。
こうして金持ちになったキヨサキが、バブル崩壊で苦しむ日本人に成功体験を語るというのも、皮肉な話である。