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2017年3月7日火曜日

杉原サバイバルの存在は重要である。
ナチス占領下のポーランドからリトアニアに逃亡し、在カウナス日本領事館領事代理だった杉原千畝が発給した「命のビザ」によって救われたユダヤ人が、全米各地にいる。
あのモニカ・ルインスキーさんの祖父も杉原サバイバルの一人で、杉原千畝がいなければクリントン政権を揺るがしたモニカ・ルインスキー事件も起きなかったのである。
また1987年のブラックマンデーの時、ニューヨーク証券取引所のプレジデントは市場を閉鎖したが、シカゴ商品取引所のレオ・メラメド会長は最後まで市場を閉じなかった。
なぜ閉じなかったかと後に聞かれた際に、レオ・メラメド氏は「私は自由な市場がどれほど大切であるかを骨身に染みて知っている。実は私は杉原サバイバルなんです。これはシステムの話ではなく、私の信念なのです。」と答えたという。
彼は「命のビザ」のお陰でシベリア鉄道に乗り、日本の敦賀を経由して、アメリカに渡った。そこには自由なマーケットが広がっていたのである。
この「命のビザ」の話は、感動的なヒューマン・ドキュメントとして語られる事が多いが、インテリジェンスの面でも、杉原サバイバルをいかに日本とつないでおくかという重要なテーマとして捉えておくべきである。
同胞であるユダヤ人を助けた杉原のことを、現在も世界中のユダヤ人は忘れていないという。
外交は人である。
かつて「ロシア・スクール」には、国際的に一目置かれた外交官が何人もいたが、その1人が杉原千畝である。
杉原は1939年にリトアニアのカウナス(戦前の首都)領事代理として勤務した時に、外務本省からの訓令に反して、ユダヤ人に対する日本のトランジット・ビザ(通行査証)を発給したことは有名である。
1941年2月に、ドイツ占領下のチェコで在プラハ総領事代理として勤務していた杉原は、外務大臣に宛てて、「ここでは、リトアニア人と旧ポーランド人に発給したビザの数は2132枚、このうちユダヤ系については約1500枚と推定される」と公電を打っている。
ビザは1家族につき1枚あればよかったことから、杉原千畝が「命のビザ」によって救ったユダヤ人の数は、少なくとも6000人に上ると言われている。
現在のブラック企業は洗練された技法を用いる。
それについては村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が参考になる。
登場人物の一人、名古屋で自己啓発セミナーを主宰して大儲けしている赤松慶はセミナーの目的について、「会社の思惑どおりに働きつつ、それでいて『私は自分の頭でものを考えている』と思ってくれるワークフォースを育成することだ」と述べる。
企業の利潤に即戦力として最大限に貢献する労働力に人間を改造することがブラック企業の目的である。
さらに、こういう労働力になる人とそうでない人の区分について、赤松が述べた箇所は興味深い。
「おれたちのプログラムをまったく受け付けない人間も少なからずいる。そういう人間は二種類に分けられる。ひとつは反社会的な人間だ。英語で言うアウトキャスト。そういう連中を相手にしても時間の無駄だ。お引き取り願うしかない。もうひとつは本当に自分の頭でものを考えられる人間だ。この連中はそのままにしておけばいい。下手にいじくらないほうがいい。どんなシステムにもそういう『選良』が必要なんだ。順調にいけば彼らはゆくゆく指導的な立場に立つことになるだろう。しかしその二つのグループの中間には、上から命令を受けてその意のままに行動する層があり、その層が人口の大部分を占めている」
教養を身につけた本物の選良(エリート)になることが、ブラック企業から抜け出す最良の方策となる。
2014年7月1日の閣議決定で集団的自衛権の部分的容認を決定した。
ただし、その内容は集団的自衛権と個別自衛権が重なる範囲を明確にし、従来、個別的自衛権で解釈していたものを集団的自衛権でも解釈できるようにしたに過ぎない。
