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2018年1月27日土曜日

東京都は国から交付金を受けていないので、会計検査院の検査が入らない。
東京都独自の監査をやっているが、スカスカの検査でしかない。
だからこそ舛添知事の出張費で明らかになったが、猪瀬知事も石原知事も社会通念では考えられない額の出張費が出ているのである。
郵政民営化について、竹中平蔵氏は、「最初から必要無かった。しかし、小泉さんがやると言うから理屈を考えた。その理屈を田原総一朗に3回説明して、3回目に分かったと言ったから、その理屈でやるだけであった」と話している。
マルクス経済学とマルクス主義経済学というのは別の学知である。
マルクス主義経済学というのは、共産主義社会をつくるというイデオロギーに基づいて社会を見ていくというアプローチをとる。
一方、マルクス経済学というのは、マルクスが『資本論』で適用した方法で客観的に経済を見ていくアプローチをとる。
つまりマルクス経済学は、徹底して理詰めで物事を考えていくということだから、極力イデオロギーを排除していこうという傾向が強い。
予備校というのは、夢を売るビジネスである。
まず東大、京大に確実に入れる学生を特待生で囲い込む。
そして東大進学クラスに、東大に入れないだろう学生をたくさん集めて、ついて行けないような教材で勉強させる。
それによって本人としてはやれるだけやったのだ、夢を追求したのだという形にで諦めさせる。
これが予備校のビジネスである。

2018年1月24日水曜日

ヘッジファンドは、毎年数百ものファンドが組成され、閉鎖されるほど急激に変化する。
『ペンションズ&インベストメンツ』誌では、2009年に新規組成されたファンドは784件だったが、同年に閉鎖された既存ファンドは1023県に達しているという。
驚くべきことに、ヘッジファンドの平均寿命はわずか31ヶ月である。
6年以上生き残っているヘッジファンドは15%にも満たず、3年未満で消滅したものは6割に達している。
ヘッジファンドの過去の収益率を把握するのは難しい。
なぜならば、閉鎖された不審ファンドはデータベースから完全に削除され、収益率の情報が提供されるのは収益率の実績が良好なヘッジフンドだけだからである。
証券会社が組成する「ファンド・オブ・ファンズ」は零細投資家の資金を小口で集めて、彼らが他の投資戦略では利用できない商品でも投資できるようにしている。
もちろん、証券会社はこの特権を提供する代わりに通貨手数料を求める。
ちなみに、ファンド・オブ・ファンズの運用成績は、殆どの場合、その投資先の主要ファンドの運用成績を下回っているという研究結果もある。
アクティブ・マネジャーは常に儲かりそうな銘柄を探しているので、次に来ると思われる大きな投資機会が現れた時に直ぐに動けるように、手元現金を多めに置く傾向がある。
よって、現金保有率が高いほど、アクティブ・マネジャーの収益率は低めになってしまう。
一方、パッシブ・マネジャーはアクティブ・マネジャーよりも資金を投資に回しており、常に資金を運用している。
価格が投資家の知識や予想を全て反映しているという考え方の「効率的市場仮説」は、米シカゴ大学ブース・ビジネススクールのユージン・ファーマ教授が提唱たものである。
「効率的市場仮説」は「市場価格は常に正しいという意味である」と誤解される事があるが、そうではない。
適切に機能している市場であっても、不適切な価格は一時的に存在するかもしれない。
しかし、市場はあまりにも不規則で予測できないので、運用成績が他の投資家や市場全体よりも常に上回ることが可能な投資家は存在しないという事である。
投資家は暴落の底や、その近辺で狼狽売りをする傾向が強い。
そして、狼狽売りをした後に市場が回復した時に上昇の機会を逸してしまう。
例えば、1973年と1974年の頃、グローバルに分散された株式ポートフォリオは、それぞれ19%と23%下落した。
続く1975年と1976年にはポートフォリオがそれぞれ41%と28%の回復を見たが、暴落に驚いて狼狽売りした投資家はこの機会を逃した。
投資家は時折訪れる株式市場の不振期を「耐え忍ぶ」ための自制心の大切さを理解すべきである。
投資の運用成績を決める要因を、ウォール街のブローカーは、次の3点の成功次第で大半が決まると思い込ませようとする。
1.投資商品の売買タイミング
2.保有しべき個別銘柄や債券の選択
3.次なるトップクラスのミューチャル・ファンドを見つけ出すこと
しかし、研究の結果、これら3つの要因は分散投資されたポートフォリオの総収益水準を押し下げることが判明している。
殆どの場合、この3点に費やす努力は時間の無駄であり、お金の浪費であり、収益率を下げてします。
大切なのは、投資収益率を決定する最大の要因は「リスク」であると理解する事である。
特に、ポートフォリオに組み込むアセットのリスク度や投資資金の配分方法に留意する「資産配分」の決定が大切となる。
投資対象として、高い価格変動性のポートフォリオと低い価格変動性のポートフォリオを比較した場合、どちらも年平均収益率が10%だとしても、前者は変動が激しく、後者は安定した動きを見せる。
つまり低い価格変動性のポートフォリオの方が資産を増加させることになるが、これは数学的に確かな話である。
なぜならば、資産の増加を左右するのは、平均収益率ではなく、複利収益率だからである。
時間が経過するほど、標準偏差の違いが大きいほど、収益率に対する価格変動性の影響は顕著になっていく。
50%下落したポートフォリオが元に戻るには100%の上昇が必要となるが、わずか8%下落したポートフォリオがその損失を取り戻すには8.7%だけ回復すればよい。
これは損失が大きくなればなるほど、収益を倍加できる余地がなくなるからである。

