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2017年5月3日水曜日

待機児童問題は20年以上も前から認識されていた。
厚生省が待機児童問題の調査を始めたのが1994年で、その時に既に少なくとも2万6000人の保育園に入れない子供がいたことが確認されている。
その後、待機児童の数は増え続け、2014年には公式発表で4万3000人となっている。
しかし、この数は氷山の一角と言われており、専門家の試算によれば、潜在的な待機児童は少なくとも100万人、中には300万人以上という推計もある。
2013年に取り壊された同潤会「上野下アパートメント」(台東区)は、築84年が経過していたが、最後まで住まいとして活用されていた。
これは建物の管理を継続的に行っていたため、経済寿命をこれだ伸ばすことができたケースとなる。
この経済的耐用性からコンクリート造マンションの寿命を把握するうえで興味深い資料がある。
2013年に早稲田で図郭の小松幸夫教授が行った調査で、取り壊しになった建物のデータをもとに建物の平均寿命を推計した。
建物がいつ取り壊されたかは、固定資産台帳をもとに調査している。
この調査によると鉄筋コンクリート造のマンションの平均寿命は68年とされている。
ただし、これはあくまでも平均値であり、全てのマンションが60年間に渡って稼働し続けられるとは限らない。
マンション寿命を延ばすためには、建物の管理をしっかりと行うことか重要となる。
土地や建物の譲渡による所得は、他の給与所得などと合計せずに、分離して課税する分離課税制度が採用されている。
「所得の日から譲渡の年の1月1日までの期間」を境に、5年を超える場合は長期譲渡所得として売却益に対して20.315%が課税される。
一方で5年以下の場合は39.63%もの税率になってしまう。
購入してから、「正月を6回経過したら長期譲渡所得、5回以下の場合は短期譲渡所得」と覚えておくと分かり易い。
賃貸管理会社との集金代行契約の多くが、万一の滞納に備えて、滞納保証条項が付いている。
家賃の滞納が発生した時には、その滞納分の家賃相当額を賃貸管理会社が保証するというものである。
注意したいのは、滞納保証の内容である。
保証される家賃は100%の家賃相当額なのか、滞納が発生した当月か保証をしてくれるのか、いつまで保証し続けてくれるのかなど、保証内容が様々となっている。
滞納回収に強い賃貸管理会社かどうかは「2月以上の滞納件数が何件あるか」を確認すると分かる。
月末時点で2ヶ月以上滞納している割合は、日管協短観2016年度上期データによると、管理戸数1万戸の場合で滞納件数は150戸となっており、全国平均で1.5%程度である。
また外国人入居者の滞納割合は、日本人と比べても差異はないという。
その理由は在留中に犯罪履歴が付いてしまうと、入国管理局に通告されてしまい、来日しようとしてもビザが下りなかったり、最悪の場合は強制送還されてしまうため、故意の滞納し殆どないという。
空室リスクから解放されて、管理の手間がかからないサブリース契約は、オーナーにとってメリットが多い契約に思えるが、このサブリース契約が大きな問題となっている。
サブリース契約時には、オーナーから不動産管理会社が不動産を借り上げる期間と保証家賃額が定められるが、借上げ期間中の保証家賃額は、契約当初の家賃額が保証されるわけではない。
これは国が定める法律で認められた借主の権利であり、その根拠となるのが借地借家法である。
本来は借地借家法は、貸主が強い立場であるということを前提にしており、借主を保護するために定められている。
そのため、条文内において「賃料減額請求権」が明記されている。
「賃料減額請求権」とは、土地や建物の賃貸契約において、一方の当事者の意思表示で将来の賃料を増減できる権利のことで、サブリース契約において、この賃料減額請求権の有効性を争う裁判による判例がある。
その判例では、サブリース会社からの借地借家法に基づく賃料減額請求家を認めている。(最高裁、平成15年10月21日判決)
つまり、この判例によってサブリース会社の賃料減額にお墨付きが与えられてしまったのである。