さらに翌2015年9月19日に国会で閣議決定よ対応する安保法制関連法が成立したが、なし崩し的に個別的自衛権の解釈を広げて、集団的自衛権の範囲に大幅に踏み込んで活動することはできなくなった。
また、安保法制関連法の成立で、日本の安全保障が盤石になったという立場をとる以上、憲法9条を改正に踏み込む合理的理由がなくなった。
国内法と国際法とでは、基本的な発想が異なる。
国内法では法律によって権限を付与された警察や検察などの機関以外の日本国民、外国人が係争を暴力で解決することは禁止されている。
国内法の世界では、国家の力を背景に実効性が担保された法体制が整備されている。
一方で、国際法においては、戦争は違法化の傾向にあるが、しかし最終的に係争事項を戦争で解決することを国際法は容認している。
その意味では、国際法は国内法に比較して、未熟で野蛮な法である。
また、法に違反する行為についても国際法においてはルールが異なる。
条文に書かれた事項にどこかの国が違反している場合も、それだけで直ちに国際法違反にはならない。
条約に参加している一つもしくは複数の諸国が「あの国は条約の規定に違反している」と主張しなければ、国際法上の義務違反は生じないのである。
現在、安倍政権は向かうところ敵が無い最強政権のように見えるが、実際の権力基盤は脆弱である。
現在、自民党の多くの1回生、2回生議員は後援会を作っておらず、選挙は創価学会を支持基盤とする小梅宇藤に依存している。
公明党が自民党と距離を置くような状況が生じれば、政権は瓦解する。
強力な安倍政権下でかつてなく公明党の政治力が強化されていることに注目する必要がある。
日本共産党は、北方四島のみならず、ウルップ島からシュムシュ島までの千島列島18島を含む計22島の日本への返還をロシアに要求せよという立場を取っている。
しかし、外交は政府の専管事項でるので、共産党の主張は日本政府の立場にならないので、千島列島をめぐる領土問題は存在しない。
国際法的に戦争が終結するためには、平和条約を締結するか、合意文書で戦争の終結を宣言しなくてはならない。
日本は1945年8月15日に終戦を表明し、同9月2日に降伏文書に署名した。これで戦闘行為は終結したが、国際法的な戦争状態は続いていた。
米英など西側主要国との戦争状態は、1951年9月8日に署名されたサンフランシスコ平和条約によって終結した。
平和条約は翌1952年4月28日に発効し、国際法的にはこの日に日本が主権を回復し、連合国の大多数との戦争状態から脱したことになる。
一方、ソ連はサンフランシスコ平和条約に署名しなかった。
従って、1956年10月19日に当時の鳩山一郎首相とブルガーニン・ソ連首相が署名した、戦争状態の終結を明記した「日ソ共同宣言」が同12月12日に発効するまで、国際法的には戦争状態であったことになる。
北朝鮮の工作員がイスラム国の自称首都のラッカに出没しているという情報がインテリジェンス関係者の間で流れているという。
北朝鮮は、地下秘密基地を造る土木技術に秀でており、イスラム国は、米軍の偵察衛星、無人飛行機からの空爆から逃れる本格的な施設を必要としている。
北朝鮮は、過去にもシリアやリビアで地価秘密基地を造った実績がある。
ISと北朝鮮はイデオロギーは異なるが、米国とその同盟閣に対する敵対行動については利益を共有している。
2016年5月6~9日にかけて、北朝鮮の平壌で朝鮮労働党第7回大会が行われた。
全開の第6回大会が開催されたのは、36年前であり、北朝鮮建国の父である金日成が主催した最期の党大会だった。
第6回大会で、金日成は全社会の主体思想化を提唱し、当時存在していたソ連・東欧諸国などの社会主義国が掲げていたマルクス・レーニン主義とは、一線を画したイデオロギーで北朝鮮を統治する方針を明確にした。
さらに金日成の息子の金正日が政治局常務委員に選ばれ、共産主義国としては異例の世襲体制の道筋がつけられた。
しかし、朝鮮労働党の最高指導機関である党大会は、1980年の第6回大会以前は、4年ごと、以降は5年後とに招集することと党規約で定められていたが、実際には46年8月、48年3月、56年4月、61年9月、70年11月、80年10月の6回しか開催されなかった。