2018年1月23日火曜日

ビールは約700種類あるが、日本酒は約2万種類ある。

2018年1月22日月曜日

予想屋には2通りある。
無知な人間と、自分が無知であることを知らない人間である。
by ジョン・ケネス・ガルブレイス

2018年1月21日日曜日

友人が労せずした金持ちになるのを見ることほど、心の平安を乱し、判断を狂わすものはない。
by チャールズ・キンドルバーガー 経済歴史学者
年金住宅融資がまとめた調査報告によると、無理のない住宅ローンを組む為には、年間返済額が年収の25%以内である事が望ましいという結果だった。
この返済比率が高まると返済が滞る確率か゜高くなる。
ここで停滞さは4ヶ月以上の滞納を指している。
25%以内の人で返済が滞る人は1%程度だが、返済負担率が35~40%の人だと5%に跳ね上がる。
適正な範囲を年収の25%以内だとすると、年収の7.4倍を借りる事が可能となる。
世帯年収700万円ならば5180万円で、これに頭金を加えた価格となる。
一方で銀行側がどこまで融資をしてくれるかというと、世帯年収の10倍が現在の限度額となっているが、年収700万円で7000万円借りてしまうと、返済できなくなる確率が高くなってしまう。
住宅ローンの借入額には、返済に無理がない範囲の金額である「適正ローン額」と銀行が貸してくれる最大限度額である「上限ローン額」の2つがある。
この2つの金額は年収とその時点の金利で決まる。
適正ローン額は世帯年収の7倍、上限ローン額は10倍強となる。
超低金利の今だと、年収の10倍以上借りる事ができる。
金利が2%だった頃は、適正ローン額は世帯年収の6倍、上限ローン額は8.5倍ほどだった。
物件購入金額は、住宅ローン金額に頭金を加えた金額になるので、現在は世帯年収の12倍以上の物件を購入することも検討できる時代となっている。
住宅ローン控除は4000万円のローン残高があれば年間最大40万円の税額控除となり40万円戻ってくる。
実際に支払っている金利が0.5%だと、年間20万円相当となり、住宅ローンを借りていると20万円のキャッシュを貰える事態が10年間続くことになる。
住宅ローン控除の制度は、金利が1%を割ることを想定していなかったと考えられる。
住宅ローンの賢い借り方は世界共通で決まっており、「なるべく多い金額を、なるべく長い期間で、なるべく安い金で借りる」ことである。
また年収に対して年間の元利返済総額が25%を大きく超えない範囲が望ましい。
これを越えると延滞リスクが増え始めるからである。
マイホームの不動産で「身の丈に合ったものを買う」という一見正しそうな話を真に受けていると資産性の落とし穴ら落ちてしまう。
含み損を抱えて、住替えができなくなったら一生後悔する事になりかねない。
高い物件ほど値下がりしにくいことは明白なので、身の丈の2割増を目指すべきである。
10年住んでいる間に、年率2%年収を増やせれば、身の丈にすることができる。
購入時点で35歳なら、45歳後の年収に合わせれば、購入金額は変わってくる。
東京都は災害リスクを精緻に調べて公表している。
代表的なものは独自に算定している「地震に関する地域危険度測定調査」であり、5133の町丁目に細分化し、数値化されている。
指標は建物倒壊と火災の2つと、これらをまとめた「総合危険度」の3つがあり、地図になっているので分かり易い。
安全の目安として、京浜東北線よりも西側を選ぶべきである。
他にも、地震の影響想定も東京都では行われており、現在想定される大地震が網羅されている。
マンションデベロッパーの過去6年間の供給戸数は、240,033戸である。
このうち上位7社「メジャーセブン」の合計供給戸数は102,947戸とシェア43%を占める。
メジャーセブンとは、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、墨とも不動産、東京建物、東急不動産、大京の7社で、平均して5.4%ほど高い価格設定をしている。
新築からの値上がり幅を指す「中古騰落率」は、メジャーセブンの加重平均値は9.1%で、全体の6.2%を3%ほど上回り、値上がりしやすい。
ちなみにメジャーセブン以外の平均は4.8%と低く、仲介手数料3%以上の差が付いていることになる。
長手も三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは、10%以上値上がりしていて、物件を売る時に困る事が少ない。
      相場割高度  中古騰落率  中古騰落ブラス率
三井不動産  4.7%     12.5%     88%
三菱地所    2.9%     11.4%     85%
野村不動産  6.7%     9.7%      78%
東急不動産  2.1%     7.1%      71%
東京建物   7.1%     5.3%      69%
大京     5.1%     3.6%      53%
住友不動産  8.9%     1.6%      52%
メジャー7平均 5.4%     9.1%
全平均     0%     6.2%
マンションは「どこでも1年で坪単価は4万円下がる」という法則がある。
これは、都心の坪単価が高いエリアでも、郊外でも下落額は同じく毎年4万円なので、下落率は都心が小さく郊外では大きくなる。
端ジョンに資産価値を保つならば、単価の高い都市のマンションの方が有利になる。
また、下落幅は23坪(76平米)だと、これに4万円をかけた92万円になる。
1年で92万円ということは、月に8万円弱目減りする事になるので、これ以上に月額で元本返済をすると、売却した時に含み益である差額がキャッシュで戻ってくることになる。
もし、その物件に住んで支払う賃料が8万円+金利を上回るならば、校にゆうした方が得になる計算となる。
これはどのエリアでも同じことが言えるので、賃料が高いエリアの方が、マンション購入には向いているのである。
物件価格の下がり方は不動産市場が安定している場合、年間2%下落していく。
これに対して、元本の減り方は金利0.6%の場合、10年間で25%減ることになり、5%の含み益が発生することになる。
このように元本の減り方は、住宅ローンを組むタイミングで決まり、相場が大きく変動しなければ心配することはない。
現在の超低金利だと、ローン金利も住宅ローン控除と相殺できるほど、金利負担は殆どないに等しく、これが10年続くことになる。
バブル期と現在の違いは、不動産鑑定手法にある。
以前は「取得事例比較法」しか使われておらず、隣の土地が1年で2割値上がれば、されと同様に周辺の地価も2割上昇したので、際限のない上昇が可能となってしまい、地価のバブルを生んでしまった。
しかし、現在は「収益還元法」で不動産価値は評価され、その物件が生み出す賃料で決まる仕組みとなっている。
自由宅の賃料は不動産の価格の中で最も変動しにくいものであり、その賃料で割り戻してマンションの価格は決まるのである。
その割り戻す利回りは上下しても市場原理が働き、上限や下限は存在し、極端なバブルが起こることはもう無い。
過熱したり冷え込んだりすることはあっても、異常と言える水準には決してならない。
つまり、マンション価格は高騰した現在の水準でも、決してバブルと言える水準ではない。
現在がバブルではないのだから、バブルの崩壊で不動産が値を下げるなどという事は有り得ないことになる。
マンションを10年で買い替える理由
1.含み益を出す
 含み益を生んでいる場合、売却しないと実現益にならない。
2.住宅ローン控除の期間は10年で切れる
 最大40万円の税額控除は1年間の金利以上になる。
3.10年固定金利はそれ以上の長期金利よりも低い
 期間が長いと固定金利は高くなる。
4.フラット35Sの金利優遇は5~10年で設定されている
 優遇金利が0.3%の違いでも価格の5%相当の返済の違いとなる。
5.新築住宅の固定資産税の減額は5年の期限がある
 新築マンションは要件を満たすと、5年間建物部分が1/2負担になる。
6.買いたい人は築10年以内の物件を望んでいる
 買う側の論理に合わせた方が売りやすい
7.最新設備を使える
 設備の償却期間は6~15年で買換えの必要がある。
8.共有施設は新築から数年で使われなくなる
