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2016年12月15日木曜日

If today were the last day of my life,
would I want to do what I am about to do today ?
(もし今日が人生最後の日だとしたら、
今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?)
by スティーブ・ジョブズ
一般にはあまり知られていないが、2015年度税制改正で国税当局は、富裕層を狙い撃ちする方針を鮮明にしている。
富裕層の海外資産を把握するとめ、国家間の「自動的情報交換制度」を導入し、海外への税逃れには「国外転出時課税制度(出国税)」を創設した。
自動的情報交換制度は、2017年以降、個人と非上場企業が海外に持つ金融口座の内容が、海外の税務当局かを通じて、国税庁の「国税総合管理(KSK)システム」に入力されることになっている。
つまり国外財産調書の記載をごまかしていれば、国税庁のKSKシステムで判明し、厳しい追及を受けるのである。
この自動的情報交換制度は、OECD租税委員会が主導し、英、独、仏、シンガポールなど合意した101ヵ国・地域の税務当局が非居住者の金融口座情報を相互に交換し合うことになっている。
情報交換の時期は2017年から実施する国と、その翌年から実施する国に分かれている。
シンガポールの場合、日本の居住者がシンガポールの金融機関に持つ預金、証券口座の保有者氏名、口座残高、利子・配当年間受入れ総額などが、2018年からシンガポールの国内歳入庁を通じて、日本の国税庁に年1回、自動的に入ってくる。
日本の富裕層を驚かせたのは、2012年度の税制改正に盛り込まれた「国外財産調書制度」だった。
この制度は、海外に5千万円を超す資産を持つ日本国民に対し、2013年度の確定申告から、海外資産の内訳明細書を税務署に提出することを義務付けた。
親告すべき海外資産とは、国外支店口座にある預金、株式、債券、不動産、貴金属、国外で契約した生命保険に至る。
この海外資産について虚偽の申告記載をしたり、申告書ほ提出しなかった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。
日本の個人金融資産は総額1700兆円で、その1%としても17兆円が海外に移動していると考えられる。イタリアの場合は5%が海外に流れていた。
国税庁の発表によると、制度施行時の2013年申告分の「国外財産調書」の提出数は5539件(財産総額2兆5142億円)に過ぎなかったが、2014年分は8184件(財産総額3兆1150億円)と、5割も提出数が増えている。
2013年分の申告は罰則が猶予されていたが、2014年分からは故意の不提出や虚偽記載に罰則規定が適用された影響も大きい。
国外送金等調査書は、国税調査官には「コクソウキン(国送金)」と呼ばれているという。
1回に100万円を超す国内金融機関への入金や国外金融機関への送金があった場合、日本の税務署は、その金額や入送金者名、目的を金融機関に報告させている。
金融機関からの報告に基づいて、税務署は納税者に質問文書を送り付ける。
送金が多額であれば、無申告の資金を国外に送ったり、秘密の国外財産を日本に戻したりしたのではないかと疑うのである。
税務署の「お尋ね」を受けて、素直に修正申告をすれば単純な申告漏れで済まされるが、しらを切り続けると、悪質な所得隠しの疑いを持たれ、厳しい追及と重加算税が待っている。
国税庁の追及はさらに、100万円以下の海外送金についても及んでいる。
「ミニマルサ」と呼ばれる国税局資料調査課は、強制調査権を持たない代わりに、定期的に金融機関に出向き、名寄せをして追跡を続けている。
1000万円を100万円以下に小口に分散送金すれば、バレないと思っていても、国税は把握している。
国税庁の海外での「長期出張者」の活動実態の一部が会計検査院によって暴かれたことがある。
2006年に、その出張旅費に関して国税庁の海外拠点が厳しい実地調査やヒアリングを受けた。
その際に公表された会系検査院の「平成18年度決算検査報告」を見ると「保秘」至上主義の国税庁にとって、実に手痛い内容であったかが理解できる。
「国税庁は、外国における税務行政、税制等の研究、公開情報の収集、短期出張者の支援等の用務を行う職員のために、現地で事務所を借上げている。
この現地事務所は、事務室、居室等を備えていて、長期出張者は日当、宿泊費等の支給を受ける一方で、この現地寺家所で宿泊し、ここを拠点に用務及びその用務のための活動を行っていた。旅行命令簿及び旅費請求書には現地事務所の所在地は記載されていなかった。
国税庁は、平成17、18年度に米国のワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスに長期間出張させた計6人の職員に計3910万円の旅費を支払っていた」
そして、会計検査院は、国税庁の「長期出張者」の日當、旅費の計算上の誤りを突き、この6人に払った旅費のうち計566万円が無駄遣いにあたる、と指摘した。
国税庁は海外に派遣した調査官の実態について明らかにしていない。
彼らは「長期出張者」という扱いで、国際業務課に籍を置き、世界18都市に「現地事務所」と呼ばれる拠点を構えている。
派遣先はワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス、オタワ、ロンドン、パリ、ボン、ベルン、アムステルダム、ソウル、北京、上海、香港、ジャカルタ、バンコク、マニラ、シドニー、シンガポールである。
そこには大使館など在外公館ではなく、民間のマンションの一室を借上げ、住居兼事務所としている。
総勢約20人で、このうち2人は多国籍企業の国際的租税回避スキームを解明する「国際タックスシェルター情報センター(JITSIC・ジトシック)」に派遣される。
このセンターは米英豪加で設立され、ワシントンとロンドンに秘密の事務所が置かれていた(現在は廃止)。
「長期出張者」は2から3年間、任地に身を潜める特殊任務であり、海外赴任手当は出ない。
出張旅費と日当、宿泊費が支給されるだけで、派遣される者の多くが35歳前後の独り身である。
彼らの多くは語学に長けた大卒の国税専門官出身で、国税ノンキャリア組の出世コースである。
「長期出張者」は「OFFICAL PASSPORT」と記された緑色の公用旅券(グリーンパスポート)を持たされ、任地に向かう。
大使館など在外公館に勤務するのであれば、外交旅券「DIPLOMATIC PASSPORT」と外交特権が付与されるが、国税庁は調査官を在外公館勤務にしてしまうと、外務省の管轄下に入り、独自行動がとれなくなる為、「長期出張」という形で海外に配置しているのである。
Buy disaster.