金日成が非常事態だから党規約の規定を完全に適用することはできないとの理由で、党大会を開催しなかったと思われる。
1991年7月に金日成が死亡し、権力が金正日に移行した後、国家において占める朝鮮労働党の地位は形骸化させ、軍隊を重視する「先軍政治」を打ち出し、国家体制の軍事化を推し進めた。
2011年に金正日が死亡し、金正恩が権力を継承し、第7回大会で金正恩は従来の金日成主義を「金日成・金正日主義」に改め、その解釈権を自分が独占することを考えている。
かつてもスターリンが独裁体制を構築するにあたって、マルクス主義を「マルクス・レーニン主義」と改めて、その解釈権を独占した事例に似ている。
また、従来、金正恩は朝鮮労働党第一書記だった。
これは故金正日労働党総書記が永遠の指導者であり、自分はその下の第一書記に留まるという遺訓政治の継承を示す者だった。
今回の第7回党大会で規約が改正され、朝鮮労働党委員長というポストが新設され、金正恩が就任した。
これは1949年に南北朝鮮労働党が合同し、朝鮮労働党が結成された時に金日成が就いた役職が朝鮮労働党委員長であり、金正恩が祖父と対等であることが可視化された。
日本政府でインテリジェンスを担当する内閣情報調査室、公安調査庁、警視庁、外務省、防衛所などは、様々な手段で中国に関する情報を入手している。
その中で、中国に訪問する人達からの事情聴取も重要な字を右方収集手段となっている。
そこで聞いた内容は法古書にされ、極秘の印を押して、限定された関係者に配布される。
放した本人は重要事項でないと思っている事柄の中に、情報のプロから見れば重要な情報が含まれている場合もある。
日本では一般書店で売られている『国会要覧』で国会議員の情報や、各省庁のWebサイトで組織の構成図や幹部名簿を簡単に入手できるが、中国ではこれらの情報が掲載された便覧は秘密文書に指定されている。
中国では、公安(警察)や国家安全部(インテリジェンス機関)は、容疑者を長期間拘束することができる。
拘束期間中は、当局の宿泊施設に監視付きで留め置かれ、監獄よりはかなり条件はましだという。
しかし、外部と連絡を取ることも認められず、その後、容疑が固まると逮捕され、監獄に送られてしまう。
中国で、スバイ容疑で拘束、逮捕された場合、取り調べの様子が報じられることはまずない。
国際法上、外交官には自国民を保護する義務がある。
大使館での担当は領事部になるが、領事担当の外交官が面会を養成しても、中国当局は妨害をして、十分な面会の機会を保障せず、裁判も非公開裁判となる。
被告人の利益を体現してくれる弁護士がつくこともない。
つまり、中国でスバイ容疑をかけられたら、「ブラックボックス」に入れられたような状態になってしまう。
「ヒュミント(協力者の確保と運営)は、すべてのインテリジェンス機関にとってパンとバターのように必要不可欠なものだ。
紺に津においても、二本足の人間による情報に代替できる、技術、その他の情報はない」
by エフライム・ハレビー(元モサド長官)
<イスラム教とカリフ制>
ムハンマド(~632年)
初代カルフ(632~634年) アブー・バルク
第2代カリフ(634~644年) ウマル
第3代カリフ(644~656年) ウスマーン
第4代カリフ(656~661年) アリー
ムハンマドは後継者指名をしなかったため、第4代カリフのアリーが暗殺されると、その後継を巡って宗派が分立した。
<スンナ派>
スンナ派はムハンマドが伝えた慣習「スンナ」に従う者を意味する。
アブー・バルク以後、合議で選ばれた代々のカリフを正統だと考える。
世界の9割を占めるイスラム教徒の多数派で、「イスラム国」もこの流れをくむ。
<シーア派>
初代から3代のカリフを認めず、ムハンマドの娘であるファーティマの夫になったアリーとその子孫こそカリフと考える。
全イスラム教徒の1割の少数派だが、イランでは国教となっている。
北方領土問題をめぐる日露間の過去の合意は次のようになっている。
まず、1956年10月の日ソ共同宣言で、ソ連は平和条約締結後に歯舞群島と色丹党の日本への引き渡しを約束している。