 キッズルームは子供が小さい時しか使わない
9.築12年の大規模修繕までに費用負担が発生する可能性が高い
 新築時の修繕積立金は低く、割安である。
10.売主の瑕疵担保責任は10年で切れる
 建物の問題を売主が補償する期間は10年で終了する。
戸建の物件がインフレ傾向を続けている米国の場合、木造戸建ての減価償却期間は27.5年で計算する。
しかし、所有者が代わると、次の人も27.5年で償却することになる。
建物価値はリノベーションすることで評価を挙げることができ、銀行も税制上も評価してくれるのである。
米国の建物の平均築年数は40~50年だから、耐用年数を過ぎた物件は多いが、空室率は全米で7%弱に過ぎない。
だから、購入者は築年を参考程度にしか見ないし、リフォームに投資をして価値を上げるビジネスが成り立ち、結果的に市場規模は新築と中古で2対8となる。
日本の1980年代終わりのバブル期までは、たとえ木造戸建ての物件価値が大きく下がっても、土地価格が上がったので購入者は大きな痛手を負わなくて済んだが、バブル崩壊後は、戸建を購入したら、かなり高い確率で含み損が発生し、これを補えない限り、引っ越すことはできなくなった。
アベノミクス以降の金融緩和で、銀行の融資が担保を取れる不動産に多く流れたため、不動産価格は大きく上昇した。
しかし、マンション価格は3割超上ったが、戸建は殆ど上がっていない。
マンションは子供のいない世帯や高齢者、投資の対象となるが、戸建は子育て層にしかニーズがない。
さらに、中古戸建の銀行評価は低く、物件評価は木造の耐用年数の22年後にはゼロ評価となってしまい、住宅ローンは土地代分しかつかない。
つまり、土地代が大幅に値上がりしていないと、多額の住宅ローンを借りることができないのである。
だから、高く買える人がいなくなるで、高値で取引されることが無くなるのである。
持家か賃貸かは永遠のテーマとして語られる。
持家と賃貸で差が出る点と出ない点を整理すると、差が出ない点は、建築単価・土地価格・長期修繕計画・管理費となる。
差が出る点は、金利と税制の2点に集約され、どちらが有利か決まる。
そうすると、不動産投資に対するローン金利よりマイホームに対するローン金利が圧倒的に低く、マイホームに関する税制優遇(住宅ローン控除、贈与の特例、譲渡所得控除、固定資産税の減免など)で、持家が賃貸に勝ることが理解できる。
最近の超低金利と持家優遇税制が変わらない限り、この結論は変わらない。
持家が賃貸か、どちらも有りと結論づける住宅情報誌は、両方をビジネスにしているから、両者を拮抗させねば不都合なのである。
持家で問題が発生するのは、売却時の価格が購入時の価格から支払ったであろう賃料を差し引いた金額よりも下回る場合に限られる。
価格変動リスクとしては、相場変動以外に、どのマンションが良いか目利きの問題となる。
ファミリー世帯における賃貸住宅の平均居住年数は4年であり、賃貸契約は2年契約なので、1回契約更新して2回目で引っ越すのが一般的である。
一方、分譲マンションを購入した人は、年2%の割合で引越しをしており、10年経つと2割が転居している。
この計算でいくと、35年の住宅ローンを組んでも、ローン完済前に住替えをしている人の方が多いことになる。
つまり住宅ニーズが世帯構成とライフイベントによって決まるからで、4人家族ならば少なくとも10年に1度は世帯構成の変化とライフイベントが起こる。
そこで自宅住替え期間は10年を1つの目安とするのが合理的となる。
米国では物件検索サイトで、近隣の学校のランクが全て表示されており、周辺住民の世帯年収や不動産価格の履歴も見る事ができる。
ちなみに米国では公立学校が10段階で評価されており、10点が付くような学校はハイソすぎることもあるという。
親や運転手が学校へ送迎するのが当たり前な学校では、コストがかかってしまう。
米国駐在の日本人ファミリーの場合、8~9が適当な感じで人気が高いという。
東京23区で最も年収が高いのは、学区内に六本木ヒルズや元麻布ヒルズがある港区の南山小学校で、平均世帯年収は1409万円である。
「学校選択制」を導入している区では、学区内に居住していれば希望の学校を通いやすいというメリットがあるので、住宅購入時には学区情報を調べておくべきである。
現在の金利水準(変動金利0.625%)ならば、年収の7倍くらいの分譲マンションを購入できるので、分譲価格が6000万円の物件を購入している人の世帯年収は、800万円から1000万円だと分かる。
このローン返済や家賃は、月15~20万円、年金180万~240万円が目安となる。
中古価格が7000万円ならば、平均世帯年収は1000万円となる。
賃料水準で見ると、築10年までのファミリー物件の1室平均家賃が20万円ならば、その50倍が平均世帯年収となるので、1000万円となる。
この計算は、家賃に12ヶ月を掛けた年間住居負担額が年収の20~25%である事が根拠となっている。
つまり、そのエリアの3LDKの分譲マンションの中古価格や家賃が分かれば、だいたいの世帯年収が分かるのである。
小学受験での成績は発育過程においては、かなり早いタイミングでの判断であり、入学後に同級生の学力についていけなくなる事もある。
結果的に、国立大学附属小学校の場合、附属中学への進学率は7から8割に留まり、附属高校への進学もさらに7から8割になっているのが現実で、つまり小学校から高校まで内部進学できるのは、半分程度になるという。
一方、高校受験組は、中学受験後6年かけて大学受験の準備をする中興一貫教育と比較して、大学進学においては不利だと考えられることから、中学受験は子供の能力と学歴を判定するのに適切なタイミングだというのも理解できる。
1980年代後半から始まるバブル期においては、都市圏に移住する年齢は大学進学の19歳が最も多かった。
しかし、その後は大学を卒業して就職する23歳が最も多くなっている。
大学で一人暮らしをさせる財力が親になくなり、就職して子供が自ら稼げるようになってからでないと、一人暮らしができなくなったのである。
東京都教育委員会が出している「公立学校統計調査報告書」によると、国立・私立の中学受験進学率は1980年頃は9%だったが、2014年には20%弱となっている。
都内の受験進学率上位3区(千代田区・中央区・文京区)においては、44%台であることから、この2倍にあたる9割が受験していてもおかしくない。
それくらい現代における中学受験の割合は増えている。
1980年代前半から、中学受験進学率は急速に上昇しているが、受験知友がくの入学定員は過去30年間1.5万人と変わらなかったことから、少子化によって難関中学でも入学しやすくなっており、受験を考える世帯が増えたと考えられる。
世帯年収が700万円以上になると中学受験率は44%、600万円台で38%、500万円台になると19%と600万円の半分にまで急激に減り、400万円台は12%と700万円台以上の1/4となる。
500万円台と600万円台では2倍の差なので、世帯年収は子供の教育投資ができるか否かの大きな要因となる。
国の調査の「住宅・土地統計調査」で市区町村ごとの世帯年収分布が分かり、国勢調査で市区町村ごとの最終学歴が分かり、子供の中学受験率は教育委員会の調査で分かるので、これらを組み合わせると、市区町村別に平均世帯年収と大学卒者割合が判明する。
この結果、世帯年収が上がると中学受験進学率が上がるという関係が成り立つ。
つまり、大学卒業者割合が高いと、平均世帯年収が高くなり、中学受験進学率も高くなる、という関係がハッキリする。
学歴が高くなると平均年収は高くなる。
日本全体の平均世帯年収が304万円なのに対して、大学・大学院卒では22%増の372万円、中学卒は20%減の244万円となる。
この間の年収差は128万円で、これが50年続くと6400万円の傷害賃金の差となる。
大学進学率が55%を占める日本社会では、大学卒を基準に比較対象とすると、生涯賃金において高専・短大卒はマイナス4800万円、高卒はマイナス5450万円となる。
20代前半では、大卒と中卒の賃金格差は15%しかないが、50代になると大卒と中卒の賃金差は45%となる。
大卒は年齢を重ねるに従って年収が高くなり、50代前半には20代前半の2.3倍になるのに対して、中卒は1.5倍、高卒は1.6倍にしかならない。