(天災は買いだ)
by ジム・ロジャース
ジム・ロジャースは、東日本大震災の翌日に日本株を買い増している。
長渕剛の歌は、野村證券のカラオケ接待ではご法度で、特に『しゃぼん玉』を唄うと叱られるという。
証券会社の営業マンはゲンを担ぐ者が多く、「それはバブルがはじけた歌だ」というのである。
「うらまないで とばそうよ あの時笑って作った しゃぼん玉のように」
「淋々と泣きながら はじけてとんだ」
という歌詞は許せないのだという。
東南アジアでは、季節の変化を告げる四季がない。
しかし、四季はないが3つの季節はあるという。
1つに「hot(暑い季節)」
2つに「hotter(もっと暑い季節)」
3つに「Hottest(暑すぎる季節)」
暑さにうんざりした駐在員たちが、いつかは耳にする当地のジョークだという。
日本の生命保険には金融庁の規制があって、死亡保障の最高額は7億円である。
しかも、その保証金を得るためには6億5千万円ほどのキャッシュを支払わねばならない。
シンガポールでは50億円の死亡保障の生命保険商品があり、加入者が50歳だとすると、この加入料は15億円程度となる。
しかし、客は5億円支払うだけでよく、残り10億円はプライベートバンクが融資してくれ、死亡した時には50億円の死亡保証金が得られる。
10億円の融資分を返済しても、35億円が遺族の手元に残る計算になる。
50億円の保険に加入させれば、プライベートバンクにも数億円の手数料が保険会社から支払われる。
プライベートバンクは、死亡保険金からの融資金の元金返済が、確約されており、更に本人が死亡するまで融資金利を取り続けることができる。
それ以上にプライベートバンクにとって重要なのは、預金や金融資産を担保にローンを組ませることによって、客が他のプライベートバンクに資金を移しにくくなる事である。
加入者にもプライベートバンクにも、双方にとってメリットがあるぽろい儲け話が、海外には存在するのである。
5億円を日本で寝かせていたも相続税で半分取られて、2億5千万円しか遺族には残らない。
しかし、その5億円で海外で保険に入り、35億円を手にした遺族は、相続税を支払っても17億円が手元に残る。
シンガポールでは人種別に安定度を測る格付けがあり、日本人はAランクだから、最高で100億円の保険に加入できる。
外国人富裕層の受け入れを国策とするシンガポールの金融管理局は、合理的規制を掲げ、ヘッジファンドとファンドマネジメント会社を優遇しているため、日本では購入できない利回りの高い金融商品と節税策を享受できる。
例えば、日本で1億円持っているとすると、株を買っても債券を買っても1億円しか運用できない。
日本の金融機関で唯一できるのが、株の信用取引で1億円の原資で3倍までの取引しかできない。これは株取引だけの世界である。
ところが、シンガポールやスイスでは、この信用取引が債券購入でも可能となる。
シンガポールでは債券は5%の利回りがあるので、1億円の原資があれば3億円まで信用取引ができ、5%×3倍の15%で回ることになる。
この場合、2億円借りているので、その金利が1.5%とすると、15%-1.5%=13.5%の利回りを得られ、プライベートバンクの手数料を引いても債券投資で10%の利回りとなる。
つまり、少なくとも10年後に1億円が2億円になるのである。
シンガポール政府は富裕層優遇政策を次々と打ち出したことで、世界中の資産家が続々とシンガポールへと流れ込んだ。
その結果、欧州やスイス、中国、インド、その他のオフショアの資金まで吸収し、2000年には500億シンガポールドルだったプライベートバンクの運用資産額は、2011年には5500億シンガポールドルに達している。
富裕層の投資動向を調査分析しているウェルスインサイト社は、シンガポールが2020年までにはスイスを抜いて世界最大のオフショア金融センターになると予測している。
「オフショア」の説明として用いられる「課税優遇地」と、脱税の温床であるタックスヘイブンの「租税回避地」は、税の優遇という点では同じ意味である。
いずれも、所得税や法人税などの税金が無税、あるいは税率が極めて低い国や地域を指している。
二つの言葉について明確な定義はなく、日本の国税庁では同じ意味で使用されている。
2015年の国税庁の文書には「オフショア金融センターを有する軽課税国・地域等(いわゆるタックス・ヘイブン)」と記されている。
金融界では規制行政と透明性の有無によって、一応の区別をつけることが多くなっている。
説明として引用されているのが、OECDが1998年に定めたタックスヘイブンの判定基準がある。
1.まったく税を課さないか、名目的な税を課すのみである。
2.有効な情報交換制度がない。
3.透明性がない。
4.そこに税法上の籍を置く企業や個人に実質活動を要求しない。
この基準では、パナマやカリブ海のケイマン諸島、英領バージン諸島などがタックスヘイブンということになるが、これはあくまでもOECD加盟各国とその影響かにある国々との駆け引きによって出来上がった妥協の産物でしかない。
シンガポールや香港も当初は、OECDの基準を受け入れていなかったが、OECDの圧力を受けて2009年に法改正を行っている。