たとえサブリース契約書に「10年間は家賃を固定する」と記載されていても、借主に不利な条件だとして法律に基づき無効になる可能性がある。
借地借家法の本来の種子は、立場の強い貸主から弱い立場の借主を守るためのものであり、サブリース会社と一般のオーナーを比べたら、誰が見ても不動産を楯に取られている貸主のオーナー側である。
この保証家賃の引き下げによって、投資用ローンの返済ができなくなり、不動産を手放さざるを得ない状況が、今後、益々増えていくと予想されている。
サブリース契約に関するトラブルが余りにも多いことから、国土交通省によって2016年9月1日以降、サブリース契約における保証家賃の減額リスクの説明が義務化された。
2016年12月時点では、「賃貸住宅管理業登録制度」に参加する3982社はこのルールを守っている。
サラリーマンにとって「大島サラリーマン訴訟」は重要である。
1966年8月に、当時、同志社大学の教授だった大島正氏が京都地裁に裁判を起こした。
大島教授は「事業所得者と比べ、給与所得者の課税規定は不利であり、日本国憲法第14条第1項の法の下の平等に反する」として確定申告をしなかった。
そのために課せられた課税処分の取り消しを求めて争った裁判だった。
大島教授は1974年に京都地裁、1979年に大阪高裁、1985年に最高裁と争い、裁判として負けてしまった。
しかし、この大島サラリーマン訴訟がもととなって、給与所得者の特定支出(経費控除を認める)の規定が創設された。
大島正氏は、1984年3月3日に最高裁判決が出る1年前に病気で亡くなった。
「コーポレート・ガバナンス・コード」の導入により、コンプライアンスと内部通報制度が民間企業で始まっている。
当初はトップ500社が対象だったが、2014年12月に税理士の業界紙で、500社だけではなく上場企業全体に広げ、更には中小法人にも広げるとお達しが出たという。
コンプライアンスは「法令遵守」と訳すが、本質的には内部告発、密告制度のことである。
日本では2013年に「特定秘密保護法」によって、日本の国家公務員のが自分の部署の秘密を漏らしたら10年の懲役となった。
2013年6月に発覚した、元CIA職員で何十万件ものアメリカの国家機密を持ち出して、ネット上に公開したエドワード・スノーデンの事件を受けてのことである。
アメリカで2013年から「ヒラリー・メール事件」が騒がれたが、この発端はスノーデン事件である。
日本にも公務員同士での密告制度があり、情報公開法でタレこみの情報提供をさせようとした。
ところが、スノーデン事件を受けて「国家の機密が外に簡単に漏れる」事が判明した。
そこで、国家公務員は全員研修を受けさせられ、国家の機密を漏らしたら逮捕されて10年の刑にするとしたのが、「特定機密保護法」である。
海外に移住した富裕層が抱える心配は、健康保険がないことである。
住民票を日本から抜いているので、日本の健康保険には入れなくなる。
そして、現地でも特に高齢者は入れない。
対応としては、日本の海外旅行保険に入る手があるが、持病を持っていると断られてしまう。
もう一つの選択肢としては、ロンドンやアメリカの旅行保険があり、99歳まで入れる。
保険料は日本の健康保険に入るよりも、安いか同額程度の支払額となり、治療費は全額出る。
日本でも加入手続きができ、日本の病院にも行け、アメリカ本土以外、世界中どこでもOKという保険がある。
具体的には、世界最大の保険会社AIGが潰れるまで競争していたロスチャイルド財閥系の保険会社であるオランダのINGである。
アジアには、タックス・フリーと準タックス・フリーの国が3ヵ国ある。
完全フリーはシンガポールと香港で、準タックス・フリーはマレーシアである。
「海外所得には日本では課税されない」という点がキーである。
マレーシアでは、ここ4年くらいで首都クアラルンプール周辺の日本人の人口が1万数千人から4万数千人と3倍に増えている。
これは日本大使館に住民登録している人たちである。
多額の資産を持っている富裕層は、ほぼシンガポールとオーストラリアに移住している。
次のランクの資産10億円くらいの人達がマレーシアに来ている。
2010年5月にシンガポールで保税倉庫「シンガポール・フリーポート」がオープンした。
保税倉庫とは、通関を受けるために保有してある貿易品目の置き場であり、ここは無税で取引ができる。