2018年1月20日土曜日

住宅にかかるコストは、物件価格や初期費用で決まるのではなく、居住している期間にかかる費用を合計して算出する。
賃貸であれば、初期費用、賃料、更新料、退去費用を合計したものが総費用となる。
分譲マンションだと初期費用、住宅ローン返済額、含み損益、退去費用の合計となる。
両者の初期費用や退去費用、賃料、住宅ローン返済額は大きく違わない。
損得が決定的になるのが、「含み損益」である。
特別な価値を持つ学区の不動産は、価格が落ちにくいだけではなく、不動産価格の上昇期には値上がりしやすい。
もし買った価格と同額で売却できれば、その間の賃料分を浮かせて、無料で住んでいたのと同じことになる。
分譲マンションだと、このような事が可能となる。
つくば市は、元々は農業中心のエリアだったが、1960年代が学術・研究都市として計画造成された市街地が生まれ、産・学・官の研究者が最も集積しているエリアへと変貌を遂げた。
現在では、約3000の研究機関・企業と2万人以上の研究者が在住し、そのうち日本人の博士号取得者は7000人を超える。
農地だった所に、インテリ層の集まる街が計画的に出来上がったこともあり、偏差値60の公立中学校の学区と、偏差値40の公立中学が存在する。
隣接する公立校でありながら、これほどの差が生まれるケースは珍しい。
東京都文京区で人気がある公立小学校は、頭文字を取って「3S1K」と呼ばれている。
誠之小学校、千駄木小学校、昭和小学校、窪町小学校の4つである。
誠之小は東京大学に近い西片、昭和小は六義園という都立公園そばの通称、大和郷と呼ばれる高級住宅地が学区内にある。
大和郷は、本駒込6丁目を指し、武家屋敷があったため区画が広く、このアドレスだけは格別の住居水準となっている。
千駄木小も元武家屋敷の住宅地を抱え、徒歩圏の西日暮里駅周辺や地下鉄で3駅以内に有名進学塾がそろっている。
窪町小は、近隣に学芸大学附属竹早小学校、お茶の水大学附属小学校、筑波大学附属小学校と3校の国立小学校があり、典型的な文教エリアとして名高い。
こうした小学校では、国立・私立中学受験率が高く、2月1日の中学受験日には6年生の9割が受験で学校を休むと言われる。
1月からは小学校に行かずに、昼から塾通いをして受験対策をしていても学校側は何も言わないという。
文京区の国立・私立中学への進学率は44.2%で、1位の千代田区44.6%、2位の中央区44.3%と僅差となっている。
ちなみに東京都の平均は18.8%である。
この進学率の差は、親の教育熱心度の差の表れである。
最近、グーグルの元社員が新興宗教を設立したという。
その宗教団体は、「Way of the Future」という名前で、グーグルとUBERに会社を売却した経験があるエンジニアのアンソニー・レバンドウィスキー氏によって設立された。
この宗教団体は、「人工知能」を神として崇めて社会をより良くしていく、という教義を掲げている。
ICOと呼ばれる仮想通貨ベースでの資金調達の額は、2017年中盤でも2500億円を超えており、これはベンチャーキャピタルが投資した金額を上回っている。
かつては、新たなテクノロジー企業にリスクマネーを供給していたのはベンチャーキャピタルだったが、現在は仮想通貨によるICOがその役割を担いつつある。
グーグルの時価総額は70兆円で、これは日本の全IT企業の時価総額の合計よりも更に大きい。
2016年度は売上8兆円、利益2兆円しかなく、これらの数字だけを見ると、これより大きい会社は日本にもあるから、割高のように感じる。
現在の会計基準では、サーバー上のログなどの情報を資産として刑事用することは無いので、会計的なB/Sで表現できる会社の資産と、現実の世界での影響力に大きなギャップがあるのである。
フェイスブックが、年商20億円しかないワッツアップを2兆円で買収した際に、金融業界の多くの人が高すぎる買い物と言っていたという。
フェイスブックからすると最大の価値はユーザーのデータであり、世界4億人のコミュニケーションを支えるインフラとして企業価値を評価したのである。
フェイスブックの時価総額は18兆円だが、それは世界12億円のSNSという価値に支えられている事を考えると、彼らがワッツアップに2兆円の評価をするのは理にかなっている。
AIとブロックチェーンによって運営される無人のヘッジファンドの「Numerai」プロジェクトというのがある。
通常の投資ファンドは、出資者から投資金を集め、ファンドマネージャーが運用方針を決定し、クオンツが分析し、トレーダーがポートフォリオを組んで運用し、運用利益を投資家に還元し、一部をファンドの収入として受け取る。
Numeraiは、匿名で1万人以上のデータサイエンティストが気かい学習を用いて投資モデルを作り、Numeraiにアップしていく。
そして、そのモデルで運用された資金が失債に収益を上げた場合には、Numeraiが発行するトークンが成果に応じてデータサイエンティストに報酬として分配される。
トークンはビットコインや法定通貨に変換することもできる。
より優れた投資モデルを作ることができたデータサイエンティストほど多くの報酬を受け取ることができるという。
トークンとは仮想通貨で使われているブロックチェーン上で流通する文字列のことを指し、仮想通貨やブロックチェーン上で機能する独自の経済圏をトークンエコノミーという。
最も規模が大きく最も普及しているトークンエコノミーは、全ての始まりであるビットコインである。
ビットコインが良くできているのは、通貨発行益を受ける対象まで分散化が進んでいる点である。
一般的なトークンエコノミーでは、トークンの設計者が存在し、設計者がトークンを発行して発行益を享受しながら全体の経済システムをコントロールしていく。
一方で、ビットコインはマイナーと呼ばれるビットコインを採掘している人が実質的にはこの通貨発行益(採掘駅)を得られる仕組みなっていて、コンピューターさえあれば誰でもマイナーになってビットコインを採掘することができる。
中国のライブ動画配信は4億人が使う巨大な市場になっている。
人気配信者はライブ配信のみで月収1000万円以上稼ぐという。
2015年のライブ配信の市場規模は2000億円を超え、2016年には5000億円規模に達したと予想されている。
日本のモバイルゲームの市場規模に近づいてきている。
中国には7億人を超えるスマートフォンユーザーが存在き、中国人の平均年齢もまだ30代と若いため、新しいサービスが一気に普及する環境がある。
他者からの評価によって回る経済を「評価経済」と呼ぶが、個人で情報を積極的に発信してインフルエンサーと言われ、人々の消費に影響力をもっている。
中国で最も稼いでいると言われるインフルエンサーは、Zhang Dayiという29才の女性で、SNS上で500万人のフォロワーがいて、年収は50億円を超えているという。

2018年1月19日金曜日

UBERは個人のドライバーをネットワーク化しアプリで配車サービスを提供している。
クルマを所有している訳でもドライバーを雇っている訳でもない。
UBERの時価総額は5兆円以上と言われ、フォードやGMなどの世界的な大手自動車メーカーの時価総額を上回る。