日ソ共同宣言は両国議会が批准した法的拘束力を持つ国際約束である。
次に、1993年10月の東京宣言で、日露両国は択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の帰属の問題を解決して平和条約を締結することに合意している。
さらに2001年3月のイルクーツク声明で、プーチン大統領が日ソ共同宣言と東京線古言を明示的に再確認している。
東京宣言とイルクーツク声明は、法的拘束力を持っていないが重要な政治的合意である。
北方四島のデータ
択捉島 面積3168K㎡(沖縄本島の2.6倍)、人口6000人
国後島 面積1499K㎡(沖縄本島より大きい)、人口7000人
色丹島 面積253K㎡(徳之島とほぼ同じ)、人口2800人
歯舞群島
2016年4月3日に、ドイツのミュンヘンに本社を置く「南ドイツ新聞」と米国ワシントンに本部があるICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が、パナマ文書に関する報道を行った。
パナマ文書とは、オフショア金融センターをはじめとするタックスヘイブンでの企業の設立支援を得意とする中米パナマのモサック・フォンセカ法律事務所が保有する秘密文書のことである。
この法律事務所が1970年代から2016年春までに作成した1150万件の秘密文書が匿名の情報源が「南ドイツ新聞」とICIJに提供されたという。
各国の政治家がタックスヘイブンーの資産隠しをしている事が判明したが、ロシアではプーチン大統領の親友で音楽家のセルゲイ・ロルドゥギン氏の名前がパナマ文書に掲載されていた。
プーチン大統領は、タックスヘイブンを利用して親友の音楽家が20億ドルを取引していたとされる疑惑に対して、「友人はロシアのために楽器を買っていただけ」と弁明した。
これに対して、ロシアの独立系メディアは、この弁明の信ぴょう性を検証し、「単純計算で20億ドルあれば、平均的なピアノ5万台、バイオリン13万丁、チェロ148万丁、フルート139万管、ビオラ44万丁を全部購入し、お釣りでバイオリンの名器であるストラディバリウスも2丁帰る」と報じた。
また、有力経済紙ベドモスチは「2015年に輸入された楽器は総額5000万ドル弱」という統計を伝え、疑惑の20億ドルの40分の1しか楽器は輸入れさていないと、報道している。
英国のEU離脱問題は、スコットランド独立問題とも密接な関係を有している。
スコットランドでは、英国から独立を主張するスコットランド国民党が、英国下院選挙でスコットランドに割り当てられた59議席中、56議席を占めていることから、英国からの独立の是非を問う住民投票が行われた場合、スコットランド独立支持が過半数を占める可能性が高い。
独立を宣言したスコットランド共和国は、EUへの加盟を申請する可能性が高い。
なぜならば、スコットランドが独立する場合、独自通貨を発行しても国際的な信用を得られないが、英ポンドを継続使用する事も政治的に難しいので、EUに加盟してユーロを使用するというシナリオを選択する可能性が高い。
EUへの新規加盟は、加盟国の各国が拒否権を持っているため、加盟国の1ヵ国でも反対すれば実現しない。
英国がEUに残留していれば、スコットランドの加盟申請に対して拒否権を発動できるが、英国がEUを離脱してしまえば、スコットランドのEU加盟を阻止する手段を持てなくなってしまう。
1941年12月8日、日本海軍はハワイ州の真珠湾を攻撃し、日米戦争が勃発した。
12月12日の閣議決定で、この戦争の名称は「大東亜戦争」と定められた。
日本の宣戦布告は当初、米国と英国の2ヵ国に対して行われたが、支那事変、さらに情勢の推移によっておこる戦争(例えば対オランダ戦争)も大東亜戦争に含まれるとされた。
敗戦後、GHQは大東亜戦争という言葉を公文書で用いないように指令した結果、太平洋戦争という言葉が用いられるようになった。
ただし、大東亜戦争を太平洋戦争に名称変更するという羅本政府の決定はなされていない。
つまり、あの戦争の名称を大東亜戦争と定めた閣議決定は取り消されていないのである。