チャンギ国際空港に隣接する自由貿易地区(FTZ)内にある。
4階建てで免責は2万2500平米もある世界最大級の倉庫である。
世界中の金持ち達の貴金属、美術品、骨董品などが収蔵されている。
この空間の4割は、世界で滞在規模の競売会社のクリスティーズの子会社で、美術品保管サービスをするCFASS(シフアス)社が保有している。
日系企業では、唯一、日本通運の「ロジスティックス・トランスポート支店」が、ここに保税倉庫を保有している。
日銀のマイナス金利政策の真意は、大量に発行した日本国債の信用が下落しないことだけである。
海外のヘッジファンドが、日本国債の暴落を仕掛けて、日本に攻め込むことをさせない、という考えなのである。
日本の土地の値段は、①時価(実勢価格)、②路線価、③土地公示価格、④固定資産税課税台帳の価格の4つがある。
それぞれが各省庁の縄張りだから、改善できない。
②の路線価は財務省、③土地公示価格は国土交通省、④の固定資産税課税台帳の価格は、市町村を管轄している総務省が決めている。
これらの価格の中で、相続税を決める時に使う②の路線価が最も力をもっている。
路線価は毎年7月頃に、国土庁が発表し、この数十年に渡って、殆ど価格を変わらず高止まりしている。
その結果、時価が路線価の3分の1になっている場合も多い。
これまでは「年間所得が2千万円超」の高所得者は確定申告の際に「財産債務明細書(ザイメイ)」を提出させられていた。
それが2016年からは「財産債務調書」に変更され、「年間所得が2千万円」を超え、かつ「合計額が3億円以上の財産」か「1億円以上の国外転出特例対象財産」を有する人に適用されることになった。
一見、退出する提唱者が少なくなったように思えるが、これまでは「財産の種類、数量および金額」を記載するたけだったが、詳細について記載が必要となった。
不動産、現預金、有価証券、貸付金に加えて、美術品や貴金属類、リゾート施設の会員権も対象となった。
これまでに3万人の金持ちが提出しているという。
現在の消費税法は2021年4月から「インボイス方式」に変わり、正式名を「適格請求書等保存方式」という。
全ての事業者が取引先に対して、税率ごとの取引額と税額、事業者ごとの登録番号などを明記した「インボイス(適格請求書)」を発行することが義務付けられる。
インボイスがないと、仕入れ税額控除を受けられなくなる。
適格請求書発行事業者登録は、2019年4月から始まるという。
マイナンバー制は、40年前から「国民総背番号制」と呼ばれていたものが、遂に名前を変えて実現した。
民主党政権時代に野田総理が、2012年3月に、消費税を8%に上げると言い出した時に、財務省が「給付付き税額控除」とセットにして、マイナンバー制の導入に成功したのである。
当初、銀行が猛反対した。
人口1億2千万人に対して、個人の普通預金の口座は10億口座あり、この既存口座の全てにマイナンバーを紐づけして、名寄せできるようにすることになる。
そんな大変な業務は引き受けられないと、銀行業界は猛反対したので、当初、財務省は「銀行口座にはマイナンバーを紐づけしない」と説明した。
ところが、2015年3月に、「任意で日も紐付けする」と言い出し、2019年度からマイナンバーと銀行口座の紐付けは義務化されると思われる。
日本の人口1億2千万人のうち、公務員と準公務員らしき人達は2千万人と、6人に1人の割合となる。
国家公務員が90万人、地方公務員が350万人、非正規のアルバイトが300万人。
この他に特殊法人の職員が300万人。
公共企業(電気、ガス、鉄道、福祉事業)の職員が400万人。
そして、各々に家族がいる。
相続税が2015年1月1日から増税となり、遺産の一定額まで税金がかからない基礎控除が4割縮小された。
そして、2億円超から3億円以下の遺産に適用される税率が40%から45%へ、6億円超に対する最高税率は50%から55%へとなった。
2012年の死亡者のうち、相続税の課税対象となる人の割合は4.2%だったが、2015年には1.5倍の6%に増えるという。
つまり、相続税がかかるのは従来は年間死亡者数120万人の4.2の5万400人だったのが、120万人×6.0%=7万2千人に相続税がかかるようになったということである。