2018年1月18日木曜日

フェイスブックは、最初は自分のプロフィールを載せるだけの大学生向けの自己紹介サイトに過ぎなかった。
フェイスブックが大きくユーザー数を伸ばしたキラーアプリケーションは写真だったという。
タイムラインに写真を投稿した時のユーザーの反応はテキストの場合とは全く異なっていた。
2012年にフェイスブックは、「社員13人で売上がほぼゼロ」の写真共有アプリ「インスタグラム」を800億円で買収する。
写真がSNSにおけるキラーアプリだと理解できていたザッカーバーグだからこそ、高い評価ができたのである。
2017年現在、インスタグラムは月間利用者数が8億人を超え、その時価総額は6兆円と言われている。
夫が生命保険に加入していれば、死亡すれば保険金が支払われる。
生命保険金の平均額は2000万円程度である。
しかし、妻にとって夫が死ぬことのメリットは他にもある。
夫がサラリーマンで18歳以下の子供がいる場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給される。
子供が2人いる場合は基礎年金で年120万円、厚生年金を加えると年200万円近くになる。
さらに住宅ローンを借りてマイホームを購入している場合、自動的に団体信用保険に加入しているので、保険会社が代わりにローンの残債を全額支払ってくれる。
「だんなDEATH NOTE」というサイトがある。
夫に今すぐ死んで欲しいと毎日思っている妻が、日ごろの恨みつらみを自由に投稿できるサイトである。
Googleでは検索用語を入力すると、自動的に候補の単語が表示されるが、7~8年前からこの検索ボックスに「夫」と入力すると「死んでほしい」という言葉が真っ先に出てくるようになったという。
つまり多くの妻がインターネットで「夫 死んでほしい」と検索しているからである。
ほかの検索候補に「夫 死亡 保険」「夫 死亡 手続き」なども並んでいる事から、彼女達は夫が死んで死亡保険を受け取る事を願っているのである。
「就業時間」に注目すると、男女の格差は少なくなり、大卒の女性も男性社員と同じように昇進している。
日本の会社は残業時間で社員の昇進を決めているのである。
日本の会社は社員に滅私奉公を求めており、社員は忠誠の証として無制限のサービス残業をしているのである。
年収の低い男性は結婚できないと言われており、専業主婦志向の女性が
低収入の男性を相手にしないからだとされている。
その根拠は、東京に住む未婚女性(25~34歳)を調査したところ、4割が「結婚相手の理想の年収は600万円」と答えたからである。(『「婚活」時代』山田昌弘、白川桃子)
男女平等社会のアメリカでさえ、妻が夫の年収を超えると離婚が増え、夫より年収が低い方が妻の幸福度も高いことが分かっている。
しかし荒川和久氏は『超ソロ社会』で、年収の低い男は結婚できない説は、根拠のない都市伝説でと述べている。
男性の年代別年収分布で既婚か未婚かを見ると、30代以上では年収300万円を超えると既婚者が一気に増え、そして既婚者の割合は年収が増えても殆ど変らない。
経済的な余裕ができれば結婚したい男性は結婚するし、経済的な余裕があっても結婚しない男性は結婚しないのである。
逆にいうと、相手が年収300万円でも結婚する女性はたくさんいるという事である。
魅力のある男性は収入にかかわらずモテるし、本人にその気があれば結婚もできるのである。
つまり、年収の低い男は結婚できない説は、彼女のいない男性の自己正当化という事になる。
モテないのは自分に魅力がないからだと現実を直視するよりも、世の中の恩内がカネにしか興味がないから、と考えた方が気が楽なのである。
2012年に総務省が働き方と結婚の関係ついて調査をしているが、それによると職業によって生涯未婚率は大きく変わる。
正社員の女性の生涯未婚率77%のテレビ業界を筆頭に、新聞・出版などマスコミは半分以上、広告業界やIT系は3人に1人が一度も結婚していない。
これらの職業は「クリエイティブ」な仕事とされるが、面白いのは電力会社やガス会社で働く女性も3人に1人は結婚していない。
この調査では、正社員と非正規の未婚率の違いについても調べている。
非正規の男性の生涯未婚率が40.4%なのに対して、非正規の女性は僅か6.5%である。
また、年収と生涯未婚率にも明確な関係がある。
未婚率が10%以下なのは年収150万円以下の女性と、年収800万円以上の男性で、女性は年収が高いほど、男性は年収が低いほど結婚していない。
この数字は45歳から54歳の年収別未婚者数の割合なので、結婚するかどうかを決めたのは10~20年前ということになる。
つまり「低収入な女性」の多くは主婦である。
非正規の女性は結婚しているのではなく、主婦が非正規の仕事で働いているのである。
女性の未婚率は年収1000万円でいきなり跳ね上がるが、ハイスペックな女性は結婚できないのではなく、独身のまま仕事をつづけた結果、年収が高くなったのである。
興味深いのは、年収600万円を境に女性の未婚率が下がっており、年収900万円代では未婚率16%と、年収2000万円の女性と変わらない。
現在の日本では、10世帯に1世帯は世帯年収1000万円以上、1000世帯に3~4世帯は1500万円以上である。
サラリーマンの給与は上がっていないので、つまり高収入の共働き世帯が増えているのである。
つまり、年収の高い女性は結婚できないのではなく、ハイスペック女子の多くは結婚していて、経済的に恵まれた家庭を作っているのである。

2018年1月17日水曜日

日本では、結婚していない女性から生まれる子供「婚外子」がもの凄く少ない。
婚外子の割合は、フランスが56.7%、スウェーデンが54.6%、デンマークが52.5%と欧州では半分を超える国がたくさんあるが、日本は僅か2.3%しかない。
「生涯未婚率」とは50歳時点で一度も結婚した事のない人の割合である。
50歳で生涯未婚と決めつけるのは、いかがなものかとは感じるが、人口統計上は問題ないという事になっている。
日本人の生涯未婚率は1980年までは男女ともに5%未満で、みんなが結婚する「皆結婚社会」と言われたが、1990年代以降、急速に結婚しない人が増え、2015年の国勢調査では男性の23.37%、女性の14.06%が生涯未婚である。
少子高齢化というのは、一人暮らしの人が増えていく社会である。
結婚した後も離婚や配偶者の死で、独身になる人もいる。
荒川和久氏はこれを「超ソロ社会」と呼び、2035年の日本は人口の半分が独身になると予想している。
日本人の労働生産性はOECD34ヵ国中21位と、先進7ヵ国の中で最下位である。
日本のサラリーマンは過労死するほど働いているが、2014年の一人あたりの労働者が生み出す富(付加価値)は、7万2994ドルと、アメリカ人の11万6817ドルの7割以下しかない。
これは日本人の能力がアメリカ人より3割も劣っているのか、そうでなければ「働き方」の仕組みがまたがっているのである。
しかし一方で、日本の若者の失業率が低いという良い点もある。
少子化の影響が明らかとなり、今や新卒の就職率は98%になっている。
大学を卒業したら全員が仕事につけるような国は、先進国では日本くらいしかない。
2015年の15~24歳り失業率は、すべてンで53.2%、イタリアで35.3%、フランスで23.8%もあり、多くの先進国では若者の失業が大きな社会問題となっている。
人的資本とは、働いてお金を稼ぐ力の事である。
年収300万円を、預金でやろうとすると普通預金の金利0.001%で計算すると3000億円の元本が必要となる。
つまり、年収300万円の人の人的資本は、金融資本に換算すると3000万円に相当すると考えることもできる。
現在のような超低金利時代てせは、リスクを取らずにお金を運用するよりも、自分で働いた方が遥かに有利となる。
金融資本を使って稼ぐことが難しくなればなるほど、人的資本の価値は大きくなっていく。
人的資本は、将来貰えるはずのお金を今すぐ手に入れたとしたらいくらになるか、で計算する。
生涯年収2億円の人の場合、新卒で就職する時点で時価1,億円以上の人的資本を持っているのは間違いない。
「ゆずれない」ものをゆずらなければならなくなった時、幸福度は大きく下がる。
つまり「幸福とはイヤな事を断れること」と言える。
イヤな事を我慢しなければならないのは、そうしなければ生きていけないからである。
お金が全てではないのは確かだが、お金は自由の土台でもある。
何かに依存してしか生きられない人は自由を失ってしまう。
「お金がなければ自由にいかられない」という考え方を、「経済的自立」という。

