現在のブラック企業は洗練された技法を用いる。
それについては村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が参考になる。
それについては村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が参考になる。
登場人物の一人、名古屋で自己啓発セミナーを主宰して大儲けしている赤松慶はセミナーの目的について、「会社の思惑どおりに働きつつ、それでいて『私は自分の頭でものを考えている』と思ってくれるワークフォースを育成することだ」と述べる。
企業の利潤に即戦力として最大限に貢献する労働力に人間を改造することがブラック企業の目的である。
さらに、こういう労働力になる人とそうでない人の区分について、赤松が述べた箇所は興味深い。
「おれたちのプログラムをまったく受け付けない人間も少なからずいる。そういう人間は二種類に分けられる。ひとつは反社会的な人間だ。英語で言うアウトキャスト。そういう連中を相手にしても時間の無駄だ。お引き取り願うしかない。もうひとつは本当に自分の頭でものを考えられる人間だ。この連中はそのままにしておけばいい。下手にいじくらないほうがいい。どんなシステムにもそういう『選良』が必要なんだ。順調にいけば彼らはゆくゆく指導的な立場に立つことになるだろう。しかしその二つのグループの中間には、上から命令を受けてその意のままに行動する層があり、その層が人口の大部分を占めている」
教養を身につけた本物の選良(エリート)になることが、ブラック企業から抜け出す最良の方策となる。
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