2018年1月16日火曜日

最近、不動産投資のなかで異色だった「シェアハウス」が人気となっている。
業界的には「新築シェアハウス」と「中古シェアハウス」は別物と考えられている。
新築シェアハウスは「寄宿舎」を指し、融資が比較的通りやすく、1億円程度の物件が人気だという。
現実的には空室だらけなので、8~9%の表面利回りを謳っていても、実際にはかなり儲からない。
しかも融資期間は30年が大半なので、次の融資も絶望的といえる。
一方で中古シェアハウスは、共同住宅や戸建から派生した形で扱われるので、いざ空室がなかなか埋まらなければ元に戻すことができる。
新築シェアハウスの多くは23区内にあり、立地も悪くないため人気があり、1棟の物件内に部屋が10室以上つくられる為、利回りも8%と見栄えもよく、年収1000万円クラスの人が3~5億円で購入しているという。
しかし、シェアハウスの運営会社のサイトを見ると、かなりの数の空室が掲載されている。
そもそもシェアハウスには、数少ない金融機関しか融資をしない。
つまり、売りたくても次の買主に融資が付きにくいため、簡単に売却できない。
最悪のケースでは、空室が続いた後、家賃保証が切られてしまい、その後の家賃が入って来ず、返済ができなくなってしまう。
松下幸之助の不幸は、成功とともに彼を利用しようとする人が周囲に集まってきたことである。
幸之助からカネを引っ張り出そうとする人、ゴマをすって出世しようとする人達である。
幸之助が神格化され出すのは、それを利用したい役員や幹部が増えたからである。
かつて松下には、従業員の親睦団体に「歩一会」という組織があった。
幸之助は、その会報誌『歩一会誌』に自叙伝を連載しており、その連載は戦後に『私の行き方考え方』として書籍化される。
この連載は口述筆記したもので、幸之助の思いがこもっていた。
ところが、その後、版元が一般の出版社からPHPに移ると、表現が微妙に修正され、よく言えば文章が洗練される。
現在、「松下幸之助」の署名でPHPから出される本は、幸之助の発言をPHPの頭のいい人が「まとめ」ており、いわば「改竄」して再生産しているのである。
松下幸之助の「生の声」を伝える書籍は3冊しかないという。
歩一会の自伝を一般の出版社から発売された『私の行き方考え方』と、毎日新聞がインタビューとしてまとめた『道は明日に』、日経新聞で連載した「私の履歴書」だけである。
一昔前に言われた「技術のソニー」というのは、最後の駆け込み寺という意味である。
映画監督のジョージ・ルーカスが『スターウォーズ』をフィルム撮影からビデオへ、つまりフルデジタルで撮りたいと思った時に、ソニーに相談した。
3D作品『アバター』のジェームス・キャメロン監督は、当初、深海のドキュメンタリー映画の制作に乗り出した時に、人間の目で見るとの同じように「立体映像」で撮りたいから専用のビデオカメラを開発して欲しいと泣きついたのもソニーだった。
その時に開発した専用のビデオカメラが、後に『アバター』を撮影する3Dカメラに発展するのである。
宇宙飛行士の向井千秋さんがスペースシャトルに搭乗した際に、NHKがHD対応のビデオカメラを持たせて船内から宇宙ま様子を撮影したいと考えた。
しかし宇宙空間には、宇宙線が飛び交っていてビデオカメラの映像素子のCCDは宇宙線に弱く、当たると傷が付き華麗な映像が取れない。
世界中を探しても、どのメーカーも手を挙げないので、困り果てたNHKが最後に頼ったのがソニーだった。
ソニーに頼んでダメだったら仕方ないと諦めもつくし、言い訳ができる面もあったという。
しかし、今のソニーは、残念ながら優秀なエンジニアをリストラで全て切ってしまい、市場を牽引するような新しい製品開発はできなくなってしまった。
松下幸之助は、会社を大きくするために世の中を見て、軍人の時代になった時は、軍部とパイプを持ち、無線機部品や電池などの軍需製品以外も、木製の飛行機や船を作っていた。
戦前に松下電器が朝鮮や台湾など海外工場を含めて軍需中心の生産体制に移行していたのは事実である。
戦後、松下家と松下電器が「戦犯」と見なされ、GHQから「財閥指定」を受けると、幸之助は「財閥ではない」と東京のGHQ本部に何度も釈明に訪れている。
そこで、軍部との親しい関係会社の発展の障害となるので、「PHP(繁栄によって平和と幸福を)」運動を開始するのである。
松下電器貿易の専務をやった斎藤周行が書いた『拝啓 松下幸之助殿』という本の中で、松下家へ年賀に参上した社員は、玄関であいさつして帰る玄関組と座敷まで上げてもらえる昇殿組とにハッキリ区別されていた事などについて述べた後に、松下の「宗教的雰囲気」の不気味さを書いている。
社歌斉唱は自己睡眠をかけるための呪文の役割を果たしていたという。
別名、マネシタ電器と呼ばれた松下電器は家庭用VTRの「ビデオ戦争」でも、反側すれすれの事をやっている。
1974年9月に、ソニへは松下電気と日本ビクターにVTRの共同開発の申し出をし、カセットと図面を手渡した。
それなのに、翌1975年9月に松下はソニーに何の連絡もなく、独自開発したというVTRを発売したのである。
ソニーからすると、自分達が規格統一を呼びかけ、公開したVTRの製品と技術を参考にして松下が抜け駆けしたと思わざるを得なかった。
トヨタ自動車は、豊田家では株式を2%程度しか所有していない。
豊田章一郎会長、豊田章男社長で0.2%しか持っていない。
資本の論理で言えば、豊田家の会社ではない。
梶山三郎著『トヨトミの野望』の主人公は、上場している社会の器という存在であり、株式を持っていない豊田家という、創業者の子孫だからという理由で、経営をまかせても良いのかという問題提議をしている。
株式を公開して、創業者利益を得た時点で、本来は豊田家のものではなくなるはずである。
『古事記』にも出てくる歴史ある地名の挙母(ころも)町を、1959年に豊田市に自治体名を変えた時の市長は、現在も年に1回、顕彰祭が行われて功績を讃えられているという。
JALは会社更生法を適用したので株が紙屑になったが、借金はチャラになった。
銀行の融資負債は殆どなくなり、公的資金も入り、その後に税金が免除され、トータルで4200億円がプレゼントされている。
その結果、金が余っていて給料を上げ始め、人件費だけで200億円上積みされている。
バイロットは既にANAよりも高くなり、世界一高いパイロットを雇うようになっている。
これは注ぎ込まれた税金から払われているようなものである。
日本の空港では成田、羽田、伊丹だけが黒字で、地方空港で黒字の空港はまず存在しない。
黒字に見えてはいるが、血税部分を除くと全て赤字となる。
福岡空港は元々米軍の用地だったので地代がかかっており、そういう特殊事情を除けば黒字ではある。
日本航空には一番多い時には労働組合が9つもあった。
世界中の航空会社に共通するのが、組合対策といのが一番大事にことである。
ところがJALは組合対策をしっかりやって来なかった。
JALには企画・広報、営業、労務という3つの出世畑があり、東大卒の労務畑のエリートがかなり幅をきかせ、組合となあなあで付き合てきたという面があった。
私学グループの民族派、東大卒が多い労務畑と企画畑の三派に分かれていた。
中曽根民活というのは、清和会に対して、中曽根が利権の奪取を目指して民活を仕掛けるという構図だった。
田中角栄は、個人株主として筆頭株主だった小佐野賢治のパイプを利用した。
JALは権力者に利用されてきた歴史を持つ。
日本航空は、満州航空などが母体となって戦後にスタートした。
初代社長は日銀出身者で、運輸省が作った国策会社だったため、その後ずっと運輸省からの天下りが社長になる慣習が続いていた。
組合対策も満州浪人を使ったりしていたので、小佐野賢治を引っ張り込むような土壌を生んでしまった。
東芝は社会教育団体の修養団が行う伊勢神宮の五十鈴川にふんどし一つで入らせるみそぎ研修を熱心にやっている。
1974年春に結成された同社の秘密組織「扇会」を知ると、会社の体質が良く理解できる。
会社のスパイ組織ともいうべきこの会の実態は、府中工場で労働組合といっしょになって人権侵害と職場村八分を繰り返し訴えられた「職場八分裁判」の過程で明らかとなった。
組合執行部を「健全派で固める」とか、配転について「応じるという結論を出さねば職場にいられないというムードを作る」ために努力すると誓っている扇会の文書には「問題者への対応」という章があり、「問題者」を判断するポイントが挙げられている。
<職場での兆候判断ポイント>
・企業内(職場)では、行動に空白部分が多く、昼休み時、終業後の行動が見当つかない。
・自主的な傾向が強くなり、職制に対する協調性が弱くなる。
・職場の同僚や、特に若年者と新入社員の悩みごとや苦情に対する世話役活動を積極的に行う。
・若い人を対象として「サークル活動」に力を入れ、いろいろとインフォーマルグループをつくり、その中心となって面倒をよくみる。
・就業規則をよく知り、有給休暇、生理休暇の全面行使など、権利意識が強くなる。
・職場での小さな九丈職場要求が多くなり、不平、不満を組織化し、それを職場の代弁者として説得力ある発言を職場や職制にするようになると共にも職場問題を不必要に拡大発展させる傾向が強くなる。
・朝のお茶くみ、掃除、その他のサービス労働に抵抗するようになり、奉仕的な美徳をなくする方向に力を入れる。
・特別な理由もないのに、特定日の残業をしない。
・職制の言動をマークし、職制のいうことをよくメモにとる。
・昇給時に、同僚の昇給を聞いて歩いたり、上司、会社の査定について職制にいろいろ問い質す。
他にも、「問題者」を発見するためのポイントはもっと多岐にわたる。
そして、それと思われる人間がいると1804名の会員で結成された扇会のメンバーが尾行したりして、その結果を「本社勤労部」に通報するという。
こうしたチェックによって、東芝は全身全霊のイエスマンしかいなくなったのである。
東京電力の原発PRで巧みなのが、地方紙を利用していくことである。
地方紙の論説委員をシンポジウムに必ず絡ませるという。
このやり方は、特に原子力発電環境整備機構(NUMO)が行い、電通と共同通信、全国地方新聞連合会が組んで、記事が広告か分からないようにステルスマーケティングの形を取っていた。
『東京新聞中日』だけは、中部電力に組み込まれるのを断って、されを貫いている。
福島原発事故の時に、東京電力の勝俣恒久会長は北京にいた事はよく知られているが、その時にマスコミのOBみたいなグループと一緒だったという。
『週刊現代』編集長だった元木昌彦氏、元『週刊文春』の花田紀凱氏、毎日や中日など新聞各社の相談役クラスと一緒だった。
引率団長が「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を作っている自由社の石原萠記氏だった。
石原氏は戦後に社会党右派にいた人で、その関係でフォード財団の代理人となる。
米国政府は外交においては外国の政府を相手にし、外国の民間を相手に工作するのは、ロックフェラー、カーネギー等の財閥系の財団がその役割を担っている。
当時はその中でフォード財団が対日世論工作を受け持っていて、石原氏はその使い走りをしていた。
石原氏は、『月刊自由』という雑誌を創刊し、左派が全盛だった時代の日本のメディア界で、保守論壇というものの先駆けとなっていた。
1969年に文春が『諸君!』を創刊することで実質的には力を失って覇権を取られてしまうが、それまで60年代の保守論壇では『月刊自由』の存在感は大きかった。
『月刊自由』は単なる雑誌というだけではなく、保守系の言論人を育成する役割を担っていた。
シンポジウムや会合を主催し、たくさん人材を集めて育てていた。
この石原氏の活動は、フォード財団と直にやり取りをするのではなく、日本の財界人とやっていたという。
新日鐵の藤井丙午、東電の木川田一隆らで、最も頻繁に接触していたのは木川田の子分である平岩外四だったという。
それ以来、石原氏のスポンサーは東京電力となった。

2018年1月15日月曜日

不動産賃貸業の始まりは、江戸時代の庶民が暮らした「長屋」にあるといわれている。
もともと日本では土地の所有権は貴族な武士にあったが、江戸時代になって商人が買い占めるようになり、住居を建てて貸し出す事業を始めるようになった。
当時の1ヶ月の家賃はとても安くて、だいたい1日の労働で払えるくらいだったという。

2018年1月13日土曜日

賃貸物件の募集用書類「マイソク」は、元々は不動産業者間に情報を流通させているマイソク社(毎日速報センター)が配布していた募集用の流通図面を指していた。
その後、マイソク社と業務提携したのアットホームが作成した募集図面も「マイソク」と呼ばれるようになり、現在では業者間で流通する募集図面を総称して、「マイソク」と呼ばれるようになった。

2018年1月11日木曜日

財務省が2017年9月1日に発表した法人企業統計によると企業が利益を蓄積した内部留保は、2016年末で406兆2348億円となり、初めて400長官を超えた。
また、企業の労働分配率は、アベノミクスが始まる前の2012年度は72.3%だったが、2015年度は67.5%に低下している。
政府は現在60~70歳の公的年金の受給開始年齢の上限を75歳に引き上げようとしている。
2017年9月に、内閣府の有識者会議が受給開始年齢70歳以降にできる仕組みづくりを盛り込んだ提言をまとめている。
例え65歳まで減給を伴う雇用継続がされたとしても、年金の受給年齢を70~75歳を選んてしまうと、5~10年間も無収入となる覚悟が必要となる。
日経平均が歴代最長の16連騰を記録したり、バブル崩壊後21年ぶりに最高値を突破したりと、株高が続いている。
しかし現在の株高は、異常な官製相場である。
日本銀行のETF保有残高は、2017年10月に20兆円を超え、日銀とGPIFが保有する株式は3月末時点の時価ベースで50兆円を超え、東証一部上場企業の3割以上で、公的マネーが筆頭株主になっている。
アベノミクスによる経済浮揚効果は殆どゼロだが、国民の将来不安を掻き立てる政策ばかりが続き、個人消費は戦後初めて2年連続でマイナスになっている。
失業率が下がったとか、有効求人倍率が上がったとか、政府は強調して宣伝しているが、労働人口が年々減少して、多くの産業で人手不足になっているので、当然の結果でしかない。
日本の労働者の残業の上限を月60時間にすると残業代が8兆円減り、消費がGDP換算で1.6%へこむという試算がある。
一方で、安倍内閣の給料のベースアップ要請に対応して、正社員の所得は前年比で1.3%増えている。
ちなみに正社員以外の雇用形態の人は0.3%しか増えていない。
つまり残業代カット分のマイナスを、ベースアップ分では補填できていない。

2018年1月9日火曜日

日本のスーパーの先達たちは「渥美学校」の門下生である。
スーパーマーケットの育ての親としていられる渥美俊一は、読売新聞の経済記者時代の1962年に、36歳でチェーンストアの研究団体「ペガサス倶楽部」を創設した。
当初のメンバーはスーパーの若手経営者13人だった。
中内功(39歳、ダイエー=当時は主婦の店ダイエー)、伊藤雅俊(37歳、イトーヨーカ堂=当時はヨーカ堂)、岡田卓也(36歳、イオン=当時は岡田屋)、二木英徳(26歳、イオン=当時はフタギ)、西端行雄(45歳、マイカル=当時はセルフハトヤ)、大高善兵衛(27歳、ヨークペニマル=当時は紅丸商店)、西川俊男(36歳、ユニー=当時は西川屋)、和田満治(30歳、イズミヤ=当時はいずみや)などで、翌年に堤清二(37歳、西友=当時は西友ストア)が参加した。
日本の流通革命を担った若手経営者たちは、ペガサスクラブから巣立っていったのである。
セゾングループの堤清二が「ツネ」と呼んでいた渡邉恒雄(読売新聞グループ本社代表取締役会長)は、東大時代に、氏家齊一郎(日本テレビ放送網会長)とともに、共産党員として活動した仲間だった。
渡邉が氏家を共産党に誘い、そして氏家が堤清二の入党をオルグした関係だった。
堤清二、渡邉、氏家の交わりが60年以上に及んだ。
渡邉は氏家とともに母校ま東京高等学校(のちの東京大学教育学部付属中東教育学校)へオルグに行った際に、インターハイを目指す後輩の野球部員に対して「野球なんてくださらないものをするときではない」と共産党への入党を強く勧誘したという。
その渡邉が、読売巨人軍のオーナーとなり、メディアの帝王として君臨しているのである。
国税庁が発表した2017年分の路線価格(1月1日)で、東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの「鳩居堂」前が1平米当り4032万円となり、過去最高だったバブル直後(1992年)の3650万円を上回り、32年連続で全国一となった。
鳩居堂前の路線価は、バブル崩壊直後にピークを達し、1997年には3分の1以下の1136万円まで暴落した。
反転するのは2014年で、2015年以降は2桁(14~15%)増となり、バブル超えとなった。
チャイナマネーが大量に流入した湾岸エリアのタワーマンションの価格が崩壊するのは2018年後半から2019年にかけてと予測されている。
爆買いは2013年から2014年に集中した。
日本の税制では、取得後5年以上経過してから売却すると税率は20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)、5年以内だと39.63%(所得税30.63% 住民税 9%)となる。
投資物件の場合、売るチャンスは5年後と考えられるので、売りが集中しやすい。
そごうの水野廣雄は、「特別手記 善悪は存知せざるなり」(新潮45、2001年9月号)で、誇らしげに下記の事を書いている。
「興銀には銀行に貢献してくれた社外のOBに金杯を贈る制度があり、その受賞者は今まで三人。一人が私です。かつてジャパンラインの株が河本敏夫元副総理の三光汽船に買い占められた事件があり、福田赳夫元首相と野村證券の瀬川美能留元とャ町に頼まれて私が仲裁裁定をしてあげたことがある。興銀がジ・ラインのメインバンクだった関係で私に金杯を贈ってきました。」
水島は、毎年正月に、この金杯で酒を飲んだという。
そごうグループは百貨店の中では特異な構造になっていた。
株式を上場していた「そごう」本体は有楽町、大阪、神戸の3店を保有するだけで、他の店舗は基本的に1店舗1社方式だった。
国内の百貨店だけでピーク時には30社近くに達していた。
全体を支配したのは、水島廣雄が株式の過半を握っていた「千葉そごう」で、千葉そごうが持ち株会社の役割を果たしており、グループ会社はそごう本体の連結決算対象外だった。
千葉そごうや横浜そごう等の首都圏の別会社を中心に、各社の出資、貸付金、債務保証が網の目に交錯していた。
千葉そごうを起点に、水島は一代で国内・海外に40店以上の百貨店チェーンを築き上げた。
タイそごうに始まり、香港、シンガポール、台北、マレーシア、ロンドン、バルセロナなど海外の事業展開を総括したのは、千葉そごうの子会社だった。
エアバックを世界で最初に発明したのは小堀保三郎である。
1899年生まれの小堀は、小学校を出ると奉公に出て独学で機械職人の道を歩み、戦前から石川島播磨重工や大同工業などの大手企業向けに工場内搬送・運送機を製作する中小企業を経営していが、62歳で工場を譲渡し、1926年にグッドアイデアセンターを設立した。
1964年にエアバックの開発に着手し、「衝突時乗員保護システム」は衝撃加速度検出装置、弾性防護袋、気化ガス発生装置で構成された完璧なもので、現在のエアバックと比べても遜色のないものだった。
世界14ヵ国で特許を取得したが、実用化される前に特許が切れ、小堀は経済的に大きな果実を得る事は出来なかった。
小堀のアイデアは、当時はあまにも奇抜であったため、自動車メーカーから相手にされず、失意の中、開発費用の捻出に行き詰り、1975年に76歳で、東京・三田の事務所内で妻とガス心中している。
小堀が自動車社会の発展に貢献した人々を顕彰する「日本自動車殿堂」入りしたのは、彼が自殺してから31年後の2006年だった。
顕彰理由は「芸術を愛したエアバックの考案者」と記されている。
タカタの株価の高値は2007年3月1日の5170円で、当時の創業家の高田一族が保有する株式の価値は2603億円となる。
しかも、2014年3月期まで、1株当り年30円の配当を出しており、一族には毎年15億円の配当収入があったことになる。
欠陥エアバッグのリコール問題で2017年6月に民事再生法の適用を申請したタカタの国内外15社の負債総額は3820億円だったが、ここには国自動車メーカーがタカタに代わって負担したリコール費用は含まれていない。
自動車メーカーがリコール費用を肩代わりした額は、1兆3000億円に達しており、これを含めるとタカタの負債総額は1兆7000億円と、製造業の倒産としては戦後最悪となる。
トヨタ自動車は世界で2700万台がリコールの対象となり、5700億円に上るが、この大部分が回収不能として既に引当金を計上している。
ホンダも20016年3月期までの2年間でリコール立替費用が5560億円となり、既に引当金を計上している。
日産自動車は907億円、スバルが735億円、マツダが407億円のリコール費用を開示しているが、三菱自動車は開示していない。
リコール費用は少なくとも合計で1兆3309億円に膨らんでいる。
これには、海外メーカーのリコール費用は含まれていない。
タカタの主要顧客は、ホンダ、ルノー・日産、GM、トヨタ、VWで、全体の52.8%を占める。
日系メーカーが43%、欧米・アジアメーカーが57%の割合となっている。
当初リコール対象となっている製品は、硝酸アンモニウムほ火薬材料に使い、乾燥剤を含まないタイプの1億個で、異常破裂を防ぐとされる乾燥剤を含むエアバックのリコール有無は決まっていなかった。
しかし、2017年7月11日に、米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は、新たに乾燥剤を含むエアバックの初期に製造された一部、270万個をリコール対象にすると発表した。
フォード、日産、松田の車両に搭載された製品が新たに対象となるという。
乾燥剤を含むエアバックの累計生産個数は1億個で、NHTSAから2019年末までに安全性を証明できなければ、さらに追加リコールが求められ対象個数が合わせて2億個に倍増する。
乾燥剤を含むエアバックが全てリコール対象となった場合、1.5兆円近い交換費用が新たに発生すると予測されている。